VOL5

多くを学んだ夏
小林、野尻、平峰が表彰台へ

フォーミュラ・ニッポン(第4戦 ツインリンクもてぎ)

2010全日本選手権フォーミュラ・ニッポンのシリーズ第4戦は、8月7日(土)〜8日(日)にツインリンクもてぎで開催された。HFDP RACINGからは塚越広大が出走した。

前回不振のうちにレースを終えたチームは、セッティングやドライビングについて様々な解析を行い、マシンを仕上げてツインリンクもてぎに持ち込んだ。しかし塚越広大のタイムは伸び悩み、公式予選Q1は11番手で通過(通過は12番手まで)したものの、Q2では9番手に終わりQ1への進出(通過は8番手まで)はならなかった。その結果、決勝スターティンググリッドは9番手と決まった。

  • 監督、エンジニアと話し合う塚越監督、エンジニアと話し合う塚越

塚越はチームと不振の原因を探り、高気温でミュー(摩擦)の下がった路面での走り方を探った。日曜日朝のフリー走行では、その走り方を試し手応えを得て、決勝を迎えた。

決勝スタート時の気温は35℃、路面温度は58℃を超える厳しい状況。塚越はスタートで過度のホイールスピンをして加速が鈍り、順位を12番手まで落としてレースを始めた。しかし2コーナーの立ち上がりで松田次生(KONDO RACING)が外側に膨らみ、コースに復帰する際に接触してスピンオフしたため、塚越は11番手となった。

  • ドライビングスタイル改善に取り組むドライビングスタイル改善に取り組む

塚越は伊沢拓也(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)を追いかけて井出有治(MOTUL TEAM 無限)、平中克行(KCMG)らと集団になって8番手でレースを始めた。決勝でのペースは良く、3周目のダウンヒルストレートでは伊沢に並んで前へ出た。さらに。3位にいたアンドレ・ロッテラー(PETRONAS TEAM TOM'S)がトラブルで脱落、塚越は井出に攻め寄って、16周目の3〜4コーナーで井出の前へ出る、さらに平中を追いかけ始めた。

28周目、塚越はピットイン、給油とタイヤ交換を行った。しかしコース復帰の際にエンジンがストールし再起動する際に大きくタイムロス。順位を事実上の最後尾へと落としてしまった。しかし塚越はそこから猛然と追い上げにかかった。

  • レース中のラップは上位に匹敵したレース中のラップは上位に匹敵した

31周目、ケイ・コッツォリーノ(Team LeMans)を追い抜き12番手となると、さらに11番手井口卓人(DELIZIEFOLLIE/CERUMO・INGING)、10番手伊沢を追いかける。44周目3コーナーで塚越が井口の前へ出た。さらにレース終盤の46周目には伊沢に攻めかかり、2コーナーで強引にインへ飛び込んで並びかかると、一旦引いて3〜4コーナーでクロスラインをとって追い抜き、10番手まで順位を取り戻した。しかし前を走る井出までは10秒以上の差があり、フィニッシュまでに追いつくことはできないままチェッカーを受けることになった。

リザルト

塚越広大

 予選決勝
Rd.49番手10位
 ポイントランキング8位(シリーズ4戦終了時点)
  • 手応えを得た塚越手応えを得た塚越
コメント

塚越広大 「前回の富士からうまく走れなかった原因は自分にあるというのはわかっていて、それを修正しなければいけなかったのですが、土曜日のうちに修正できなかったのが、最大の反省点です。自分で直したつもりだったのにできていなかったんです。今日の朝、もう一度やり直しをして、ある程度手応えがあったのでそれで決勝を戦いました。でもスタートでもピットでも自分で失敗をしてしまいました。もっと落ち着いてレースをすればよかったんですけど、走り方のトライと修正ができたので、次のレースでは走り出しからいい状態で走れるだろうと思います。そういう意味では、結果はよくなかったですけれど、大事なことを学んで次につながる週末だったと思います。レース中のラップがよかったのは、元々クルマはよかったのに、自分がそれをうまく走らせられなかったのを、ようやく決勝でうまく走らせることができるようになったからです」

