HRCの歴史

2010年

HondaはWGP250ccクラスに替わるMoto2クラスのオフィシャル・エンジン・サプライヤーとして、4ストローク600cc エンジンの供給を開始。開幕戦カタールGPでは日本人ライダーの富沢祥也氏が最初の優勝者となった。
清成龍一はCBR1000RRで自身3度目となるブリティッシュスーパーバイク選手権チャンピオンを獲得。また、高橋巧とのコンビで鈴鹿8時間耐久ロードレースに勝利。

Moto2 カタール 2010年 / Toni Bou 2010年 Montesa Cota 4RT
Moto2 カタール 2010年 / Toni Bou 2010年 Montesa Cota 4RT

2011年

800ccのMotoGP最終年、Honda移籍1年目のCasey Stonerが2010年最終仕様をベースに熟成を重ねたRC212Vでタイトルを獲得。また、アラゴンGPではRepsol Honda Teamとしてプレミアクラス100勝目を達成した。
RC212Vは年間13勝を達成し、コンストラクターズ・タイトル、チーム・タイトルと合わせ三冠を獲得。
伊藤真一が東日本大震災復興支援のため、日本GPにTeam HRCにて参戦。13位完走を果たす。
カタルニアGPにおいてAlex Crivilleのライディングにより、次期Moto3クラスに対応したレーサーNSF250Rを発表。同6月、日本において発表会を開催。
秋吉耕佑、伊藤真一、清成龍一がCBR1000RRで鈴鹿8時間耐久ロードレース優勝。
トライアル世界選手権で、Toni Bouがワールドチャンピオン5連覇。

Casey Stoner アメリカGP 2011年 Honda RC212V / Casey Stoner オーストラリアGP 2011年 Honda RC212VCasey Stoner アメリカGP 2011年 Honda RC212V / Casey Stoner オーストラリアGP 2011年 Honda RC212V

2012年

レギュレーション変更により、MotoGPクラスのエンジン排気量が1000ccとなった。この新しいルールに対応した2012年型マシンのRC213V は18戦中12勝を挙げ、チーム及びコンストラクターズチャンピオンを獲得。2ストローク125ccクラスに代わり導入された4ストローク250ccエン ジンを使用するMoto3クラスがスタートし、ニューマシンのNSF250Rが開幕戦で記念すべき勝利を飾り、新しい時代の幕開けを告げた。
トライアル世界選手権は、Toni Bouが6年連続のワールドチャンピオンに輝く。
全日本モトクロスIA1クラスにおいては、CRF450Rで成田亮がHondaに6年ぶりとなるチャンピオン獲得をもたらした。
Jonathan Rea、秋吉耕佑、岡田忠之がCBR1000RRで鈴鹿8時間耐久ロードレース優勝。

Dani Pedrosa チェコGP 2012年 Honda RC213V / MaverickVinales カタールGP 2012年Dani Pedrosa チェコGP 2012年 Honda RC213V / MaverickVinales カタールGP 2012年

2013年

1月に行われたダカールラリーに、Hondaとして24年ぶりに参戦。CRF450 Rallyは全車完走を果たす。MotoGPクラスでは、RC213Vを駆るMarc Marquezが史上最年少チャンピオンとなり、Hondaはライダー、チーム、コンストラクターの3冠獲得を2年ぶりに達成。さらに、トライアルでもToni Bouが7連覇を果たし、Hondaマシンが世界最高峰の舞台で輝いた。
国内でも、全日本モトクロス選手権ではIA1クラスで成田亮が連覇。チームメートの小方誠が総合2位に入り、Team HRCは総合1-2でフィニッシュ。IA2でもワークス活動を開始し、初年度は田中雅己は4度の表彰台登壇と活躍した。また、鈴鹿8時間耐久ロードレースでは、高橋巧/Leon Haslam/Michael van der MarkがCBR1000RRで優勝。Hondaマシンに4連覇をもたらした。
このほか、参加型レースの充実にも力を入れ、CBR250Rをベースにしたワンメイクレース「CBR250R Dream Cup」を初開催。多くの参加者が集い、好評を得た。

