Team HRC、ダカールラリー、4年目の挑戦
1986年から89年にかけて4連覇を遂げたワークスマシン「NXR750」。ジル・ラレイ(フランス)がダカールラリーで最後に勝利を挙げて以来、24年の時を経て2013年から再開したTeam HRCのダカールラリーへの挑戦。復帰3年目となる昨年は、常勝チームKTMファクトリーに迫る2位を獲得しました。今年はチーム体制の拡充とともに、さらに進化したラリー専用マシン「CRF450 RALLY」で「世界一過酷なラリー」での勝利を目指します。
Team HRCのライダーは、ホアン・バレダ(スペイン)、パウロ・ゴンサルヴェス(ポルトガル)、マイケル・メッジ(フランス)、パオロ・セッシ(イタリア)、リッキー・ブラベック(アメリカ)の5名。
#6 バレダは、2013年後半からTeam HRCに加入し、常にトップ争いに加わるスピードを持っています。2015年は前半、クレバーな展開でラリーをリードしました。優れたラリーテクニックでTeam HRCの中心的ライダーです。#2 ゴンサルヴェスは、昨年、メカニカルトラブルで優勝争いから後退したバレダに代わり、上位争いを展開。結果は総合2位に甘んじるも“スピーディー・ゴンサルヴェス”の愛称通りのテクニックで、今大会もバレダとともにラリーをリードする活躍が期待されます。#19 マイケル・メッジ、#32 セッシ、#48 ブラベックの3名は初加入となりますが、チームワークが重要な戦略となるダカールラリーで、チームが勝利を得るための重要な役割を果たしつつ、それぞれ持ち前の走りで上位を目指します。
また、Honda South America Rally Teamからも、2016年仕様のCRF450 RALLYに乗り、ハビエル・ピゾリト(アルゼンチン)、ジェアン・アゼベド(ブラジル)、ケビン・ベナバイズ(アルゼンチン)、アドリアン・メッジ(フランス)の4名が参加し、38度目となるダカールラリーに挑戦します。
#22 ピゾリトは2013年からCRF450 RALLYを走らせる経験豊かなライダーで、砂丘エリアでの抜群のテクニックとスピードには定評があります。地元アルゼンチンの利を生かした走りが期待されます。#26 アゼベドもCRF450 RALLYでダカールラリーを戦った経験が豊富で、今回もその力を発揮してくれるはずです。#47 ベナバイズ、#61 アドリアン・メッジが新たに加入。アドリアン・メッジはTeam HRCのマイケル・メッジと兄弟。チームをサポートしながら上位入賞を目指します。
ほかにもモーターサイクル、ATV(クワッド)クラス合わせて13台のHondaユーザーが、世界一過酷なラリーとして知られるダカールラリーに参加。活躍が期待されています。
「ダカールラリー」と、2016年ダカールの特徴
二輪、四輪、トラック、ATV(クワッド)と多くのカテゴリーで競われるダカールラリー。アフリカ大陸からその舞台を南米大陸に移して2016年で8度目の開催となります。ラリーは、1月2日(土)にアルゼンチンのブエノスアイレスをスタートし、1月16日(土)にアルゼンチンのロサリオでゴールとなる15日間、総走行距離9332kmで行われます。
ダカールラリーは、主催者団体・ASO(アモリ・スポル・オルガニザシオン = Amaury Sport Organisation)により決められたスタート地点からゴールに向け、指定されたルートで目的地に指定時間内に移動しながら進行します。参加者たちの宿泊地となるビバークでは、チームメカニックによるメンテナンスサービスや、食事、宿泊、翌日に向けた主催者によるミーティングなどが行われ、生活の場となります。毎日早朝、参加者はビバークを1台ずつ、一定の時間差をもってスタートします。ラリーのルートは、舗装路を主体に一般道を移動するリエゾン(移動区間)と、砂漠などのオフロードを走るスペシャルステージ(競技区間)に別れています。ビバークからリエゾンを経て、スペシャルステージのスタート地点へ。競技区間を走り終えると、再びリエゾンでビバークへと走るというルート構成を組み合わせ進みます。参加者は一日あたり最短でも357km、最長では931km(平均600km以上)を15日間走り続けます。リエゾンで通過する一般道では制限速度を厳守することが求められ、マシンに搭載されたGPSなどから走行ログのチェックも行われ、速度違反はペナルティーの対象となります。
2016年の特徴は、南米開催となって初めてチリを通過せず、ルート上にアタカマ砂漠のないダカールラリーとなりました。しかし、アルゼンチン山岳部の高地で行われるルートや、ボリビアでルートに含まれるウユニでは、標高3000m以上という高地のルートが多く、ライダーやマシンにとって、過酷な状況となります。
会期中、ビバークでチームのメカニックからメンテナンスサービスを受けずライダー自身が整備し、2日間のステージを走る“マラソンステージ”が2度用意され、マシンの耐久性、ライダーのメンテナンススキルが要求される点も冒険ラリーらしい側面です。
二輪部門での大きなニュースは、2005年から2015年までダカールラリーでの勝利を分けあったシリル・デプレ(フランス)、マルク・コマ(スペイン)の両選手がそれぞれ、四輪クラスへの移行や主催組織ASOのコースディレクターに就任したことで、2016年のダカールラリーは参加ライダーのだれが優勝しても初勝利となります。