田中弘監督 「走り始め、前が逃げると言っていてその対応に時間がかかった。でも結局はブレーキの使い方に問題があった。それで予選順位が下だったし、スタートに失敗して遅いグループの中に入ってレースをしなければいけなかったうえ、ピットに入ったらエンストして踏んだり蹴ったりだった。レース中のラップタイムを見ればわかるが、上位とまったく遜色なく、ポジションさえ良いところにいれば十分勝負ができたはず。ブレーキの使い方を修正するのに時間がかかりすぎた。次のレースに向けてはブレーキングスタイルを変えさせるつもりでいる。今回も少し練習させたんだけど時間不足だった。次回SUGOは金曜日に1時間走れるから、そこで練習をする。そもそもSUGOの後半セクションは塚越が得意とするレイアウトだからきっといい結果が出るでしょう」

全日本F3選手権Nクラス(第5大会 ツインリンクもてぎ)

2010全日本F3選手権シリーズの第5大会(第9戦/第10戦)は、8月7日(土)〜8日(日)にツインリンクもてぎで開催された。HFDP RACINGからは小林崇志と三浦和樹が出走した。

  • 流れを取り戻そうと力走する小林流れを取り戻そうと力走する小林

7日(土)の午前11時35分から始まった予選、小林は第9戦こそクラス2番手に留まったものの第10戦でクラストップにつけた。一方の三浦は、第9戦はクラス5番手で第10戦はクラス4番手につけた。

同7日(土)の午後4時20分過ぎから始まった第7戦の決勝(14周)、スタート直後の展開に活路を見出したかった小林と三浦だが、ともにグリッド順位のままレース序盤を戦うことになった。

  • 本来の速さが出せない三浦本来の速さが出せない三浦

小林は首位を走る選手に徐々に引き離されてしまい、3番手の選手にはまったく背後を脅かされることもなく、最終的には2位のままチェッカー旗を受けた。三浦は序盤こそ6番手の選手に背後を脅かされる場面もあった。しかし、レースが折り返しを迎えると6番手の選手を徐々に引き離し、4番手の選手との間隔が詰まり始めた。最後は4番手の選手に約0.25秒差まで迫ったものの、5位でレースを終えた。

  • 勝てるはずだったレース勝てるはずだったレース

翌8日(日)午前10時40分過ぎから始まった第10戦の決勝(20周)、小林は鋭い出足を見せた2番手の選手にスタート直後の第1-2コーナーで並ばれかけた。しかし小林はここで踏ん張り、トップの座を維持したまま序盤の周回を重ね、2番手の選手を徐々に引き離して優勝を目指した。三浦はエンジンストールを喫してグリッド上に立ち往生、集団からは遅れて20周先のチェッカードフラッグを目指した。

  • 闘争心は十分の三浦闘争心は十分の三浦

7周終了時点では約1.8秒の差を2番手につけて快走していた小林だったが、Cクラスの選手が前方から落ちてきたあたりでペースが落ちた。実のところ、小林はレース序盤からクルマに不調を抱えており、ここに来てそれが走行に支障が出るほどにまで大きくなってしまったのだ。タイムがガクリと落ちた小林は次々に後続の選手に追い抜かれ、5位完走が精一杯だった。Nクラスのチャンピオンシップではいまだ首位を維持している小林だが、2位につける選手との差はここ2大会4戦で大きく縮められてしまった。また、三浦は終始ひとり旅のレースとなり8位完走に終わった。

リザルト

小林崇志

 予選決勝
Rd.92番手(Nクラス)2位(Nクラス)
Rd.101番手(Nクラス)5位(Nクラス)
 ポイントランキング1位(Nクラス シリーズ10戦終了時点)

三浦和樹

 予選決勝
Rd.95番手(Nクラス)5位(Nクラス)
Rd.104番手(Nクラス)8位(Nクラス)
 ポイントランキング7位(Nクラス シリーズ10戦終了時点)
コメント

小林崇志 「第9戦の予選は、思った以上に路面の状態がよくて、それに自分が対応できませんでした。しかし第10戦の予選では、ライバルがミスしたこともありましたが、自分はうまくまとめることができてクラストップを取れました。第9戦の決勝はスタートで少し慎重になりすぎました。普通のスタートなら抜けていたはずです。その後は自分のミスや焦りがあって徐々に離されてしまい、2位とはいえあまりよくないレースになりました。第10戦は先頭に立ったからと安心するのではなく、ファステストラップを他人に取られるわけにもいかないので、後ろを突き放すレースにしようと思っていました。余裕のある中で後ろを徐々に引き離す展開で、今日は楽勝だと思っていました。しかし、バッテリーの電圧がどんどん下がり、エンジンもどんどん吹けなくなって……。勝てるレースを落としましてしまい、とても残念です」

