MONSTER ENERGY AMA SUPERCROSSの第5戦グレンデールは、2月6日(土)にアメリカ、アリゾナ州グレンデールのユニバーシティ・オブ・フェニックス・スタジアムで行われました。
スーパークロス初開催となったユニバーシティ・オブ・フェニックス・スタジアムは、NFL(ナショナル・フットボール・リーグ)のアリゾナ・カーディナルスが本拠地を置く、アメリカンフットボールの開閉式ドームスタジアムです。普段、レースが行われる野球場とは異なる横長のスタジアムで、敷地面積がやや狭いため、今回はインフィールドとバックヤードをつないだ特別なコースレイアウトが採用されました。
このスタジアムで行われた第5戦。Team Honda HRCのコール・シーリーは、メインレースで8位というリザルトを残しましたが、チームにとって今回のレースは厳しいものであったと言わざるを得ませんでした。チームメートのトレイ・カナードは、右手をケガしたアナハイム2から2週間しか経過しておらず、木曜日のプレスデイで試走した結果、まだ100%の状態ではないと判断したため、この大会は欠場することを決めました。
シーリーとカナードは、ユニバーシティ・オブ・フェニックス・スタジアムへの移動後も、多忙な日々が続きました。シーリーは木曜日にNBCのチャンネル11ニュースのインタビューを、カナードは金曜日にFOXチャンネル10の取材を受けました。
そんな中で迎えたレース当日、グレンデールのトラックは一周1分を上回り、ここまでで最もラップタイムの長いコースとなりました。フットボールスタジアムならではのユニークなレイアウトにより、1コーナーまで長いストレートが確保されたこのコースに対して、チームマネージャーのダン・ベトリーは「私が知る限り、スタート後の直線が最も長いコースの一つだと思います。スーパークロスの通常のスタートでは、よほどのことがない限り4速を使用することはありません。いつもなら2速ギアでスタートし、3速にシフトアップするのですが、今回は直線が長かったために、シーリーは実際に4速まで入れています。これは非常に稀なケースです」とコメントしています。
レースは上位ライダーたちの激しい競り合いにより、タイムアタック予選からし烈な状況となり、日中に行われたセッションで、シーリーは全体の6番手となる1分02秒522のタイムをマークしました。450SXクラスのヒート予選1組目では、スタートに失敗しオープニングラップで8番手と出遅れましたが、その後、見事な追い上げで4番手まで順位を上げ、メインレース進出を果たしました。
迎えた決勝レース、まずまずのスタートを決めたシーリーは、オープニングラップを5番手でクリア。2周目にマイク・アレッシ(Smartop MotoConcepts)をパスし、5周目にはデビット・ミルサップス(KTM)をパスして3番手にポジションを上げました。しかしその直後、シーリーは痛恨のミスで大きくポジションダウン。その周回を9番手で戻ってくると、後半に8番手となりましたが、それ以上はかなわず、8位でレースを終えました。この結果、シーリーの暫定ランキングは6位となっています。
250SXクラスでは、GEICO Hondaのクリスチャン・クレイグが独走のレースで初優勝。ライバルに約3秒の差をつけてチェッカーフラッグを受けました。2013年以来、フルシーズンを戦ったことがなかっただけに、正に堂々たる偉業を達成したと言えます。
また、大会当日にTeam Honda HRCは脳腫瘍と戦いながら、フェニックス地区のライド・フォー・キッズ・イベントに参加しているオースティン一家の子息を招待しました。家族には入場チケットがプレゼントされたほか、パドックの見学ツアーにも参加していただき、チームとの夕食前にカナードやシーリーにも会うことができました。
Team Honda HRCは2月13日(土)に再びサンディエゴに戻り、ペトコ・パークスタジアムで今季2度目でありシーズン最後となる、毎年恒例の軍感謝記念レースに臨みます。
FOCUS :「Phoenix Children's Hospital」
レース前日の金曜日にTeam Honda HRCは、Hondaが支援する小児脳腫瘍財団とライド・フォー・キッズの協力の下、フェニックス小児病院(Phoenix Children's Hospital)を訪問する特別な機会を持つことができました。病院を訪れたカナードとシーリー、そしてチームマネージャーのベトリーは、腫瘍科のプレイルームで幼い患者たちと一緒の時間を過ごし、サイン入りのポスターと、Tシャツ、ニット帽、ステッカーキットが入ったHondaのギフトバッグを子供たちに手渡しました。カナードは「小児病院への訪問は本当にすばらしい経験でした。レースを知らない子供たちですが、我々との面会をとても喜んでくれました。微力ですが、病と戦う子供たちや家族の存在を知ることは、非常に大事なことだと思います」と話しました。べトリーも「病院を訪問する機会を得たこと、子供たちに会えたことは本当にすばらしい経験でした。互いにいい時間を過ごせたと思いますが、特に自分は子供たち以上に貴重な経験をさせてもらったと感じました。こんなにも大変な病と戦う子供たちがいる。別れるときには涙の出る想いでしたが、トレイとコールが彼らにほんの少しでも希望を与えることができたとしたら、十分に価値はあったと思います」とライダーとともに病院を訪れた感想を述べました。コール・シーリー(8位)
