AMAスーパークロスは、ラスベガスでシリーズ最終戦を迎えました。昼夜、断続的に降った雨の影響でマディコンディションとなり、16周に短縮して行われた決勝レース。ラスベガスには不似合いの天候がTeam Honda HRCのトレイ・カナードとコール・シーリーに味方することはなく、カナードは8位、シーリーは9位で、それぞれファイナルレースのチェッカーを受けました。
金曜日には、Team Honda HRCのコール・シーリーとトレイ・カナード、さらにはGEICO Hondaのジャスティン・ボーグル、マルコム・スチュワート、ジミー・デコティス、RJ・ハンプシャー、ジョーダン・スミスらが、ライドナウ・パワースポーツにおいてサイン会を実施。中本修平HRC副社長を迎えて臨んだタイムアタック予選は、ひょうや雷を伴った豪雨の影響で、1回目で早くもコースコンディションが悪化。そのため、主催者は2回目のセッションをキャンセルする判断を下しました。
この結果、ライダーは、最初のタイムに基づいてナイトプログラムに臨み、カナードは1分02秒644で全体2番手、シーリーは1分04秒627で全体13番手でした。
450SXのヒートレース1組目、カナードはスタートで5番手につけると、泥を被った状態のフープスで転倒するまでは、ファイナル進出のためのポジションを確保していました。この転倒でセミファイナル出場を余儀なくされたカナードでしたが、4位でフィニッシュして確実にファイナル進出を果たしました。
一方、Hondaライダーのジャスティン・ボーグルは、CRF450Rで素早く先頭に出ると、一度もトップを譲らずに6周を走りきって初のヒート優勝を達成し、見事ファイナル進出を決めました。
ヒートレース2組目に出場したシーリーは、スタートで混戦に巻き込まれてゴーグルをだめにしてしまい、オープニングラップを終えるとピットでの交換を余儀なくされました。このため、シーリーもセミファイナルを経て決勝へと駒を進めました。
迎えたファイナルレース。カナードは8番手、シーリーは15番手で1周目のコントロールラインを通過しました。すぐに追い上げを開始したカナードとシーリーでしたが、雨の影響が残る、荒れた路面に苦戦を強いられました。ドロドロのコース上、果敢な走りで追撃を開始したカナードは、3周目に順位を落とし11番手に後退します。ここから懸命の追い上げで、中盤5番手まで順位をばん回したカナードでしたが、後半にフープスで転倒を喫し、8位でレースを終えました。
一方、カナードのさらに後方から確実に順位を上げてきたシーリーは、最終ラップで1台をパスし、15番手で1周目のコントロールラインを通過すると、滑りやすいコンディションと格闘しながら9位まで順位を上げ、チェッカーを受けました。
この結果、ケガのため3戦欠場を強いられるも、シーズン4回の表彰台登壇を果たしたシーリーはランキング6位。カナードはランキング9位でシーズンを終えました。
なお、250SXでは、オープニングラップを3番手でクリアしたGEICO Hondaのマルコム・スチュワートが、レース中盤で2番手に浮上するも、最後は表彰台圏内をしっかりと守って3位でフィニッシュ。今シーズン6度目の表彰台登壇を果たすと共に、東地区のチャンピオンに輝きました。
Team Honda HRCとアメリカン・ホンダモーターのスタッフ全員が、スチュワートとGEICO Hondaのチーム関係者を祝福しました。
Team Honda HRCのダン・ベトリー監督は、250SXのメインイベント終了時にアクシデントに巻き込まれて、アスタリスク医療スタッフによって治療を受けることになってしまいました。ベトリーがスチュワートを祝福するためにマネージャータワーを下りたところに、クラッシュしたライダーのマシンが衝突してしまったのです。非常に危険な状況ではありましたが、結果的にベトリーは、腕を数針縫ったのと、頭にコブができたこと、それに何カ所かにあざができた程度で済みました。
AMAスーパークロスのシーズンが終了し、AMAプロ・モトクロス選手権が5月21日にサクラメントで開幕するまで、Team Honda HRCは待ちわびた週末の休暇を満喫する予定です。
NOTES
