5月30〜31日、全日本選手権フォーミュラ・ニッポン第3戦が不安定な天候の下、ツインリンクもてぎで開催された。HFDPからは塚越広大(HFDP RACING)が出走した。公式予選が行われた土曜日は天候の悪化が予報されていたものの、予選Q1開始の午後1時の時点で路面は完全なドライコンディションだった。
当初、塚越のタイムは伸び悩みながらも、Q1、Q2とも7番手で通過した。チームはセッションの間にセッティングを見直し、最終的にスターティンググリッドを決めるQ3に臨んだ。Q3が開始されたのは午後1時50分。Q3の塚越は快調にタイムを短縮、最初のアタックで3番手に付けた。一時は石浦宏明に抜かれポジションを下げるが、ラストラップのアタックで再度3番手を奪い返した。
翌日の決勝レースは、雨が降ったり止んだりの微妙なコンディションの中で行われた。スタートでポールポジションの小暮卓史(NAKAJIMA RACING)が好スタートでトップに立つと、塚越は予選2位のロイック・デュバル(NAKAJIMA RACING)を2コーナーでかわし、さらに小暮を追う。塚越はS字から小暮に並びかけ、V字コーナーでアウトから抜きトップに立つと、小暮を引き離し独走に持ち込んだ。
この頃から雨の量が増え、各車、給油とレインタイヤへの交換のためピットイン。塚越は給油のための長いピットストップを終えても首位を守りコースへ復帰した。しかしレインタイヤではペースが上がらず、後方からの追い上げを受けて苦しい展開に。17周目の5コーナーで単独コースオフした隙に、アンドレ・ロッテラーと小暮が先行、その後ブノワ・トレルイエにも抜かれて塚越は4番手へ順位を下げた。
雨が再び止み、路面は乾き始めた。塚越は24周を走ってピットイン、スリックタイヤへ切り替えてコースへ復帰した。この判断が功を奏し、塚越は小暮に次ぐ2位へ浮上した。ところがこの頃より再び雨が増え始めた。続々とピットインが始まり、タイヤがスリックからレインへ交換されていく。
しかし塚越だけはピットインをせず、スリックのまま走り続けた。この結果、塚越は再び首位へ上がった。レインタイヤに交換してコースに戻った2位小暮は約27秒後方。すでにペースはレインタイヤ装着車の方が明らかに上がっている。塚越は滑りやすい条件でリードを切り崩しながら走り続ける作戦である。
少しでも雨脚が弱くなれば、塚越は逃げきれる。しかし無情にも雨は強まっていった。結局残り4周で小暮が塚越をとらえて先行。さらに最終ラップ、塚越はトレルイエと石浦にも抜かれて4位でレースを終えた。この結果、デビュー戦から3戦連続の入賞を果たした塚越は4位と同点のシリーズポイントランキング5位につけた。
予選 | 決勝 | |
---|---|---|
Rd.3 | 3番手 | 4位 |
ポイントランキング5位(第3戦終了時点。4位と同得点) |
今回は該当レースはありません。
5月30〜31日、楕円形のオーバルサーキットを一部使用する特徴的なレイアウトを持ったロッキンガム・モータースピードウェイで英国F3選手権シリーズ第3イベント(第5戦及び第6戦)が開催された。テスト走行からこのコースで好タイムを記録していた中嶋大祐は、期待を持ってレースウィークを迎えた。しかし公式予選では、トラフィックやイエローフラッグなどでタイムアタックのタイミングがとれず、第5戦、第6戦ともに7番手に終わった。
シリーズ第5戦となる第1レースは、スタートから混乱が起き、7番手からスタートした中嶋は序盤のうちに4番手へ順位を上げた。さらに前を走っていた選手がアクシデントでマシントラブルのためレースから脱落、中嶋は2周目に3番手へ進出した。しかし、その後はマシンのバランスが悪化、追い上げはかなわず、後方からの追撃を守るレースとなった。しかし中嶋は3番手のポジションを守りきってフィニッシュを迎え、英国F3選手権参戦後初の表彰台に上がることとなった。中嶋にとっては2007年のFCJ以来の表彰台であった。
第6戦となる第2レースも7番手からのスタート。チームは第1レースの状況を考えマシンのセッティングに手を加え、レースに臨んだ。第2レースも波乱含みとなり、中嶋は混乱に乗じて1周目の終わりには順位を5番手に上げ、さらに4番手を走る選手に迫った。レース中盤、首位を走る選手がペナルティを受けて後退したため、中嶋の順位は4番手へ浮上、前を走る選手を追い抜けば連続表彰台のチャンスが出てきた。しかし惜しくもオーバーテイクのチャンスは訪れず、4位でチェッカーを受けた。この結果、中嶋は開幕以来全6レースで6位以内入賞を続けた唯一のドライバーとなり、ポイントランキング上でもトップから20ポイント差の3位に浮上した。
