MONSTER ENERGY AMA SUPERCROSSの第3戦アナハイム2は、1月23日(土)に米国、カリフォルニア州ロサンジェルスのエンゼル・スタジアム・オブ・アナハイムで行われました。
レース前日の金曜には、Team Honda HRCのトレイ・カナードとコール・シーリーが、GEICO Hondaのクリスチャン・クレイグ、ジミー・デコティス、ジョーダン・スミスらとハンティントンビーチ・ホンダでファンと交流し、サイン会を実施しました。
土曜に開催されたタイムアタック予選で、カナードは全体4番手となる56.845秒、シーリーは全体6番手となる57.172秒のタイムを記録し、チームを活気づけました。
450SXクラスのヒート予選1組目に臨んだ両ライダーは、カナードがまずまずのスタートを見せるも最初のリズムセクションで激しく転倒。カナードはアスタリスク医療スタッフの救護を受けてピットへと戻りました。一方、果敢な走りを披露したシーリーは、3番手でメインレースへと駒を進めました。
予選ヒートでのクラッシュで右手に裂傷を負ってしまったカナードでしたが、アスタリスク医療チームの応急処置と、彼のメカニック、ブレント・プレスネルがダメージを受けたカナードのCRF450Rを素早く修復し、さらに手を保護するためのハンドガードを追加装着したことで2次予選の2組目への出場を果たしました。慎重なスタートを切ったカナードは、しっかりとラインを見いだして2位でチェッカーを受け、メインレースに進出。この結果、シーリーは6番グリッド、カナードは12番グリッドを得てファイナルレースのスタートラインにマシンを並べました。
迎えたファイナル。オープニングラップを7番手でクリアしたカナードは、2周目に1つ順位を上げるも、直後のフィニッシュジャンプで転倒。レース復帰を断念したカナードは、ピットへ戻りそのままリタイアとなりました。一方オープニングラップを11番手で戻ってきたシーリーは、このポジションをキープして上位進出のチャンスを伺うと、4周目に1つ順位を上げ、レース中盤に激しいバトルを展開します。周回遅れが続出する後半、最後まで追撃の手を緩めず果敢に攻めきったシーリーは、終盤立て続けにポジションアップ。オープニングラップの11番手から5台をパスすると、激しいバトルの中、最後まで確実にポジションを守りきり、6位でチェッカーを受けました。
なお、幸いにもカナードのケガは深刻なものではなく、1週間後のオークランドには出場できるものと期待されています。
250SXクラス決勝は、GEICO Hondaのクリスチャン・クレイグがレースの大半をリードし、ポイントリーダーのクーパー・ウェブ(ヤマハ)と激しいバトルを繰り広げて3位フィニッシュ。初表彰台を獲得した彼にとって、記念すべき一日となりました。また、チームメートのジミー・デコティスは、スタートでホールショットを決めると、安定したパフォーマンスを見せて4位入賞を果たしました。
FOCUS :「普及活動」
開幕戦のアナハイム1と同様に、Team Honda HRCは会場内に広大なスペースを確保し、テクニカルトラックとホスピタリティトラックをフルに活用して、ファンへのサービスと普及活動を大々的に展開しました。もう1台のトラックの前には、CRFシリーズを、ファンが跨がれるように展示。特に、カナードレプリカのCRF450Rには大勢のファンが集まり、各自思い思いに記念撮影を行っていました。それらの写真はソーシャルメディア上にシェアされることで、Hondaのブランドイメージ拡大に役立ったと思われます。さらに4台目のトラックの前では、カリフォルニア州のコルトンにあるライダー教育センターのスタッフが、6〜12歳の子供たちを対象に、小さなダートコース上でCRF50FとCRF110Fを用いてバイク教室を開催しました。かつてマーティ・スミス、ダニー"マグー"チャンドラー、デビッド・ベイリーら往年の名ライダーが走らせたビンテージマシンCR500の展示は、Hondaの発電機による携帯充電サービス「two phone-charging stations」とともに好評を得ました。パドックオープンの時間帯を通じて大々的に展開されたこれらの活動は、レースファンとHondaの製品を結びつける絶好の機会になりました。
アメリカン・ホンダモーターのモーターサイクルインタラクティブ体験マーケティングマネージャーのスーザン・フェアチャイルドは、こう語りました。「アナハイムでの2戦に加え、我々は先週のモンスタージャムでも同様のイベントを展開しました。大成功だと思います。子供たちはバイク体験を楽しんでくれましたし、大きなトロフィーやコール・シーリーのミニレプリカCRFの前で撮られた写真は、いい記念になるでしょう。彼らがHondaのファンになってくれたことを確信しています。彼らが喜ぶ機会を提供していくことで、私たちとつながることができるようになると思います」
コール・シーリー(6位)
