MONSTER ENERGY AMA SUPERCROSSの第11戦は、3月19日(土)にミシガン州デトロイトのフォード・フィールドで開催されました。
Team Honda HRCにとっては、トレイ・カナードとコール・シーリーが立て続けに不運に巻き込まれるという非常に残念なレースになりましたが、チームは気持ちを切り替えて次のレースに臨みます。
土曜日のレースに先立ち、Team Honda HRCのトレイ・カナードとコール・シーリーは、GEICO Hondaのジャスティン・ボーグル、RJ・ハンプシャー、マルコム・スチュワートとともに、ミシガン州サウスゲートのGenthe Honda Powersportsでサイン会を行うなどファンとの交流を図りました。また、Team Honda HRCは、今年4回目の現地視察に訪れた株式会社ホンダ・レーシングの井本敬介総監督を迎えました。
日中行われたタイムアタック予選。Team Honda HRCのトレイ・カナードは、1回目のセッションで46秒786を記録し全体4番手のタイムをマーク。2回目のセッションで47秒409をマークしたコール・シーリーは、全体9番手となりました。
予選ヒートレース。1組目に出走したカナードは、スタートと同時に飛び出して2番手で1コーナーに進入。すぐに前のライダーをパスしたカナードは、そのままリードを広げてトップフィニッシュを果たし、ファイナル進出を決めました。またヒートレース2組目に出場したシーリーは、オープニングラップ5番手から序盤に2つポジションを上げて3番手でフィニッシュ。シーリーもダイレクトでファイナル進出を果たしました。
しかし、決勝ではスタートに失敗。カナードはオープニングラップ14番手からの追い上げを強いられました。懸命に追い上げたカナードは、中盤で7番手争いを繰り広げましたが、先行するライダーの厳しいブロックと後続の追撃を受けコースアウト。12番手でレースに復帰したカナードは、最終ラップまで必死にポジションをばん回し、8位でチェッカーフラッグを受けました。
FOCUS :「アウトドアシリーズに向けた準備」
レース当日、Team Honda HRCは、小児性脳腫瘍と戦いながら度々デトロイト地区のライド・フォー・キッズに参加してくれたアンドリュー君とその家族をパドックに招待しました。ご家族はデトロイト・スーパークロスの観戦チケットを受け取り、メカニックの作業や休憩用のトレーラーを見学したり、コースウォークなど貴重な体験をしました。またご家族はカナードとの面会も果たしました。
「アンドリューは、ほとんどの場合余命が1年未満といわれ、2年目の生存率があまりないとても特殊なガンに犯されています。でも、彼は今10歳です。研究は日々進んでいて、それはライド・フォー・キッズや小児脳腫瘍財団の活動が大きく貢献してくれています。トレイのような人物やHondaのような企業が周知活動を行っているのはすばらしいことです。今回スーパークロスの観戦やHondaのレース活動に接する機会をいただけたことに本当に感謝しています」そう母のミシェルさんが話してくれました。
また、この日はGEICO Hondaにとって記念すべき夜になりました。250SXイーストシリーズに参戦するマルコム・スチュワートがすばらしい走りで今シーズン初優勝を達成。シリーズランキングでもトップに浮上したのです。彼は4月9日に行われる次戦インディアナポリス大会に、ランキングトップの証である赤のナンバープレートを付けて出場します。
デトロイト大会の終了で、AMAスーパークロスシリーズは連続11週のレースを消化しました。ライダーとチームは、ここでようやくイースターの週末休暇を取ることができます。みんなが待ち望んだ休息です。
「家族と過ごせるこの週末休暇を本当に楽しみにしていました。私たちは土曜日にイースターエッグハントやTボールゲームをします。私はコーチで、練習以外で実際に試合に行くのは今回が初めてなので、今からとても楽しみです。それからディズニーランドにも行く予定です。年間29週も留守にしなければならないので、なかなかできない家族サービスをするつもりです」と、カナード担当メカのブレント・プレスネルは話してくれました。
Hondaライダーたちは、4月2日にカリフォルニア州サンタクララのリーバイス・スタジアムで行われる第12戦で再び集結します。
