VOL8

野尻、惜しくも王座を逃す
ポイントランキング同点ながら届かず

全日本F3選手権Nクラス(第7大会 スポーツランドSUGO)

9月24日〜25日、宮城県スポーツランドSUGOで、2011年度全日本F3選手権シリーズの第7イベント(第14戦、第15戦、第16戦)が開催されました。第6イベント(第12戦、第13戦)は台風により中止となり、代替イベントの開催も行われないことが決まったため、これがシリーズ最終イベントとなりました。HFDP(Honda Formula Dream Project)からは、F3参加2シーズン目となる三浦和樹、F3初年度の野尻智紀の計2名が参加しました。

今回のイベントは、土曜と日曜の2日間に第14戦、第15戦、第16戦が行われる3レース制。土曜午前に第14戦及び第15戦のスターティンググリッドを決める公式予選が行われ、第16戦のスターティンググリッドは第14戦の決勝レース中に記録されたベストラップタイムの順で並ぶという競技規則になっています。レースウイークに先駆けて、金曜には占有走行が行われ参加選手が練習を行いましたが、シリーズチャンピオンをかけてこの週末を迎える野尻は、Nクラスながらひとり上位Cクラスの順位に食い込むタイムをたたき出し、好調ぶりを見せつけました。

  • 野尻は好調のうちにレースウィークを迎えた野尻は好調のうちにレースウイークを迎えた

土曜日は、快晴となりコースはドライコンディション。まず第14戦の公式予選セッションが行われました。ところがセッション終盤にコースオフして停止したマシンがあり、走行が赤旗で中断されたため、ちょうどタイムアタックにかかっていた野尻はアタックを中止してピットに戻りました。この時点で野尻はNクラスのトップタイムを出していました。

セッションは残り3分で再開され、競技車両が続々とコースインしました。しかし野尻のピットはピットロード出口から遠く、コースインした時点で残り時間が2分となっており、タイヤのウォームアップに1周しか使えなかったのに対し、ピットロード出口に近い選手は早々にウォームアップを始めており、2周のウォームアップ後にタイムアタックができるという状況でした。この結果、最後のタイムアタックで野尻のタイムは伸び悩み、ライバル選手は野尻のタイムを上回るベストタイムを記録、Nクラスのポールポジションを奪いました。野尻は2番手、三浦はコースオフしたため、最下位に終わりました。

  • 流れを作れなかった三浦流れを作れなかった三浦

続けて行われた第15戦の公式予選では、野尻は金曜からの好調な走りを展開、順調にタイムを記録してNクラスのポールポジションを獲得しました。三浦は、第14戦公式予選中のコースオフでマシンを壊したためセッションには出走せず、ノータイムの最下位に終わりました。

  • 王座獲得に向けチームが野尻をサポート王座獲得に向けチームが野尻をサポート

午後、第14戦の決勝レースが行われました。Nクラス2番手からスタートした野尻はスタートで出遅れ、ポールポジションの選手に追いつけなかったばかりか、後方からの他の選手2台にも追い抜かれて順位を4番手に落としてしまいました。その後野尻は、先頭争いの選手と同等のラップタイムで走りながら、前を押さえ込まれて順位を入れ替えるには至らず、4番手のままフィニッシュしました。最後尾からスタートした三浦はよく追い上げ、6位でチェッカーフラッグを受けました。

第14戦の結果、ここまでランキングトップの野尻は3ポイントを得ましたが、ランキング2番手の選手が7ポイントを加えたため、野尻はランキング首位を守ったものの、わずか1ポイント差で第15戦を迎えることになりました。また、決勝レース中のベストラップタイムにより、第16戦では野尻がセカンドグリッド、三浦は5番グリッドを得ました。

日曜朝に行われた第15戦、野尻はポールポジション、三浦は予選に出走しなかったため最後尾からスタートしました。野尻と予選2番手の選手の間にはCクラスの選手が挟まっており有利なポジションです。ところがスタート合図の瞬間、予選2番手の選手が抜群の加速で野尻のイン側に並びかかりました。

