7月17日、梅雨が明けて照りつける太陽の下、富士スピードウェイで全日本選手権フォーミュラ・ニッポンのシリーズ第3戦公式予選が行われた。前回の第2戦、ツインリンクもてぎで念願の表彰台に上がったHFDP RACINGの塚越広大とチームは、富士スピードウェイで開催されるシリーズ第3戦でも圧倒的な速さを見せつけようとサーキット入りした。
だが公式予選が始まってみると、まずQ1の段階で塚越のタイムは伸び悩み、かろうじて最後ラップにノックアウトを逃れてQ2へ進出した。Q2では参加選手の先頭を切ってタイムアタックに入り1分26秒608を記録したが、その後アタックにかかった選手がタイムを短縮していった。塚越の予選順位は低下して結局Q3進出ならずノックアウトされることとなり、スターティンググリッドは11番手と決まった。夏場のコンディションと高速コースレイアウトを考慮したロードラッグセッティングを施してマシンを持ち込んだが、期待通りのタイムが出ず、原因も不明でセッティング修正が後手に回ってしまったためだった。
決勝スタートではクラッチミートがうまくいかず、エンジンストール気味になって加速が鈍ったが、ポールポジションのロイック・デュバル選手(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)がエンジンをストールさせたため、順位をひとつ上げて10番手でレースを始めた。その後順位をもうひとつ落として井口卓人選手(CERUMO・INGING)の後、井出有治選手(MOTUL TEAM 無限)の前というポジションで周回を重ねた。15周を終えたタイミングで、塚越はオーバーテイクシステムを働かせて井口選手との間隔を詰め、ダンロップコーナーで相手のミスを突いて前へ出た。
30周目、塚越の背後に迫ってきた井出選手とデッドヒートを繰り広げたが、結局井出選手が前へ出た。塚越は食い下がるが、順位を取り戻すことはできないまま11位でレースを終えた。
塚越広大
予選 | 決勝 | |
---|---|---|
Rd.3 | 11番手 | 11位 |
ポイントランキング5位 |
塚越広大 「前回の勢いのまま今回は速さを見せつけようと思ってサーキットに乗り込んだのですが、予選からうまく走れずQ2で落ちてしまいましたし、決勝でも最初から最後までペースが上げられないまま終わってしまいました。スタートではストール気味になってしまった。これは自分の失敗です。今日のレースはここ最近では非常につらいレースでした。前回調子が良かっただけに、その勢いで結果を残したかったので、残念です。次回、もてぎについては前回も良かったし富士よりもデータがあるし、実際に結果も残してきたので良いレースができると信じています。今回は今回で何がいけなかったのかを、これからチームのみんなとしっかりと検証してレースに臨みます」
田中弘監督 「論理的に空力のバランス、ロール剛性のバランスを追求してここへ持ちこんだが、タイムが期待したようには出なかった。予選が終わった段階で全部見直してこれまで実績のある状況にもしてみたが、かえって悪くなってしまった。原因はわからない。セッティングというレベルの問題でもないのではないかと感じる。我々が考えていることは正しかったはず。ドライバーが何かできるということでもなかったのだろうと思う。これから詳しく分析をして、次回のレースに備えるつもりです」
2010全日本F3選手権シリーズの第4大会(第7戦/第8戦)が、7月17日(土)〜18日(日)に梅雨の明けた富士スピードウェイで開催された。HFDP RACINGからNクラスに参戦する小林崇志は優勝こそ逃したものの、第7戦は3位で第8戦は2位と連続して表彰台を獲得。同じくNクラスに参戦する三浦和樹は第7戦では入賞を逃しながら、第8戦では6位入賞を手にした。
7月17日(土)の午前10時から行われた予選では、小林も三浦も不調にさいなまれた。小林は第7戦が4番手で第8戦が3番手、三浦は第7戦も第8戦も7番手に留まった。
