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山田、F1イベントで初ポイント獲得
2戦連続で表彰台へ

フォーミュラチャレンジ・ジャパン(第5大会 鈴鹿サーキット)

10月7日〜9日、三重県鈴鹿サーキットでフォーミュラチャレンジ・ジャパンの第5イベント(第10戦及び第11戦)が開催されました。このイベントは、F1日本グランプリのサポートレースとして位置づけられ、金曜日に練習走行と第10戦のスターティンググリッドを決める公式予選、土曜日に第10戦の決勝レース、日曜日に第11戦の決勝レースが行われました。なお、第11戦のスターティンググリッドは、第10戦の決勝レース中に記録された各選手のベストラップタイムの順で決められます。

金曜日の練習走行と公式予選の間にF1のフリー走行が行われたため、F1の走行ラインにタイヤのラバーが乗り、路面コンディションは大きく変わりました。各選手とも路面変化に意識してはいましたが、初体験の条件でもあり、それぞれの戦い方は違うものとなりました。結果、予選セッション開始直後にタイムアタックを行った山田真之亮が自己最高となる予選2番手、練習走行では最速だったにもかかわらずタイムアタックのタイミングをつかみそこねた元嶋佑弥が予選7番手、コンディションに翻弄された清原章太が予選12番手、原因不明のグリップ不足を感じていた平峰一貴が予選13番手となりました。

  • 予選につまづいた元嶋予選につまづいた元嶋

土曜日は朝から快晴となりました。気温が急上昇する中、第10戦の決勝レースが行われました。F1サポートイベントでは西パドックで車両整備が行われ、スタート時にはバックストレート上で整列をしたあとメインストレートのグリッドへ移動して、本来のスタート進行へと移行します。ところが今回、グリッドへの移動中にスピンする選手や接触を起こす選手が現れ、波乱含みのスタートとなりました。

第10戦スタートでは2番手山田が好スタートを切って先頭に抜け出し、第1コーナーへ飛び込みました。元嶋もいいスタートを切り5番手へ浮上、ダンロップコーナーでは4番手へ順位を上げました。しかし元嶋のペースはそれ以上は上がらず、1周目の130Rまでに6番手へ順位を落としました。平峰もうまくスタートで前へ出て10番手、清原は12番手で1周目を終えました。

  • テストで好調だった清原テストで好調だった清原

山田は後続選手を0.5秒引き離して首位を走り続けました。これまでシリーズポイント無得点の山田ですがシーズン中盤から調子を上げており、初めての先頭走行ながら落ち着いて走り続けます。一方、平峰はさらに前を行く選手を捕らえ順位を9番手へ上げました。

5周目のシケインで、山田のイン側に後続選手が飛び込み、山田は先頭の座を明け渡すことになりました。実は山田はスタート直後からリアビューミラーを失っており、後方の状況をうまく視認することができず、その隙を突かれた形でした。こうして山田は2番手へ後退しました。

  • 山田の力走山田の力走

中団では清原が前を行く選手に迫りますが順位を入れ替えるには至りません。山田は先頭の選手に引き離され、後方から追い立てられてきました。実はこの選手はジャンピングスタートですでに30秒加算のペナルティを受けており、あくまでも見かけ上の3番手だったに過ぎませんが、走行中の山田はそれを知らず、2番手争いをしているつもりでいました。

レースは10周。第11戦のスターティンググリッドはこのレースのベストラップ順に決まるため、8周目前後から残り周回数での追い抜きは無理だと判断し前方との間隔をわざと開いてタイムアタックする戦略に切り替える選手も出始めました。9周目、やはり後方の様子がうまく確認できない山田を後続車が追い抜き、山田は見かけ上の3番手へ順位を落とし、レースはフィニッシュを迎えました。山田は2位に入賞(2番手でフィニッシュした選手は30秒加算のペナルティを受けていたため)、今季初表彰台に上がるとともに、初めてのシリーズポイントを獲得することとなりました。一方、ポイントランキング2番手にいた平峰は無得点に終わり、ランキング3番手へと後退してしまいました。

  • 初めての表彰台に上がった山田初めての表彰台に上がった山田

日曜日は、前日にも増して快晴となりました。スタート時刻も11時と前日より遅く、気温は上がって汗ばむほどになりました。第11戦のスターティンググリッドは、山田が3番手、元嶋が5番手、清原が8番手、平峰が9番手です。

  • 苦しんだ平峰苦しんだ平峰

スタートで元嶋と清原がうまく順位を上げ、第1コーナーには山田が3番手、元嶋が4番手、清原が6番手で飛び込みました。平峰はスタート順の9番手を維持しました。山田は前を行く2車にわずかに引き離され、その後方は平峰まで0.5秒前後で等間隔の集団ができあがりました。集団の中では清原の勢いがよく、前の選手を追い立てますが、追い越しはできません。元嶋も山田を攻めたてますが、山田もよく耐えて元嶋を押さえ込みます。