ようやく訪れた週末休暇ですが、その前にTeam Honda HRCには済まさなければならない、いくつかの課題があります。今回のイベントのあと、トレイ・カナードとコール・シーリー、ジャスティン・ボーグルの3人は、オクラホマ州エドモントにあるカナードのプライベートコースに行って、月曜と火曜の2日間をAMAプロモトクロスシリーズの準備に充てることになります。
チームマネージャーのダン・ベトリーは言います。
「これが自分たちにとって、アウトドアに向けたシーズン最初のテストになります。毎年この時期の恒例ですね。トレイは異なる2つのコースを所有しており、そこでテストを行います。主な目的はシャシーとサスペンションの調整です。ライダーたちが気持ちよく走れるように、いい下地を作っておきたいですね。基本的に昨年の仕様をベースにして組み上げることになると思います。この週末が終わればまたスーパークロスが再開しますが、今のうちにアウトドアシーズンに向けてのテストを始めておくんです」
昨年、450アウトドアのルーキーシーズンではケガに悩まされたシーリーも、2016シーズンに向けての取り組みを楽しみにしています。
「昨年は数えるくらいしか走れませんでした。今回のテストでは、KYBのスタッフと作業できるのが特に楽しみです。去年はサスペンションが変わったときにケガをしていたので、十分な時間が取れずテストもできませんでした。だから数日かけて、アウトドアのセッティングを詰められるのが本当に楽しみなんです。だって、アウトドア用の信頼できるいいセットアップをまだ経験できていませんし、狙った方向性に近づける十分なテストもしていないんです。今回一気に取り戻せればと思っています」
トレイ・カナード(8位)
「今夜の結末には失望を通り越して怒りさえ感じています。マシンの調子もよくて、終日いい感じで進んでいたんです。マシンには、決勝の20周を安定して走れるように、若干の調整を施しました。その結果、狙っていたトラクションを実感することができました。ヒートレースではいいスタートが切れたのに、ファイナルではまたしてしもそのスタートを再現することができませんでした。それでも自分の走りはできていたし、7位を狙って(ブレイク)バゲットをパスしようとしたら、彼が激しいブロックで右に押し出したんです。それでコースアウトしてしまいました。自分の方が明らかに速いと感じていたし、彼がインのラインを取ったので、完全に捉えたと思いました。それなのに右に寄せてきたんです。サンタクララに向けて気持ちをリセットするためにも、この週末のオフを楽しみたいと思っています」
コール・シーリー(11位)
「決勝ではスタートが上手く決まって、フープスでほんの少しバランスを崩し、それでコーナーの進入でリアブレーキの操作をミスするまでは4番手を走行していました。それから厳しいブロックをかいくぐらなければならなくて、結果盛り土の部分を乗り越えてしまい、そこから戻らなければならなかったので、大きく遅れてしまいました。それでも11位まで順位を上げることができました。結果には本当にがっかりですが、マシンにはさらに前向きの修正を加えていたために調子はよかったですし、サンタクララで巻き返すための最高の準備はすでに整っています」
井本敬介|Team Honda HRC総監督
「今夜は残念な結果になりましたね。3名のライダーともヒートレースでの走りはよかったし、メインも悪くなかったと思います。しかし結果が伴いませんでした。この週末のオフを費やして、我々はさらなる改善に取り組みます。シリーズの残りで、よりよい結果へと導くために、弱点を克服する必要があります。また、シーズン初優勝を飾ったマルコム・スチュワートについては心より祝福します。本当におめでとう」
ダン・ベトリー|Team Honda HRC監督
「全体的にいい感じで進行できていました。予選タイムもよかったですし、トレイはヒートレースで勝利し、全員がヒートレースからメインに直接進出できました。これは、すばらしいことです。しかしメインでは、全員それまでの流れを崩してしまいました。コールは4番手でスタートしたものの、フープスの後のコーナーで転倒してしまいました。トレイはここでもまたスタートミスという問題に直面してしまいました。そのために混戦に飲まれてしまった。我々はこの難局を克服しなければなりません。スタートに関しても、さらに安定させる必要があります」
ブレント・プレスネル|トレイ・カナード担当メカニック