同17日(土)の午後3時45分から始まった第7戦の決勝(15周)では、スタート直後の第2コーナーで前方の集団に接触事故が発生し、4番グリッドからレースに臨んだ小林も7番グリッドからレースに臨んだ三浦も目の前の進路を阻まれて失速、大きく順位を落としてしまった。1周終了時点の順位は三浦が6番手で小林が7番手。さらに、ふたりは混戦集団の真っただ中に放り込まれた格好となり、小林はうまく抜け出して順位を上げたが、三浦はうまく抜け出せずに順位を下げてしまった。
それでもふたりは周回ごとにひとつひとつ順位を取り戻し、5周終了時点では、小林は3番手、三浦は6番手まで挽回した。レース終盤、三浦は後方から追い上げてきた選手に順位を奪われて7位に終わり入賞を逃したが、周回ごとにペースを上げた小林は最後まで2番手の選手を攻め続け、3位表彰台を手にした。第2大会の第4戦から始まった小林の連勝は残念ながら途切れたものの、Nクラスのチャンピオンシップを考えると貴重なポイントを上積みした。
翌18日(日)午後1時から始まった第8戦の決勝(21周)、3番グリッドからスタートした小林はひとつ順位を上げて、また7番グリッドからスタートした三浦は順位を維持してグランドスタンド前へ戻ってきた。しかし、小林の幸先のよい滑り出しも長くは続かず、視界に大きく捉えていたNクラストップの選手の後ろ姿は徐々に遠ざかった。
連勝した同じ富士スピードウェイを舞台とした第3大会の連勝の状態とは、うって変わって不思議とペースの上がらなかった小林のレース。しかも、背後からは順位を脅かすドライバーふたりの追撃も受けた。それでも落ち着いて走行を続けた結果、小林は2位表彰台を手にした。一方の三浦はレース序盤から積極的に攻めて、4周目には6番手へ順位を上げた。さらなる上位進出も期待されたが、ペースの遅いCクラス上位の選手とポジションを争う不運に巻き込まれた。このため同じNクラスの選手との順位争いに大きく影響してしまった。結局、三浦は6位に終わったものの、貴重なチャンピオンシップポイントは確保した。
小林崇志
予選 | 決勝 | |
---|---|---|
Rd.7 | 4番手(Nクラス) | 3位(Nクラス) |
Rd.8 | 3番手(Nクラス) | 2位(Nクラス) |
ポイントランキング1位(Nクラス) |
三浦和樹
予選 | 決勝 | |
---|---|---|
Rd.7 | 7番手(Nクラス) | 7位(Nクラス) |
Rd.8 | 7番手(Nクラス) | 6位(Nクラス) |
ポイントランキング6位(Nクラス) |
小林崇志 「第7戦ではスタート直後の第2コーナーでアクシデントが目の前で発生したため、大きく順位を落としてしまいました。その時点で首位との差は大きく開いていましたが、どうにか3位まで追い上げることができました。レース後半のペースは悪くなかったので、あと数周あれば2位を手にできたかもしれません。第8戦はスタートで2番手へ上がり、そのまま首位の選手についていければよかったのですが、自分のペースが遅くて前との差がどんどん開いてしまいました。しかも、レース後半には後ろから追い上げられる苦しいレース、2位とはいえまったく満足できないレースになりました。今回は完敗です。シーズン後半戦に向けては気持ちを入れ替えて、次の大会で立て直して、再び勝てるようにがんばりたいと思います」
三浦和樹 「第3大会と比べて気温も路面温度も高くなり、それに自分自身のドライビングを合わせられなかったことが予選の不振の原因と考えています。開幕当初よりも選手間のタイムが僅差になっていて、コンマ1秒の価値が非常に高くなっています。第7戦ではスタート直後の事故の影響でコースアウトし、順位を下げてしまいました。自分に甘い部分があるためかモヤモヤとしたレースが続き、勉強不足、力不足をまだまだ感じています。第8戦では混戦の中でなかなかペースが上がりませんでしたが、クルマのバランスはよかったので単独走行のペースは悪くありませんでした。結果は伴いませんでしたが、この大会ではつまらないミスをせず、精神的に落ち着いてレースを戦えたことは収穫でした」
