VOL8

波乱のレースを走り抜く
小林、F3Nクラス王座獲得

フォーミュラ・ニッポン(第6戦 オートポリス)

2010全日本選手権フォーミュラ・ニッポンのシリーズ第6戦は、10月16日(土)〜17日(日)に大分県オートポリスサーキットで開催された。HFDP RACINGからは塚越広大が出走した。

  • オートポリスを攻める塚越オートポリスを攻める塚越

塚越は昨年のオートポリスでは上位争いを繰り広げた。しかし今年は土曜日朝のフリー走行でタイムが伸び悩んだ。チームは帰ってきたマシンをチェックし、一部セッティングの問題を発見、調整を行って午後の予選に備えた。

午後、ノックアウト方式の公式予選が行われた。前戦からのパワーステアリング装備や冷え込んだ気候のせいもあってFNのコースレコードが続々と更新される中、塚越はまずQ1セッションで1分32秒065(コースレコード)を記録し、10番手でQ2セッションへ進出した。しかしQ2セッションで塚越のタイムは伸び悩み、自信のタイムは1分31秒695へと短縮したものの10番手に終わり、Q3進出はならずスターティンググリッドは10番手と決まった。

  • 上位を快走した塚越だったが上位を快走した塚越だったが

決勝で、塚越は10番手グリッドからうまく加速した。しかし目の前で複数台が関わるアクシデントが発生したため、一瞬アクセルを抜いたものの回避、第1コーナーには一気に4番手まで順位を上げて進入した。ここでセーフティカーが先導にコースインした。この間に塚越の後方にいたアンドレ・ロッテラー(PETRONAS TEAM TOM'S)、ファオ・パオロ・デ・オリベイラ(TEAM IMPUL)、前方にいた小暮卓史(NAKAJIMA RACING)が義務づけられていたピット作業を行った。塚越の順位は3番手に上がったが、塚越自身はレース中盤にピット作業を行う当初の戦略を選んで走行を続けた。そして5周を終了したコントロールラインでレースが再開された。

塚越は山本尚貴(NAKAJIMA RACING)、平手晃平(TEAM IMPUL)に続いて3番手を守って走行を続けた。20周目、山本がピットイン、塚越は2番手に上がり、28周終了時点でピットイン、給油とタイヤ交換を行った。コースに復帰したときの順位は首位から約40秒遅れの6番手へ後退していた。

  • ピット作業を行う塚越ピット作業を行う塚越

33周目の1コーナーで井口卓人(DELIZIEFOLLIE/CERUMO-INGING)を追い抜いて5番手へ上がった塚越はピット作業を終えて前のポジションに復帰した平手を追いかける展開となった。42周目、ペースが落ちた平手を追い抜いて4番手へ上がった塚越は、首位から17秒遅れで、前を走る石浦宏明(Team LeMans)を追走した。塚越と石浦の間隔は周回毎に縮まっていった。しかし周回数が足りず、最終周でわずか0.5秒差の4位でフィニッシュを迎えた。

レース後の車検で車両底面に取り付けられたスキッドブロックが、走行中の底打ちにより規定以上に削れて薄くなっていたとして塚越は失格裁定を受け、惜しくも選手権ポイントを獲得することはならなかった。

リザルト

塚越広大

 予選決勝
Rd.610番手失格
 ポイントランキング9位(シリーズ6戦終了時点)
  • オーナー、監督とスタート前の打ち合わせオーナー、監督とスタート前の打ち合わせ
コメント

塚越広大 「スタートはよくてこれは前へ行けそうだと思っていたら目の前でアクシデントが起きてクルマが前を横切っていったのでアクセルを抜いて避けました。リスクを冒せばもっと前に行けたかもしれないけれども、無事あのポジションを確保できたのでよかったのだと思っています。レース前半は前の2台についていくことに集中しましたがピットに入ってからは路面の状況が変わって、クルマに合ってきたので、非常に良い勉強になりました。今週はいろいろと走り方を考えて修正しながら走っていたのですが、決勝で納得できる走りができたように思います。失格は残念です。でも最終戦の鈴鹿はオートポリスとはキャラクターが違うサーキットですが、今回得たものが生かせると思います」