2016年のダカールラリーがスタート
1月2日、ダカールラリー2016がいよいよスタートしました。スタート地点であるブエノスアイレス郊外にある総合展示場エリア“テクノポリス”には多くの観客が詰めかけ、冒険へと旅立つ選手に声援を送りました。HRC副社長である中本修平も見送りに訪れ、勝利を目指すライダーを激励しました。選手たちは快晴の中、ブエノスアイレスを離れ、明日のスタート順を決める11kmの短いスペシャルステージ“ステージ0”が用意された郊外へと向かいました。
ステージ0は、最終ゼッケンからスタートするリバーススタート方式が採られました。Honda CRF450Xに乗る#153 ダニー・ロバート(ボリビア)が14時57分にスタート。気温35度、弱い風のコンディションの中、ダートの一般道を閉鎖したルートで行われました。
11kmと短いステージだったため、上位のリザルトには1分差の中に51名のライダーがひしめく接戦となりました(以下暫定結果による)。その中でTeam HRCのバレダは、トップタイムの6分27秒を叩き出し、現地時間1月3日(日)に行われるステージ1をトップでスタートする権利を獲得しました。
その他のTeam HRCのライダーは、マイケル・メッジがトップと8秒差で5位、ブラベックが22秒差で22位、セッシは31秒差で30位、そして昨年のダカールで総合2位となり、今回のプロローグの最終走者となったゴンサルヴェス選手は1分差で49位となっています。
CRF450 RALLYを走らせるHonda South America Rally Teamの4名のライダーは、ベナバイズがトップと8秒差で6位、ピゾリトがトップと16秒差で14位、アゼベドは18秒差で17位、アドリアン・メッジは、35秒差の32位となっています。
プライベートエントリーのHondaライダー5名も無事ステージ0を終え、本各的にダカールラリーが始まる明日に向け、ロサリオのビバークへと移動しました。
※レポートは暫定結果に基づくものです。
TOMORROW'S STAGE
STAGE 1
ロサリオ〜ビージャ・カルロス・パス
リエゾン(移動区間):405km スペシャルステージ(競技区間):227km 総移動距離632km
ビバーク地、ロサリオから選手達は西北西に移動し、途中、給油を済ませ、スペシャルステージのスタート地点を目指します。ステージ1に用意されたルートからは、ラリーが目指すアルゼンチンの尾根とも言える高い山脈が姿を見せはじめます。堅いダート路面が高速バトルを展開させるでしょう。この日は、二輪とATVには、四輪および、トラッククラスとは異なるルートが設定されています。
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム | 差 | ||
---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 6 | ホアン・バレダ | ![]() |
00:06'27 | - | ||
2 | 8 | R.ファリア | ハスクバーナ | 00:06'27 | - | ||
3 | 7 | H.ロドリゲス | ヤマハ | 00:06'30 | 00:00'03 | ||
4 | 42 | A.ファン・ベヴェレン | ヤマハ | 00:06'31 | 00:00'04 | ||
5 | 19 | マイケル・メッジ | ![]() |
00:06'35 | 00:00'08 | ||
6 | 47 | ケビン・ベナバイズ | ![]() |
00:06'35 | 00:00'08 | ||
14 | 22 | ハビエル・ピゾリト | ![]() |
00:06'43 | 00:00'16 | ||
17 | 26 | ジェアン・アゼベド | ![]() |
00:06'45 | 00:00'18 | ||
22 | 48 | リッキー・ブラベック | ![]() |
00:06'49 | 00:00'22 | ||
30 | 32 | パオロ・セッシ | ![]() |
00:06'58 | 00:00'31 | ||
32 | 61 | アドリアン・メッジ | ![]() |
00:07'02 | 00:00'35 | ||
49 | 2 | パウロ・ゴンサルヴェス | ![]() |
00:07'27 | 00:01'00 | ||
52 | 123 | マイケル・フェルカーデ | ![]() |
00:07'28 | 00:01'01 | ||
57 | 70 | ペドロ・ビアンキ・プラタ | ![]() |
00:07'35 | 00:01'08 | ||
63 | 109 | フェデリコ・エドゥアルド・コーラ | ![]() |
00:07'40 | 00:01'13 | ||
67 | 137 | ロブ・スミッツ | ![]() |
00:07'43 | 00:01'16 | ||
95 | 153 | ダニー・ロバート | ![]() |
00:08'25 | 00:01'58 |