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Hondaの人材育成

マンスリーレポート8月

フォーミュラ・ニッポン

8月9日〜10日、ツインリンクもてぎで全日本選手権フォーミュラ・ニッポン第6戦が開催された。土曜日に行われた公式予選、第1セッション(Q1)で塚越は、マシンのコントロールを試しながら8番手タイムを記録し、第2セッションへ進出。セッティングを調整した後、11台で争われるQ2に臨み、Q1よりもタイムを短縮したものの順位は8番手のまま、第3セッション(Q3)へ進出した。再度セッティングを調整、最後のタイムアタックにかかった塚越は、アタック1周目に納得できずアタックを続行、2周目に自己ベストタイムを記録し、4番グリッドを獲得した。

決勝は、曇り空ながらドライコンディションとなった。朝のフリー走行ではセッティングを試しながら燃料フルタンク時の挙動を確かめ、決勝のスタートを迎えた。スタート合図の瞬間、加速よく動き出したが、その後にエンジン回転を落として加速が鈍り、塚越の順位はひとつ落ちた。塚越は5コーナーで逆襲をかけ、S字に向けて前車を追い抜きにかかったが130Rでラインを失いオーバーラン、逆に順位を7番手まで落としてしまった。

その後、塚越のマシンには電気系の障害が生じエンジンのパワーが十分に発揮できない状況になったこともありペースは上がらず、予定の周回数で給油とタイヤ交換のためのピットインを行いコースに復帰した段階では最後尾まで後退した。塚越はそこから追い上げようとするが、シフト操作ができなくなるトラブルも発生して、レーシングスピードでの走行を続けることが不可能になり、規定周回数46周を終えた48周目、ピットに戻ってレースを終えることとなった。

塚越広大

  予選 決勝
Rd.6 4番手 10位
  ポイントランキング7位(第6戦終了時点。ルーキーランキング首位)

コメント

塚越広大

「地元ということで大勢の方に応援していただき気合いは十分だったんですが、残念な結果になってしまいました。マシンの調子もあまりよくなかったのですが、ガソリンを積んだ状態でのマシンコントロールが難しく、なかなかタイムアップをすることができなかったのが自分で感じた課題です。周回を重ねながら、ドライビングなど自分でできる限りのことを試したのですが、ペースを上げられませんでした。決勝でもっとペースが上げられるように勉強し、次回のレースに臨みたいと思います」

田中弘監督

「スタートしてすぐにオルタネーターにトラブルが起きたようで、バッテリー切れの状態になってしまったようだ。ペースが上がらなかったのもそのためで、ストレートで加速できない状況だった。本来、このようなペースで走るはずではなかった」

全日本F3選手権

前戦の鈴鹿に続き、またもHondaのホームコースであるツインリンクもてぎを舞台に、8月8〜9日の2日間開催された全日本F3選手権第11/12戦。ポイントリーダーとして地元イベントに臨んだ7号車の山本尚貴は、今季初となる1イベントでの連勝をマーク、悲願のタイトル獲得に向け一歩前進を果たした。一方8号車の小林崇志は不運なアクシデントに見舞われるなど流れをつかめず、第11戦で1ポイントを獲得するにとどまった。

今大会から、コントロールタイヤのスペックが変更になり、これまでよりもコンパウンドがハードになったため、各選手は走り始めとなった金曜から習熟にかかった。しかし午前はドライで走行ができたものの、午後はセッション開始早々に雨が降り始め、山本は濡れた路面に足をすくわれてクラッシュ。小林も思うようなラップタイムが刻めぬまま終わった。

だが、土曜の第11戦予選で山本はファイナルラップに1分48秒956をたたき出し、見事ポールを獲得した。一方、小林はタイムが伸びず、クラス7番手という予想外のポジションにとどまった。

インターバルにフロントのサスペンション周りに再調整を受けた山本と小林は、第12戦予選ではやや早めのコースイン。計測2周目に早くも1分49秒251をマーク、次周には1分48秒910を記録した山本には連続ポール獲得の期待がかかった。しかしその次周にまさかのエンジン不調に見舞われてピットインを余儀なくされ、その後のタイム更新はならず惜しくも2番手に終わった。小林はインターバルでの調整が奏功したか、第12戦予選ではクラス3番手のポジションを得ることとなった。

土曜の夕方、午後4時過ぎにスタートした第11戦決勝で、Nクラスのポールシッターだった山本は、まずまずのスタートを決めて出遅れたCクラスマシンをかわし、クラストップのまま1コーナーへ飛び込んだ。小林もスタートで1台をかわしクラス6番手に浮上を果たす。トップに立った山本は、後続とのギャップを徐々に広げると、7周目にファステストラップを奪う好走、独走で見事ポール・トゥ・ウインを飾った。一方小林は、接戦の中オーバーテイクは叶わず、結局クラス6位でチェッカーを受けた。

