7月11日〜12日、ドライコンディションの鈴鹿サーキットで全日本選手権フォーミュラ・ニッポン第5戦が開催された。開幕戦で国内トップ・フォーミュラにデビュー以来、4戦連続で選手権ポイントを獲得し続けてきた塚越広大は、ホームグラウンドとも言える鈴鹿のレースで、5戦連続入賞そして初の表彰台を目指した。
土曜日に行われた公式予選では、最初のQ1セッションで1分42秒570のベストタイムを記録し、難なくQ2に進出、さらにタイムアップしようとセッティングを変更した。しかしこのセッティングがコンディションに合わず、Q2でのタイムは伸び悩んだ。塚越はかろうじてQ2通過基準最下位の8番手でQ3に進出することになった。
ここでチームは短いインターバルで再びセッティングを変更、Q3に臨んだ。塚越はセッション終了直前、最後のタイムアタックで1分42秒036という好タイムを叩き出し、3番グリッドを獲得。第3戦のもてぎに続いて、ルーキー最上位の3番手という好位置から決勝を迎えることになった。
日曜日、晴天の下で行われた決勝レースで、塚越はスタートで4番手に順位を落としたが果敢に上位を狙っていた。しかし、スターティンググリッド上でスタートの用意をするためギアを入れた際、わずかに車両が動いたことをジャンピングスタートと判定され、ドライブスルーペナルティを科せられたため、序盤のうちに順位を大きく落とすこととなった。
塚越は後方から追い上げを期したが、燃料を多く積んで車重の重かった序盤、フロントタイヤに負荷をかけすぎたせいかタイヤを傷め、ペースは上がらない。結局、ペナルティで落とした順位の大幅回復はならず、完走を果たしたものの順位は9位にとどまり、5戦連続選手権ポイント獲得はならなかった。
予選 | 決勝 | |
---|---|---|
Rd.5 | 3番手 | 9位 |
ポイントランキング6位(第5戦終了時点。ルーキーランキング首位) |
早くもシリーズは折り返し点を過ぎ、7月11〜12日に鈴鹿サーキットで行われた第9/10戦で全日本F3選手権は後半戦を迎えた。山本尚貴は、金曜日の走行では総合7番手とCクラス勢に割って入るなど、Nクラスでは次元の違う速さを見せた。一方の小林崇志は今ひとつタイムが伸び悩み、Nクラス4番手にとどまった。
土曜日午前の公式予選は、気温29℃、路面温度38℃というドライコンディションで行われた。午前10時40分からの第9戦予選では山本、小林ともに約2分待機してからのコースイン。金曜日からの好調を維持する山本は、計測2周目に1分56秒644というレコードタイムをたたき出し、見事今季初となるポールポジションを獲得した。一方の小林は、山本から遅れること2周の計測4周目、セッション残り3分を切った所で1分57秒281の自己ベストをマーク。前日からセットアップを変更しタイム差を詰めることに成功したものの、惜しくもNクラス4番手となった。
10分間のインターバルを挟んで行われた第10戦予選では、第9戦予選で自身がマークしたレコードタイムをさらに縮めた山本が、セッション終盤には早めにピットに戻る余裕さえ見せ、1分56秒579で連続ポールポジションを奪取。加えて小林も計測3周目に1分57秒001をマーク、山本にこそ及ばなかったものの、Nクラス2番手を獲得し、HFDP RACINGが第10戦で予選フロントローを独占することとなった。
土曜日の午後4時過ぎ、気温29℃、路面温度38℃と午前の予選時とほぼ同様のコンディションの中、第9戦決勝がスタートした。Nクラスのポールポジションからスタートした山本は、動き出しこそ悪くなかったものの、それを上回る猛ダッシュを見せた3番手スタートのアレキサンドレ・インペラトーリに1〜2コーナーで先行を許す。一方、Nクラス4番手スタートの小林は、好スタートで1コーナーまでに3番手に浮上、山本に次ぐポジションでトップを追った。
2番手に下がったものの、スピードに勝る山本は終始インペラトーリを攻め立てたが、レース終盤となった10周目のデグナー2つ目の立ち上がりで単独スピンを喫してクラス6番手に後退、代わってファステストラップをたたき出しながら追撃していた小林が2位に浮上、インペラトーリを追った。しかし追いつくことなく12周の決勝は終了。小林は2位に入賞するとともにファステストラップでポイントを加算、山本は5位でチェッカーを受けた。
日曜日の第10戦は、気温こそ28℃だったものの路面温度は44℃という暑い中での17周の長い戦いとなった。レッドシグナルが消えた瞬間、うまくスタートした山本だったが、またもNクラス3番手スタートの佐藤の先行を許す。一方、2番手からのスタートを切った小林は、エンジンストールに見舞われてしまい、大きく後退してしまった。