Marc Marquez 第18戦 バレンシアGP 2013年 Honda RC213VMarc Marquez 第18戦 バレンシアGP 2013年 Honda RC213V

2014年

野村欣滋が代表取締役社長に就任。この年から、Hondaは二輪カテゴリでのワークス活動を拡大。
MotoGP、ダカールラリー、全日本モトクロスに加え、モトクロスMXGPではTeam HRC、トライアル世界選手権ではRepsol Honda Teamとしてワークスチームが結成された。
MotoGPでは、Repsol Honda Teamが圧倒的な強さを発揮し、チームとして開幕から12連勝。第7戦カタルニアGPでの勝利は、HondaにとってのMotoGPクラス100勝目となった。Marc Marquezは歴代タイの開幕10連勝、最多の年間13勝という記録を打ち立て、2年連続チャンピオンを獲得。Hondaは3冠(ライダー、チーム、コンストラクター)を連覇した。さらに、Moto3クラスではMarquezの弟Alex MarquezがNSF250RWでチャンピオンを獲得し、史上初の兄弟王者が誕生した。
ワークス体制初年度となったMXGPでは、Maximilian Naglが年間5勝を挙げてランキング6位、トライアルではRepsol Honda TeamのToni Bouが8連覇を達成した。さらには全日本モトクロスにおいてもIA1で成田亮が自身10度目のチャンピオンを獲得を決め、Team HRCは2年連続の総合1-2を達成。鈴鹿8時間耐久ロードレースでは、高橋巧/Leon Haslam/Michael van der Mark組が2連覇した。

MotoGPではMarquez兄弟がそろって王者に/全日本モトクロス選手権では成田がタイトルを獲得MotoGPではMarquez兄弟がそろって王者に/全日本モトクロス選手権では成田がタイトルを獲得

2015年

新体制での参戦3年目となったダカールラリーでは、Team HRCが13ステージ中6ステージで勝利し、女性ライダーのLaia Sanzが史上最高の総合9位となるなど、高い競争力を発揮。
MotoGPでは、タイトル獲得こそならなかったものの、第10戦インディアナポリスGPで、Hondaとして世界選手権700勝という大記録を達成。MXGPではMX2クラスのTim Gajserが、ファクトリーマシンCRF250RWでチャンピオンを獲得し、トライアルではToni Bouが9連覇を果たすなど、競争力を発揮した。
さらに、全日本モトクロスIA2クラスでは富田俊樹がチャンピオンを獲得。参加型モータースポーツの分野では、4ストロークレーサーNSF250Rによるワンメイクレース「HRC NSF250R Challenge」を初開催した。

Honda 世界選手権700勝記念撮影Honda 世界選手権700勝記念撮影

2016年

2016年シーズンは、進化したCRF450 RALLYの戦いからスタートした。ダカールラリー4年目の挑戦は、序盤は総合トップをキープするなど、順風満帆にみえたが、世界一過酷なラリーの勝利は遠く、総合4位のKevin Benavidesがチーム最高位となった。

FIMロードレース世界選手権MotoGPクラス、FIMトライアル世界選手権、FIMモトクロス世界選手権MXGPクラスでは、RC213Vを駆るMarc Marquezが3度目のタイトルを獲得、Toni BouがCOTA4RTを操り10連覇を達成、そして、初参戦したTim GajserがCRF450RWで初タイトルを獲得と、同年に3つカテゴリーを制覇するという世界初の快挙を成し遂げる記念すべき年に。

さらには、全日本モトクロス IA1クラスで9勝を挙げた成田が2年ぶりにタイトル奪還。IA2では能塚智寛が圧倒的な強さでクラス制覇を果たすなど、シーズンを通してチーム・マシンの強さを披露した。

世界選手権3カテゴリーでタイトルを獲得世界選手権3カテゴリーでタイトルを獲得

2017年

昨年に引き続き、CRF450 RALLYでダカールラリーに挑戦。Joan Barredaが10ステージ中、4つのステージで勝利を挙げて競争力を発揮するも、世界一過酷なラリーの優勝への道のりは険しく、総合5位に甘んじる結果となる。