「今夜のメインイベントの結果で喜ぶわけにはいきません。スタートに失敗して、序盤3〜4周の目まぐるしいバトルの中で、少なからず無理しなければなりませんでした。それでも10位以下のポジションから6位まで追い上げることができたので、そのことに関しては文句を言うべきではないですよね。ただ、チャンピオンシップのためにもっとポイントを獲得しておきたかったです。結果は残念ですが、全体としては乗れていたと思います。何人か抜くこともできたし、確実に周回することを心がけていいペースを保てました。ただ、6位に上がったときには前との差が広がり過ぎて、追い付くことはできませんでした」
トレイ・カナード(DNF)
「今夜のレース内容には本当にがっかりしていますし、怒りさえ覚えます。でも、もっと悪い状況になっていた可能性もありましたからね。手を少し縫った以外は元気ですし、2回クラッシュしたことを考えると幸運だったと思います」
ダン・ベトリー | Team Honda HRC監督
「今夜はすべてが悪い方へと向いてしまいました。でも、すでに次のオークランドに向けて切り替えはできています。コールはスタートこそ悪かったものの、本当に頑張って貴重なポイントを獲得したと思います。トレイに関して、チームはかなり落胆しましたが、幸運なことに彼のケガはそれほど尾を引くものではありませんでした。手を何カ所か縫合しましたが、5日間で抜糸して、痛みさえ我慢すれば次のレースに出場できます。もちろん、我々も次のレースまで日々改善していきます」
リッチ・シモンズ | コール・シーリー担当メカニック
「6位という結果は、もちろん私たちが望んでいたものではありません。しかし、残念な夜を思うと、まあまあよかったのかなという気がします。コールはかなりいいスタートを切っていたんです。ただ、スタート後のいくつかターンで混戦を上手くさばけず、かなり順位を落としてしまいました。全体では上手く乗れていましたし、ラップタイムもよかった。レース中盤、順位を上げながらリズムをつかんだときはトップと遜色なかったですからね。シーズンは長いので、前向きに取り組んでいくべきだと思います」
ブレント・プレスネル | トレイ・カナード担当メカニック
「全く散々な夜でした。あえてよかったことを探せば、トレイのケガが長期離脱を強いられるようなシリアスなものではなかったということでしょうか。ヒートレースのクラッシュで手を痛めたために、セミファイナルとメインレースの間もかなりきつそうでした。痛みはもちろんですが、転倒してしまったことに対するいら立ちもあったと思います。もちろん、よりひどい状況に陥る可能性もあったわけですから、リスクは避けるべきでした。プラクティスでは速さをアピールし続けています。本番でどうそれを維持するかが我々の課題です」
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
---|---|---|---|---|
1 | 1 | R.ダンジー | KTM | 19'25.414 |
2 | 22 | C.リード | ヤマハ | +2.873 |
3 | 94 | K.ロクスン | スズキ | +3.405 |
4 | 3 | E.トーマック | カワサキ | +9.650 |
5 | 21 | J.アンダーソン | ハスクバーナ | +18.417 |
6 | 14 | コール・シーリー | ![]() | +21.170 |
7 | 18 | D.ミルサップス | KTM | +25.069 |
8 | 10 | J.ブレイトン | KTM | +26.344 |
9 | 25 | M.ムスキャン | KTM | +26.770 |
10 | 12 | J.ワイマー | カワサキ | +37.576 |
13 | 800 | マイク・アレッシ | ![]() |
+1Lap |
16 | 55 | ビンス・フリージー | ![]() |
+1Lap |
22 | 41 | トレイ・カナード | ![]() |
+18Laps |
順位 | No. | ライダー | マシン | 総合ポイント | |
---|---|---|---|---|---|
- | 1 | 1 | R.ダンジー | KTM | 72 |
▲ | 2 | 22 | C.リード | ヤマハ | 59 |
▼ | 3 | 21 | J.アンダーソン | ハスクバーナ | 57 |
▼ | 4 | 14 | コール・シーリー | ![]() | 55 |
- | 5 | 3 | E.トーマック | カワサキ | 54 |
- | 6 | 94 | K.ロクスン | スズキ | 51 |
▲ | 7 | 18 | D.ミルサップス | KTM | 36 |
▲ | 8 | 10 | J.ブレイトン | KTM | 35 |
▼ | 9 | 12 | J.ワイマー | カワサキ | 33 |
▲ | 10 | 25 | M.ムスキャン | KTM | 31 |
▼ | 11 | 41 | トレイ・カナード | Honda | 29 |
▲ | 17 | 800 | マイク・アレッシ | Honda | 16 |
▼ | 18 | 19 | ジャスティン・ボーグル | Honda | 9 |
▼ | 20 | 55 | ビンス・フリージー | Honda | 9 |
▼ | 24 | 11 | カイル・チゾム | Honda | 2 |