レース後半、一旦は山田との間隔が開いた元嶋は再び山田に迫りました。コース前半は山田が速く元嶋を引き離す一方、コース後半は元嶋が速く山田に接近します。激しい3番手争いが続きましたが、気温と路面温度が上昇しているため、タイヤ消耗も考慮してペースを考えなければならない難しい状況です。レース終盤、元嶋は山田の背後にまで迫りました。この2車が3番手争いをしてペースが落ちたので、5番手以降も接近し緊迫した状況となりました。激しい戦いが続きましたが、結局清原も平峰も当初のポジションを守ったままフィニッシュを迎え、山田と元嶋もそれぞれ3位、4位を獲得しました。

  • 山田と元嶋の接近戦山田と元嶋の接近戦

この結果、山田は第10戦、11戦と2戦連続で表彰台に上がってシリーズポイントを重ね、清原を抜いて一気にランキング8番手へと進出しました。

なお、シーズン最終イベントでは第12戦から第15戦の3レース開催が予定されていましたが、悪天候でキャンセルとなった第8戦が併せて開催されることになりました。

リザルト

平峰一貴

 予選決勝
Rd.1013番手8位
Rd.119番手(Rd.10のレース中ベストタイム順)9位
 ポイントランキング3位(同点:シリーズ第11戦終了時点)

元嶋佑弥

 予選決勝
Rd.107番手5位
Rd.115番手(Rd.10のレース中ベストタイム順)4位
 ポイントランキング5位(シリーズ第11戦終了時点)

清原章太

 予選決勝
Rd.1012番手11位
Rd.118番手(Rd.10のレース中ベストタイム順)6位
 ポイントランキング10位(シリーズ第11戦終了時点)

山田真之亮

 予選決勝
Rd.102番手2位
Rd.113番手(Rd.10のレース中ベストタイム順)3位
 ポイントランキング8位(シリーズ第11戦終了時点)
コメント

平峰一貴 「第10戦では、スタートで2台抜いてそのあともう1台を抜きましたが、それ以上はペースが上がらず無理でした。全体的に自分の欲しいグリップが得られない感じがしました。特にフロントのグリップが足りず、ぬるぬるする感触です。レースが進んで燃料が軽くなってもその感触は変わりません。理由はわかりませんが自分の走り方のせいかもしれないので、いろいろ考えました。まったくいいところがないまま週末が終わってしまいました」

  • 平峰一貴平峰一貴

元嶋佑弥 「金曜のテストではトップでしたが、自分では納得がいかず、もっとタイムが縮められるはずだと思っていました。予選では最初にタイムを出してピットに戻り、状況次第でもう一度コースに戻るという作戦を考えていたのですが、路面状況にうまく対応できず最初にタイムを出せませんでした。これではだめだと思ってピットに戻らず走り続け、終盤にようやく少しだけタイムを上げることができましたが、その分タイヤを消耗させてしまいました。第10戦ではうまくスタートを決めて順位を上げられたのですが、抜き返されてしまいました。心の中にタイヤを温存して日曜のレースに備えたい気持ちもあったのは事実です。タイヤを温存できたので日曜は優勝が狙えると思っていました。でもうまくいきませんでした。もっと頭を使っていれば前に行けたかもしれないと反省しています」

  • 元嶋佑弥元嶋佑弥

清原章太 「フリー走行では調子がよくて2番手のタイムも出ていました。でも予選でアタックのタイミングをつかまえられませんでした。走り出してすぐにコンディションを理解して早めにアタックをかければよかったのかも知れないけれど、それができなかったんです。第10戦ではペースもよかったので前に出ようと思ったのですが、前のクルマがブロックしてきたし、前にでてもポイント圏には遠かったので第11戦のスターティンググリッドを狙う作戦に切り替えました。ただ、第11戦も、結果を出せたとは言えない状態で終わってしまいました。予選がいかに大事なのかということを痛いほど学びました。本当に苦しくて悔しい週末になってしまいました」

  • 清原章太清原章太

山田真之亮 「金曜日の予選を走り始めたら、ニュータイヤなのに妙にグリップするな、と感じたので、それならアタックしてみようとすぐに頭を切り換えたら、それが成功しました。今回は、F1の大舞台でいい経験をしました。第10戦では、2番グリッドは初めてのポジションなのでスタート前にクラッチミートの練習を何度もして感触を確かめました。トップを走ってからは緊張してミスを連発して2台に抜かれてしまったのは反省点です。シケインで、何速に入っているかわからなくなって1速まで落としてしまったんです。実は2周目に左のミラーが倒れてしまいその後で脱落してしまったので、後方がまったく見えず、ブロックするのは難しい状況でした。フィニッシュしたときには3位だと思っていたので2位だと言われたときにはびっくりしました。第11戦では大きなミスもせずいいレースができましたが、まだ表彰台の一番上に立っていないので、次はそこを狙います」

  • 山田真之亮山田真之亮

全日本F3選手権

今回は該当レースはありません。