2月13日(土)にカリフォルニア州サンディエゴのペトコ・パークスタジアムで開催されたMONSTER ENERGY AMA SUPERCROSSの第6戦は、Team Honda HRCのコール・シーリーとトレイ・カナード、そしてCRF450Rの存在を、強く印象付ける大会となりました。
この大会では、ケガのために戦列を数週間離れていたカナードと、GEICO Hondaのジャスティン・ボーグルが復帰。それはチームにとって、なによりの喜びでした。 Team Honda HRC監督のダン・ベトリーは「今回、全員がそろったのはすばらしいことです。トレイとジャスティンにとってはタフなシーズンスタートとなりましたが、2人とも速さを持ったライダーであり、残りのレースでどうばん回してくれるか楽しみです」とコメントしました。
またレース当日には、シーリーのメカニックを務めるリッチ・シモンズとボーグルのメカニックであるグラント・ハッチソンが、オートバイの構造を学ぶ地元の工科大学の学生グループをファクトリーに招き、作業を見学する機会を設けました。この夜、シモンズの業績に対して、MMI最優秀メカニック賞が授与されました。
今大会も、日中に行われたタイムアタック予選から、し烈な展開になりました。シーリーは2度目のタイムアタックで59秒237をマークし、手堅く6番手に。一方のカナードは、最初のセッションで59秒454をマークして10番手でした。
450SXクラスのヒートレース1組目にシーリー、カナード、ボーグルの3人がそろって出走するのは、今シーズン3度目のことです。ゲートが倒れると、まずはボーグルが2番手でスタート。シーリーがこれに続きました。6周のヒートレースで、最終的にシーリーが2番手に浮上し、ファイナルへの進出を直接決めました。ボーグルは5番手、カナードは6番手でフィニッシュし、両者はそれぞれセミファイナルに回り、そこからファイナル進出を果たしました。
第2戦以来の今季2度目、そしてシーズン最後となった同会場でのレース。シーリーとカナードは、そろって抜群のスタートを切ると、20周で行われるファイナルレースの半分以上を2番手と3番手で走行しました。特にシーリーは、2位でチェッカーを受けるまで、力強い走りでトップ争いを繰り広げました。彼にとって、今回の2位表彰台の獲得は、開幕戦からの2戦連続3位を上回る、2016シーズンのベストリザルトです。一方、ケガからの復帰戦となったカナードも最後まで健闘し、終盤にポジションを落としたものの、5位入賞を果たしました。
決勝レースで2位となったことで、総合ポイントを105したシーリーは、ポイントランキングで2つ順位を上げて、4位となっています。
テキサス州アーリントンでの第7戦に向けて、Team Honda HRCは、引き続き忙しい日々を過ごすことになります。2月18日(木)にはプレスデイがあり、地元メディアの記者会見に加えて、シーリーとカナードは、腫瘍学センターの患者に会いに、ダラスの小児病院を訪問することになります。
FOCUS :「Showing Appreciation」
今シーズンの第6戦は、3度目を迎えたサンディエゴの軍事感謝記念レースとなり、業界全体が、合衆国軍関係者の功績と犠牲に敬意を表しました。Team Honda HRCは、外装をすべてホワイトにし、迷彩柄のデザインを施したCRF450Rを用意。それぞれのマシンは、フロントフェンダーに各部隊のエンブレムを配したほか、ライダーの名前に続けて彼らの優勝回数をマークするなど、特別なカラーリングで注目を集めました。
カナードは「ささいなことかもしれませんが、すばらしいことだと思います。みんなでいつもと違うステッカーをマシンに貼り、いつもと違うユニフォームを着ました。実際に米軍関係者が、私たちのために続けてきたことと比べれば、あまりに短時間ですが。自分たちにはこれくらいしかできませんが、日々活動を続けている皆さんに、感謝の気持ちが伝わればと思いました」とコメント。また「各チームがそれぞれ特別な仕様にしていましたが、我々のチームが最高でしたね。お客様も感激してくれたと思います。特別なこだわりが散りばめられていて、本当にクールでした」と、特別な仕様を楽しんでいました。
なお軍感謝記念レースの前日、カナードとシーリーはレース仲間たちと一緒に、サンディエゴ港に停泊した、退役航空母艦USSミッドウェイに乗船する機会に恵まれました。空母のデッキ上で、彼らは1時間半近くにわたり、艦載機を見学したり、海軍の退役軍人たちと話したりして過ごしました。カナードは「ミッドウェイはすばらしかったです。ただ全部を観ることはできなかったです。500回ほど出撃(フライト)したというパイロットが、着艦する際にどうやってケーブルをキャッチするかを説明してくれました。彼もすごく楽しそうでしたし、それが本当に格好よかったので、ついつい彼の経験談に聞き入ってしまいました」とコメント。また大会については「Team Honda HRCが、シーズン2度目のサンディエゴ大会に、井本敬介代表をはじめ、大勢のエンジニアを日本から迎えることができたのは、たいへん喜ばしいことです。井本代表は今シーズン2度目の視察でした」と語りました。
コール・シーリー(2位)
「今夜のすべての出来事に喜びを感じています。今シーズン、ここまでで最高の成績を残せました。トップに並びかけることはできたのですが、ライアン・ダンジー(KTM)はミスが少なかったです。なにかあれば結果は違ったと思いますが、彼に大きなアクシデントは起きませんでした。毎週末、どこのレースでもこうした走りをしなければと思っていました。それだけに、表彰台に返り咲けたことがうれしいです。チームには感謝の言葉以外ありません。彼らはレースとレースの間に、とてもがんばってくれました。データを調べて必要な調整をし、さらに完ぺきな状態に仕上げてくれました。差を詰めることができたし、今夜は文句なく、マシンが決まっていました。本当にうれしいです」
トレイ・カナード(5位)
