11月5日〜6日、栃木県ツインリンクもてぎでフォーミュラチャレンジ・ジャパンの第6イベント(第12戦、第13戦および第14戦)が開催されました。シリーズ最終イベントとして3レースが予定されていたこの週末には、悪天候によって中止になった第8戦も代替戦として組み込まれ、土曜日に2レース、日曜日に2レースの計4レースが開催されました。土曜日朝に第8戦のスターティンググリッドを決める公式予選が行われ、以降のレースはそれぞれ前の決勝レース中ベストラップ順でスターティンググリッドを決定するという変則的な予選となりました。
土曜日の朝、第8戦の公式予選が行われました。まず清原章太が好タイムを出して首位に立ち、平峰一貴、元嶋佑弥、山田真之亮は中団のタイムで走行を続けました。セッション終了5分をきって本格的なタイムアタックが始まり、清原を上回る選手が出てきました。元嶋もタイムを縮め上位へ食い込みました。平峰、山田もタイムを縮めて少しずつ順位を上げ、セッション終了時刻を迎えました。結果は、清原は3位、元嶋は5位、平峰は8位、山田は10位でした。
土曜日の朝に行われた第8戦ではスタートで清原が好ダッシュを見せ、前2車に次いで3番手でレースを始めました。元嶋も好スタートを切りラインを激しく変えながら前をうかがい、S字コーナーで前走車を捕らえて4番手へ抜け出しました。平峰は8番手、山田は9番手で1周目を終えました。清原は前2車にわずかずつ引き離され、後方から元嶋が接近してきました。
3周目、平峰の前を走っていた車両がドライブスルーペナルティを受けて後退、平峰はひとつ順位を上げましたが山田はオーバーランしてコースをはみ出し、逆に10番手へ落ちてしまいました。順位を上げた平峰は前走車を追いかけ間隔を縮めました。上位は0.8秒前後の間隔で落ち着く中、元嶋はペースを上げられず後方からの追撃を受け始め、6周目の3コーナーから4コーナーにかけて後続車にインを突かれて順位を落としました。元嶋はさらに後方から、ミスにより一旦順位を落としていた選手にも近づかれ、苦しい戦いに入りました。
7周目、ヘアピンで接近してきた後続車にインを取られた元嶋は、接触を避けるためにラインを変えて後続車を前に出しコーナーからの立ち上がりで勝負しようとしましたが、逆に平峰にも追いつかれてしまいました。元嶋は得意なビクトリーコーナーで、一旦前に出た車両に逆襲しようと背後に迫ったものの追い抜きはならず、この間に平峰が元嶋のうしろへ迫りました。その結果、5番手から元嶋、平峰、その後に続く2車までが集団を作り格闘を始めることになりました。一方、清原は徐々に引き離され、後方から追い上げてきた選手に攻め込まれて9周目の3コーナーで追い抜かれ4番手へ落ちました。平峰は元嶋に迫りテール・トゥ・ノーズに持ち込みましたが追い抜きには至らず結局そのままフィニッシュしました。
第12戦のスターティンググリッドは、清原が6番手、元嶋が8番手、山田が10番手、平峰が11番手となりました。スタート直後の第1コーナーでポールポジションにいた選手がオーバーランしたため清原は5番手へ進出、そのあとには1台置いて好ダッシュを見せた平峰が一気に順位を上げ7番手、山田は自力で1台追い抜いて8番手へとそれぞれ順位を上げてレースを始めました。しかし元嶋は前へ行こうと攻め込みながら進路を失ってコースから押し出され、順位を10番手へ落としてしまいました。
5番手を守っていた清原は3周目の3コーナーから4コーナーで姿勢を崩し、順位をひとつ落としました。その間に先頭集団は先行し、清原はそれを追いかける第2集団の中で戦うことになりました。しかし、清原の背後にいた平峰にはジャンプスタートの判定が下り、ドライブスルーペナルティを受けて15番手まで後退しました。ペースを取り戻した清原は前走車に追いすがり、約2秒置いてそのうしろにつけた山田は背後の選手に攻められ、そのあとに元嶋が続くという展開となりました。
清原は前走者に迫りますが、順位を入れ替えるにはおよびません。山田は清原から引き離されながら1台おいて元嶋、さらにその後続車1台を引き連れる集団を形成しましたが、元嶋は8周目のダウンヒルストレートで前走車を追い抜いて山田の背後につけました。しかし、その後の追い抜きはできず、フィニッシュを迎えることになりました。この時点でシリーズチャンピオン争いはランキング4番手の平峰までに絞られました。