「これまでの悪い流れが今回も再現されてしまいました。日中は決して悪くありませんでした。予選もよかったし、ヒートレースでは勝つことができました。ところがメインでのスタート失敗。その後レースリーダーとそん色のないペースでばん回を見せてくれましたし、有力ライダーを次々パスして順位を上げました。ところが、終盤バゲットに押し出されて、一度抜いたライダーたちをまた抜き返さなければならなかったのです」
リッチ・シモンズ | コール・シーリー担当メカニック
「昼も夜もいいところがなかったですね。コールは練習走行でクラッシュし、たくさんのパーツを交換しなければなりませんでした。激しいクラッシュだったにもかかわらず、彼が無事だったのがなにより幸いでした。すぐにレースに戻ることができましたからね。ヒートレースはよかったと思います。サスペンションのセッティングを変更したことも、彼は気に入ってくれました。気持ちの上でも決勝に向けてポジティブでした。ところが転倒でいきなり最後尾。スタートがよかっただけに残念ですが、あの位置からよく追い上げたと思います。もちろん、それを望んでいましたし、できることかつ、やらなければならないことでした」
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
---|---|---|---|---|
1 | 1 | R.ダンジー | KTM | 15'47.364 |
2 | 21 | J.アンダーソン | ハスクバーナ | +06.076 |
3 | 25 | M.ムスキャン | KTM | +07.763 |
4 | 22 | C.リード | ヤマハ | +16.809 |
5 | 3 | E.トーマック | カワサキ | +19.849 |
6 | 94 | K.ロクスン | スズキ | +30.354 |
7 | 28 | W.パイク | ヤマハ | +31.340 |
8 | 41 | トレイ・カナード | ![]() | +32.866 |
9 | 800 | マイク・アレッシ | ![]() | +35.502 |
10 | 19 | ジャスティン・ボーグル | ![]() | +37.762 |
11 | 14 | コール・シーリー | ![]() | +43.789 |
13 | 55 | ビンス・フリージー | ![]() | +1Lap |
20 | 291 | カイル・ホワイト | ![]() | +3Laps |
21 | 801 | ジェフ・アレッシ | ![]() | +3Laps |
順位 | No. | ライダー | マシン | 総合ポイント | |
---|---|---|---|---|---|
- | 1 | 1 | R.ダンジー | KTM | 258 |
- | 2 | 94 | K.ロクスン | スズキ | 214 |
- | 3 | 21 | J.アンダーソン | ハスクバーナ | 197 |
- | 4 | 3 | E.トーマック | カワサキ | 186 |
▲ | 5 | 25 | M.ムスキャン | KTM | 176 |
▼ | 6 | 14 | コール・シーリー | Honda | 173 |
- | 7 | 22 | C.リード | ヤマハ | 160 |
- | 8 | 10 | J.ブレイトン | KTM | 128 |
- | 9 | 18 | D.ミルサップス | KTM | 105 |
▲ | 10 | 41 | トレイ・カナード | Honda | 104 |
- | 14 | 800 | マイク・アレッシ | Honda | 73 |
- | 16 | 55 | ビンス・フリージー | Honda | 56 |
- | 17 | 19 | ジャスティン・ボーグル | Honda | 53 |
- | 32 | 761 | ケイド・クレイソン | Honda | 6 |
▲ | 35 | 801 | ジェフ・アレッシ | Honda | 3 |
▼ | 36 | 11 | カイル・チゾム | Honda | 2 |
▼ | 38 | 314 | アレックス・レイ | Honda | 2 |
▲ | 39 | 291 | カイル・ホワイト | Honda | 1 |
▼ | 40 | 722 | アダム・エンティクナップ | Honda | 1 |