FIMロードレース世界選手権(MotoGP)では、RC213Vを駆るMarc Marquezが2年連続、自身4度目となるタイトルを獲得。チーム、コンストラクターズのタイトルと合わせ、Hondaとしては3年ぶりの三冠達成となった。

FIMトライアル世界選手権では、王者Toni BouがCOTA4RTとともに11度目のタイトルを獲得。インドア世界選手権と合わせると、22個目となる世界タイトルを獲得する。FIMモトクロス世界選手権(MXGPクラス)では、Tim Gajserがタイトル連覇に向けてシーズンを順調にスタートさせるも、ケガに悩まされる一年となった。

国内では、全日本モトクロス(IA1クラス)に初参戦の山本鯨が年間チャンピオンを獲得。そして、12月20日に18年シーズンから、全日本ロードレース選手権と鈴鹿8時間耐久ロードレースへ「Team HRC」としてワークス参戦することを発表した。

最終戦バレンシアGPでタイトルを決めたMarc Marquez最終戦バレンシアGPでタイトルを決めたMarc Marquez

2018年

第40回目のダカールラリーは、Monster Energy Honda Teamの5名がCRF450 RALLYを駆り、総合優勝に挑んだ。Joan Barredaは力走もみせたが、惜しくもリタイア。Kevin BenavidesはHondaのワークス参戦復帰以来、最高位タイの総合2位に輝いた。FIMロードレース世界選手権(MotoGP)では、ワークスマシンRC213Vの強さが発揮された。Repsol Honda TeamのMarc Marquezが自身5度目の最高峰クラスのタイトルを獲得。さらにHondaが2年連続で三冠を達成した。 FIMトライアル世界選手権では、Repsol Honda TeamのToni Bouがモンテッサのマシンで通算100勝を達成。その後もCOTA4RTを巧みにコントロールして勝利を積み上げ、12年連続で王者の座を手にした。

国内では、全日本ロードレース選手権(JSB1000)と鈴鹿8時間耐久ロードレースに、Hondaのワークスチームが復活。鈴鹿8耐にはRed Bull Honda with 日本郵便(高橋巧/中上貴晶/Patrick Jacobsen)が出場し、全日本ロードレースにはTeam HRCのエースとして高橋巧が起用された。10年ぶりのワークスチームとして両レースで総合優勝を目指すも2位となり、悔しさが残った。全日本モトクロス選手権では、Team HRCの成田、山本の2人が勝利を分け合い、一進一退の展開に。最終戦で成田が2年ぶりの王者に返り咲いた。

鈴鹿8時間耐久ロードレースではRed Bull Honda with 日本郵便が2位鈴鹿8時間耐久ロードレースではRed Bull Honda with 日本郵便が2位

2019年

FIM ロードレース世界選手権(MotoGP)ではMarc Marquez、FIM モトクロス世界選手権(MXGP)ではTim Gajser、FIM トライアル世界選手権(TrialGP)ではToni Bouが、それぞれ最高峰クラスでチャンピオンを獲得。2016年に世界初の快挙として成し遂げた3つのカテゴリー制覇を、同じ顔ぶれで3年ぶりに達成した。一方、ペルー国内を巡ったダカールラリーでは、Monster Energy Honda TeamのRicky Brabecがワークス参戦復帰以来の総合優勝の期待がかかるも、終盤のステージで無念のリタイア。チームとしての最高位はKevin Benavidesの総合5位だった。

国内では、全日本ロードレース選手権(JSB1000)のチャンピオン奪還を目指した高橋巧が、最終戦で逆転を許し2位に。鈴鹿8時間耐久ロードレースには、ワークスチームのRed Bull Honda(高橋巧/清成龍一/Stefan Bradl)が出場し、力走をみせるも3位だった。全日本モトクロス選手権では、最高峰クラス(IA1)のタイトルを山本鯨が獲得し、前年の雪辱を果たした。

MotoGP、MXGP、TrialGPでタイトル獲得の記念ロゴ/MotoGPでは3年連続で三冠を達成MotoGP、MXGP、TrialGPでタイトル獲得の記念ロゴ/MotoGPでは3年連続で三冠を達成