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Hondaの人材育成

マンスリーレポート9月

全日本F3選手権Nクラス

鈴鹿で開催された第6ラウンドを連勝で飾ったHFDP RACING7号車の山本尚貴にとって、8月29〜30日、第7ラウンドとなるオートポリスでの第13及び14戦は、Nクラスのタイトルのかかった大事な一戦になった。同じく、今季全日本F3選手権でのルーキーシーズンを戦ってきた8号車の小林崇志にとっては、路面が荒くアップダウンに富み、テクニカルなドライバーズサーキットとして知られるオートポリスでの初レースということで、チーム全体が一層のモチベーションを持ってこのラウンドに臨むこととなった。

土曜午前11時ちょうどにスタートした第13戦予選。薄雲リながら気温28℃、路面温度40℃と、まずまずの天候となる中、山本と小林は、まずは1周ゆっくりとタイヤを温めると、計測2周目から早くもアタックを開始。山本は計測4周目に1分42秒920とNクラスで唯一43秒を切る好タイムをマークして、そのままポールポジションを獲得。小林はクラス3番手につけた。

続く第14戦予選は、やや日差しがかげり路面温度が若干下がる中、午前11時25分に始まった。ここでもセッション開始からやや遅れてピットを離れた2台は、今度は計測3周目にアタックを開始。ここで山本は1分42秒773をマークして一気にNクラスのトップに立つが、小林は1分43秒219にとどまり、クラス4番手につけた。

フォーミュラ・ニッポンの予選を終えた土曜の午後3時28分、14周で争われる第13戦決勝が始まった。山本は好スタートを切ってクラストップのまま、Cクラスマシンを従えて1コーナーへ。一方の小林はスタートでやや出遅れ、千代勝正の先行を許し、クラス4番手に。しかしスタート直後のストレート上でクラッシュが発生、その車両の排除のためコースにセーフティカーが入った。

3周終了時に再スタートが行われ、クラストップの山本は余裕を持ってトップを守ったまま再び1コーナーへ。一方の小林はポジションを上げるべく3番手を行く千代を追うが、オーバーテイクは許されない。山本は、ファステストラップを記録しつつ、11周目まで背後にCクラスマシンを従えたままトップを快走し、そのまま背後からプレッシャーを受けることもなくNクラストップでチェッカーを受けた。翌日の第14戦でのタイトル決定に向け、大きく前進した。一方、小林は抜きどころの少ないコースとあって、常に1秒以内の僅差での攻防を展開したがオーバーテイクは叶わず、そのまま4位でのフィニッシュとなった。

翌日曜の午後12時48分、20周で争われる、第14戦決勝に向け、チームは2台を万全の態勢でスタートさせるべく、グリッド上でも空力などセットアップの微調整を行い、山本、小林を送り出した。レッドシグナルが消えると、クラスポールの山本は前日同様の好スタートで1コーナーへ。一方、クラス4番手スタートの小林も好スタートを決めると、スタートに失敗した佐藤公哉を追い抜き、クラス3番手に順位を上げて1コーナーを立ち上がる。

山本はクラストップを快走。小林も後方から追い上げてきたCクラスマシンを先行させつつも、Nクラス2位を行くインペラトーリに食らいつく走りを見せた。結局前日同様、ファステストラップを手土産にポール・トゥ・ウインを達成した山本は、最終戦を待たずして2009年のNクラスチャンピオンを獲得。また小林は僅差でインペラトーリを攻略できなかったものの、3位でフィニッシュを飾り、チャンピオン山本とともに表彰台に上がった。

山本尚貴

  予選 決勝
Rd.13 1番手 優勝
Rd.14 1番手 優勝
  ポイントランキングNクラス シリーズチャンピオン決定(16戦中14戦終了時点)

小林崇志

  予選 決勝
Rd.13 3番手 4位
Rd.14 4番手 3位
  ポイントランキングNクラス5位(16戦中14戦終了時点)

コメント

山本尚貴

「この週末で2位に24ポイント以上の差をつければチャンピオンになれることは分かっていましたが、チャンピオンを狙うことよりも一戦一戦自分らしいレースをすることに集中していました。両戦ともにポールからスタートし、トップを譲らず勝てたことには満足していますし、結果としてチャンピオンを獲得できたことはうれしいの一言です。しかし、このタイトルは金石勝智オーナー、田中弘監督以下、チームのみなさんやこのマシンの貴重なデータを残してくださった先輩ドライバーの方々のおかげですし、感謝の気持ちでいっぱいです。次戦の菅生でもチャンピオンらしく、連勝できるようがんばります」

小林崇志

「第13戦ではフォーメーションのスタートでホイールスピン気味だったので、やや回転を抑えてスタートしたのですが、クラッチミートで逆にエンジン回転が下がり、出遅れて千代選手に先行されてしまいました。クルマはよかったのですが、前にマシンがいる状態での空力的な悪影響もあって苦戦、結果的にタイヤが消耗し、後半はついていくのも厳しい状況でした。第14戦のスタートはまずまずで、2番手にとどきそうな状況もあったものの、3番手に上がることはできました。ただ、展開的には前日と同じくダウンフォースを失って苦しい戦いになってしまったので、そのあたりは今後の課題であり反省すべき点だと思いますし、2位が目前だっただけに悔しいレースでした」

フォーミュラ・ニッポン

8月29日〜30日、大分県オートポリスサーキットで、全日本フォーミュラ・ニッポン第7戦が開催された。塚越広大にとっては、07年の全日本F3時代以来、F・ニッポンマシンではもちろん初めての走行になる。