2010 フォーミュラチャレンジ・ジャパン(FCJ)第3大会(第5戦/第6戦)は、前大会と同じ富士スピードウェイを舞台として7月17日(土)〜18日(日)に開催された。今大会では、ルーキーの元嶋佑弥が韋駄天ぶりを周囲に見せつけ、第5戦ではFCJで初表彰台となる2位を獲得、さらに第6戦決勝ではFCJで初優勝を飾った。
梅雨明けの好天に恵まれた17日(土)午前8時に始まった第5戦の予選では、ポールシッターから0.094秒の僅差で野尻智紀が3番手に就け、元嶋が4番手、平峰一貴が7番手、中村真志が8番手とHondaフォーミュラ・ドリーム・プロジェクト(HFDP)ドライバー全員がシングルグリッドを獲得した。約10分のインターバルを挟んで午前8時30分に始まった第6戦の予選では、ポールシッターから0.057秒の僅差で元嶋が2番手に就け、野尻が4番手、平峰が8番手、中村が9番手と再び全員がシングルグリッドを獲得した。
同17日(土)の午後1時前に始まった第5戦の決勝(15周)、4番グリッドの元嶋は鋭い出足で2番手へ浮上、7番グリッドの平峰は抜群のスタートで4番手へ浮上した。一方、3番グリッドの野尻は第1コーナーの混戦で行き場所を失い5番手へ後退、8番グリッドの中村はほかの選手の車両から外れて飛んできた部品を第1コーナーで避けねばならず9番手へ後退した。
1周目の終盤には中位集団で多重衝突事故が発生し、セーフティカー(SC)が導入された。事故車両の排除に時間が掛かり、競技が再開したのは5周目から。このリスタートの周回で、2番手の元嶋と4番手の平峰は順位を維持したものの、5番手の野尻と9番手の中村はそれぞれ順位をひとつ落とした。それでも野尻は前の選手へ必死に食らいつき、数周にわたって抜きつつ抜かれつつの展開を繰り広げた結果、再び5番手を奪還した。一方、中村は車両の調整を失敗したこともあってじりじりと順位を落とした。
レース中盤、2番手の元嶋と4番手の平峰が間に1台を挟んでの表彰台争いを展開。レース終盤に入ると、一時は首位の中山雄一選手から間隔を空けられていた2番手の元嶋がラストスパートを見せた。自己ベストタイムを連発し、一周あたり約0.5秒ずつ差を縮めた。最終的には優勝を逃すも、FCJで自己最高位となる2位となった。惜しくも表彰台には届かなかったが平峰が4位、野尻が5位と続いた。中村は13位に終わった。
前日に続いて好天に恵まれた18日(日)の午前8時過ぎ、第6戦の決勝(21周)が始まった。開始直前のフォーメーションラップ開始時点で、5番グリッドの選手のクルマのエンジンが始動せず、6番グリッド以降の選手は自動的に順位がひとつずつ繰り上がった。
レッドシグナルが消灯してレースはスタート、2番グリッドの元嶋が素晴らしい加速を見せ、第1コーナー進入で首位を奪取した。2番手へ落ちたポールシッターの中山選手は果敢に反撃を試みてくるも、元嶋は冷静にこの反撃をかわした。数周も消化すると先陣争いは落ち着き、首位の元嶋はじりじりと後方との間隔を広げ始めた。さらにレース中盤には、自己ベストタイムを連発して独走状態に持ち込んだ。こうして元嶋はFCJで初優勝を飾り、中山選手がシリーズ開幕以来続けていた連勝を阻んだ。
一方、4番グリッドの野尻はレース序盤の競り合いの中で3番手へ浮上し、今季初表彰台獲得へ近づいた。しかしレース中盤、背後から3番グリッドの選手が厳しく迫り、執拗な攻撃を何度かしのいだものの、耐え切れずに野尻は順位を落とした。レース終盤には後方から突進してきた選手にも順位を奪われたが、それでも野尻は5位入賞を手にした。8番グリッドの平峰も野尻と同じように激しい競り合いを見せて、最終的には6位入賞を手にした。9番グリッドの中村は車両の不具合により一時は大きく順位を落としたものの、11位まで挽回してレースを終えた。
元嶋佑弥