  • 表彰台の小林表彰台の小林

三浦和樹 「第9戦の予選は、1周をうまくまとめられるようになったと思ったときにはタイヤが厳しくなっており、思ったようなタイムを出せませんでした。第10戦の予選は自分ではベストの1周をまとめられたと思いましたが、自分の甘さでクラス4番手に留まりました。第9戦の決勝はスタート直後の第1コーナーで1台を抜いたのですが、第5コーナーで別の1台に抜かれたのは反省点です。また、序盤はペースを上げられませんでしたが、中盤からは前の選手のペースが落ちてきて追いつきました。抜くチャンスは最終周の90度コーナーで1回だけありましたが、それを生かせず残念です。第10戦の決勝は、またしてもエンジンストールでレースを失ってしまい……。集団から大きく遅れましたが、セーフティカーが出て前との差が詰まる可能性もあったし、そうでなくても1台でも多く抜いてやろうと気持ちを切り替えて最後まで攻め続けました」

  • 流れを変えたい三浦流れを変えたい三浦

英国F3(第5ラウンド ロッキンガム/第6ラウンド スパフランコルシャン)

イギリスF3選手権シリーズ第5大会が7月17日〜18日、イギリスのロッキンガム・サーキットで開催された。HFDPの中嶋大祐は、ライコネン・ローバートソン・レーシング(Raikkonen Robertson Racing)からこの大会に出走した。ロッキンガム・サーキットは、オーバルコースと数多くのコーナーからなるインフィールドコースをあわせ持つ特殊なレイアウトで、中嶋にとっては昨年初めての表彰台フィニッシュを達成した地である。

  • 得意なサーキットに闘志を燃やす中嶋得意なサーキットに闘志を燃やす中嶋

金曜日に行われた公式予選の中嶋は、コースの混雑に巻き込まれてクリアラップを確保できず、タイムは伸び悩んだ。結果、ベストラップ10番手、セカンドベストラップ8番手という結果に終わった。

土曜日の午後に行われた決勝第1 レース(シリーズ第13戦)はセカンドベストタイムにより8番手からのスタート。ホイールスピンによって出だしが若干鈍った中嶋は、 インフィールドの始まりである第2コーナーまでに1つ順位を落とすと、さらに第4コーナーでもポジションを1つ落とし10位でオープニングラップを終えた。

レース前半は、強いアンダーステアに苦しんでいた中嶋にとって厳しい展開となり、2周目にはポジションを11位まで落としてしまう。その後もペースが上がらず我慢のレースとなるが、8周目には ヘゼマン・ジャファー(Carlin)のミスに乗じてポジションを10位に戻した。

  • チームとマシンを仕上げるチームとマシンを仕上げる

タイヤの摩耗が進んできたレース後半になると、ラップタイムは相対的に向上し前を走るグループとの差を徐々に詰めて行ったが、オーバーテイクを仕掛けるまでには至らず10位でこのレースを終えた。 優勝はジャン・エリック・ヴァーニュ(Carlin)であった。

第1レースの後に行なわれた抽選により、中嶋は決勝第2レース(シリーズ第14戦)をポールポジションからスタートすることとなった。このレースではイギリスF3のシリーズ戦としては初の試みとしてレース中に1回のピットストップが義務付けられ、上級力テゴリへのステップアップを目指すドライバーたちに新たなチャレンジ、 練習の機会を与えることになった。

迎えたスタート。 中嶋はレッドシグナルが消えると同時に抜群のスタートを切り、オープニングラップを終えた段階で早くも2位以下に1秒以上の差を付けて独走態勢を築いた。その後も1周当たり平均して約コンマ3秒ずつリードを広げて行った中嶋は、8周目を終了した時点で2位を走行していたアドリアーノ・ブザイド(Carlin)に対して3秒の差を付け、9周目にピットストップを行った。

  • トップを突進する中嶋トップを突進する中嶋

難なくストップ&ゴーを終えると、5 位でレースに復帰。 ここまでは予定通りだったのだが、 この周に2位に浮上したダニエル・マッケンジー(Fortec Motorsport)が新品タイヤの利点を生かして非常に速いラップタイムを立て続けに出し追い上げを開始。 さらにピットストップを可能な限り遅らせる作戦を採り、中嶋との実質的なギャップをどんどんと削っていった。

そして迎えた14周目、 ピットストップを終えたマッケンジーは中嶋の目前でレースに復帰。このまま16周のレースを走りインターナショナルクラス初の優勝を飾った。中嶋は悔しい2位でチェッカー旗を受けた。