田中弘監督 「ピットインからコースに復帰したとき一気に前のクルマを抜けていればもう1つ前に行けたかもしれないが、スターティンググリッドの位置を考えれば、これが最善の結果だっただろう。戦略的にいろいろ解析もしたが、よほどイレギュラーなことが起きない限り大逆転ができるとは思っていなかった。塚越は、決勝レースではタイヤの使い方を考えたいい走り方をしたと思う。走り方については合格点をやりたい。失格は不可抗力。最終戦の鈴鹿では、2レースのうちどちらかで勝たないとおさまらない気分だ」

全日本F3選手権Nクラス(第8大会 オートポリス)

2010全日本F3選手権シリーズの第8大会(第15戦/第16戦)は、10月16日(土)〜17日(日)に大分県オートポリスサーキットで開催された。HFDP RACINGからNクラスに参戦する小林崇志は、第15戦は優勝で第16戦はリタイア。この結果、小林は2010全日本F3選手権シリーズのチャンピオンに輝いた。HFDPとしては、2009年の山本尚貴に続いて2年連続のタイトル獲得となった。同じくNクラスに参戦する三浦和樹は、第15戦はリタイアで第16戦は3位。この結果、三浦は同シリーズを6位で終えた。

大会前日の15日(金)には恒例の練習走行が組まれ、小林はクラストップのタイムを記録した。三浦はこのオートポリス初走行という事情もあって、クラス5番手のタイムを記録するに留まった。

さわやかな秋空に恵まれた16日(土)の午前8時50分から始まった予選で、小林は第15戦では4番手、第16戦では2番手といずれもポールポジションを逃した。一方の三浦は、第15戦では7番手で第16戦では6番手に終わった。

同16日(土)の午後3時20分過ぎに始まった第15戦の決勝(14周)、2番グリッドと3番グリッドの2台がスタートの加速でもたつき、4番グリッドの小林を含む3台は並走するように第1コーナーへ接近した。もっとも、小林はコーナーの最も内側から進入する空間しか残されておらず、他車と接触の危険性もあるため一歩引いた。すると直後、競り合っていた前の2台が第1コーナーの立ち上がりで接触、コースアウトしてともにリタイアとなった。そのうちの1台は、小林とチャンピオンを争っている選手だった。小林は労せずして2番手へ浮上した。一方、7番グリッドの三浦は1周目の第2コーナーで他車に追突、コースアウトしてレース早々にリタイアした。

  • オートポリスは得意な小林オートポリスは得意な小林

1周目の第1コーナーと第2コーナーでそれぞれ停止した事故車両を排除するため、レースは2周目終了時点から7周目終了時点までセーフティカーが導入された。8周目よりレースはリスタート、2番手を走る小林は首位を走る選手に食らいついて追い抜きの機会をうかがった。しかし、最後までそれは訪れることなく2位でチェッカーフラッグを受けた。ところがレース終了後、優勝した選手はセーフティカー導入時における前方車両との間隔保持に違反があったと判断され、ペナルティを科されて4位へ降格。小林は繰り上がりで優勝となり、1戦を残して2010 全日本F3選手権シリーズのNクラス王座に就いた。

前日に引き続き好天となった翌17日(日)の午前10時35分過ぎから始まった第16戦の決勝(20周)、3番グリッドの選手が鋭いスタートを見せ、2番グリッドの小林は3番手へ後退して第1コーナーへ接近した。その第1コーナーの立ち上がりではCクラスの上位2台が絡む事故が発生、この混乱の煽りで小林を含むNクラスの上位3台は接近戦となった。Nクラスの上位3台は続く第2コーナーへ並走する格好で進入。このとき右コーナー立ち上がりで最も外側に居た小林は、次の左コーナー手前で首位の選手にコース外へ弾き飛ばされタイヤバリアに衝突、車両がダメージを負ったため0周リタイアとなった。