土曜日のレース後から降り始めた雨は、日曜日の朝にはほぼ上がりましたが、コースは完全ウエット状態となりました。第13戦は日曜日の朝8時30分から始まりました。スターティンググリッドは平峰が7番手、清原が9番手、元嶋が11番手、山田が12番手です。
全車がレインタイヤを装着して臨んだスタートではHFDP全員が好加速をみせ、平峰は4番手、清原は7番手、元嶋は8番手、山田は11番手へと順位を上げて1周目を終えました。平峰はさらに順位を上げたいところでしたが上位3車のペースには届かず少しずつ間隔が開き始め、後続車が接近してきました。
5周目、清原の前を走っていた選手がオーバーランして遅れ、元嶋が清原の前へ出ました。6周目に入る1コーナーでは後続車に追い抜かれて平峰は5番手へ後退し、その2秒後方には元嶋、1秒強の間隔で清原、1台置いて山田が続きました。
9周目、3番手を走行していた車両が1コーナーでオーバーランして順位を落とし、平峰の目前まで後退してきました。平峰はその車両との間隔をじりじりと詰めにかかりました。一方、清原も元嶋との間隔を縮め始めました。16周目、接近する清原を意識した元嶋は3コーナーでブレーキを遅らせましたが姿勢を崩してオーバーランしかかり、その間に清原の先行を許しました。山田は前走車を攻め続け、最終ラップに追い抜きに成功し順位をひとつ上げてフィニッシュしました。
フォーミュラ・ニッポン第7戦の決勝レースを挟み、シリーズ最終レースとなる第14戦決勝レースが行われました。この間にコースはほぼ乾き、全車スリックタイヤを装着してスターティンググリッドにつきました。清原が3番手、元嶋が6番手、平峰が8番手、山田が9番手に並びます。しかしスタート進行に入った頃には再び雨粒が落ち始め、非常に難しいコンディションでスタートが切られました。
スタートでは清原がうまく加速して首位に立ち、平峰も前でクラッチミートに失敗した選手を避けて抜け出し5番手へ順位を上げました。その直後に元嶋、山田が続きました。1周目の5コーナーで元嶋が平峰をかわしましたが、ダウンヒルストレートで平峰が逆襲、5番手を取り戻しました。
清原は快調に首位を走りましたが、惜しくもジャンプスタート判定を受け、3周目にドライブスルーペナルティを受けて最後尾へと後退しました。これにより平峰は4番手、元嶋は5番手、山田は6番手へと順位を繰り上げました。5周目、山田が5コーナーで後方から追い抜きをかけられ、濡れた路面で減速しきれないまま双方がラインを外れてしまいその隙に2台に先行されて山田は順位を2つ落としてしまいました。一方、平峰は前走車を攻め立てましたが追い抜きはできません。その後、元嶋も平峰に追いつき、3位争い集団を形成しました。
ペナルティを受けて順位を落とした清原は、上位にそん色ないペースで猛然と追い上げ、11周目には13番手へと順位を回復しました。レースも折り返しを過ぎた12周目、元嶋は後続車の追い抜きを受け、抜かれまいとブレーキを遅らせましたがスピンし順位を12番手まで落としてしまいました。ちょうどそのあとには清原が追いついてきていたので、元嶋と清原はそこから追い上げにかかりました。
レース終盤、元嶋は少しでも順位を上げようと前走車に攻めよりますが、なかなか前へ出られません。上位では平峰が3位を狙って前走車に接近、追い抜きのチャンスを探ります。最終周、元嶋は再び前走車の前へ出ようと5コーナーに飛び込みましたが止まりきれずに膨らんで追い抜きはならず、逆に清原に抜かれてフィニッシュしました。平峰は3番手の車両とわずか0.2秒差でチェッカーフラッグを受け、4位となりました。こうして2011年シーズンは終わり、シリーズポイントランキングでは平峰が4位、元嶋が6位、山田が8位、清原が9位という結果となりました。
平峰一貴
予選 | 決勝 | |
---|---|---|
Rd.8 | 8番手 | 7位 |
Rd.12 | 11番手(Rd.8のレース中ベストタイム順) | 15位 |
Rd.13 | 7番手(Rd.12のレース中ベストタイム順) | 5位 |
Rd.14 | 8番手(Rd.13のレース中ベストタイム順) | 4位 |
ポイントランキング4位 |
元嶋佑弥
予選 | 決勝 | |
---|---|---|
Rd.8 | 5番手 | 6位 |
Rd.12 | 8番手(Rd.8のレース中ベストタイム順) | 8位 |
