VOL9

学び、悩んだ1シーズン

フォーミュラ・ニッポン(第7戦 鈴鹿サーキット)

2010全日本選手権フォーミュラ・ニッポンのシリーズ最終戦は、11月6日(土)〜7日(日)に三重県鈴鹿サーキットで開催された。HFDP RACINGからは塚越広大が出走した。塚越もチームも得意とする鈴鹿サーキットで迎える最終戦は2レース制で行われた。レース1は予選Q1の、レース2はQ3までの結果によってスターティンググリッドを決める規則である。

  • 塚越広大塚越広大

土曜日午前中にフリー走行が行われたが、塚越のラップタイムは伸び悩み、塚越とチームは打開策を探り始めた。そして土曜日午後、ノックアウト方式の公式予選が始まった。塚越はまずQ1セッションで1分41秒738を記録し、10番手でQ2セッションへ進出した。(12番手までQ2進出)この段階で決勝レース1における塚越のスターティンググリッドは10番手となった。

Q2セッションで記録した塚越のタイムは1分41秒286で8番手。最下位ながらもQ3へ進出、Q3では1分41秒341を記録したが8番手に終わった。ところが予選終了後の車検で、Q3を7番手で終えた伊沢拓也選手(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)が車両規定違反(スキッドブロック寸法違反)に問われ予選全タイムが抹消されたため、塚越のスターティンググリッドはそれぞれひとつずつ繰り上がり、レース1で9番手、レース2で7番手と決定した。

  • チームと塚越チームと塚越

日曜日午前10時20分からレース1が行われた。9番手からスタートした塚越は加速が鈍く11番手に順位を落としレースを始めた。レース1は16周のスプリントレースで、前の平手晃平選手(Mobil1 TEAM IMPUL)、後の平中克幸選手(KCMG)に挟まれた形になり一進一退を強いられた。最終ラップ、松田次生選手(KONDO RACING)がレースから脱落したため、塚越は10位でチェッカーフラッグを受けた。

レース2は日曜日午後2時30分から始まった。レース2は28周で、途中タイヤ交換の義務が入る。タイヤ交換のピットインはスタートから10周以上経過してから許され、交換本数に制限はない。したがって、ピットインのタイミングやタイヤ交換本数によって戦略を組み立てることが可能である。

  • 2レース制の最終戦2レース制の最終戦

スターティンググリッド7番手だった塚越はクラッチミートでエンジンをストールさせ、再スタートするまでに大きく遅れ最下位に転落した。塚越はここから猛然と追い上げを開始、上位グループに並ぶペースで前を行く井口卓人選手(DELIZIEFOLLIE/CERUMO-INGING)との間隔を1周につき2秒弱ずつ縮めていった。6周目、井口選手がコースオフしたため塚越の順位は1つ繰り上がり、ケイ・コッツォリーノ選手(Team LeMans)を約7秒の間隔で追いかけ、やはり1周につき2秒弱ずつ間隔を縮め始めた。

10周を過ぎ、タイヤ交換のためピットインする選手が出始めた。塚越は13周を走り終えてピットイン、左リアタイヤ1本のみの交換でピットストップでのロスタイムを最小限に止め、順位を上げる作戦に出た。作戦は当たり、ピットアウトで平中選手の前に出て抑え込んで順位をひとつ上げ、さらに遅れてピットインしたコッツォリーノ選手の前にも出て、12番手へ進出した。

  • 塚越の力走塚越の力走

塚越の前を走るのは伊沢選手、その間隔は6秒強。塚越はじりじりとその間隔を縮めたが、結局追いつかず、12位でフィニッシュした。その結果、塚越はシリーズランキング9位でシーズンを終えた。

リザルト

塚越広大

 予選決勝
Rd.77番手12位
 ポイントランキング9位(シリーズ終了時点)
  • 塚越広大塚越広大
コメント

塚越広大 「走り出しから上手に走ることができませんでした。最終戦に向けてチームでもいろいろ分析してクルマを持ち込んで、ぼく自身も気合いを入れて臨んだレースですが、正直なところ思うような結果が残せませんでした。予選でQ3に残れたのは、今回の状況の中ではよかったなとは思います。でも決勝は2回ともスタートで失敗してしまってチームには申し訳ないことをしてしまいました。レースは、今ある中で自分のベストを出せるようにと走っていました。1周1周いろんなことを考えながら走りました。けれども結果は出せませんでした。今年は第2戦で表彰台に上がっていい感じだったのに、そこからうまくいかなくなって悔いの残るシーズンになってしまいました」