予選 | 決勝 | |
---|---|---|
Rd.5 | 4番手 | 2位 |
Rd.6 | 2番手 | 優勝 |
ポイントランキング3位 |
平峰一貴
予選 | 決勝 | |
---|---|---|
Rd.5 | 7番手 | 4位 |
Rd.6 | 8番手 | 6位 |
ポイントランキング4位 |
野尻智紀
予選 | 決勝 | |
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Rd.5 | 3番手 | 5位 |
Rd.6 | 4番手 | 5位 |
ポイントランキング8位(無得点) |
中村真志
予選 | 決勝 | |
---|---|---|
Rd.5 | 8番手 | 13位 |
Rd.6 | 9番手 | 11位 |
ポイントランキング11位(無得点) |
元嶋佑弥 「第5戦はいつもどおりいいスタートが切れました。レース中は前後とも比較的近い距離に選手がいたので、ミスは許されない展開となりました。つまらないミスをせず、首位の選手を追い詰めての2位となり、ようやく表彰台に立てました。でも、僕の目標は優勝だったので、その結果は嬉しさ半分悔しさ半分でした。第6戦はイメージどおりのレースに持ち込めました。スタートも自信があり、1周目の第1コーナー進入で先頭に立てました。逆に、2周目の第1コーナーでは横に並ばれましたが、ブレーキングでは絶対に負けない自信があり、レース序盤を乗り切れば大丈夫だと自分を励ましました。レース終盤はクルマをいたわりながら、トラブルがないことだけを祈って走りました。とにかく勝てたことを嬉しく思います」
平峰一貴 「予選順位は2戦ともよくありませんでしたが、第5戦ではスタートがかなり決まって、4番手まで順位を上げられました。そこからレースのペースを上げていきたかったのですが、ヘアピンの出口でコースを外れてしまい、タイヤが汚れて前方の選手から大きく離されました。もう少しペースを上げられていたはずなので、あのミスは悔やまれます。第6戦も予選順位の不振が大きく影響したレースでした。原因はフロントウイングのダメージでしたが、それはもう解決しました。決勝ではタイヤが冷えているレース序盤が勝負と考えていて、そこではうまく順位を上げられました。レース中盤にはFCJで初めてとなる激しいバトルも経験できました。6位は不満ですが、シーズンを考えると貴重な得点を手にしました」
野尻智紀 「第5戦はスタート直後の位置取りに失敗し、気がついたら5番手でした。さらにはSCが退去したあとのリスタートの周回で、ヘアピンで飛び出して後方の選手との競り合いになり、上位から徐々に離されてしまいました。表彰台も見えていたレースなので反省点は多いですね。第6戦はレース序盤のチャンスをうまく生かせました。前方が競り合っていたのでうまく差を縮められ、ヘアピンで2番手へ上がれました。もっとも、今回のレースは耐え続ける展開になると予想していて、実際にそうなりました。最悪でも4位にならなくてはいけないレースで、5位に落ちてしまった点は反省しないといけません。シーズン序盤よりは予選も決勝も上向いてきたとはいえ、これに満足することなくさらに上を狙っていきたいと考えています」
中村真志 「第5戦はスタートで前方のクルマからパーツが飛んできて、それを避けたときに順位を落としました。それなりに好調だった予選から車両の調整をさらに加えて決勝に臨んだら、レース中はコーナーでなかなかアクセルを踏めない状態になってしまい、徐々に順位を落とすことになってしまいました。そこで第6戦には、クルマを土曜日のいい状態のときのように戻して臨みました。スタートがあまりよくなかったうえに、1周目の第1コーナーではシフトノブが外れてしまいました。そのためにシフトダウン操作がいつものようにできなくなってしまい、競り合いの中では苦戦を強いられました。今大会では結果を残せませんでしたが、予選結果に表れているように、徐々に流れは上向いてきていると思います」