  • 速さがタイムにつながらず悩む三浦速さがタイムにつながらず悩む三浦

一方、6番グリッドの三浦は小林のリタイアによって1周目に5番手へ浮上した。4番手の選手から徐々に引き離される苦しいレース展開を強いられながら迎えた18周目、3番手と4番手の選手がヘアピンコーナーで接触してそのままリタイア。これで三浦は労せず順位を上げ、3位でチェッカーフラッグを受けた。

リザルト

小林崇志

 予選決勝
Rd.154番手(Nクラス)優勝(Nクラス)
Rd.167番手(Nクラス)リタイア
 Nクラス シリーズチャンピオン獲得

三浦和樹

 予選決勝
Rd.155番手(Nクラス)リタイア
Rd.166番手(Nクラス)3位(Nクラス)
 ポイントランキング Nクラス 6位
コメント

小林崇志 「この大会も予選段階からリズムにうまく乗れない週末になりました。ミスが焦りを生んでしまうのかもしれません。第15戦は苦しい展開で2位に終わりました。最終的には1位の選手にペナルティが科せられて、自分が何もしないまま優勝しました。スタートミスが第16戦をリタイアで終わった根本的な原因です。第2コーナーで順位を戻せそうだったのですが、横にいたクルマが予想以上にこちらへ寄ってきて、弾かれてクラッシュしてしまいました。最終的にはタイトルを取りましたが、いまは複雑な心境ですし不完全燃焼です。特に後半戦は、自分のミスで勝てるレースを落とし続けました。それでもチームは自分をサポートし続けてくれましたし、完ぺきなクルマを用意してくれました。満足のいく内容ではありませんが、それでもチャンピオンという結果でチームには恩返しできたと思います」

  • 昨年の山本に続きHFDPからチャンピオン昨年の山本に続きHFDPからチャンピオン

三浦和樹 「コーナーへ飛び込みすぎるという練習段階での自分の悪い癖を直そうと思って予選に臨みました。それによりタイムこそ上位とは縮まりましたが、癖は修正しきれないままでいいグリッドを得られませんでした。第15戦は自分のミスで前のクルマに追突し、1周もできないまま終わってしまいました。第16戦ではタイヤを余計に摩耗させてしまうドライビングを直せず、レース後半はラップタイムを安定させることすらできませんでした。最終的には3位表彰台に立てましたが、チームとチームの用意してくれるクルマのポテンシャルを考えると、シーズンは常に表彰台圏内でレースを戦えるはずで、結果的に4回しか表彰台に立てなかったことを考えると自分の力不足を痛感しましたし、すごく悔しく思います。1シーズンにわたってサポートしてくれたチームにはたいへん感謝しています」

  • 三浦、久しぶりの表彰台三浦、久しぶりの表彰台

英国F3(第10ラウンド ブランズハッチ)

イギリスF3選手権第10大会は、9月25日〜26日にイギリス屈指の難コースとして有名なブランズハッチGPサーキットで行われた。これがシリーズ10大会30レースの最終大会となる。

  • シリーズ最終大会を迎えた中嶋シリーズ最終大会を迎えた中嶋

公式予選は、ドライコンディション。フリー走行無しでいきなり予選のアタックをするという形で行われた。セッション早めにペースを上げようと集中した中嶋は、1セット目のアタックが終わった時点では3番手に付けた。しかしタイム更新を狙った2セット目のアタックでは、悪いタイミングでピットからペースの遅い車がコースインしてアタックのリズムを乱されてしまったうえ、タイムを更新するチャンスとなるセッション最後の5分間はコース上で黄旗が継続的に出されていたため、 結局1 セット目のタイヤで記録したタイムが自分のべストタイムとなってしまった。結果、べストラップは10番手、セカンドベストラップ9番手に終わった。

土曜日の午後に行なわれた決勝第1レースを中嶋は9番手グリッドからスタートしたが、第1コーナーであるパドックヒル・ベンドで行き場を失った際に ヘゼマン・ジャファー(Carlin)にポジションを奪われ、一旦10番手に落ちてしまう。しかし、その後第6コーナーで8位を走行していた ジャン・エリック・ヴァ一ユ(Carlin)とジャファーが軽く接触したので、この間隙を縫って中嶋は9位に再浮上した。結果的にスターティンググリッドと同じ9位でオープニングラップを終えた中嶋は、前を走る5位グループに接近し周回を重ねて行った。