田中弘監督 「なぜか、当初想定していたセッティングで走り出すと、前側を底打ちしてスキッドブロックが削れてしまうので、ウエット仕様程度まで車高を上げて走らざるをえなかった。それでも決勝レース2ではリアタイヤ1本だけ変えてこのタイム(レース中に記録したベストタイムは5位)が出るのだから、何かできただろうと残念だ。今回はスキッドブロックをいかに削らないかということばかり考えなければならず、正直なところレースにはならなかった」

全日本F3選手権Nクラス

今回は該当レースはありません。

英国F3

今回は該当レースはありません。

フォーミュラチャレンジ・ジャパン(第6大会 鈴鹿サーキット)

2010 フォーミュラチャレンジ・ジャパン(FCJ)第6大会(第10戦/第11戦/第12戦)は、11月6(土)から7日(日)、鈴鹿サーキットで開催された。

  • 平峰一貴平峰一貴

F1日本GPのサポートレースとして10月10日(日)に実施される予定だった第10戦決勝は、降雨のため前日のF1公式予選が順延された影響を受けて延期され、第6大会に組み込まれた。この結果、第6大会では第10戦から第12戦の3レースが行われることになった。

第9戦決勝中のベストラップタイムで決められた第10戦のスタート順位は、平峰が3番グリッド、野尻が4番グリッド、中村真志が5番グリッド、元嶋佑弥が8番グリッドだった。第10戦決勝(10周)がスタートしたのは6日(土)の午前8時45分過ぎ。赤信号消灯後、平峰と野尻は競り合うように第1コーナーへ進入するも、2人はそのままの順位で周回を重ねた。

  • 野尻智紀野尻智紀

5周目に2番手の選手にペナルティが科されたため、平峰は2番手へ、野尻は3番手へそれぞれ浮上。首位の選手に独走優勝こそ許したものの、2人のHFDPドライバーが表彰台に立った。一方、中村はスタートで順位を落とすものの、上位の脱落によって順位を上げ、自己最高位となる5位を獲得した。また、元嶋は1周目の第2コーナーでの競り合いによってスピン、一時は最後尾近くまで後退したものの11位で完走した。

第10戦決勝の終了から約1時間30分後、午前10時40分より第11戦および第12戦の予選が実施された。いずれも圧倒的な速さを誇るポールシッターを除けば、上位陣はコンマ5秒以内の接戦で、第11戦は、平峰が3番手、野尻が5番手、元嶋が8番手、中村が9番手。続く第12戦はセッション終盤に赤旗が掲示されたものの、平峰が4番手、元嶋が6番手、野尻が7番手、中村が9番手を確保した。

  • 元嶋佑弥元嶋佑弥

6日(土)の午後1時15分過ぎに第11戦決勝(12周)が始まった。3番グリッドの平峰は好位置から優勝を狙ったが、鋭い出足を見せた4番グリッドの選手にスタートで抜かれて早くも順位を下げた。5番グリッドの野尻は順位を維持したまま、平峰の背後にピタリとつけて追い抜きの機会をうかがった。結局、上位陣の順位は変わらぬまま、平峰は4位、野尻は5位をそれぞれ獲得した。一方、8番グリッドの元嶋は1周目にひとつ順位を上げ、レース終盤には前を行く選手に激しく迫ったものの7位に留まった。また、9番グリッドの中村は1周目の130Rコーナーで前の選手を華麗に抜き去って順位を上げたが、直後のシケイン(カシオトライアングル)でクルマのコントロールを失った背後の選手に激突されてリタイアに終わった。

  • 中村真志中村真志

翌7日(日)の第12戦決勝(16周)は午前8時20分過ぎにくもり空のもとで始まった。4番グリッドの平峰はスタートでの浮上を狙ったものの叶わず、そのままの順位で周回を重ねた。8周目には目の前の選手がリタイア、自動的に順位を上げた平峰は最終戦を3位表彰台で飾った。6番グリッドの元嶋と7番グリッドの野尻は、ともにスタートで順位をひとつ下げた。もっとも、前を行く2選手が上位争いから離脱したこともあり、レース終盤の元嶋は平峰を追い立てる快走で4位を手にした。一方、野尻は6位に終わったとはいえ、レース終盤は3番手争いに加わる力走を見せた。また、8番グリッドの中村は7位に留まった。

この結果、ポイントランキングは平峰が3位(ルーキー最上位)、元嶋が4位、野尻が5位、中村が13位でシーズンを終えることとなった。

リザルト

野尻智紀

 予選決勝
Rd.104番手3位
Rd.115番手5位
Rd.127番手4位
 ポイントランキング5位(シリーズ終了時点)

