VOL2

野尻、F3デビュー戦で優勝
平峰FCJで2勝目

全日本F3選手権Nクラス(第1大会 鈴鹿サーキット)

  • F3デビューウインを飾った野尻F3デビューウインを飾った野尻

5月14日〜15日、三重県鈴鹿サーキットで、2011年度全日本F3選手権シリーズの開幕イベント(第1戦及び第2戦)が開催された。HFDP(Honda Formula Dream Project)からは、昨年に引き続きF3参加2シーズン目となる三浦和樹に加え、昨年FCJを戦った野尻智紀の計2名が参加した。

  • 今季F3を戦う三浦と野尻今季F3を戦う三浦と野尻

14日、ドライコンディションで行われた2度の公式予選セッションで、野尻は1回目Nクラス2位、2回目でNクラス1位となり、デビューイベントでポールポジションを獲得した。一方三浦はタイムが伸び悩み、双方とも6位に終わった。

気温27度と初夏のようなコンディションで開幕戦の決勝レースが行われた。予選2位だった野尻は、見事なスタートダッシュで前にいた千代勝正選手のイン側に並び、ブロックを受けたが引かずに第1コーナーへ進入、先頭に立った。後方で三浦はポジションを守ってレースを始めた。野尻を追いかけた千代選手は5周目にデグナーカーブでコースオフしてレースを終えた。

  • クラス首位を走る野尻クラス首位を走る野尻

7周目、ペースが伸びない野尻は、後方からギャリー・トンプソン選手の追撃を受ける。しかし野尻は、何度か並びかかられながらも攻撃に耐える。野尻は首位を守りきり、フィニッシュ、開幕戦でデビューウインを飾った。三浦はNクラス5位でレースを終えた。

日曜日の第2戦もドライコンディションで行われた。野尻はポールポジションからスタートしたが、前方にいたCクラスの選手がスタートに失敗、その影響もあってコース取りをしている間に千代選手が首位に立った。トンプソン選手がこれに続いたが、ヘアピンでスピン、これを佐々木大樹選手が避けるという混乱の中、三浦が野尻に次ぐ3番手へ順位を上げた。

  • 厳しい週末を送った三浦厳しい週末を送った三浦

野尻は千代選手との間にクラス違いの選手を挟んでしまったこともあって迫ることができないまま周回を重ねる。三浦は背後に佐々木選手、中山雄一選手を従えて3番手を守る。しかし終盤、佐々木選手の先行を許し、4番手へ後退した。レースはそのまま終わり、野尻は2戦連続で表彰台に上がり、三浦は表彰台にこそ届かなかったものの、選手権ポイントを重ねて開幕イベントを終えた。

リザルト

三浦和樹

 予選決勝
Rd.16番手5位
Rd.26番手4位
 ポイントランキング5位(Nクラス シリーズ第2戦終了時点)

野尻智紀

 予選決勝
Rd.12番手優勝
Rd.21番手2位
 ポイントランキング1位(Nクラス シリーズ第2戦終了時点)
コメント

三浦和樹 「木曜から、雨でうまく走れず、気持ちが悪い方向へ行ってしまって流れが作れませんでした。僕の弱いところが出てしまったのだと思います。予選でも、野尻がポールポジションを取れるクルマを用意してもらっているのに、タイムが出せなかったのは僕に改善すべきところがあるからです。それが何なのかは自分でよくわかっているつもりです。最初のレースでは、フロントタイヤを使いすぎる悪いクセが出てしましました。レースを通して、走り方を改善する糸口をつかもうと心がけました。監督にもいろいろなアドバイスをもらって、日曜日の第2戦に臨みました。順位は上がりましたが自分ではまだまだだと思っています」

  • 三浦和樹三浦和樹

野尻智紀 「第1戦で優勝できたのは、すべてチームのおかげです。練習から、雨のコンディションにもすんなりなじめてタイムも出て、レースでも大丈夫だろうと自信を持ってレースを迎えられました。予選では千代選手にポールを取られてしまいました。これは高いレベルでタイムを争うイメージができておらず、攻めきれなかった自分の責任です。次の予選では走りを修正してポールが取れました。レースではスタートがうまくいったのが大きな勝因になりました。最後まで気を抜かず走ろうと心がけたのですが、タイムの落ち幅が大きかったのは反省材料です。第2戦はタイヤをいたわる走りと速さを両立できなかったために2位に終わってしまいました。まだ自分の走りには幅がないなと反省しています」