  • 表彰台に上がった中嶋表彰台に上がった中嶋

決勝第3レース(シリーズ第15戦)は10番グリッドからのスタート。できるだけ多くのポイントを稼ぐべく、 スタートでのジャンプアップに集中していた中嶋は狙い通り完ぺきなスタートを決め、2コーナーに向けて6位でアプローチしていった。しかしその矢先、中嶋の背後を走っていた車が2コーナーへのプレーキングで止まりきれずに中嶋に追突、中嶋の頭上を乗り越えていくという大きなアクシデントが発生した。

  • ウイングを失いながらピットへ戻るウイングを失いながらピットへ戻る

このアクシデントによってリアウイングなどに大きなダメージを負った中嶋はここでリタイアを余儀なくされてしまった。このレースで優勝したのは、 中嶋のチームメートであるフェリペ・ナスル(Raikkonen Robertson Racing)であった。

  • ダウンフォースを減らして攻めた走りダウンフォースを減らして攻めた走り

イギリスF3選手権シリーズ第6大会は、7月30日〜31日、ベルギーのスパフランコルシャン・サーキットで開催された。公式予選では赤旗によるセッション中断も裏目に出て、中嶋のタイムは伸び悩み、べストラップは20番手、セカンドベストラップは19番手に終わった。

決勝レースは金曜日に第1レース(シリーズ第16戦)と第2レース(シリーズ第17戦)、土曜日に第3レース(シリーズ第18戦)が行われた。19番手グリッドからスタートした中嶋は、ダウンフォースを減らしたセッティングで勝負をかけた。

  • 速さと結果を結びつけることが課題速さと結果を結びつけることが課題

中嶋は、スタートするやいなや猛然と順位を上げ始め、1周目のうちに13番手まで進出したが、2周目にジャファーに追突されてスピン、24番手まで順位を落としてしまった。その後、上位集団と変わらないラップタイムで再び追い上げを開始したものの、結局20位まで順位を取り戻したところで13周のレースは終わってしまった。

第2レースは、決勝第1レースの順位である20番手からのスタートとなる。好スタートを切った中嶋は、 オープニングラップの各所で起こった混乱をうまく切り抜けながら随所で前走車を追い抜き、1周目のうちに11番手まで浮上した。さらに中嶋は、第2戦シルパーストンで優勝したアレクサンダー・シムズ(ART Grand Prix)に追いつき、執拗なブロックを破って3周目に順位を入れ替え、ポイント圏内の10位に進出した。この間に、上位が先行してしまったが中嶋はあきらめずに追い上げを続け、6周目に9位に浮上して8周のレースを終えた。

  • 猛然と追い上げる中嶋猛然と追い上げる中嶋

土曜日の午後、決勝第3レースが行われた。再び20番手という厳しい位置からのスタートとなるが、周回数は16周。中嶋は半分の距離で行われた第2レースで20番手スタートから9位までポジションを上げており、上位進出のチャンスはあった。

中嶋はスタートを切ると、オープニングラップで17位まで順位を上げ、2周目、3周目、4周目にはそれぞ'れ1台ずつ追い抜きを成功させ、14位まで浮上した。さらに勢いに乗って前を走るルーカス・フォレスティ(Carlin)に攻め寄り、相手がミスを犯した隙に横へ並びかかった。しかし、フォレスティが強引に幅寄せをしてきたため、中嶋は進路を失い接触、2台はもつれあってコースオフ、リタイアを喫した。

リザルト

中嶋大祐

 予選決勝
Rd.138番手10位
Rd.141番手2位
Rd.1510番手リタイア
Rd.1619番手20位
Rd.1720番手9位
Rd.1820番手リタイア
 ポイントランキング10位(シリーズ18戦終了時点)
  • 中嶋大祐中嶋大祐
コメント

中嶋大祐 「ロッキンガムの第1レースは、予選で使用したセッティングをさらに進める方向でアジャストしたクルマで臨んだのですが、 狙っていたバランスの変化が裏目に出てしまいペースがよくありませんでした。でもこの結果によって第2レースではポールポジションからのスタートとなりました。リバースグリッドではありますが、僕にとって今何よりも必要なものは優勝であり、このレースに向けてまさに必勝を期していました。しかし、優勝を逃してしまう結果となりました。 もう少し状況を的確に読んで可能な限りピットストップを遅らせていれば結果は違っていたかも知れません。スパでは、コースのレイアウトと自分たちのレースペースから考えて、3レースすべてでポイントの獲得を十分に狙えるはずでしたが、第1レースと第3レースではアクシデントによってそのチャンスを失ってしまいました。 まずは上位のグリッドからスタートしないことには状況はよくならないので、 予選の取り組み方について改めて一から担当のレースエンジニアと考え直します。」