  • 最終戦を力走する中嶋最終戦を力走する中嶋

中嶋のペースは、前を走っていた数台より勝っていた。しかし中高速コーナーの繰り返しであるこのサーキットの特徴上、オーバーテイクは非常に難しく、我慢のレースを強いられることになった。結局オープニングラップからチェッカーフラッグまで、順位は大きく動かないまま23周のレースは幕を閉じた。

日曜日の午前に行なわれた第2レースでは、第1レースのフィニッシュ順位に基づき中嶋のスターティンググリッドは9番手。中嶋は、スタート直後の第2コーナーでスピンを喫した車両をかわし8位に浮上した。オープニングラップ以降は第1レースと同じく比較的単調な展開となり、コース上での順位変動はほとんど見られなかった。中嶋は第1 レースに比べ若干ペースで苦しみ、前を走るオリ・ウェッブ(Fortec Motorsport)に対してプレッシャーを掛けるまでには至らず、 15周のレースを単独8位でフィニッシュした。

  • 速さを結果につなげるために速さを結果につなげるために

日曜日の午後に行なわれた第 3 レースは、不安定な天候により非常に興味深いものとなった。フォーメーションラップ開始の直前に降り始めた雨は路面を濡らし、コース上はハーフウエットのコンディションとなる。フォーメーションラップが終わった段階で数台はウエットタイヤへと交換する賭けに出たが、中嶋を含む大多数はスリックタイヤのままスタートを切った。中嶋はオープニングラップをスタート順位と同じ10位で終えると、2周目には滑りやすいコンディションの中チームメートであるフェリペ・ナスル(Raikkonen Robertson Racing)を第5コーナーへの進入でアウトサイドからオーバーテイクし9 位に浮上する。その後はしばらく前を走るジャファーの真後ろに付けプレッシャーを与え続けるが、なかなかポジションを上げるチャンスを見出すことができずにいた。

コースコンディションは徐々に回復し、スタート直後には1分34秒前後だったラップタイムも8周目を終えた時点では1分22秒ほどとなって、ドライコンディションへと近い状況となっていた。この頃になると、レースのスタート時にウエットタイヤへの交換をしたメンバーの内、一部は再びスリックタイヤへの交換を行った。しかし、9周目に入った頃、コース上空は再び雨雲に覆われ、スタート時よりも強い雨が降り始めた。

  • チームとも今季最後の仕事チームとも今季最後の仕事

コースの前半は問題なくプッシュしていた中嶋であったが、コース後半の第8コーナーに差し掛かったところで濡れた路面に足元をすくわれ、なんとかスピンやコースアウトは免れたものの大きくタイムロス、ここでポジションを2つ落とし11位へと後退した。この9周目から雨の量はどんどんと増え続け、 ラップタイムが再び1分34秒前後まで落ちた15周目にはトップを走っていた ジェームズ・カラード(Carlin)と2位を走っていたウイリアム・フラー(Hitech Racing)、8位を走っていたナスルがピットへと入りウエットタイヤへの交換を行った。さらに16周目と17周目にはガブリエル・ディアス(Hitech Racing)とジャファー、ウェッブがタイヤ交換を行い、この時点でスリックタイヤを履いていた中嶋は、同様にスリックタイヤのままレースを走り切る作戦を取ったダニエル・マッケンジー(Fortec Motorsport)、カルロス・ウェルタス(Raikkonen Robertson Racing)、アドリアーノ・ブザイド(Carlin)に続く4位番手へ浮上した。

