VOL3

野尻、今季2勝目でランキング首位を守る
FCJ平峰も今季3勝目

全日本F3選手権Nクラス(第2大会 富士スピードウェイ)

  • HFDPの2台HFDPの2台

6月11日〜12日、静岡県富士スピードウェイで、2011年度全日本F3選手権シリーズの第2イベント(第3戦、第4戦及び第5戦)が開催されました。HFDP(Honda Formula Dream Project)からは、F3参加2シーズン目となる三浦和樹、F3初年度の野尻智紀の計2名が参加しました。

今回のイベントは、決勝レースが3レース(第3戦、第4戦、第5戦)行われるスケジュールで、公式予選は第3戦と第4戦についてタイムアタックを行って決定、第5戦のスターティンググリッドは第3戦決勝レース中に記録した各自のベストラップ順で決めるという変則的な競技規則が適用されます。

  • アドバイスする井出有治アドバイザーアドバイスする井出有治アドバイザー

土曜日朝、強い降雨の中、予選が行われましたが、コースオープン直後にスピンしたマシンのため赤旗が提示されてセッションがやり直されるなど波乱含みの幕開けとなりました。第3戦の公式予選は、この結果事実上3ラップのタイムアタックで結果が決まることとなり、野尻はNクラス4番手、三浦は5番手につけました。続いて行われた第4戦の公式予選では三浦が4番手、野尻が5番手という結果となりました。

  • ランキング首位を守る野尻ランキング首位を守る野尻

決勝第3戦は、土曜日14時過ぎから行われました。雨はほとんど上がって、路面はまだ濡れているもののラインは乾き始めていたため、ほとんどのチームはドライ用のスリックタイヤを装着、チームによってはそのうえでウエット路面を考慮したセッティングを施してレースに臨みました。

スタートで野尻は加速に失敗、大きく順位を下げてしまいました。一方、三浦はうまく加速したものの、1コーナー立ち上がりでコースを飛び出してオーバーラン、やはり順位を下げました。1周目の順位は野尻が5番手、三浦が6番手と厳しい幕開けです。しかしHFDPの2台はペースがよく、そこからばん回にかかりました。コンディションも周回ごとに好転し、2台のラップタイムは周を追うごとに上がり、状況次第ではCクラスのマシンにも匹敵するタイムで追い上げ、順位を徐々に上げていきました。

  • 野尻、強気のレース野尻、強気のレース

野尻は2周目には3番手に上がり、7周目には前を走る選手に追いつき、9周目のストレートで並んで第1コーナーで抜き去り2番手へ進出しました。しかしクラス首位を走る選手との間隔はその間に大きく開いており、残り周回数を考えるとそれ以上の追い上げは難しい状況になっていました。野尻はそれでも首位の選手を上回るほどのラップタイムで追走しましたが、惜しくも2位に終わりました。

三浦は1周目を6番手で終えましたが、やはり野尻同様ペースがよく、8周目には5番手、10周目には4番手へポジションを上げました。しかし序盤の遅れが大きく、追い上げはそこで終わり4位でチェッカーフラッグを受けました。レース中のベストタイムは野尻が1位、三浦が2位で、この結果第5戦のスターティンググリッドはHFDPがフロントローを独占することとなりました。

  • 2番手グリッドについた三浦2番手グリッドについた三浦

第4戦の決勝レースは日曜日10時55分から21周で行われました。土曜日のウエット路面で行われた公式予選セッションの結果で決めたスターティンググリッドは、三浦が4番手、野尻が5番手。Nクラス2番手と3番手の間にはCクラスの選手が3人挟まっているという異例のスターティンググリッドです。路面は完全にドライとなり、全車ドライ路面用のスリックタイヤでスタートしました。

スタートで三浦は前の選手をかわして、3番手に上がりました。続いて野尻も前の選手に迫り、3周目には三浦に続いて4位に上がりました。ペースは野尻が勝り、7周目を終えたストレートで三浦に並ぶと8周目には順位を入れ替え、さらに前方を行く選手に迫っていきました。15周目、野尻は前の選手を抜いて2番手へ進出。三浦は後方から追い上げられましたがよく耐えて4番手を守ったままフィニッシュを迎えました。

  • 首位を走る野尻首位を走る野尻

第5戦は日曜日16時40分から21周で行われました。スターティンググリッドは、第3戦の決勝レース中に記録されたベストラップタイムの順で決まり、野尻がNクラスのポールポジション、三浦が2番手。この順位は総合でも4番手、5番手にあたる好位置です。