Rd.13 | 11番手(Rd.12のレース中ベストタイム順) | 7位 |
Rd.14 | 6番手(Rd.13のレース中ベストタイム順) | 12位 |
ポイントランキング6位 |
清原章太
予選 | 決勝 | |
---|---|---|
Rd.8 | 3番手 | 4位 |
Rd.12 | 6番手(Rd.8のレース中ベストタイム順) | 6位 |
Rd.13 | 9番手(Rd.12のレース中ベストタイム順) | 6位 |
Rd.14 | 3番手(Rd.13のレース中ベストタイム順) | 11位 |
ポイントランキング9位 |
山田真之亮
予選 | 決勝 | |
---|---|---|
Rd.8 | 10番手 | 10位 |
Rd.12 | 10番手(Rd.8のレース中ベストタイム順) | 7位 |
Rd.13 | 12番手(Rd.12のレース中ベストタイム順) | 8位 |
Rd.14 | 9番手(Rd.13のレース中ベストタイム順) | 7位 |
ポイントランキング8位 |
平峰一貴 「この週末は練習の時から前の方にいられず厳しい戦いでした。スタートで少しでも前へ出ようと思っていましたが1回ペナルティを受けてしまいました。最後のレースはスタートもうまく決まってバトルもできたし、悔いも残りましたが自分としてはやりきったと納得しています。シリーズ前半、好調だっただけに後半は苦しかった。チャンピオンになるつもりでしたから結果は悔しいものですが、昨年に比べ自分は強くなったし技術も上げられたという確信はあります。結果は出なかったけれど、この一年は自分にとって無駄ではなかったと思うし、支援や協力をしてくれた方々に感謝して、自分なりに次の段階へ向けてがんばろうと思います。シリーズ後半の失速はつらかったのですが、苦しいときこそそれをチャンスに変えて乗り越えていかなくてはいけないと自分に言い聞かせています」
元嶋佑弥 「最後のレースは思いきっていこう、悔いが残らないように戦おうと思って走りました。その結果スピンはしましたが、思いきって走らない方が悔いを残してしまったでしょう。何が何でもチャンピオンになろうと思って臨んだシーズンでしたが、前半は自分のせいで当たったり飛び出したりともったいないことをしてしまい、中盤はようやく冷静になって流れに乗れ、優勝もできました。でも第4イベントの鈴鹿で、タイムも出て好調だったのに雨で中止になってしまってからは、なぜか速さが出せなくなってしまいました。僕は自分の速さに自信があったのですがそれが通用しなくなってしまい、焦りも出てしまいました。ダメになるとそのままダメになってしまうという、自分のメンタル面での弱さが出てしまったように思います。昨年よりもランキングが下になってしまったのが情けないです」
清原章太 「最後のレースでいい結果が出せればよかったのですが、ペナルティを受けて悔しいレースになってしまいました。手応えはいっぱいありました。優勝しようと思っていましたし、最低でも表彰台には上がるつもりでした。今年はいろんな意味でいろんなことを学んだ一年でした。今までのレース経歴で、これだけ苦しいレースを1シーズンにわたって続けたことはありませんでした。だから考え込みました。レースの現場だけではなく、日頃から常にレースのことを考えていました。それも自分のためにはなったのですが、今回は、これまでは考え込みすぎだったんだと割りきってレースに臨みました。それがよかったように思います。これが開幕からできていればと本当に悔しいですが、苦しい一年でもあったので心のどこかに、ある意味ほっとした気持ちがあるのも事実です」
山田真之亮 「最初のレースでは、フォーミュラ・ニッポンが走ったあとの路面の変化が把握できずに、自分の走りができませんでした。路面がズルズルになっていて、何度もコースから飛び出してしまいました。その後のレースも、自分で納得のいくペースではまったく走れませんでした。今シーズンを振り返ると、あっという間でした。結果が残せずに実力不足を痛感しています。前回のF1イベントのときは表彰台に続けて上がれましたが、あれは流れに乗っていただけで、レーシングカーを速く走らせるということの本質が理解できていなかったのだと反省しています。本当に速く走るということがどういうことなのか、1シーズンかけて、完全にはわからないままで終わってしまいました」