4月23〜24日、静岡県富士スピードウェイで、2011年度フォーミュラチャレンジ・ジャパン(FCJ)の第1イベント(第1戦及び第2戦)が開催された。HFDP(Honda Formula Dream Project)からは、昨シーズンから引き続き参戦する平峰一貴、元嶋佑弥に、2010年度SRS-F(鈴鹿レーシングスクール・フォーミュラ)のスカラシップを獲得したルーキー清原章太、山田真之亮を加えた計4名がシリーズにエントリーし、このイベントでシーズン開幕を迎えた。
本大会は開幕イベントであり、4月21日(木)から練習のための合同テストセッションが設けられた。ここではFCJで2シーズン目になる平峰が終始、好タイムを記録し、好調を見せつけた。
土曜日の午前中、第1戦と第2戦の公式予選がそれぞれ15分間で行われた。土曜日は朝から雨。コースは完全ウエットコンディションとなり、各車はレインタイヤを装着してタイムアタックを行った。その結果、第1戦のスターティンググリッドは、参加19台中、平峰が5番手、山田が6番手、清原が7番手、元嶋が10番手、第2戦のスターティンググリッドは、参加19台中、平峰が5番手、清原が6番手、元嶋が9番手、山田が15番手と決まった。第1戦は同日午後4時35分から行われる予定だったが天候が悪化、コースインを延期して状況を見たもののコンディション回復が見込めないとして、レースは日曜日朝に順延されることになった。
日曜日、雨は上がったが第1戦が開催される段階ではまだ路面はウェット状態であり、FCJ事務局は全車新しいレインタイヤを装着してコースインするよう決定を下した。スタートの瞬間、グリッド5番手の平峰はクラッチミートに失敗してエンジンをストールさせ、順位を大きく下げてしまった。一方、ルーキーの清原は3番手で第1コーナーへ進入したが、追突されてレースを終えた。元嶋も順位を上げてレースを始めたが、1周目に追突を受けてタイヤを損傷、一時的にペースを上げられなくなってしまった。それでもその後ファステストラップを記録、ポイントは確保した。
混乱を切り抜け4番手へ順位を上げた山田は、さらに順位を上げようと前を狙うが、後方からも追い上げを受け、5周目にオーバーランしてスピン、コースに復帰したものの順位を大きく落とした。スタートに失敗した平峰は猛然と追い上げを開始し、順位を上げていった。3周目には7番手、4周目には6番手、5周目にはスターティンググリッドと同じ5番手に復帰した。しかしその後はタイヤの消耗もあって追い上げのペースは鈍り、そのままフィニッシュを迎えることとなった。
第1戦のフィニッシュからわずか3時間にも満たない午前10時15分、第2戦のスタートが切られた。路面は乾き、全車ドライタイヤを装着してのレースである。スターティンググリッド5番手の平峰は見事なスタートダッシュを見せ、第1コーナーで3番手へ進出、さらに前を行く選手に迫って、ダンロップコーナーで2番手へ順位を上げ、オープニングラップを終えた。平峰はさらに首位を走る選手に迫り、2周目のダンロップコーナー、イン側に飛び込んでかわし、ついに首位に立った。先頭に出た平峰は周回ごとに後続を突き放し、独走状態へ持ち込んでいった。
ルーキーの清原はポイント圏内の6番手を守ってレースを始め、上位車の脱落にも助けられて12周目には5番手、17周目には4番手へ順位を上げた。その後方では接触で不具合が生じたマシンを操りながら元嶋が山田を従えて力走した。平峰はレース終盤にファステストラップを繰り返し更新、独走のままチェッカーフラッグを受けた。平峰にとっては初めてのFCJ優勝であった。清原は4位でフィニッシュ、ルーキーながら開幕イベントで初ポイントを獲得した。元嶋、山田も苦しみながら21周のレースを完走で終え、鈴鹿サーキットでの第2イベントへと望みをつないだ。
平峰一貴
予選 | 決勝 | |
---|---|---|
Rd.1 | 5番手 | 5位 |
Rd.2 | 5番手 | 優勝 |
ポイントランキング3位(シリーズ第2戦終了時点) |
元嶋佑弥
予選 | 決勝 | |
---|---|---|
