VOL7

厳しい秋。
小林、王座最短距離で最終大会へ

フォーミュラ・ニッポン(第5戦 スポーツランドSUGO)

2010全日本選手権フォーミュラ・ニッポンのシリーズ第4戦は、9月24日(金)〜26日(日)に宮城県スポーツランドSUGOで開催された。HFDP RACINGからは塚越広大が出走した。

金曜日午後4時より、今回から取り付けが許されたパワーステアリングの作動チェックと習熟のため練習走行セッションが特別に設けられた。ここに出走した塚越は、快調にタイムを縮めた。夏以降、走法に工夫を重ねていたが、その効果もあってタイムは上位で安定した。セッション残り10分、模擬タイムアタックにかかった塚越はセクターで自己ベストを記録、コース後半のSPコーナーを通り抜けて最終コーナーへさしかかった。しかしそこでバンプに乗ってコースオフ、コースサイドのスポンジバリアに接触して停止した。塚越自身は無事だったが、マシンは中破し走行不能となった。セッションはそこで赤旗打ち切りとなった。チームは、急きょマシンの修復作業に取りかかった。

  • 修復なったマシンでコースインする修復なったマシンでコースインする

土曜日朝のフリー走行で塚越は夜を徹しての作業で修復の終わったマシンの確認作業を行いながらピットインを繰り返し、後半、予選に向けて本格的な走行を行った。その結果、1分7秒123を記録して15台中9番手につけた。

午後、ノックアウト方式の公式予選が行われた。塚越はまずQ3セッションで1分6秒597を記録、8番手で通過。Q2セッションでは1分6秒177を記録して4番手通過、Q1セッションに臨んだ。Q1セッションで記録したタイムは1分6秒689で8台中7番手だった。しかしピットロードのスピード超過についてペナルティを受け、スターティングリッドはQ1最後尾の8番手へ降格となった。

  • 新走法に挑戦中の塚越新走法に挑戦中の塚越

決勝スタートで無難なスタートを切った塚越は8番手のまま第1コーナーを抜けた。ところが続く第2コーナーで複数台数が接触するアクシデントが発生、コース上が混乱した。塚越はこれをうまく避けて一気に順位を5番手へ上げた。

ここで一旦セーフティカーが入り、4周終了時点で再スタートが行われた。再スタートをしてからの塚越のペースは良く、5番手の伊沢拓也(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)を引き離すと4番手のアンドレ・ロッテラー(PETRONAS TEAM TOM'S)を追い詰め、6周目の第1コーナーでブレーキを遅らせてタイヤスモークを上げながらインへ飛び込み、ロッテラーをかわし4番手へ進出した。さらに塚越は3番手石浦宏明(Team LeMans)追走にかかる。

  • 決勝序盤、快調だった塚越決勝序盤、快調だった塚越

ところが10周を過ぎて駆動に異常が生じ、14周目、ついに走行続行が不能になってピットへ戻りリタイアとなった。ドライブシャフトのアウター側にあるトリポッドジョイントのトラブルだった。

リザルト

塚越広大

 予選決勝
Rd.5 8番手リタイア
 ポイントランキング8位(シリーズ5戦終了時点)
  • 後は結果を出すだけ後は結果を出すだけ
コメント

塚越広大 「金曜日のクラッシュは、最終コーナーでバンプして姿勢を崩してしまったのが原因です。ぼくとしては、金曜日にクラッシュしてしまったことがすべてでした。週末の流れが途切れてしまったばかりでなく、チームに余分な負担をかけてしまいました。あれがなければ、決勝でのトラブルも起きなかったかもしれない。決勝では、コース前半の課題をなんとかしようと考えながら走って、コース後半で遅れを取り戻すという走り方をしていました。トラブルが起きなければ、それなりの結果につながったんでしょうが、ノーピット作戦ではなかったので、限界はあったでしょう。とにかく金曜日のミスを反省しています」

田中弘監督 「トラブルが起きてしまったのでしかたがない。トラブルは、金曜日のアクシデントと直接関係はない。ただ、塚越はまだ低速コーナーに課題を残している。高速コーナーは驚くほど速いのにそのせいでタイムが伸びない。予選Q3でも5秒台に入るものと思っていたが、コース前半でミスしてそこまで届かなかった。決勝は、スタート位置が後ろになったおかげで、うまくスタートのアクシデントを避けられたし、ロッテラーを追い抜いたのも良かった。もったいないレースだった」

全日本F3選手権Nクラス(第7大会 スポーツランドSUGO)

2010全日本F3選手権シリーズの第7大会(第13戦/第14戦)は、9月25日(土)〜26日(日)に宮城県スポーツランドSUGOで開催された。HFDP RACINGからは小林崇志と三浦和樹が出走した。

大会前日の24日(金)には恒例の練習走行が組まれていたものの、タイヤ供給メーカーの手配ミスにより新品タイヤが現地に届かないというアクシデントが発生。このため各チームは、自分たちで保管している中古タイヤを使用して練習走行をしのいだ。

  • 万全のセッティングでレースに臨んだ小林万全のセッティングでレースに臨んだ小林

懸案の新品タイヤは、大会が始まる25日(土)の公式日程には無事に間に合った。とはいえ、この週末に初めて新品タイヤを履くのは予選からと、事実上のぶっつけ本番を各ドライバー/各チームは強いられた。