フォーミュラチャレンジ・ジャパン(第4大会 ツインリンクもてぎ)

2010 フォーミュラチャレンジ・ジャパン(FCJ)第4大会(第7戦/第8戦)は、ツインリンクもてぎを舞台として8月7日(土)〜8日(日)に開催された。第7戦では野尻が2位で平峰が3位となり、第8戦では野尻が2戦連続の表彰台となる3位を獲得した。

  • 2連続表彰台の野尻2連続表彰台の野尻

7日(土)午前8時45分に曇天のもとで始まった第7戦の予選では、野尻智紀と平峰一貴が常にトップ6入りしながらポールポジションをライバル選手と争い、平峰が予選3番手、野尻が予選4番手を獲得した。元嶋佑弥と中村真志はタイムを伸ばせず、元嶋が予選8番手、中村が予選12番手に留まった。約10分のインターバルを挟んで午前9時10分に始まった第8戦の予選は、野尻と元嶋が好調な滑り出しを見せ、最終的には野尻が予選3番手、平峰が予選4番手、元嶋が予選8番手、中村が予選12番手という結果になった。

上空を覆っていた雲もいずこかへ去り、真夏の日差しがサーキットへ降り注いで暑さが厳しく増した同7日(土)の午後1時25分に決勝(12周)が始まった。追い抜きの難しいツインリンクもてぎでは、なおさらスタートが大きなウェイトを占める。3番グリッドの平峰と4番グリッドの野尻は、赤信号消灯後の数秒間に勝負を懸けた。

  • 好調だった平峰好調だった平峰

平峰は前列2台の真ん中へ向けて突進。しかし僅かに届かず、右周りの第1コーナー進入では前方の2台に挟まれて行き場をなくし失速した。その隙を野尻が冷静に突き、コーナー内側から平峰を抜いて3番手へ浮上、平峰は4番手へ後退した。3周目には2番手の選手が第4コーナーでコースオフしたため、野尻は2番手へ、平峰は3番手へ、ともに労せずして順位を上げた。首位を行く選手からは徐々に遅れる苦戦とはなったものの、ふたり揃って表彰台へ立った。

8番グリッドの元嶋は1周目に7番手へ浮上。しかし、2周目の第5コーナーで前方の選手に仕掛け損なって接触、10番手へ後退しただけでなく、曲がったサスペンションアームで苦戦を強いられた。さらには、先の接触でドライビングペナルティを科され、ペースをガクリと落とす場面もあり20位完走に終わった。12番グリッドの中村は、1周目の第2コーナー立ち上がりでスピンを喫した選手に進路を塞がれる不運はあったものの、順位を維持してレースを進めた。背後からはペースの速い選手の攻撃に終始さらされたものの10位でレースを終えた。

  • 今回は表彰台に届かなかった元嶋今回は表彰台に届かなかった元嶋

好天に恵まれた18日(日)の午前8時35分、第8戦の決勝(18周)が始まった。3番グリッドの野尻と4番グリッドの平峰は、ともに順位を維持して1周目を終えた。しかし間もなく、平峰のクルマには異常が発生した。ペースが大幅に落ち、背後の選手に次々と抜かれた平峰は、5周終了時点でピットへ戻り、左右の後輪を交換して戦列へ復帰。最後まで走り続けたが17位に終わった。

一方、スタートから3番手を走る野尻は、ジリジリと前を行く2台から遅れるレースとなった。とはいえ、折り返しを過ぎると一転、少しずつ前の2台との間隔を詰めた。最終的には届かなかったものの3位となり、2戦連続の表彰台でシーズン終盤戦へ弾みをつけた。

  • 初ポイントを獲得した中村初ポイントを獲得した中村

8番グリッドの元嶋は2つ順位を上げて1周目を終えた。平峰の後退で5番手へ上がった元嶋のペースは速く、4番手の選手を追い詰めた。そうして13周目にはまんまと攻略し、4番手へ浮上。さらには3番手の野尻にも迫った。しかし、背後にピタリとつける場面はあったものの抜けず、4位に終わった。また、12番グリッドの中村はスタート直後の位置取りには失敗したものの、第3コーナーで発生した事故をうまくすり抜けて10番手で1周目を終えた。その後は前方の選手のペナルティにも助けられたが、6位まで順位を上げてFCJ初入賞を手にした。

