VOL5

豪雨と猛暑のもてぎ
野尻、富士に続き表彰台

全日本F3選手権Nクラス(第4大会 ツインリンクもてぎ)

  • 悪条件の中表彰台に上がった野尻悪条件の中表彰台に上がった野尻

8月6日〜7日、栃木県・ツインリンクもてぎで、2011年度全日本F3選手権シリーズの第4イベント(第8戦及び第9戦)が開催されました。HFDP(Honda Formula Dream Project)からは、F3参加2シーズン目となる三浦和樹、F3初年度の野尻智紀の計2名が参加しました。

2イベント、計5レースが富士スピードウェイで連続開催されたあと、レースの舞台はまったく性格の異なるコースであるツインリンクもてぎへ移りました。今年F3にデビューした野尻にとってはF3でツインリンクもてぎを走るのは初めての体験であり、金曜日の占有テスト走行には大きな意味がありました。ところが、あいにく天候が安定せず、占有走行のセッション中、通り雨がやってきて途中で路面コンディションはドライからウエットへと変わり、腰を据えた調整はできないままに終わりました。

  • レースに備えるチームレースに備えるチーム

翌日の土曜日、第8戦及び第9戦の公式予選はドライコンディションで行われました。三浦、野尻ともタイムが伸びません。しかしそれぞれ10分の短いセッションでは、セッティングを進めるにも練習を重ねるにも限りがあり、第8戦予選では野尻がようやくNクラス3位に食い込んだものの、三浦は5位。第9戦予選では三浦が4位となる一方、野尻は5位に後退と、2人とも不本意なポジションで予選を終えざるをえませんでした。

土曜日の午後、第8戦の決勝レースが行われました。コンディションはドライで、全車スリックタイヤを装着してコースイン、ウオームアップを開始しました。ところが突然、黒い雲がツインリンクもてぎ上空を覆い、風も強まり雷鳴も聞こえ始めました。スターティンググリッド上でスタート準備が進む中、コースの一部では降雨が始まったとの知らせも届き、上位Cクラスの選手はレインタイヤへ切り替えてスタートする決断を下しましたが、Nクラスはスターティンググリッド後方の一部選手を除いて、ドライタイヤのままフォーメーションラップに入りました。

  • 土砂降りとなった決勝レース序盤土砂降りとなった決勝レース序盤

しかしながら天候悪化は予想よりも早く、フォーメーションラップ中には走行するマシンのタイヤからは水しぶきが上がる状況となり、三浦、野尻を含むNクラス上位陣もフォーメーションラップ終了時点でピットインしてタイヤ交換を行い、ピットスタートすることを決めました。ピットで急きょレインタイヤを装着した三浦と野尻は、レースに復帰すると、当初からレインタイヤを装着してスタートし先行する選手たちを後方から追いかけ始めました。

しかし天候はさらに悪化したためセーフティカーがコースイン、先頭車両が4周目に入ったところで赤旗が提示されてレースは中断されました。約1時間の中断のあと、レースは4周目から再開されました。コースはウエット、全車レインタイヤを装着して、セーフティカー先導による再スタートです。

セーフティカーは1周先導したあとで退き、残り13周というタイミングで再び始まりました。この時点で、野尻はNクラス6番手、三浦は7番手。前方には当初からレインタイヤを履いていたためスターティンググリッド後方から順位を上げた選手が先行しており、まずはこの選手を追い抜くことが2人の課題となりました。

  • 曇天の中、再開されたレース曇天の中、再開されたレース

8周目には野尻は4番手、三浦は5番手へ順位を上げ、本来の戦いに入りました。野尻は前を走るNクラス3番手の選手に迫り、何度かイン側へ飛び込むそぶりを見せますが濡れた路面で無理はできず、結局13周目の5コーナーでアウト側から並びかかって3番手へ進出しました。その後三浦も最終14周目にこの選手との間隔を詰め、攻め立てましたが周回数が足りず、順位を上げてフィニッシュすることはできませんでした。野尻は厳しい展開の中、表彰台に上がりましたが、三浦は表彰台には届きませんでした。