  • 野尻智紀野尻智紀

フォーミュラチャレンジ・ジャパン(第2大会 鈴鹿サーキット)

  • 2勝目をあげた平峰2勝目をあげた平峰

5月14日〜15日、三重県鈴鹿サーキットで、2011年度フォーミュラチャレンジ・ジャパンの第2イベント(第3戦及び第4戦)が開催された。HFDP(Honda Formula Dream Project)からは、平峰一貴、元嶋佑弥、清原章太、山田真之亮の計4名が参加した。

今回のイベントでは、予選セッションで第3戦のスターティンググリッドを決め、第3戦決勝レースを行ってレース中に記録された各自のベストタイム順で第4戦のスターティンググリッドを決めるという変則的なルールが適用された。ところが予選セッションのためコースインした平峰のマシンは直後に電気系トラブルを起こして走行不能になってしまった。元嶋は順調にタイムを記録して予選2位、清原は8位、山田は9位で走行を無事終えたが平峰はノータイム。結局出走嘆願により、第3戦はグリッド最後尾19番手からスタートすることになった。

  • 清原とFCJアドバイザーの井出有治清原とFCJアドバイザーの井出有治

予選を走らなかった平峰は、タイヤに余裕を残していたので、気持ちを切り替え第3戦決勝では第4戦のスターティンググリッド獲得のためファステストラップ記録に狙いを定め、決勝スタートでは敢えて前走車との間隔を開き、タイムアタックを行った。そして2周目、2分4秒418を記録した。一方、元嶋、清原、山田は自分のポジションを守ってレースを始めた。

平峰はその後再び自分からペースを落として後退し、6周目から2度目のタイムアタックを行い、タイムを2分4秒416、さらに2分4秒397へと短縮、第4戦決勝スタートのポールポジションを確保し15位でレースを終えた。2位を走る元嶋は、後続車を引き離し首位を走る石井一也選手に攻め寄って首位を狙う。ところが11周目、コース上にアクシデントが発生したためセーフティカーがコースイン、追い抜きが禁止となったままレースはそのままの順位でフィニッシュを迎えた。

  • 表彰台に上がった元嶋表彰台に上がった元嶋

日曜日、第4戦が行われた。スターティンググリッドは、第3戦のレース中に記録したそれぞれのベストタイム順で、平峰がポールポジション、元嶋3番手、清原9番手、山田12番手となった。スタートの加速で平峰は石井選手に並ばれ、2番手に後退して第1コーナーに進入した。平峰の背後には元嶋が続いた。

平峰は石井選手のあとにぴたりとついてレースを続けた。元嶋は平峰に引き離されて単独走行に入った。平峰は前を行く石井選手に対し再三にわたって追い抜きの姿勢を見せてプレッシャーをかける。3周目のシケイン、4周目の第1コーナー。平峰はそのたびに引いたが、5周目のスプーンでスリップストリームにつくと、シケイン進入で石井選手のインに飛び込み、そのまま追い抜いてついに首位に立った。

先頭に抜け出した平峰は、石井選手を一気に突き放して独走に入った。一方元嶋は2位に交代した石井選手に迫っていった。後方では清原が9周目にポイント獲得圏内である6位へ進出した。

  • 前日の苦境を跳ね返した平峰前日の苦境を跳ね返した平峰

10周を過ぎ、元嶋は石井選手との間隔を縮め、2番手を狙う構えに入った。ところが15周目のデグナーカーブ、元嶋の目の前で石井選手がスピン、直後にいた元嶋は避けきれずに接触、フロントウイングを壊してしまった。元嶋は4番手でコースに復帰し走行を続行するが、フロントダウンフォースがかからずペースは上がらない。

清原はこのチャンスに5番手まで順位を上げていた。しかし16周目のデグナーカーブで単独スピンして後退。4番手を守っていた元嶋も、最終ラップのシケインで後続車にコースから押し出されてしまい、更に順位を下げてフィニッシュすることとなった。