リザルト

元嶋佑弥

 予選決勝
Rd.78番手20位
Rd.88番手4位
 ポイントランキング3位(シリーズ8戦終了時点)

平峰一貴

 予選決勝
Rd.73番手3位
Rd.84番手17位
 ポイントランキング3位(シリーズ8戦終了時点)

野尻智紀

 予選決勝
Rd.74番手2位
Rd.83番手3位
 ポイントランキング6位(シリーズ8戦終了時点)

中村真志

 予選決勝
Rd.712番手10位
Rd.812番手6位
 ポイントランキング11位(シリーズ8戦終了時点)
コメント

元嶋佑弥 「予選はいずれも僅差の中、自分の詰めが甘く不本意な順位に終わってしまいました。第7戦はスタートで順位を上げられましたが、2周目の接触は相手の選手に申し訳なく思います。接触でサスペンションアームが曲がり、ブレーキングでクルマが不安定になりペースが落ちてしまいました。終盤、後続の選手に進路を譲ったのは、クルマの損傷状態を確かめる意味と、ペースが大きく落ちた自分がほかの選手のレースを壊さないようにという意味でした。第8戦は表彰台こそ逃しましたが、悪いレースではありませんでした。自分の課題だったレース序盤のペースの遅さも、だんだん克服しています。タイヤの状態も終始よく、中盤以降はペースが上がり、ファステストラップも無意識のまま獲得できました。とはいえ、最終周のV字コーナーでミスしてしまい、野尻選手を抜けなかったのは心残りです」

  • 元嶋佑弥元嶋佑弥

野尻智紀 「テストでは新品タイヤを履いたときの感触がよくありませんでした。しかし、コーナーの走り方を変えたことも影響したのか、予選はまずまずの結果でした。第7戦ではスタートの瞬間に手応えを感じました。前に3台が並んでいたので、セオリーどおりコースの内側にクルマを運んだ結果、ひとつ順位を上げられました。大事な序盤もミスせず、前の選手にプレッシャーを与え続けたことが、相手のミスを誘って2番手へ上がれた理由でしょう。ようやく表彰台に上がれたことはよかったですし、次につながる結果だと思います。さらによい結果を手にできるように努めます。第8戦は前の選手に必死で食らいきましたが、周回ごとに離されて苦しいレースでした。一方、後ろの選手からは徐々に迫られて、ミスはしないよう、でももっと前へという気持ちで最後まで走り3位を手にできました」

  • 表彰台の野尻表彰台の野尻

平峰一貴 「第7戦ではスタート直後の第1コーナーでは前の2台に挟まれました。いったん速度を落とすことも考えましたが、それでは大きく順位を落とす可能性があったので、順位を落としても最小限に留めるためにそのままいきました。そのとき野尻選手に抜かれて4番手へ落ちましたが、最後まで攻めの走りを続けた結果、再び表彰台へ帰ってくることができました。今大会からクルマのセッティングが一斉に変わり、それは自分にとっては好ましいことで、予選でも上位につけました。第8戦では左の後輪に異物が刺さり、タイヤがスローパンクチャーを起こしてしまいました。1、2周目はともかく、それ以降は急激にペースが落ちて後ろから攻め立てられ、仕方なくピットに入って左右の後輪を交換して再びコースへ戻りました。順位は後方でしたが、残りの周回ではファステストラップを狙う走りを心がけました」

  • 表彰台の平峰表彰台の平峰

中村真志 「第7戦のスタートはうまく決まりました。第1コーナーでは、これまでコーナー内側から行って順位を落とすことが多かったので、コーナー外側から行きました。しかし、第2コーナー立ち上がりでスピンした選手が目の前に現れて速度を落とさざるを得ず、何台にも抜かれました。もちろん、すぐに抜き返して元の順位へ戻しました。ただし、後ろの選手が速くて自分の走りがなかなかできず、中盤以降はペースを上げられませんでした。しかし、トップはともかくその後ろの選手のタイムは見えています。第8戦ではスタートの蹴り出しが遅れて第1コーナーで2、3台に抜かれましたが、第3コーナーの事故で順位を大きく戻しました。その後は前の選手の追い抜きに手間取り、先頭集団から遅れましたが、自分の走りはできました。終盤にはブレーキの不調でペースは落ちましたが、原因を見つけて次のレースでは対応します」

  • 中村真志中村真志