野尻、三浦ともうまくスタートして首位と2番手を守ってレースを始めました。しかし野尻、三浦とも必ずしも思ったようにはペースが上がりません。三浦は後方からの追撃にさらされ、1周目こそ2番手で終えましたが、2周目には2人にかわされて4番手へ順位を落とし、3周目と5周目にも後続の選手にかわされて順位を落としていきました。

  • 今季2勝目の野尻今季2勝目の野尻

一方、野尻も厳しい戦いとなり、三浦をかわして2番手に上がってきた選手に攻められ緊迫した状況の中、先頭を走ることとなりました。野尻は後続の選手に間隔をじりじりと縮められていきましたが、野尻もしっかり自分のペースを守り攻撃に耐えます。するとレース中盤になって後続の選手のペースが鈍り、それを機に野尻は間隔を一気に広げて安全圏へ逃げることに成功しました。こうして野尻は今季2勝目を記録しました。三浦は6位で完走し選手権ポイントを重ねました。

リザルト

三浦和樹

 予選決勝
Rd.35番手4位
Rd.44番手4位
Rd.52番手6位
 ポイントランキング6位(Nクラス シリーズ第5戦終了時点)

野尻智紀

 予選決勝
Rd.34番手2位
Rd.45番手2位
Rd.51番手優勝
 ポイントランキング1位(Nクラス シリーズ第5戦終了時点)
コメント

三浦和樹 「第3戦では、決勝中にいいタイムが出て、非常にいい感触を得ました。でも好ポジションからスタートした第5戦では、うまくタイヤの内圧を上げることができず、ペースを上げられませんでした。車体のセットは野尻と一緒ですから、ペースを上げられないのは僕の走り方に問題があるからです。昨日、いい感じだっただけに残念な結果です。何かきっかけがつかめたかなと思ったんですが。ここから次のレースまで1か月開くので、しっかり分析して次のレースに備えます」

  • 野尻 智紀野尻 智紀

野尻智紀 「予選が悪かったのが結果に響きました。決勝は、第3戦、第4戦と2位でしたが、僕にとって2位は最低限の結果だと思っていました。課題があることもわかっていたので、それを前向きに受け止めて進歩していこうと心に決めました。第3戦では、レース中に監督から無線が入ってプッシュした結果、第5戦のポールポジションがとれました。第5戦のスタートはあまりよくなかったのですが、みんなもあまりよくなかったようで順位を下げないで済みました。1周目で後ろとの間隔をもっと開けようと思っていたのですが、思ったよりも開かず、それ以降は逆に少しずつ間隔を縮められて苦しいレースでした。でも、その間自分のペースを守って走れたので、ミスさえしなければ負けることはないと信じて落ち着いてレースに集中しました。僕自身は特にタイヤの消耗のことは考えず、最初から最後まで全開でしたが、後ろの選手はタイヤを使いすぎて落ちていったように思えました。2勝目を挙げられましたが、今回は自分の足りないところもよく見えたので、そこを修正して次のレースに臨みます」

  • 野尻 智紀野尻 智紀

フォーミュラチャレンジ・ジャパン(第3大会 富士スピードウェイ)

6月11日〜12日、静岡県富士スピードウェイで、2011年度フォーミュラチャレンジ・ジャパンの第3イベント(第5戦、第6戦及び第7戦)が開催されました。HFDP(Honda Formula Dream Project)からは、FCJ2シーズン目の平峰一貴、元嶋佑弥、FCJ初年度の清原章太、山田真之亮の計4名が参加しました。

この週末は3回の決勝レース(第5戦、第6戦、第7戦)が予定されており、20分間の予選で第5戦のスターティンググリッドを決め、第6戦は第5戦決勝での各自のベストタイム順、第7戦は第6戦決勝のベストタイム順でスターティンググリッドを決める競技規則となっています。第5戦の公式予選セッションは8時05分の開始予定でしたが、強い雨の影響でコースはヘビーウエットコンディションで、安全確認が行われたあと、5分遅れでコースオープンとなりました。

  • 悪コンディションでのレース悪コンディションでのレース

練習ではオーバーステアに悩みストレートスピードも頭打ちでタイムが伸びなかった平峰が、濡れた路面の上では元気を取り戻し、好タイムを連発。元嶋、山田もそれに続きました。清原は水しぶきの中、集団の中に取り込まれてしまい、うまくタイムアタックできない状況に陥ってタイムが伸びません。この結果、平峰がベストタイムを記録して第5戦のポールポジションを獲得、山田が3番手、元嶋が6番手、清原が14番手と決まりました。