「今夜の内容には本当にがっかりしています。全体的にはいい感じで乗れていたと思います。実際にメインレースでは3番手まで順位を上げることができました。ところが、なにかが起きてエンジンがストールしてしまいました。再スタートしたときには9番手か10番手まで落ちていて、レース終盤までにいくらか挽回はできましたが、そこまででした。予期せぬアクシデントが起きましたが、我々はその瞬間になにが起きたのかを把握し、次の週末に向けて確実に改善できるようトライします」
ダン・ベトリー | Team Honda HRC監督
「今夜の結末に私がどれほど失望したかは、すでにお分かりかと思います。ただ週末の流れは決して悪くありませんでした。我々が取り組んできた改善策も、確実に前進できたと期待させてくれました。一方で、今回のトラックは非常に固い路面で、とても滑りやすく、本来あるべきスーパークロスのコンディションとは全く違ったものでした。コールは上手く走れていたと思います。ところがメインレースで4番手を走行中に、コーナーでエンジンがストールしてしまい、長い時間をロスしてしまいました。再スタート後にリカバーするのは大変だったと思います。彼はリズムを取り戻すことができず、集団を抜け出すことができませんでした。苦しい夜になってしまいましたが、まだまだレースは続きます」
リッチ・シモンズ | コール・シーリー担当メカニック
「アップダウンの多い夜でした。ヒート予選のコールはゲートダウンにタイミングを合わせることができず、スタートをミスしました。見ていた私もゲートが倒れるのがいつもより早いように感じました。でも、それはみんな同じ条件ですから言い訳にはなりません。それでもコールは決勝進出のポジションまで挽回してみせました。メインレースではいいスタートを決めることができて、ライディングもよかったです。行けると感じていましたが、コーナーでなにかが起きてマシンがストップしてしまいました。再スタート後は混戦のペースに飲まれてしまい、思うように順位を上げることができませんでした」
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
---|---|---|---|---|
1 | 94 | K.ロクスン | スズキ | 21'06.141 |
2 | 1 | R.ダンジー | KTM | +04.540 |
3 | 3 | E.トーマック | カワサキ | +13.076 |
4 | 21 | J.アンダーソン | ハスクバーナ | +19.952 |
5 | 18 | D.ミルサップス | KTM | +21.944 |
6 | 22 | C.リード | ヤマハ | +25.514 |
7 | 10 | J.ブレイトン | KTM | +27.662 |
8 | 14 | コール・シーリー | ![]() | +35.673 |
9 | 25 | M.ムスキャン | KTM | +39.237 |
10 | 54 | W.ハーン | カワサキ | +52.501 |
12 | 800 | マイク・アレッシ | ![]() | +1'00.162 |
18 | 55 | ビンス・フリージー | ![]() | +1Lap |
20 | 761 | ケイド・クレイソン | ![]() | +3Laps |
21 | 314 | アレックス・レイ | ![]() | +4Laps |
順位 | No. | ライダー | マシン | 総合ポイント | |
---|---|---|---|---|---|
- | 1 | 1 | R.ダンジー | KTM | 119 |
▲ | 2 | 94 | K.ロクスン | スズキ | 98 |
▼ | 3 | 21 | J.アンダーソン | ハスクバーナ | 93 |
▼ | 4 | 22 | C.リード | ヤマハ | 90 |
▲ | 5 | 3 | E.トーマック | カワサキ | 88 |
▼ | 6 | 14 | コール・シーリー | ![]() | 83 |
- | 7 | 25 | M.ムスキャン | KTM | 63 |
▲ | 8 | 18 | D.ミルサップス | KTM | 61 |
▼ | 9 | 10 | J.ブレイトン | KTM | 61 |
▼ | 10 | 12 | J.ワイマー | スズキ | 53 |
▲ | 13 | 800 | マイク・アレッシ | Honda | 33 |
▼ | 14 | 41 | トレイ・カナード | Honda | 29 |
▲ | 18 | 55 | ビンス・フリージー | Honda | 17 |
▼ | 23 | 19 | ジャスティン・ボーグル | Honda | 9 |
▲ | 26 | 11 | カイル・チゾム | Honda | 2 |
▲ | 28 | 761 | ケイド・クレイソン | Honda | 2 |
- | 31 | 722 | アダム・エンティクナップ | Honda | 1 |
- | 32 | 314 | アレックス・レイ | Honda | 1 |
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