この日の山本は冷静さを失うことなく1周目のシケインへのブレーキングで、先行した佐藤のインに飛び込むと、これをかわしてトップに返り咲き、小林は1周目をNクラス6位で終えた。トップに立った山本は、3周目に1分58秒420のファステストラップを記録して後続を突き放すと、力強い走りで独走態勢を築く。小林は、3周目の攻防でコースオフを強いられ、いったんは7位に後退したがじりじりとポジションをばん回、14周目には表彰台圏内の3位に復帰を果たした。結局、山本は2位に7秒以上の大差をつける独走で3勝目を挙げた。小林もそのまま3位に入り、今季2度目の2人そろっての表彰台に立つこととなった。
予選 | 決勝 | |
---|---|---|
Rd.9 | 1番手 | 5位 |
Rd.10 | 1番手 | 優勝 |
ポイントランキングNクラス1位(16戦中10戦終了時点) |
予選 | 決勝 | |
---|---|---|
Rd.9 | 4番手 | 2位 |
Rd.10 | 2番手 | 3位 |
ポイントランキングNクラス同点4位(16戦中10戦終了時点) |
「金曜からクルマもよく自分も乗れていたために、予選などでも周囲とのタイム差を作ることができていたのですが、逆にそれが『勝たなければならない』という変なプレッシャーや力みにつながってしまい、土曜の第9戦では自分を見失ったレースをしてしまいました。その結果、精神的にどん底にまで落ちましたが、『自分らしく走れ』というアドバイスの言葉をいただいて、一晩寝たら気持ちを切り換えることができ、日曜の第10戦ではいいレースができたと思います。次戦もてぎは得意なコースですし、地元で応援も多いのですが、そこにランキングトップで胸を張って乗り込めるということで、1年ぶりの地元で、成長した自分の『自分らしい走り』を見せられるようがんばります」
「金曜からうまく流れを作れなかったように思います。金曜にすごく遅くて、土曜に少し差を詰めることができたのですが、自分の中で自信が持てなかったんだと思います。第10戦でも決勝でのペースに自信があれば、前に出ようと意気込んでスタートで失敗することもなかったかもしれません。結果として第10戦のペースはよかったのですが、そういった部分で、パフォーマンスに波があることが今の自分の課題だと思います。やはり結果が出ていないということが、自信が持てない原因になっているようにも思いますし、少しでも早く結果を出したいです。シリーズを追う上でもちょっと苦しくなってきますし、今回のデータを踏まえて次戦もてぎに向けて準備したいと思います」
7月4日〜5日、英国スネッタートン・サーキットで英国F3選手権シリーズ第9戦及び第10戦が行われた。金曜日のフリー走行で、中嶋大祐は、総合で3番手のタイムを記録するなど、快調なスタートを切った。中嶋は、さまざまなセッティングを試し、よりマシンの挙動を改善しようと工夫を重ねた。
しかし第9戦の公式予選ではスリップストリームを使いきることができずトップからコンマ3秒差の7番手、第10戦の公式予選ではスリップストリームを意識するあまりタイムアタックの時機を逃したうえ、グラベルでタイヤを傷めて走行を打ち切らざるを得ず、トップからコンマ5秒落ちの9番手に終わった。
土曜日に行われた第9戦決勝では、スタート直後の1コーナーで後続から追突された影響で順位を落とし、新しいセッティングも事態の大幅改善にはつながらないままペースを上げることができず、総合10位(INTクラス9位)でフィニッシュ、選手権ポイント2点を獲得した。
日曜日に開催された第10戦ではスタートの際にホイールスピンを起こして1コーナーまでにポジションを落とし、順位を取り戻そうとした際にオーバーランして、さらに後続車の先行を許してしまった。結局中嶋は総合13位(INTクラス12位)でフィニッシュした。
予選 | 決勝 | |
---|---|---|
Rd.9 | 7番手 | 9位(INTクラス) |
Rd.10 | 9番手 | 12位(INTクラス) |
ポイントランキング8位(20戦中10戦終了時点) |
「金曜日のフリー走行では3番手と決して調子は悪くなかったのですが、予選、決勝と進むにつれて歯車が噛み合わなくなってしまい、自分自身もこの結果にはショックを受けています。予選1回目の後に焦ってしまったことで全ての悪循環が始まってしまったように思います。予選1回目に自分がスリップストリームをうまく使えなかったために7位になり、予選2回目ではそれをばん回しようとしてさらに後退、『なんとしてでもポジションを上げなければ』という気持ちが強くなり過ぎてしまったようです。結果的に、『ポジションをばん回しなければ』という気持ちが強すぎて、すべての行いが空回りをしてしまいました。このレースで自分が冷静でいることの大切さを改めて思い知らされました。次回、このような状況に巡り合った場合には、もっと冷静かつ客観的に自分が何をするべきかを考えて、今回のように自分で悪循環を作ってしまうことだけは避けられるようにしたいと思います」