  • 英国の風景の中、中嶋の疾走英国の風景の中、中嶋の疾走

しかし中嶋の思いは外れ、その後雨脚が弱まることはなく、ウエットタイヤを装着したドライバーたちの激しい追い上げにさらされる。スリックタイヤで走行していたドライバーの中では最も速いラップタイムで周回を重ねていた中嶋であったが、ウエットタイヤを装着したドライバーたちを抑えることはできず、24周目にはポジションを10番手まで落とした。それでも同じくスリックタイヤで走行していたブザイドの背後まで迫った中嶋は、一つでもポジションを上げるべくプッシュを続けていた。しかし迎えた25周目、第2コーナーでリアのグリップを失った中嶋は車体後部をグラベルに落とす形でストップ。再スタートは叶わずここでリタイアとなった。

リザルト

中嶋大祐

 予選決勝
Rd.289番手9位
Rd.299番手8位
Rd.3010番手リタイア
 ポイントランキング11位(シーズン終了時点)
  • 2年目の英国F3を終えた中嶋2年目の英国F3を終えた中嶋
コメント

中嶋大祐 「結果的には予選でよいポジションを獲得できなかったことがすべてです。最後のレースは、後半にかけて雨が弱まれば違った展開になっていたと思いますが、 残念ながらそうはなりませんでした。今シーズンは、開幕前の状況からは想像もつかないほど苦戦した一年となってしまいました。みなさんの期待に応えることができず悔しく申し訳ない気持ちでいっぱいですが、昨年も含めこの2年間イギリスで経験したことは今後に向けて掛け替えのない貴重な糧になると思っています。今シーズンのレース活動をするにあたって支援をしていただいたすべての方には感謝の気持ちでいっぱいです。 この経験を今後最大限生かすことができるように、サーキットではもちろんのこと、それ以外の場所でも精一杯の努力を続けていきたいと思っています」

フォーミュラチャレンジ・ジャパン(第5大会 鈴鹿サーキット)

2010 フォーミュラチャレンジ・ジャパン(FCJ)第5大会(第9戦/第10戦)は、F1日本グランプリのサポートイベントとして、10月8日(金)〜10日(日)、鈴鹿サーキットで開催された。

  • 予選を走る野尻智紀予選を走る野尻智紀

金曜日朝8時45分から30分間のフリー走行を行った後、公式予選はF1のフリー走行を挟んで15時50分、曇り空の下で始まった。このセッションのタイム順で土曜日に行われる第9戦決勝のスターティンググリッドを決定し、第9戦決勝のレース中に記録したそれぞれのベストタイム順で日曜日に行われる第10戦決勝のスターティンググリッドを決めるという変則的なスケジュールで競技が運営された。

  • 予選を走る元嶋佑弥予選を走る元嶋佑弥

走行開始時点では路面はドライコンディションだったが、後半になって雨が降り始め、セッション終盤には路面コンディションが悪化した。参加者はスリックタイヤのままセッションを走りきったが、終盤でのタイム向上は難しい状況だった。HFDPから参加した野尻智紀は4番手、元嶋佑弥が5番手、平峰一貴が6番手、中村真志が11番手となった。

天候はその後悪化、雨は翌9日まで続き、完全ウエット状態の路面で第9戦決勝が行われた。フォーメーションラップでも水しぶきが高く上がる状況で、スピンしたりコースオフしたりする選手が出る中、レースは始まった。まず平峰が絶好のスタートダッシュを見せ、一気に3番手へ順位を上げた。野尻と元嶋は平峰にかわされて5番手、6番手へ順位を落とし、1コーナーへ向かう。だが野尻は1周目のシケインで大谷のインへ飛び込み、4番手へ順位を上げた。

  • 予選を走る平峰一貴予選を走る平峰一貴

その後野尻は大谷をじりじりと引き離して平峰に近づいていく。しかし2周目、平峰はファステストラップをたたき出して野尻との間隔を開いた。一方元嶋は大谷を攻めるものの追い抜くには至らない。中村はスタート直後にオーバーランして順位を11番手に落とした後、3周目には上位同等のタイムを記録してなんとか順位を上げようと力走するが、思いはかなわず逆に4周目のデグナーでオーバーランし16番手まで順位を下げた。