Rd.1 | 10番手 | 16位 |
Rd.2 | 9番手 | 6位 |
ポイントランキング7位(シリーズ第2戦終了時点) |
清原章太
予選 | 決勝 | |
---|---|---|
Rd.1 | 7番手 | リタイア |
Rd.2 | 6番手 | 4位 |
ポイントランキング6位(シリーズ第2戦終了時点) |
山田真之亮
予選 | 決勝 | |
---|---|---|
Rd.1 | 6番手 | 8位 |
Rd.2 | 15番手 | 8位 |
平峰一貴 「予選では、まったくクリアラップがとれず、フラストレーションがたまったままセッションが終わってしまいました。でも第1戦ではスタートで順位を上げる自信があったんです。ただ、テスト走行のときからホイールスピンが多かったので、回転を低めにクラッチミートしようと思ったらそれが裏目に出てしまいました。それからはできるだけ上位へいこうと思って頑張って、5番手まで順位を上げたのですが、最後にタイヤが消耗してしまって、序盤のような追い上げは無理でした。
第2レースでは比較的うまくスタートができたうえ、前のクルマが争っていたのでうまくスリップについて第1コーナーへ向かったらインが空いて、そこへ飛び込んで順位を一気に上げられました。優勝できたのはうれしいです。僕にとっては、シリーズチャンピオンを取るためのシーズンだと思っていますから」
元嶋佑弥 「公式予選では、1周もクリアラップがとれませんでした。でもペースそのものは悪くないという手応えはありました。第1レース、雨が好きなので自信があったんです。スタートもうまくいって順位を上げて「よし」と思っていたら、Bコーナーでいきなり追突されてタイヤを壊してしまい、ペースが上がらなくなってしまいました。その後は良いタイムも出せたので惜しいレースになってしまいました。
第2レースではやはりBコーナーで接触してアライメントが狂ったようで、ストレートでもステアリングを切って走らなければならかったし、ブレーキを踏んだらどこへ飛んでいくかわからない状態で、正直なところ怖かったです。そんな状態だったので最後の最後5番手争いをしていたときは、接触してレースを終わらせても意味がないので無理に争わず、自分から引きました。ポイントは取れたので、満足ではありませんが納得はしています。次につなげます」
清原章太 「初めての4輪レースでした。公式予選では1周もまとまった走りができませんでしたが、それなりのタイムが出たと思っています。第1レースは雨で、リスクもあるので慎重にとは思いましたが、その分チャンスも出てくるので狙ってもいました。それで、スタートでうまく3番手へ抜け出して「よし!」と思ったらいきなりドーンとぶつけられて終わってしまいました。
第2レースは落ち着いてレースをしましたが、レーシングカートのようにはうまくいかず、前のクルマをどう抜くかライン取りに迷って、自分のペースがつかめないまま終わってしまいました。全部自分の責任です。デビューイベントでポイントは取れましたが自分では最低限表彰台に上がろうと思っていたので満足はとてもできません。次のイベントは走り慣れた鈴鹿ですから、そこで今の自分に足りない何かをつかもうと思っています」
山田真之亮 「合同テストのときから、ドライ路面ではうまくペースが上げられないという課題を抱えていました。ですから逆に雨の予選(と第1レース)では比較的良いポジションへ行けたんです。ただ第2戦の予選では大勢で走るのが初めてだったのであまりうまくはいきませんでした。第1戦の決勝では、3番手が見えてきたけど後ろからも追いかけられて、焦りがでてしまってオーバーランしてスピンし、遅れてしまったんです。それ以降は落ち着いて走り、順位も取り戻すことができたので納得はしています。でも最低でも6位と思っていたので、まだまだですね。
第2戦はドライコンディションになって、やはり思うようにペースが上げられず守りのレースになって厳しかったです。おそらくタイヤの特性をまだつかめていないせいなんだろうと思っています。第2イベントは走り慣れた鈴鹿なので、そこでタイヤを学び直して活路を切り開こうと思っています」