Team Honda HRCは、ライド・フォー・キッズと小児脳腫瘍財団を通じて、あるご家族をご招待しました。これはシーズン7回目のことです。お嬢さんのアイルリンさん は、2015年の末に脳腫瘍と診断されたにもかかわらず、今もライドイベントに参加し続けています。ご家族は観戦チケットを受け取ってパドックツアーにも 参加。カナードと面会したあとチームと夕食を共にしました。
また、今シーズン、特定の大会で実施してきたのですが、ラスベガスのピットも、作業トラックとホスピタリティトラックを展開しただけではなく、 Hondaの横断幕を掲げた大々的な普及活動がファンのために展開されました。トラックのテントの下にはCRFシリーズが並べられて、お客さんは見たり跨 がったりすることができます。さらに、そこには往年のレースマシンも展示されました。
THE FOCUS: Countdown to Hangtown
Team Honda HRCにとって、2016AMAスーパークロスシリーズは必ずしも満足のいく結果とはなりませんでしたが、トレイ・カナードとコール・シーリー、それにスタッフ全員が、新たなシーズンを迎えることを熱望しています。
カナードは、「アウトドアのレースにワクワクしています。大荒れのスーパークロスシーズンが終わって、新たな気持ちで仕切り直します。どんなシリー ズになるか、開幕戦のハングタウンが楽しみです。イースター休暇前に独自にアウトドアに向けてのテストを行って以来、準備のために乗り込みをしてきまし た。今ある環境に満足していますし、バイクの調子もすごくいいです。残り2週間、しっかりと調整して、開幕戦は万全の態勢で迎えられるはずです」と語れ ば、カナードのメカニックであるブレント・プレスネスがこう続けました。「アウトドアへの準備は本当にいい感じで進んでいます。タイトル争いからはずれて しまって、スーパークロスの最後の数戦は確かにきつかったですが、だからこそアウトドアに目標を定めています」
トレイ・カナード(8位)
「ラスベガスでこんな雨が降るなんて、本当に驚きました。コース整備を担当しているダート・ワークスのスタッフは、本当にすばらしい仕事をしてくれて、なんとか走れるようになりました。それでもトラックはかなり危険な状態だったので、無事に走り終えることができてよかったです。残念な結果ではありますが、スーパークロスが終わってうれしいですし、引き続きタフなシーズンは続くので、しっかりと切り換えて前向きに取り組んでいきます」
コール・シーリー(9位)
「こんなシーズンの終わり方を望んでいたわけではないので、今夜の結果には全く満足していません。コースコンディションは恐ろしいくらいで、最後までサバイバルレースでした。1回転倒して、ずっとコースと戦っている感じで、気持ちのいい走りはできませんでした。さらに、スタートラインに着いたときにダンのアクシデントが見えて、集中することができませんでした。危険な状況に見えたので、何より彼が無事でよかったです。今は、はっきりとアウトドアに目標を切り換えています」
中本修平 | HRC取締役副社長
「結果は我々が今夜期待したものではありませんでしたが、両ライダーともに非常に難しいコンディションのなか精一杯がんばってくれましたし、無事にフィニッシュすることができました。スーパークロスはこれで終了。次はアウトドアに向けて努力する番です。HRCはチャンピオン獲得のために戦い続けます」
ダン・ベトリー | Team Honda HRC監督
「ドラマがあり、自分に起きたアクシデントも含めて、奇妙な一日でしたね。結果については、満足していません。ただ、結果は結果です。ライダーやスタッフ全員が取り組んできたことに対して、愚痴を言うつもりもありません。もっといい結果を残せたはずだと全員が感じているはずです。いったん休みをとって、そのことを証明するために一丸となってアウトドアシーズンに臨みます」
ブレント・プレスネル | トレイ・カナード担当メカニック