  • ライバルとの先陣争いをする野尻ライバルとの先陣争いをする野尻

その選手は第1コーナー手前で一旦野尻の前に出かかりましたが、野尻も加速してアウト側からその選手に並んで第1コーナーに進入、第2コーナーへも並走してさしかかりました。そのまま並走すれば第3コーナーは左に曲がるので野尻が有利になります。ところが第2コーナーで前を走る上位車が接触、野尻のイン側を走っていた選手が逃げられず、乗り上げてしまいました。野尻は行き場所を失ってアウト側のグラベルへ進路をとって回避、接触はせずに済んだものの、ペースを落としてグラベルを走ったため7番手へ順位を落とさざるをえませんでした。

三浦はこの間に混乱をすり抜けて4番手へ順位を上げ、野尻は7番手から追い上げにかかりました。野尻は上位Cクラスに匹敵するペースで4周目には6番手、6周目には5番手に上がり、三浦を追いかける展開になりました。13周目、3番手の選手がコースオフしたため、三浦、野尻とも順位をひとつ繰り上げ、14周目には野尻が三浦をかわして3番手へ進出しました。だがこの時点で2番手の選手とはすでに7秒の差がついており、それ以上の追い上げはできませんでした。

野尻は3位でフィニッシュ、レース中のファステストラップも記録、6ポイントを加えて、選手権ポイントを86点に伸ばし、最終戦を迎えることになりました。2番手、3番手の選手は78ポイントで続き、王座決定は最終戦までもつれこみました。

  • 表彰台に上がった野尻表彰台に上がった野尻

日曜午後、シリーズ最終レースである第16戦が行われました。野尻は2番手スタートでしたが、スタートでスピードが乗らず、背後にいた選手に並ばれて第1コーナーで前に出られてしまいました。さらに後方からは別の選手が迫り、2周目にその選手に先行されて順位を4番手へ落としました。

  • 野尻の激走、実らず野尻の激走、実らず

このままフィニッシュすると選手権ポイントは#23の選手と同点の89点になり、優勝回数の多い#23の選手に王座を奪われてしまいます。チームは、レース中のベストラップを記録して1ポイントを稼ぐ指示を野尻に出しましたが、野尻のタイムは上がらず、野尻は4位のまま走行を続けてフィニッシュしました。優勝した#23の選手はベストラップポイント1点を加えた11ポイントを獲得、ポイントランキングで野尻に並び、同点ながら優勝回数が多かったため選手権規定によりシリーズチャンピオンを獲得しました。野尻は惜しくも目前にあった王座を獲得することはできませんでした。

リザルト

三浦和樹

 予選決勝
Rd.148番手6位
Rd.158番手(予選ノータイム)4位
Rd.165番手(第14戦決勝レース中のベストタイム順)5位
 ポイントランキング6位(Nクラス シリーズ終了時点)

野尻智紀

 予選決勝
Rd.142番手4位
Rd.151番手3位
Rd.162番手(第14戦決勝レース中のベストタイム順)4位
 ポイントランキング同点2位(Nクラス シリーズ終了時点)
コメント

三浦和樹 「土曜日の予選で自分のミスでクルマを壊してしまい、金曜からの流れを断ち切ってしまいました。レインボーコーナーでプッシュアンダー気味になって外側の縁石をまたいでしまったんです。そのまま自分のレースができずに終わってしまいました。今年は1回勝てましたが1回だけに終わりました。この勝利でチームに恩返しができたとは思いますが1回だけでは、たまたま勝っただけではないかと言われてしまうので、どうしてももっと勝ちを重ねたいと思っていました。でもうまくいきませんでした。この1年、多くのことを学びましたが、結果につなげることができなかったことが残念です」

  • 三浦 和樹三浦 和樹

野尻智紀 「第15戦では、アクシデントさえなければあのまま首位に抜け出せたと思います。そうなればチャンピオンシップは違う形になっていたはずですが、これもレースです。ドライバー、人間としてすばらしい経験ができた1年でした。結果で恩返ししたかったですが、最後までチームに迷惑をかけてしまいすべての人に申し訳のない気持ちでいっぱいです。1シーズン振り返ってみると、もっと思いきってした方がよかったと思うレースが多いです。どこかで大事にいきすぎていた部分もあるのかもしれません。1年目なのだからもっとチャレンジしていくべきだったと感じています。貪欲さにも欠けていました。自分には、結果を出す以外ないのは分かりますが、何とかどこかで今年の恩返しがしたいと強く思っています。 結果に腐らず、今後もがんばっていきます」

  • 野尻 智紀野尻 智紀

フォーミュラチャレンジ・ジャパン

今回は該当レースはありません。