  • 先頭を突進する平峰先頭を突進する平峰

第5戦の決勝レースは土曜日の午後に行われました。レースまでに雨はほとんど上がりましたが、路面はウエットのまま。各車レインタイヤを装着してスターティンググリッドへつきました。ポールポジションの平峰は、うまくクラッチミートして加速、危なげなく先頭に立って第1コーナーへ飛び込みました。しかしスタートで予選3番手だった山田は、クラッチミートに失敗してエンジンをストールさせ、グリッド上に立ち往生してしまい、16番手まで一気に順位を落としてレースを始めることになりました。

  • 予選3番手をふいにした山田予選3番手をふいにした山田

6番手からスタートした元嶋は、ひとつ順位を落とし7番手、清原が13番手、スタートで出遅れた山田は16番手で1周目を終えました。平峰は、タイヤの内圧が上がらずペースが上がらない後続の選手を突き放し2周目にはこのレースのファステストラップとなる1:55.801を記録して間隔を開きました。その後、後続の選手がペースを取り戻して平峰との間隔を縮め始めましたが平峰は落ち着いてその間隔を守り、首位のまま0.765秒差を守ってチェッカーフラッグを受けました。

  • 追撃を振切り優勝した平峰追撃を振切り優勝した平峰

元嶋はレース中盤6番手へ上がると、トップから約10秒背後で繰り広げられていた激しい3番手争いの集団に加わり、最終的には5番手に順位を上げてレースを終えました。清原は8位、山田は、追い上げたものの10位でレースを終えました。

第6戦は土曜日の夕方、16時15分から15周で行われました。コースはすでに完全にドライコンディションです。ポールポジションの平峰はうまく加速したものの、隣に並んでいた2番手、3番手の選手の加速がそれを上回り、第1コーナー進入で並ばれ、前に出られてしまいました。その後、1台を抜き返したものの平峰の苦戦は続きました。ドライ路面になると、練習走行のときから苦しんでいたストレート速度の伸び悩みが顕著となり、後方から追撃を受ける立場になってしまったのです。

平峰は巧妙に押さえ込もうとしますが、6周目には、元嶋ら2台に追いつかれて一団となり、8周目に1台にかわされ11周目には元嶋に先行されて少しずつ順位を下げていきました。結局13周目の300Rでも後続の選手の先行を許し6番手に後退しました。

  • 元嶋はポイントランキング4番手へ浮上元嶋はポイントランキング4番手へ浮上

一方元嶋は、スタートで加速に失敗し一旦順位を下げますが、上位陣の混戦に乗じて順位を取り戻し、さらにペースを上げて追い上げを開始しました。1周目には6番手でしたが3周目には5番手、4周目には4番手に上がって2位争い集団に加わりました。その後平峰をかわして、3位に上がったところでチェッカーフラッグが振られてレースは終わりました。しかし12周目と14周目にはファステストラップを記録し、第6戦決勝のポールポジションを獲得しました。山田、清原は中団の混戦の中健闘しましたが、前には抜け出せず苦しい戦いとなりポイント獲得はなりませんでした。

  • 苦戦した清原苦戦した清原

第7戦決勝は、日曜日13時30分から行われました。土曜日に行われた第6戦の決勝中に記録されたラップタイム順にスターティンググリッドが決まり、ポールポジションには元嶋がつきました。以下、8番手に山田、9番手に平峰、11番手に清原と並びました。ところがフォーメーションラップを走る元嶋のマシンにエンジンが一時的に止まってしまうトラブルが発生、スタートも危ぶまれる状況に陥りました。しかし幸いにも復調し、元嶋はスターティンググリッドにつき、そのままスタートを迎えました。

  • 問題を乗り越え首位を走る元嶋問題を乗り越え首位を走る元嶋

スタートでうまく加速した元嶋は、先頭に立って第1コーナーへ飛び込みました。後ろにはランキング上位の選手がつきますが、元嶋は危なげなく少しずつ引き離しにかかります。一方、清原は1周目のダンロップコーナーで接触、フロントノーズを壊して減速、ピットへ戻りますがそこでリタイアを決めました。平峰は山田をかわし順位を上げ、山田も平峰の後ろについて順位を上げました。しかしレースはそのあと、こう着状態となりました。