平峰一貴

 予選決勝
Rd.103番手2位
Rd.113番手4位
Rd.124番手3位
 ポイントランキング3位(シリーズ終了時点)

元嶋佑弥

 予選決勝
Rd.108番手11位
Rd.118番手7位
Rd.126番手6位
 ポイントランキング4位(シリーズ終了時点)

中村真志

 予選決勝
Rd.105番手5位
Rd.119番手リタイア
Rd.129番手7位
 ポイントランキング13位(シリーズ終了時点)
コメント

野尻智紀 「第10戦はレース中盤になって、前を走る1台がいなくなったことで結果的には3位にはなれましたが、トップの選手との差は大きいので満足してはいません。第11戦と第12戦の予選では、セッション後半は渋滞や自分のミスもあってタイムが伸び悩んでしまい、あまりよいグリッドを得られませんでした。そのあたり、タイムアタックにおいて自分自身のタイヤの使い方などの工夫が足りなかったのかもしれません。決勝は第11戦も第12戦もそれなりのペースでしか走れず、もちろんトップとは差がありました。今年はシーズンを通じてクルマの状態に悩み続けて、すごくいろいろな走りを試してみたりもしました。そうした中で得られたものは確実に自分の糧になっていると思いますし、運転技術も確実に向上したと僕は信じています。また乗れるチャンスを得られたら、今年1シーズンの経験とここで学んだことを生かして、より成長した自分を見せられると僕は信じています」

  • 野尻智紀野尻智紀

平峰一貴 「金曜日からメカニカルトラブルに悩まされました。しかし、これも1つの経験と思いこらえました。ペースがなかなか上がらず、原因を追及した結果、ブレーキに問題があることが分かりました。それを直して第10戦は2位を得られましたが、シフトダウンがうまくいかない兆候がありました。第11戦はトラブルこそありませんでしたが、スタートで前へ行かれて悔しいレースになりました。第12戦は本格的なシフトのトラブルに見舞われ3位を維持するので精一杯でした。この一年は、"我慢"という言葉で表現できると思います。クルマのトラブルがあって結果を残せなかったとき、トラブルだから仕方ないと受け止めてしまうと絶対に次にはつながらないと考えました。精神的に苦しい時期もありましたが、我慢することで精神的には成長できたと思います。ルーキーではランキングシリーズ最上位ですが、相手が経験者でも走る舞台が同じである以上、この結果に満足していません」

  • 平峰一貴平峰一貴

元嶋佑弥 「第10戦はスタートがうまく決まり、前のクルマを次々と追い抜けました。でも、第2コーナーで直前の選手がこちら側へ寄ってきて、コースの外に押し出されてスピンしました。予選で上位にいれば、ああいう不運にも巻き込まれなかったはずなので、自分にも責任があります。第11戦と第12戦の予選は、赤旗や渋滞の影響もあって、自分のベストタイムを失ってしまいました。第11戦は後半のペースこそ上がりましたが、入賞には届きませんでした。第12戦は第11戦と同じく序盤はペースが上がりませんでしたが、最後までプッシュし続けたつもりです。4位という結果はかなり悔しいです。今季一年を戦って、運転技術の面で自信がつきました。練習中はトップタイムに近いところを常に出せていたと思いますし、1勝できたことも大きかった。ただ、予選での弱さという課題はあります。予選がよければ、あと1勝か2勝はできていたと思います」

  • 元嶋佑弥元嶋佑弥

中村真志 「第10戦はスタートミスで順位を落としましたが、上位の選手がいなくなって5位を得られました。スタートをもっとうまく決めていればと悔やまれます。第11戦は1周目の130Rで前のクルマをインから追い抜いたのですが、シケインで後ろからぶつけられてしまって……。あれは避けようもなかったですね。第12戦は1周目に上位が何台かいなくなったので自然と順位が上がりました。でも、第11戦の事故の影響なのかクルマにガタが出始めました。その不具合がなければ順位を上げられる可能性もあったと思います。予選をもっとうまくまとめて上位に行かないと、決勝での戦いはなかなか難しいですね。FCJを1シーズン経験してみて感じたことは、開幕前のテストではワンパターンの乗り方しかできませんでしたが、自分でクルマの向きを思うように変える乗り方ができるようになり、路面の違いに対するドライビング面での対応もできるようになったことが成長した部分だと思います」

  • 中村真志中村真志