フォーミュラ・チャレンジ・ジャパン(FCJ)第5大会(第9戦&第10戦)は、7月11日〜12日に鈴鹿サーキットで参加者18名を集めて開催された。土曜日に行われた公式予選では、フリー走行から快調だった三浦和樹がポールポジション争いを展開、同じHFDPから参加している野尻智紀の追撃を振り切って、第9戦では自身初となるポールポジションを獲得、第10戦でも連続ポールポジションにつくこととなった。野尻も三浦に続いて2戦連続で予選2番手につけ、第9戦、第10戦ともHFDP選手がフロントローを独占した。
土曜日に開催された第9戦の決勝レースで、三浦はスタートから先頭に飛び出し、背後に続く野尻、佐々木大樹らを一気に引き離し、独走状態へ持ち込んだ。野尻と佐々木が2位争いをしている間に三浦はリードを広げ、そのまま逃げ切って前大会から3連勝を遂げた。野尻は、一旦佐々木に先行されながらも抜き返す健闘を見せ、三浦に続く2位入賞を果たした。
日曜日に行われた第10戦決勝でも、三浦はポールポジションからうまいスタートダッシュを見せ、危なげなく先頭に立った。野尻もこの三浦に続いた。3人目のHFDP選手、元嶋亮二も健闘、予選5番手からスタートし、スタートでひとつポジションを落としたものの、前を行く金井亮忠を追い抜きにかかった。しかし130Rで姿勢を崩して単独スピン、戦列復帰こそ果たしたものの惜しくも最後尾まで後退してしまった。
先頭を走る三浦は第9戦同様、独走に持ち込み、野尻との差をレース中盤までに約5秒開いた。追う野尻も、第10戦では後続を引き離して2番手の座を確保した。レースはそのままフィニッシュを迎え、三浦は6連続表彰台、4連勝を遂げシリーズポイントランキングで一気にトップへ立つこととなった。
予選 | 決勝 | |
---|---|---|
Rd.9 | 1番手 | 優勝 |
Rd.10 | 1番手 | 優勝 |
ポイントランキング1位(14戦中10戦終了時点) |
予選 | 決勝 | |
---|---|---|
Rd.9 | 2番手 | 2位 |
Rd.10 | 2番手 | 2位 |
ポイントランキング5位(14戦中10戦終了時点) |
「この大会では2戦連続でポールポジションを取れました。第9戦ではスタートもしっかりと決められましたし、1周目から後続を引き離すことができました。昨日のフリー走行から今日午前中の予選にかけて、タイヤが温まっていない状況でも積極的に攻めて走る練習をしてきたので、その成果を生かせました。レースの後半は第10戦のことも考えてタイヤを温存しましたが、それでもペースはよかったと思います。第10戦は、周回数が多く、さらに路面の温度も高い状態だったので、タイヤに厳しいレースになることは予想できていました。実際、レース序盤からタイヤのグリップが不足気味でしたが、そうした状態にあっても最後まで攻めの走りができました。前大会では2戦とも優勝こそ飾れたものの、レース終盤にかけてペースが落ちてしまって苦戦しましたが、この大会では2戦とも独走状態で終えることができましたし、その意味では自分の課題を克服できたと思います。ポイントスタンディングで首位になったといって守りに入ることなく、残る2大会4戦も攻めの気持ちで臨みます」
「第9戦では、スタートはまずまずで、ポジションを維持したままレースを始めることになりました。でも、そのあとはなかなかペースが上がらず、トップとは大きく離されてしまいましたし、自分では、後ろ向きのレースをしてしまったことが残念です。第9戦のあとで、いろいろな方にアドバイスをいただき、それを自分の中で消化しながら第10戦に臨みました。しかし第10戦でも第9戦同様、三浦選手には大きく引き離されてしまう結果となりました。よかった点はあったものの、三浦選手に大きく遅れたことは事実なので、もう一度、このレースを振り返って反省し、何かを修正する必要があると思います」
コメント
塚越広大
「予選のQ2はちょっとヒヤヒヤしましたが、Q3を前に田中監督と担当のエンジニアと話し合い、うまくセッティングを合わせることができました。この時点でクルマはいい感じに仕上がったので、決勝ではどんなコンディションになっても自信がありました。本当に久しぶりのドライレースだったので、何とかいい結果を出したいと思っていました。でも結局、うまくレースをまとめきれませんでした。スタートは、レッドランプが消えるまでの間に、マシンがちょっとだけ動いてしまい、フライング判定を受けてしまいました。すごく残念です。そのあとは、マシンが重い状態の時に少しがんばり過ぎて、フロントタイヤを傷めてしまい、ペースを上げることができませんでした。次のもてぎではきちんとマシンと自分の力を発揮し、結果を残したいと思います」