「正直、うれしいようなうれしくないような。自分は可能な限り勢いを取り戻す必要があったのですが、少なくとも主役にはなれませんでした。失敗を重ねた状態からの復活が容易でないのは分かっていました。ただ、最高とは言えませんが、悪くはなかったです。レーサーにとって、勝つまでは本当の満足などありません。レースは、中盤までコールについていくことができ、いい感じでした。途中で前に出ようとしたのですが、ミスしてしまい、ケン・ロクスン(スズキ)とジェイソン・アンダーソン(ハスクバーナ)に抜かれてしまいました。終盤の何周かはイーライ・トマック(カワサキ)がプレッシャーをかけてきましたが、最後まで自分のレースに集中した結果、彼を振りきれました」
井本敬介 | Team Honda HRC代表
「いい夜でした。コースはとても滑りやすく難しかったです。それにもかかわらず、コールもトレイもうまく乗れていましたし、最後までがんばっていました。シーズンの残りのレースに期待が高まりました。特にトレイは、ケガで2戦を欠場したあとにもかかわらず、うまく乗れていましたし、コントロールできていたと思います。彼らの成績が、ここからさらによくなることを期待しています」
ダン・ベトリー | Team Honda HRC監督
「トレイが復帰し、手にすべき表彰台を取り戻せました。今夜は全体的に満足しています。マシンに関して、本当によかったと思います。2人のマシンに対して、いくつかを改善したのですが、その成果もありました。決勝ではしばらく2番手と3番手を走行しており、それをキープできたはずでしたが、最後に逃してしまいました。でも、本当にハッピーです。2人ともいいスタートを決めて、最後まで走りきってくれたからです」
リッチ・シモンズ | コール・シーリー担当メカニック
「全体がいい方向に向かったと思います。コールはすごく積極的で、いいスタートを決めました。ヒートでの走りもよかったですし、決勝レースでは今年一番の、本当に力強い走りをみせてくれました。一方で、勝つためにはまだまだ改善し続けなければなりません。第5戦を前にいくつか変更を加えて、今回さらにファインチューニングを施しました。通常、コールはマシンに対して不満を言わないですし、うまく乗りこなしていました。でも今回我々は、いくつかの変更に関して、いつもより積極的に提案しました。エンジンのマッピングを彼の要求に従って少しアグレッシブに変更したことも、功を奏したと思います」
ブレント・プレスネル | トレイ・カナード担当メカニック
「かなりいい夜になりました。5位で満足できない気持ちもありますが、トレイにとっては第2戦のサンディエゴ以来となる決勝の20周でしたからね。彼には"よかったな"と伝えました。いいペースで走り続け、前半はトップに迫る走りをみせました。しかし、後半少しペースが落ちて、何度かミスをし、バトルになって最後まで戦い抜きました。それは本当によかったですし、多くの可能性を見せてくれたと思います」
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
---|---|---|---|---|
1 | 1 | R.ダンジー | KTM | 19'37.252 |
2 | 14 | コール・シーリー | ![]() | +02.368 |
3 | 94 | K.ロクスン | スズキ | +04.531 |
4 | 21 | J.アンダーソン | ハスクバーナ | +08.833 |
5 | 41 | トレイ・カナード | ![]() | +09.911 |
6 | 3 | E.トーマック | カワサキ | +11.475 |
7 | 25 | M.ムスキャン | KTM | +22.791 |
8 | 22 | C.リード | ヤマハ | +25.295 |
9 | 28 | W.パイク | ヤマハ | +32.359 |
10 | 10 | J.ブレイトン | KTM | +35.926 |
15 | 19 | ジャスティン・ボーグル | ![]() | +1'00.192 |
16 | 55 | ビンス・フリージー | ![]() | +1Lap |
19 | 800 | マイク・アレッシ | ![]() | +1Lap |
順位 | No. | ライダー | マシン | 総合ポイント | |
---|---|---|---|---|---|
- | 1 | 1 | R.ダンジー | KTM | 144 |
- | 2 | 94 | K.ロクスン | スズキ | 118 |
- | 3 | 21 | J.アンダーソン | ハスクバーナ | 111 |
▲ | 4 | 14 | コール・シーリー | Honda | 105 |
▼ | 5 | 22 | C.リード | ヤマハ | 103 |
▼ | 6 | 3 | E.トーマック | カワサキ | 103 |
- | 7 | 25 | M.ムスキャン | KTM | 77 |
▲ | 8 | 10 | J.ブレイトン | KTM | 72 |
▼ | 9 | 18 | D.ミルサップス | KTM | 71 |
- | 10 | 12 | J.ワイマー | スズキ | 62 |
▲ | 12 | 41 | トレイ・カナード | Honda | 45 |
▼ | 15 | 800 | マイク・アレッシ | Honda | 35 |
▲ | 16 | 55 | ビンス・フリージー | Honda | 22 |
▲ | 21 | 19 | ジャスティン・ボーグル | Honda | 15 |
▼ | 27 | 11 | カイル・チゾム | Honda | 2 |
▼ | 29 | 761 | ケイド・クレイソン | Honda | 2 |
▼ | 32 | 722 | アダム・エンティクナップ | Honda | 1 |
▼ | 33 | 314 | アレックス・レイ | Honda | 1 |