翌日曜に開催された第12戦では、フォーメーションスタート直前にNクラスポールを奪っていた選手がスタータートラブルでピットスタートとなり、山本は事実上のポールスタートとなる展開に恵まれた。スタートから飛び出した山本は、またも2番手との間隔を周回ごとに広げ、2位に13秒以上もの大差をつける独走で連勝を飾った。一方小林は、スタートに失敗し大きくポジションを落とし、1周目をクラス6番手で終えたあと、2周目の3コーナーで後続車に追突されスピン、クラス8番手にまで後退してしまった。小林はダメージを受けたマシンを操って遅れを取り戻し、順位を7番手までばん回したが、それ以上のポジションアップは叶わず、惜しくもノーポイントでこのレースを終えた。

山本尚貴

  予選 決勝
Rd.11 1番手 優勝
Rd.12 2番手 優勝
  ポイントランキングNクラス1位(16戦中12戦終了時点)

小林崇志

  予選 決勝
Rd.11 7番手 6位
Rd.12 3番手 7位
  ポイントランキングNクラス5位(16戦中12戦終了時点)

コメント

山本尚貴

「今回は地元でのレースということで、たくさんの人に応援していただいて励みになりましたし感謝しています。その中で連勝できたという結果については、素直に喜びたいと思いますが、金曜の走行では自分のミスからチームの方々が仕上げてくださったマシンを壊してしまうなど、まだまだ流れをきちんと生かせていないという課題もあると反省しています。今週末の結果を見ていただければ分かるとおり、クルマは完ぺきで速さもありますが、ドライバーである自分が、週末を通じた戦い方、リズムの作り方という部分をしっかりとこなしていかなければ、そういった状況やチャンスも生かせないと思います。オートポリスと菅生、この残された2大会4レースでは全力でそういった課題をクリアできるようがんばります」

小林崇志

「第12戦ではいきなり後ろから当たってこられて、どうすることもできませんでした。そういった不運もありましたが、今週は思うように走れなかったと反省しています。金曜の走行から、スペックの変わったタイヤに少し戸惑ってしまい、雨であまり走れていなかった状況で予選を迎え、第11戦予選ではドライビングの面でも問題があったし、すべてをしっかり仕上げられなかったように思います。次戦のオートポリスは走ったことがないサーキットですが、逆に新鮮な気持ちで臨めると考えています。今回このような結果となってしまった分、次回はまた初心に帰って、気持ちを切り替えてたくさんのことを吸収したいと思います」

英国F3

7月18日〜19日に英国ドニントンパーク・サーキットでシリーズ第11戦及び第12戦、7月24日〜25日、ベルギーのスパ・フランコルシャン・サーキットで第13戦及び第14戦が行われた。

ドニントンでの中嶋はアンダーステアに苦しみ、予選10番手、7番手となるがセッティングを改善して復調、第11戦決勝では追い上げて順位を8位まで上げてフィニッシュした。今季初のウエットレースとなった第12戦でも、一旦6番手まで進出したが、スピンと接触で後退、再び追い上げて順位を回復したものの、強くなった雨の中で再び後退、10位でレースを終えた。(レース後、ペナルティを受けた選手が出たため正式結果は9位)

第13戦及び第14戦が開催されたスパ・フランコルシャンは、中嶋にとって初めて走行するコースだったが、フリー走行はウエットコンディションで行われたため、ドライコンディションとなった第13戦公式予選ではぶっつけ本番でタイムアタックをすることとなった。中嶋は初コースの攻略に戸惑いながらも8番手につけた。続いて行われた第14戦の公式予選は再びウエットコンディションになったが、選択した新品タイヤの特性とセッティングがうまく合わず、13番手に終わった。

第13戦決勝はドライコンディションで開催された。中嶋はスタート直後の第1コーナーで接触によりサスペンションにダメージを負い、そのままレースを終えた。第14戦では、スタート直前に雨が降り始めてスタートディレイとなり、再スタートしようとしたところ雨がやむという典型的スパ・ウェザーにレースが翻弄され、中嶋は急きょドライタイヤに履き替えてレースに臨んだ。

コースはドライ部分とウエット部分が相半ばした状況で、中嶋は濡れた路面に足をすくわれて順位を大きく落としてしまった。しかし再び雨が降り出し、多くの選手がレインタイヤに交換するためピットインする中、中嶋はドライタイヤのまま走行を続け、濡れた路面の上でミスをすることもなくむしろ相対的なペースを上げたため順位を回復、8位でレースをフィニッシュした。

8月15日〜16日、英国シルバーストーン・サーキットで英国F3選手権シリーズ第15戦及び第16戦が行われた。土曜日に行われた第15戦の公式予選では、タイムアタック中にグラベルへ飛び出してタイムが伸びず9位に終わった中嶋だったが、続いて行われた第16戦の公式予選では、ポールポジションを獲得した。自身、最高位である。

