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Dream Challenge
ドライバー

≫ 牧野 任祐

第1回 パリ生活3年目で見えてきたこと…

3年目の参戦となったF2※1、開幕と2戦目を終えました。開幕のバーレーンに関しては、戦力的にトップ争いができると思っていたので、予想外でした。ブレーキトラブルもありましたし、デグラデーション※2のせいでレースペースがあまりに遅く…。デグラデーションは車の微妙なセットアップやドライビングでだいぶ変わってくるのが難しいところです。まぁ、結果に直でつながることですからね…。

「第2戦スペイン レース2」
「第2戦スペイン レース2」

第2戦のバルセロナでは、予選のイエローフラッグとトラフィックが最悪でした※3。でもいいポイントを取れたし、優勝もできたので、本来のポテンシャルと位置に戻ってきた感じです。モナコからは戦力的にも個人的にも得意としているサーキットが続くので、楽しみです。

さて、僕がレースを始めたきっかけですが、4歳の頃に鈴鹿でF1を観たことでした。耳栓なしではまともに見ていられない程の迫力、そして信じられないほどのスピードで駆け抜けるマシンは本当にかっこよかったです。

もともと僕は車が好きで、休日に家族と遊園地にいってもジェットコースターなどのアトラクションでは遊ばず、100円玉をいれる、クルマのアーケードゲームばかりやっていたそうです。それを見た父が地元のカートコースに遊びで連れて行ってくれたのが、僕のレース人生の始まりでした。ガソリンとオイルの甘い匂いは今でも覚えてますね(笑)。最初のレースでは、優勝じゃないのにガッツポーズしたのを覚えてます(笑)。

「部屋から見えるパリの夜景」
「部屋から見えるパリの夜景」

一方でフランスでの一人暮らし生活も3年目になりました。やっぱりパリの街並みは美しいですね。いつもセーヌ川沿いをランニングするんですが、ノートルダムは実は世界遺産だし、本当に超綺麗だと思います。ちょっと観光客が多すぎですが...。

でも日本とは違う文化で、人々も違うスタイルで面白いです。フランス人はすごく自由ですね、よく言えば。仕事に対しての責任感やサービス精神、なんてのは日本より少ないですね(笑)。でもドライなので、その分気を遣うストレスは少ないかもですけど。

「レースに向けトレーニング中」
「レースに向けトレーニング中」

フランスに住んでみて、良いところや嫌いなところをいろいろ知りました。大きな収穫は、日本を改めてすごい国だなと思うのと、京都や奈良とかそういった歴史的な場所が前より好きになったことです。東京並みの大都会はフランスじゃ見つけられないし、日本の生活の便利さは半端じゃないです(笑)。こっちにきてみて、いろんな方面で日本のことを誇りに感じますね。なので、日本人の僕が世界に挑戦して、日本人がどれだけ優秀かを世界に示したいなんて勝手に思ったりしてます(笑)。

「普段は自炊もしているんです。」
「普段は自炊もしているんです。」

F2シリーズもここからヨーロッパ連戦なので楽しみですね。次の3連戦モナコ、バクー、オーストリアは特に注目ですよ。個人的にも好きだし、良い結果が出せると思います。まあその後も得意なサーキットが続くので、とにかく見てほしいですね。今はオンラインでレースも観られるので!

F1に行きそして、あの世界で活躍してワールドチャンピオンになること、それが僕の最大の夢ですね! 頑張ります!

※1 昨年までの呼称はGP2シリーズ
※2 タイヤの消耗と性能低下のこと
※3 レース1にて予選10位スタートから決勝4位

福江 剛司 | FIA F2・GP3 Commentator

福江 剛司 | FIA F2・GP3 Commentator

松下信治選手のF2シリーズ(昨年まではGP2)3年目の挑戦が始まりました。昨年はシーズン前半で流れが悪くなり、なかなか結果が出せない苦しさを味わいました。終盤の2戦で復調し、3年目の挑戦が決定。メンタルも立て直して臨んだ3年目ですが、開幕戦のバーレーン戦は噛み合わない状態でした。マシンのセッティングが合わず、上位進出を逃してしまいます。迎えた第2戦スペイン。松下選手は見事に復調した姿をみせてくれました。予選ではアンラッキーで上位グリッドを逃しましたが、レースでは表彰台目前までジャンプアップ。レース2では、予選のアンラッキーを取り戻し勝利をものにしました。結果もさることながら、アグレッシブに戦う姿勢は完全な復調を確信させられるものでした。

松下選手がクリアしなければならない課題は、F1ドライバーになるためのスーパーライセンス取得です。それにはランキング3位以上が絶対条件となります。その点から言えば、今シーズンのF2シリーズは、強力なライバルが集まりました。実力派のルーキーや、シリーズ挑戦を続けF1を目指す成長株が揃い、全体のレベルが上がった印象です。この強力なライバルがひしめく中でのランキング3位以上は、相当ハードルが高そうです。

今後、スペインでみせたようなファイティングスピリットに満ちた戦いを続けられれば、目標達成の可能性も十分でしょう。そのためには、まず予選で好結果を残しレース1での勝利が必要です。松下選手の速さは誰もが認めています。その速さに他を圧倒する本当の強さを身につけることが、敵との戦い、そして勝利には欠かせません。松下選手がそのように成長し、F1ドライバーの資格を得られることを、日本のみならず世界中が期待し、注目しているのです。

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