塚越は金曜日にコースを下見し、土曜日に走行を開始したが、今季のレギュレーション改定により公式予選までに十分走り込む時間はない。土曜日の午前中の走行で、早速予選に向けてセッティングを開始したが、持ち込んだ状態でもマシンのフィーリングがよく、トップとのタイム差も少なかった。

上位を期待しながら走り始めたQ1だったが、タイムアタック時にフロントタイヤを十分に温めることができず、アタックの1コーナーでミスをしてしまったため、タイムは伸び悩み、順位は8番手に終わったが11台のQ2進出枠には残った。

10分間のインターバルを挟んで行われたQ2では、塚越は本来の速さを取り戻し、4番手につけてQ3へ進出、最終的にスターティンググリッド上位を決定するタイムアタックにかかった。チームは10分間のインターバルの間にさらにセッティングを進めた。塚越はタイムアタック中に、前方のマシンがスピンしたためわずかなタイムロスを強いられたが3番手のタイムを記録、2列目のスターティンググリッドを獲得した。

ここ数戦、塚越の課題は決勝レースで燃料を多く積んで車体が重いときのマシンコントロールである。オートポリスでも塚越は日曜朝のフリー走行で、レースに向けてのフィーリングを確かめ、決勝に備えた。

迎えた決勝で、塚越はうまいクラッチミートを見せたものの、その後の加速でホイールスピンをさせてスピードが鈍り、4番手に順位を落とした。その後、3番手を奪回すべく力走したがペースが思い通りに上げられず、むしろタイヤを傷めて間隔は開いてしまった。

19周目にピットインし、給油とタイヤ交換を行いレースに復帰。その後、リアサスペンションに予想外のトラブルが発生、走行続行が困難になったため急きょピットイン、そこでレースを終えた。

塚越広大

  予選 決勝
Rd.7 3番手 リタイア
  ポイントランキング7番手(第7戦終了時点。ルーキーランキング首位)

コメント

塚越広大

「今回のレースでは、予選、決勝ともにドライビングのミスが目立つレースでした。予選では、走りをもっとまとめることができれば、ポールポジションを取れるだけのパフォーマンスがありました。決勝中のタイムが落ちてしまうのも、もっと自分のドライビングを工夫して対応することができたはずだと思います。しかし、自分自身どのような走り方が良いのか探りながらのレースになって、走るラインもバラバラになってしまい、それが原因でタイヤの磨耗を進めてしまったのだと思います。次、スポーツランドSUGOで開催されるレースが今季最終戦となります。もう1度自分の走りを見直し、レースに臨みたいと思います」

田中弘監督

「発生したトラブルは、サスペンションに関するもので、通常起きるはずのないものだった。塚越は、レース中の走行ラインが定まらず、タイヤを傷めていた。全日本F3時代は、もっとタイヤをうまく使えたのだが、その点が今後の課題だ」

英国F3

2009年9月12日(土)〜13日、ポルトガルのアルガルベ・サーキットで、英国F3選手権シリーズ第17戦及び第18戦が開催された。アルガルベ・サーキットは、昨年完成したばかりの新しいサーキットで、起伏に富んだ地形を生かした高低差の激しいレイアウトが特徴的である。公式予選は、2回とも途中で赤旗中断されるなど荒れた展開となった。中嶋は1回目の予選ではアタックを開始するタイミングで赤旗を受けてセッション再開を待たざるを得ず、再開後はトラフィックの処理に手間取って納得のいくタイムを記録することはできなかった。

日曜日の午前に行われた第1レースでは、スタートシグナルに誤作動があり、中嶋は遅れ気味の出足となった。若干の混乱の中、第1コーナーまでに1つポジションを落としてしまうが、すぐさまターン5と呼ばれるヘアピンでそのポジションを取り戻した。その後さらにポジションを1つ上げ10位へと浮上した中嶋だったが、3周目に不運なアクシデントに見舞われる。

6位争いをしていた2台の車が先の見えないブラインドコーナーであるターン8の出口で接触し、走行ライン上に止まってしまい、その直後に通りかかった中嶋は停止していた車を回避することができず、左リアタイヤを引っ掛ける形で接触しサスペンションなどを損傷、残念ながらここでリタイアを余儀なくされたのだ。

第2レースは、同日午後2時から行われる。チームは、レース間のインターバルにダメージを負った車体の修復を行い、スタート時刻に間に合わせた。第1レースでの雪辱を晴らしたい中嶋だったが、なんと第2レースでも不運に見舞われてしまう。スタートでクラッチにトラブルが起きてしまったのだ。

これで大きく出遅れた中嶋は1周目終了の段階で21位までポジションを落としてしまった。このレースはセーフティーカーが2度入る波乱の展開となったが、中嶋は着実に順位を取り戻し、最終的には13位(クラス9位)でチェッカーを受けた。なお、レース後セーフティカー先導下での追い越しによりペナルティを受けた車両があったため、最終結果は1つ繰り上がり12位(クラス8位)となった。

中嶋大祐

  予選 決勝
Rd.17 11番手 リタイア
Rd.18 10番手 8位(INTクラス)
  ポイントランキング7位(20戦中18戦終了時点)

コメント

中嶋大祐

「まずは第1レースでのクラッシュのあとにクルマの修復をがんばってくれたメカニックたちに感謝したいと思います。スケジュールがタイトな中、彼らのおかげで第2レースに参加することができました。日曜日の結果については残念の一言です。レースの内容を見ても、両方のレースでまとまったポイントを獲得することが十分に可能であったと思いますので、とても悔しいですし、ポイントランキングを考えると手痛い結果となってしまいました。しかし車や自分自身の調子は決して悪くありませんので、来週行われる最終戦までにはしっかりと気持ちを切り替えて、悔いの残らない戦いができるようにしたいと思います」

フォーミュラチャレンジ・ジャパン

今回は該当レースはありません。