25日(土)の午前11時30分から始まった予選で、小林は第13戦ではクラス2番手に0.202秒差をつけて今季7度目となるポールポジションを獲得したものの、第14戦ではクラストップとは0.026秒差の3番手となった。一方の三浦は、第13戦ではクラス5番手につけたものの第14戦ではクラス7番手に終わった。

  • 三浦は、迷い脱出の手応えをつかんだか三浦は、迷い脱出の手応えをつかんだか

同25日(土)の午後4時15分過ぎから始まった第13戦の決勝(18周)、ポールシッターの小林は順位を維持したまま1周目を終えた。ところが2周目に突入した直後の第1コーナーでオーバーラン。大きくタイムを失い、4番手で3周目以降からのばん回を図った。4周目にはチームメートの三浦を追い抜き、さらには2番手の選手にもみるみる迫った小林。しかし、残念ながら攻略の糸口はつかめず、3位でチェッカーをくぐった。

一方、三浦はレッドシグナル消灯後の加速が鈍り順位を落とすも、スタートから4つめのコーナーとなるヘアピンで前方の2台が接触、労せずして4番手を手に入れた。さらに2周目の第1コーナーでは前を走る小林がミスを犯し、三浦はさらにひとつ順位を上げた。もっとも、背後を走る小林のペースは明らかに速く、三浦は3番手の座を守ることができなかった。三浦は粘り強く小林を追うものの4位でレースを終えた。

  • 小林は手堅く表彰台小林は手堅く表彰台

翌26日(日)午後12時25分過ぎから始まった第14戦の決勝(25周)、3番グリッドの小林は鋭い出足で首位の選手に第1コーナーで並びかけるも抜けず、2番手争いを演じながら第2コーナー、そしてヘアピンへと進入していった。ここで小林は後続の選手と競り合いになり、コースから押し出される格好となって6番手まで順位を落とした。4番手の選手のペースがやや遅いこともあり、5番手の選手と6番手を走る小林の3人はひと塊となって周回を延々と重ねた。22周目に4番手の選手が最終コーナーでリタイアしたため、小林は5番手へ浮上。しかし、それ以上の順位ばん回は叶わず5位に終わった。

一方、7番グリッドの三浦はレースで数少ない追い抜きのチャンスであるスタートに賭けた。しかし、順位を上げることはできず、前を走る小林を視界に捉えながら7番手のまま周回を重ねた。レース終盤に上位選手のリタイアもあって、三浦はこのレースを6位入賞で終えた。

  • 第14戦で争う小林と三浦第14戦で争う小林と三浦

なお、小林は本大会で未勝利に終わったものの、2レースともレース中のファステストラップを記録してポイントを獲得、選手権順位では2位に5点差をつけて辛くも首位を守っている。そうして、今季も残すは10月16日(土)〜17日(日)にオートポリスで開催される第8大会(第15戦・第16戦)のみとなった。

リザルト

小林崇志

 予選決勝
Rd.131番手(Nクラス)3位(Nクラス)
Rd.143番手(Nクラス)5位(Nクラス)
 ポイントランキング1位(Nクラス シリーズ14戦終了時点)

三浦和樹

 予選決勝
Rd.135番手(Nクラス)4位(Nクラス)
Rd.147番手(Nクラス)6位(Nクラス)
  ポイントランキング7位(Nクラス シリーズ14戦終了時点)
コメント

小林崇志 「第13戦は自分のミスで勝てるレースを落として、チームには申し訳なく思っています。2周目の第1コーナーは普通に飛び込んで、決して無理をしたわけでもなかったのですが、タイヤが予想外にロックしてコースアウトしました。とはいえ、クルマの状態も自分のドライビングも非常に良く、自然の流れの中でファステストラップも取れました。第14戦はスタートが完ぺきでした。しかし競り合いの中で、位置取りの関係から後ろの1台に抜かれて失速し、さらに後ろの1台には寄せられて順位を落としました。このレースは序盤勝負だと思っていましたが、ダウンフォースが減ってもクルマがグリップするという前日のような感覚はなく、接近戦は少しつらかったですね。また、第14戦は意識してファステストラップを取りに行きました。ただ、自分がもう少しクルマの性能を引き出していたら、もっといい成績を収められたと思います」

  • ランキング首位で最終大会へランキング首位で最終大会へ

三浦和樹 「この週末、新品タイヤを履いて初めての走行が予選でしたが、それでもクルマの状態は問題ありませんでした。最近はいつもそうなのですが、僅差の勝負の中であと少しのタイムが詰められず、今回も不本意な順位に終わりました。あと少しだったと思うと、とても悔しい予選でした。第13戦は4位にこそなれましたが、前方のクルマが居なくなって順位が上がるという、他力本願のレースでした。第14戦はスタートと同じ順位でゴールすることになりました。自分のラップタイムが少し遅くて、前のクルマに追いつくことも追い越すことも厳しい状態でした。小林選手が僕の目の前に順位を落としてきたときは、彼のライン取りなどを見て参考にするようにしました。残りは1大会2戦で、しかも初めて走るサーキットなので、岡山の第6大会同様に金曜日の段階からいい流れを作り、いい形でシーズンを締め括りたいと思います」

  • 三浦はシーズンをどう締めくくるのか三浦はシーズンをどう締めくくるのか

英国F3

今回は該当レースはありません。

フォーミュラチャレンジ・ジャパン

今回は該当レースはありません。