第15戦決勝で、中嶋は9番手グリッドからまずまずのスタートを切ると、ポジションをキープしたまま1コーナーを抜けた。オープニングラップを終えたあとは数周にわたって前を走るクルマに迫るが、追い越しどころを見出すことができず、結局9位のままレースをフィニッシュした。

初のポールポジションスタートとなった第16戦では、中嶋は落ち着いてスタートを決め、1周目を終了した時点で2位に1秒近く差を付け、一気に独走態勢を築いた。しかし、4周目の途中、エンジンカバーを留めている部品の1つが外れるというマシントラブルが中嶋を襲う。このトラブルによって浮いてしまったエンジンカバーは、空気抵抗となって速度を落とすだけでなく、マシンの空力性能にも影響を及ぼし、高速コーナーでの安定性をも奪った。

この結果、中嶋は1秒近くもラップタイムを落とし、一度は開いた間隔を縮められ、2番手の選手に追いつかれた。中嶋はなんとか首位の座を守ろうと力走したが、10周目、2番手へポジションを落とした。その後も背後から攻め寄られ、わずかなスキを見せれば4番手まで順位を落とすという苦境にさらされた。しかし中嶋は2番手のポジションを守って23周のレースを走りきり、今季自己ベストとなる2位でチェッカーフラッグを受けた。

中嶋大祐

  予選 決勝
Rd.11 10番手 8位(INTクラス)
Rd.12 7番手 9位(INTクラス)
Rd.13 8番手 リタイア
Rd.14 13番手 8位(INTクラス)
Rd.15 9番手 9位(INTクラス)
Rd.16 1番手 2位(INTクラス)
  ポイントランキング7位(20戦中16戦終了時点)

コメント

中嶋大祐

「第16戦でポールポジションを獲得できたことをうれしく思います。正直なところ今回の状況ではトップタイムを出せると思っていませんでした。事実、セクターベストを合わせたラップタイムでは4番手でしたし、まだまだ自分たちに足りない部分はあったと思います。しかし、すべての要素が噛み合った結果トップタイムを出すことができました。第16戦は、 序盤の自分のペースを考慮すれば、優勝することが十分可能であったレースで、今回の結果は手放しで喜べるものではないと思っています。しかしレースにトラブルは付き物ですし、今回のレースでは自分の力を出しきることができたと思うので、気持ちはすっきりとしています。今シーズンも残り2イベント4レースとなりましたが、自分にはまだ達成できていないことがあります。もちろん簡単ではないということはわかっていますが、自分の目標を達成できるように精一杯の努力をしていきたいと思います」

フォーミュラチャレンジ・ジャパン

フォーミュラチャレンジ・ジャパン(FCJ)第11戦の決勝(12周)は、上空を雲で覆われたツインリンクもてぎで、全18台の車両が参加して始まった。3戦連続でポールポジションを得た三浦和樹は、そのまま真っ先に第1コーナーへ進入した。しかし1周目の最終コーナーの立ち上がり加速がやや鈍り、2番手の銘苅翼に先行された。三浦は、ファステストラップを記録しながら逃げる銘苅を追いかけるが逆転はならず、結局2位のままチェッカーを受けた。

日曜日に行われた第12戦、前日の第11戦決勝に引き続きポールポジションから決勝に臨んだ三浦はレッドシグナル消灯後の出足が鈍く、予選2番手の銘苅、予選3番手の石井一也に先行を許した。3番手まで後退した三浦は予選4番手の大谷涼にまで迫られるが、3番手のポジションを守ってスタート直後の混乱を切り抜けた。

3番手となった三浦は、ファステストラップを重ねて前方を追い、後続を引き離すと2番手を走る石井に接近、追い抜きを狙いにかかった。しかし結局順位の入れ替えはできないままレースを終えた。3位に終わった三浦ではあったが、タイトル争いでは2番手の佐々木大樹との差をさらに広げ、9月26−27日に宮城県のスポーツランドSUGOで開催される最終大会を迎えることになった。

三浦和樹

  予選 決勝
Rd.11 1番手 2位
Rd.12 1番手 3位
  ポイントランキング1位(14戦中12戦終了時点)

コメント

三浦和樹

「この大会では、2連勝を達成した鈴鹿の前大会に比べると、ほかの選手に対するアドバンテージは少なくなっていると思いました。というのは、フリー走行で一度もトップタイムを記録できなかったからです。でも、セクター別タイムを個々に見ると、決して劣ってはいませんでした。だから予選では2連続ポールポジションを取れましたが、レースのペースに関してはやはり不安がありました。実際、タイヤが冷えているときに自分で限界を超えてしまったり、限界まで攻めきれなかったり、さらには焦りも加わったりしてミスが多かったように思います。タイトル争いではさらに有利になりましたが、今はレースで優勝できなかったことが悔しいです」