徐々に野尻を引き離し平峰は松井に迫っていった。ところが4周目のデグナーでオーバーランし、コースに復帰する間に後方の野尻に追いつかれた。だが平峰はこらえ、再び野尻を引き離して3番手のポジションを守った。野尻も後続の選手を引き離し単独走行に入りながら平峰を追走する。一方元嶋は大谷、立石に挟まれながら5番手を争い始めた。

  • 予選を走る中村真志予選を走る中村真志

少しずつ引き離されながらも、なんとか平峰に追いつこうと力走を続けていた野尻は8周目のスプーンでオーバーランして遅れ、3番手争いに決着がついた。平峰は3位でチェッカーフラッグを受け、スタンドに詰めかけた大観衆の前で表彰台に上がった。野尻は4位、元嶋は6位でフィニッシュ、それぞれシリーズポイントを加算した。中村は15番手に順位を上げるが7周目に再びオーバーランして16番手へ順位を落とし、そのままレースを終えた。レース中のベストラップでは、平峰が3番手、野尻が4番手、中村が5番手、元嶋が8番手であった。

本来ならば、この順位で第10戦のスターティンググリッドが決まり、翌日曜日朝に決勝が行われる予定だった。ところがその後雨が強まり、14時から行われる予定だったF1の公式予選の翌日への順延が決まり、それに伴って日曜日午前10時にスタートするFCJ第10戦は中止となった。なお第10戦は、鈴鹿での最終大会で代替開催の予定だ。

リザルト

元嶋佑弥

 予選決勝
Rd.95番手6位
 ポイントランキング4位(シリーズ9戦終了時点)

平峰一貴

 予選決勝
Rd.96番手3位
 ポイントランキング3位(シリーズ9戦終了時点)

野尻智紀

 予選決勝
Rd.94番手4位
 ポイントランキング5位(シリーズ9戦終了時点)

中村真志

 予選決勝
Rd.911番手16位
 ポイントランキング11位(シリーズ9戦終了時点)
コメント

平峰一貴 「前回のレースはくやしい結果に終わったので、インターバルにメンタルをコントロールしてこのレースに臨みました。予選結果は満足できるものではなかったけれど感触はよかったんです。決勝では、前の水しぶきでプッシュしづらい状況でした。予選で上へいけなかったのが悔しくて、スタートで絶対に前へ出てやろうと思って狙っていました。表彰台では、観客席からホーンを鳴らしてもらったりしていつもとは違う気分でした。今回のレースでドライビングの感触を確かめられたので第10戦も自信がありました。スターティンググリッドは、あまりよいところではないけれども、ドライでもレインでも表彰台を狙っていこうと思っていたので中止が残念です」

  • 表彰台に上がった平峰表彰台に上がった平峰

野尻智紀 「納得のいく結果ではありません。去年も雨の鈴鹿を走っていますが、今日は去年とフィーリングが違っていました。それで自分なりに走り方を工夫しながら走りました。平峰がミスをしてすぐ前に来たんですが、そこで彼と同じペースでは走れず、チャンスを活かせませんでした。コーナーでうまく曲がれません。何らかの原因があってクルマがうまく曲がらないのか自分でクルマを曲げられないのかが問題です」

  • 決勝を走る野尻決勝を走る野尻

元嶋佑弥 「いいところなく終わってしまった、という感じです。一生懸命考えながら走ったんですが、答が出ませんでした。6番手を走っているのはわかっていたので、ポイントだけは獲得しようと思っていました。スタートから最後までノーミスでは走れたんです。でもその走りの次元が低い。このままでは第10戦も苦しくなるところでした。最終大会は同じ鈴鹿なので、ロガーを見て研究して備えるつもりでいます」

  • 決勝を走る元嶋決勝を走る元嶋

中村真志 「予選からの流れが悪くてスタートが後ろの方だったので厳しいレースになってしまいました。ウォータースクリーンで前が見えず、スタートしてすぐにコースをはみ出したりして、ミスもたくさんしてしまいました。最終的にデグナーで飛び出して順位を大きく落としてしまったので、第10戦のグリッドをできるだけ上げようと考え、それを意識して走りました。せっかく5番手だったのに、レースができなくてがっかりです」

  • 決勝を走る中村決勝を走る中村