「アップダウンの多いシーズンを象徴するような一日でしたね。ラスベガスでマディのレースなんて初めてのことですし、本当に奇妙な一日でした。砂漠にいるのにレースはドロドロ。こんなシリーズの終わり方になるなんて信じられません。実際に大変でした。コースは本当にドロドロ、ツルツルで、回復もしませんでした。コース状況もどんどん変化して、ライダーは大変だったと思います。ヒートレースのあとセミファイナルからメインまで、洗車を含めて作業時間がほとんど取れず、大変なのはメカニックにとっても同様でした」
リッチ・シモンズ | コール・シーリー担当メカニック
「メカニックエリアからは、レースの状況を見ることがほとんどできなくて、なにが起こっているのか分かりませんでした。コールは1度転倒していると思います。そこから9位までばん回しました。決して満足はできませんが、ケガなく終われたのがなによりです。全体的に荒れたシーズンでしたね。コールは何度か表彰台に上がるいいスタートをして、歩みはよかったのですが、ケガで戦列を離れてしまい、3戦欠場することになったのが計算外でした。最後の3戦になんとか復帰できて、表彰台にも立てましたし、シリーズランキングを6位で終われたのはよかったと思います」
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
---|---|---|---|---|
1 | 1 | R.ダンジー | KTM | 21'00.243 |
2 | 21 | J.アンダーソン | ハスクバーナ | +11.927 |
3 | 3 | E.トーマック | カワサキ | +35.924 |
4 | 22 | C.リード | ヤマハ | +54.031 |
5 | 4 | B.バゲット | スズキ | +58.530 |
6 | 20 | B.ティックル | スズキ | +1'11.383 |
7 | 10 | J.ブレイトン | KTM | +1Lap |
8 | 41 | トレイ・カナード | ![]() | +1Lap |
9 | 14 | コール・シーリー | ![]() | +1Lap |
10 | 51 | J.バーシア | ヤマハ | +1Lap |
13 | 55 | ビンス・フリージー | ![]() | +2Laps |
14 | 19 | ジャスティン・ボーグル | ![]() | +2Laps |
15 | 800 | マイク・アレッシ | ![]() | +2Laps |
17 | 792 | ブラッケン・ホール | ![]() |
+3Laps |
順位 | No. | ライダー | マシン | 総合ポイント | |
---|---|---|---|---|---|
- | 1 | 1 | R.ダンジー | KTM | 391 |
- | 2 | 94 | K.ロクスン | スズキ | 331 |
- | 3 | 21 | J.アンダーソン | ハスクバーナ | 315 |
- | 4 | 3 | E.トーマック | カワサキ | 290 |
- | 5 | 22 | C.リード | ヤマハ | 250 |
▲ | 6 | 14 | コール・シーリー | Honda | 219 |
▼ | 7 | 25 | M.ムスキャン | KTM | 214 |
- | 8 | 10 | J.ブレイトン | KTM | 200 |
- | 9 | 41 | トレイ・カナード | Honda | 196 |
▲ | 10 | 12 | J.ワイマー | スズキ | 128 |
- | 11 | 19 | ジャスティン・ボーグル | Honda | 127 |
- | 12 | 800 | マイク・アレッシ | Honda | 126 |
- | 16 | 55 | ビンス・フリージー | Honda | 92 |
- | 28 | 761 | ケイド・クレイソン | Honda | 15 |
- | 34 | 314 | アレックス・レイ | Honda | 5 |
- | 35 | 801 | ジェフ・アレッシ | Honda | 5 |
▲ | 36 | 792 | ブラッケン・ホール | Honda | 4 |
▼ | 41 | 11 | カイル・チゾム | Honda | 2 |
▼ | 42 | 291 | カイル・ホワイト | Honda | 1 |
▼ | 44 | 722 | アダム・エンティクナップ | Honda | 1 |