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THE BIG CHALLENGE 松下信治 GP2参戦レポート

Vol.4 ベルギー・イタリア

第7戦ベルギー
予選5番手と好調ながら、レース1スタート直後のアクシデントに巻き込まれる

GP2シリーズは、約1カ月の夏休みを経て、第7戦ベルギーを迎えました。舞台となるスパ・フランコルシャンは、森に囲まれた世界一美しいサーキットと言われますが、アップダウンやさまざまな性格のコーナーが配され、シリーズの中でも難関コースの一つです。松下選手は本番前に独自の練習を行い、レースに臨みました。予選ではわずかなミスを喫しましたが5番手につけ、決勝での上位フィニッシュに期待がかかりました。

8月22日(土)に行われたレース1では、スタートダッシュでポジションを上げた松下選手でしたが、第1コーナーで前車が急な進路変更を行い、逃げ場のない松下選手は接触。タイヤとフロントウイングに大きなダメージを負うアクシデントに見舞われました。これによってピットインを余儀なくされた松下選手は、最後尾からポジション回復を狙いましたが、11周目に再び前車の無理なターンインによって接触。ステアリングにダメージを負いリタイアせざるを得ませんでした。

翌日に行われたレース2、レース1でのリタイアにより22番手からのスタートとなった松下選手。序盤は慎重にポジションをキープし、後半にかけてポジションアップ。15位で完走を果たしました。

松下信治選手のコメント
「スパ・フランコルシャンは鈴鹿に似た感じのサーキットでした。レイアウト自体は違うのですが、リズミカルでとてもおもしろいコースでした。今回は事前に練習したこともあり、予選はいい感じで走ることができました。最終コーナーで1回ミスしたのですが、それでも5番手だったので、レースでは勝負できると思っていました。しかし、レース1では、スタートはうまくいったのですが、前のマシンが無理な進路変更をしてきて、どうすることもできずレースを失ってしまいました。その後のペースはよかったのですが、再び同じような接触でリタイアせざるを得なく、本当に残念な結果でした。レース1で結果が次のレースに大きな影響があるので、レース2はそれなりにいい感じで走れましたが、順位を大きく上げることはできませんでした。マシンや自分としてはいい感じで進めていたのですが、やはり時間が短かい分、十分に走りこなすところまではいかず、その結果予選でミスをしてしまったので、まだ足りない部分を感じました。結果は残念なものでしたが、難しいコースで十分に戦えるという感触を得ることはできました」

 

第8戦 イタリア
上位進出が見えた矢先に、アンラッキーなアクシデントに見舞われる

第8戦イタリアは、超高速コースとして有名なモンツァでの戦いです。モンツァは初めての走行となる松下選手は、僅差の予選10番手となりました。

9月5日(土)に行われたレース1では、上位進出を狙いってスタートでハードタイヤを選択。多くがミディアムタイヤでスタートする中、最初のスティントでポジションを上げる作戦を採りました。序盤は9番手のポジションをキープし、上位勢がタイヤ交換にピットインし始め、ポジションアップするはずだった矢先の9周目に第1コーナーで他車と接触。タイヤがパンクし、それによってブレーキダクトまでダメージを負ってしまい、リタイアを余儀なくされました。

9月6日(日)に行われたレース2では、松下選手はレース1のリタイアにより21番手からのスタートとなりました。序盤、密集した集団に阻まれ、ポジションを上げることは難しい展開でしたが、後半集団がバラける状況から追い抜きを開始し、15位でフィニッシュしています。

松下信治選手のコメント
「モンツァは初めてのコースでした。時速330qくらい出る速いコースですが、コーナーは少なく、いくつかある中速コーナー以外はブレーキングでの勝負になるコースです。ブレーキさえ極めればという意味で、難しいサーキットという印象ではないのですが、その分タイムを詰める部分が限られるので、僅差の争いになります。予選では10番手とあまり振るわなかったのですが、コンマ1秒上げられれば予選5番手くらいまでいける、という詰まった状況でしたから、やはりちょっとしたブレーキングの差なのだと思います。レースでも同じことが言えると思い、ブレーキングをものにしないとダメだと実感しました。
レース1に関しては、序盤は内容のいいものだったと思います。ハードタイヤでスタートする戦略で、思った通りのペースで上位、うまくいけば表彰台も狙える展開になったと思いますが、後ろからブレーキングをミスしたマシンに当てられたのでは仕方ないですね。GP2はとてもタフなレースで、いろいろなドライバーがいて、なかには結構無茶なドライバーもいるので、残念で悔しいですが、仕方ないかなとも思い、切り替えていかなければと考えています」

 

シーズン残り3戦、終盤に向けてさらなる飛躍を期す

GP2シリーズは残り3戦となり、終盤戦を迎えます。7月のドイツ戦がキャンセルになったことで、最終戦の1週間前に、開幕戦が行われたバーレーンでの大会が追加されています。ロシア、バーレーン、アブダビの3戦に向け、松下選手は今季2勝目を目指し意欲を燃やしています。

松下信治選手のコメント
「ハンガリーで初優勝をした後、残念な結果のレースが続きましたが、自分の走りやマシンに関しては、いい感触が続いています。GP2はタフで、不測の事態もよくある難しいレースですが、上位争いができるという実感は、シーズンが進むにつれて強くなっています。
この後、ロシアのソチは初めてのコースになりますが、昨年予選で好調だった伊沢(拓也)さんから、『日本のサーキットに、グリップレベルなどよく似ているコースだ』とお聞きしました。また、その後のバーレーン、アブダビはテストで走ったことがあるコースで、開幕戦のバーレーンでは予選2番手も獲得していますから、僕にはアドバンテージがあると思いますし、自分自身とても期待しています」

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