日曜日、10時40分から第9戦決勝レースが行われました。前日とは一転、天候悪化の不安はなく真夏の日差しがコースに降り注ぎます。スタート合図とともに全車クリーンスタート、三浦は第1コーナーで前方にいた選手をうまく抜いて3番手に順位を上げましたが、追い抜きのためのコース取りのスキを突かれて、後方から迫っていた選手に追い抜かれてしまいました。三浦はこれを取り戻そうと3コーナーで攻め、前に出て3番手進出を果たしました。一方、野尻はオーバーランして6番手にまで順位を落としてしまいました。

  • 序盤、格闘を繰り広げた三浦序盤、格闘を繰り広げた三浦

しかし三浦は3周目の1コーナーから2コーナーでオーバーランしたため再び順位を入れ替えられて、予選と同じ4番手へ後退しました。三浦は、3番手の選手を追いかけ、3番手復帰を目指しましたが、逆にじりじり間隔を引き離される厳しい展開となりました。後方からは予選で前にいた選手が追いかけてきますが、三浦は一進一退ながらその間隔を守ります。また野尻も自分のペースを取り戻し、4番手の選手に迫りましたが、順位を入れ替えるまでには至りません。

  • 苦しみながらランキング首位を守った野尻苦しみながらランキング首位を守った野尻

気温も路面温度も上昇する中、10周をすぎレース後半に入ると各選手のペースは落ち着いてレースはこう着状態に入りました。三浦、野尻とも、上位選手とほぼ同じペースで周回を重ねますが、前後はほぼ等間隔で順位は変えられません。三浦は徐々に後続との間隔を開きますが前方の選手のペースもよく、結局そのまま4番手でチェッカーを受けることとなりました。野尻も、レース後半ペースを上げたものの、6番手でレースを終えました。両者とも、厳しい戦いとなりましたが、それぞれ着実に選手権ポイントを重ね、シリーズポイントランキングの順位は守りました。

リザルト

三浦和樹

 予選決勝
Rd.85番手5位
Rd.94番手4位
 ポイントランキング5位(Nクラス シリーズ第9戦終了時点)

野尻智紀

 予選決勝
Rd.83番手3位
Rd.95番手6位
 ポイントランキング1位(Nクラス シリーズ第9戦終了時点)
コメント

三浦和樹 「第9戦では序盤うまく戦って順位を上げられたのに、自分のミスでまた順位を落としてしまいました。あのミスがなければもっと上位でフィニッシュできたはずで、決して満足できる結果ではありません。非常に悔しい思いでいっぱいです。でも、落ち込んでもいません。自分がしてしまったミスも含めて、どうしてこういう結果になったのかが納得できるからです。今回は、金曜日の天候のせいで、ニュータイヤを履いて走行することができないまま予選が始まってしまい、流れが作れなかったことも失敗の1つです。次回は金曜日からうまく流れを作ろうと考えています」

  • 三浦 和樹三浦 和樹

野尻智紀 「金曜の天候が不安定でうまく流れを作れず、予選結果がよくなかったのがすべてです。第8戦は、今回のもてぎではドライタイヤでも多少濡れた路面でもグリップしていたのでそのままいけると思ったのですが、フォーメーションが始まると土砂降りになってストレートでもハイドロプレーニングが起きてまっすぐ走れない状況になってしまい、ピットインすることにしました。F3では珍しいピット作業になって、チームは短い作業でコースに戻してくれたのに、結果につなげられず申し訳なく思っています。第9戦では気温が上がったせいかペースが上がらず、ブレーキバランスを変えたり自分の走り方を変えたりしてようやく後半、周りと同じペースで走れるようになりましたが、まだ低いレベルのレースをやっているのだなと反省しています。噛み合わないまま週末が終わってしまったので、次回の岡山では納得のいくレースができるよう研究をして臨みます」

  • 野尻 智紀野尻 智紀

フォーミュラチャレンジ・ジャパン

今回は該当レースはありません。