  • 今季初優勝の元嶋今季初優勝の元嶋

この間、元嶋のマシンには第1コーナー立ち上がりで突然電気系統がダウンするというトラブルが繰り返し発生していましたが、それをなんとかごまかしながらマシンを走らせ、ファステストラップを記録しながら独走に入りました。元嶋は深刻なトラブルを克服しながら走り、フィニッシュを迎えました。平峰は7位、山田は8位に終わり、ポイント獲得はなりませんでした。今回の結果、平峰はシリーズポイントランキングで1ポイント差ながら2番手に後退しましたが、元嶋は4番手に躍進することとなりました。

リザルト

平峰一貴

 予選決勝
Rd.51番手優勝
Rd.61番手(予選順位はRd.5のレース中ベストタイム順)6位
Rd.79番手(予選順位はRd.6のレース中ベストタイム順)7位
 ポイントランキング2位(シリーズ第7戦終了時点)

元嶋佑弥

 予選決勝
Rd.56番手5位
Rd.67番手(予選順位はRd.5のレース中ベストタイム順)3位
Rd.71番手(予選順位はRd.6のレース中ベストタイム順)優勝
 ポイントランキング4位(シリーズ第7戦終了時点)

清原章太

 予選決勝
Rd.514番手8位
Rd.69番手(予選順位はRd.5のレース中ベストタイム順)9位
Rd.711番手(予選順位はRd.6のレース中ベストタイム順)リタイア
 ポイントランキング9位(シリーズ第7戦終了時点)

山田真之亮

 予選決勝
Rd.53番手10位
Rd.68番手(予選順位はRd.5のレース中ベストタイム順)8位
Rd.78番手(予選順位はRd.6のレース中ベストタイム順)8位
コメント

平峰一貴 「今回はトレーナーについて体力面を鍛えてレースに臨みました。ただ、金曜日の練習走行で、ストレートスピードが伸びずオーバーステアも強いという問題が生じて、タイムがまったく出ませんでした。メカニックのみなさんに夜遅くまでマシンを見直していただいて、土曜日の予選は雨でもあったし納得できる結果が出せました。第5戦では、序盤に引き離そうと思っていたのですが、自分でミスをしてうまくいきませんでした。後半、タイヤが消耗してきて厳しかったのですが、抜かれない自信はありました。厳しい状況の中で勝てたことには大きな意味があったと思います。ただ、路面がドライになってからは、前のクルマについても簡単に離されてしまう状況で、どうにもなりませんでした」

  • 平峰 一貴平峰 一貴

元嶋佑弥 「第6戦ではシフト関係にトラブルがあって、それで1周目に順位を落としてしまったのが残念です。その問題とうまくつきあいながら結果につなげたレースでした。最近、自分で流れを壊すことが続いていたので、流れを変えようと思っていました。何度か、トラブルの問題でスピンしかかっているのですが、ファステストラップがとれました。第7戦は、スタートさえ決めればそのままいけると確信していました。でもコースインしたあと、電気が落ちてエンジンも止まってしまい、不安なままグリッドにつきました。金曜日から電気系のトラブルは出ていたんです。でももうコースインしてしまったのだし、自分を落ち着かせようと言い聞かせてスタートしました。レース中も、あちこちでエンジンが一瞬止まってしまう症状が出て、走りきれるのかどうか心配で仕方がありませんでしたが、何かトラブルが起きても対処できるように少しでも後ろとの差を作っておこうと、21周の間全開で走りました。それで走りきれて勝てて、とてもうれしいです」

  • 元嶋 佑弥元嶋 佑弥

清原章太 「予選では、一番混んでいるところに入り込んでしまって思い通りに走れませんでした。それがすべてです。自分に足りないところが見えた週末です。第5戦は、タイヤの内圧を間違えたのか、アンダーステアが出てつらかったです。自分の走るべきポジションではないところでレースをしているから、アクシデントにあったりもします。全部自分のせいです。なかなかうまくいかないです。今回はせめて1ポイントでも取るつもりだったのですが」

  • 清原 章太清原 章太

山田真之亮 「予選は雨でしたが、雨だと自分の思うようにいい感じで走れました。今回は3回もレースがあるので、3回そこそこの成績で終わるよりは1回大きな成績を残そうと思っていました。でも第5戦では、せっかく予選で3番手につけられたのに、スタートでホイールスピンが気になって、アクセルを踏みすぎないようにクラッチミートしようと心がけたら、エンジンをストールさせてしまいました。その後のペースはよくて9台くらい追い抜けたので、もったいないレースでした」

  • 山田 真之亮山田 真之亮