リザルト

平峰一貴

 予選決勝
Rd.319番手(ノータイムによる出走順)15位
Rd.41番手(Rd.3のレース中ベストタイム順)優勝
 ポイントランキング1位(シリーズ第4戦終了時点)

元嶋佑弥

 予選決勝
Rd.32番手2位
Rd.43番手(Rd.3のレース中ベストタイム順)7位
 ポイントランキング6位(シリーズ第4戦終了時点)

清原章太

 予選決勝
Rd.38番手8位
Rd.49番手(Rd.3のレース中ベストタイム順)8位
 ポイントランキング8位(シリーズ第4戦終了時点)

山田真之亮

 予選決勝
Rd.39番手9位
Rd.412番手(Rd.3のレース中ベストタイム順)10位
コメント

平峰一貴 「第4戦で優勝できて心からうれしいです。土曜日の予選ではトラブルのため走れず悔しい思いをしましたが、メカニックの方々にクルマをきっちり直してもらったので、第3戦では第4戦のためにファステストラップを記録することに徹する作戦をとりました。気持ちをうまく切り替えられたので、思い通りの結果が出せました。第4戦ではポールポジションからスタートだったので、今回は何が何でも勝つという気持ちでレースに臨みました。一旦石井選手に前に出られましたが、僕のタイヤには余裕が残っていたので特に慌てませんでした。プレッシャーのせいかタイヤのせいか、石井選手のミスが多くなっていたので、相手が隙を見せたときに前へ出ようと狙って、シケインで前へ出ました。次のレースでもこのまま勝ちを取りに行きます。そしてチャンピオンになります」

  • 平峰 一貴平峰 一貴

元嶋佑弥 「これまで、ニュータイヤを使ってうまくタイムが出せなかったのですが、今回はうまくいって予選で前へ出られました。ただ、気持ちが先走ってその一歩先まではいけませんでした。第3戦では後半ペースも上がってきて、ミスもなく走れていたので、最後の1周で思いきって勝負をかけてやろうと狙っていました。でもそこでセーフティカーが入ったことでそのチャンスを逃してしまい、残念でした。第4戦では前車を抜いて前へ出られる余裕があったので、一旦少し間を開けて様子を見て、よしいくぞと間を詰めたときに目の前でスピンされてしまったので避けようがありませんでした。ウイングがなくなってからは全然曲がらなくなって、まともに走れませんでした。平峰選手と1-2フィニッシュが見えていたので、思い出したくないくらい悔しいです。悪いことは忘れて次のレースで結果を出すことを考えます」

  • 元嶋 佑弥元嶋 佑弥

清原章太 「走り慣れたコースなのに予選では低迷してしまい、納得いきませんでしたが、走り終えてデータをチェックすると、やはりいろいろ課題が見えてくるものですね。第3戦では後半、タイヤが厳しい状態になってしまい、つらいレースになりました。フロントは入らない、リアは出てしまうという状態でした。まだ速さが足りません。なんとか解決しないといけません。第4戦では、いいペースに乗れ、順位も上げられたのですがスピンしてしまい悔しい結果に終わってしまいました。でも、タイヤの使い方も含め、全般的に走りを改善できたように思います。得たものが多いレースでした。次は、勝つためには何が必要なのかを考え始めないといけないと思っています」

  • 清原 章太清原 章太

山田真之亮 「予選は、経験不足もあり、うまくクリアラップがとれませんでした。一人で走ればそれなりのタイムを出す自信はあるのですが、前回のレースでも同じ失敗をしているので進歩がなかったと反省しています。第3戦は、ポイント目標に走りましたが、届きませんでした。第4戦は、意識してドライビングスタイルを変えてみました。スタートが悪く、後ろから攻められたのですが、ブロックしながら自分でも前を狙っていました。ですが、自分で思っているペースで走れず、結局順位を落としてしまいました。悪循環にはまっている感じがします。開幕からFCJでのレースを4戦経験したので、何かきっかけをつかめれば流れに乗れるはずと自分で自分に期待して次のレースに向かいます」

  • 山田 真之亮山田 真之亮