大活躍の第3イベントから1週間、第4イベント(第7戦及び第8戦)は英国を出て、F1グランプリも開催されるドイツのホッケンハイムサーキットでの開催。中嶋にとっては初めて走るサーキットである。途中、不安定な天候により路面が濡れたこともあり、中嶋はサーキットを思い通りに攻略することができず、公式予選では11番手、14番手に終わった。
第7戦となる第1レースで、中嶋はいつものようにスタートダッシュを決めバックストレートまでに8番手まで順位を上げた。しかしその直後のヘアピンコーナーで後方から追突を受けそのままレースを終えてしまった。初めてのコースを走り込んでおきたい中嶋にとっては手痛いオープニングラップでのリタイアであり、英国F3選手権シリーズ参戦後初めての無得点レースだった。
翌日行われた第2レース(第8戦)は、レース開始の2時間ほど前まで降り続いた雨の影響でハーフウエットの路面コンディションで行われた。コースに慣れていない中嶋にとっては難しい状況である。全車スリックタイヤでスタート、激しく順位を入れ替えながらレースが始まった。中嶋は結果的に予選順位のまま1周を終え、落ち着いたところで追い上げにかかろうとしたが、逆にミスにより前方集団との間隔を開いてしまい、単独走行となった。最終的には、前方を走るドライバーたちのアクシデントやミスによって3つポジションを上げ、総合11位、クラス10位でフィニッシュ、貴重な1ポイントを獲得した。
予選 | 決勝 | |
---|---|---|
Rd.5 | 7番手 | 3位 |
Rd.6 | 7番手 | 4位 |
Rd.7 | 11番手 | リタイア |
Rd.8 | 14番手 | 10位 |
ポイントランキング5位(20戦中第8戦終了時点) |
「表彰台を第一の目標にしていたので、第5戦の結果についてはうれしく思うと同時に、チームに感謝をしています。しかし、今回からチームで同僚になったマーカス・エリクソンに先に優勝されてしまったので悔しい気持ちも強いです。チームはいいクルマを用意してくれていただけに、予選の結果がとても悔やまれますが、不本意な結果に終わった予選を乗り越えて表彰台に上がることができたことは今後に向けての自信につながると思っています。
ホッケンハイムでは、とても難しい週末となりました。金曜日の公式練習から予選までの流れでレースの9割が決まってしまったように思います。初めて走るサーキットで、走行初日に予選を行うというのは想像していた以上に難しいものでした。これまでレースを行ってきたイギリス国内のサーキットもレース前にそれほど多くテストをできていたわけではないので、経験の少ないサーキットに対しての苦手意識はそれほどなかったのですが、今回の週末を通して、自分のレベルをもう一つ上げなければならないと痛感しました」
5月30〜31日、ツインリンクもてぎでFCJの第5戦、第6戦が開催された。HFDPの三浦和樹は、第5戦公式予選で2位、第6戦公式予選で4位につけ、決勝でも第5戦で2位、第6戦で3位入賞を果たし連続して表彰台に上がる活躍を見せた。2位入賞は今季HFDPから参加した選手として最上位である。この結果、三浦は第6戦終了時点でシリーズポイントランキングを4位に上げた。
「今回は精神的な面での失敗は決してするまいと心に決めてレースに臨みました。第5戦では、シフトミスして後ろから迫られてしまいましたが、絶対にここで引いてはいけないと心に決めてがんばりました。あそこで前に行かれてしまったらそこまでだと思いました。それで順位を守れ、その後引き離していけたので、自分で手応えのあるレースでした。第6戦でも続けて表彰台に上がれました。優勝こそできませんでしたが、最後まで攻めの姿勢を保つという点で成長できたと自分で手応えがありました。これまで悩んでいた課題をひとつ克服した気持ちがします。この勢いでこれからのシーズン、もっと成績を上げていきたいと思っています」
コメント
塚越広大
「土曜日朝のフリー走行では思うように走れませんでした。走行後に、監督やエンジニア、オーナーと、セットアップの方向性やドライビングのことを話し合って、予選ではいいアタックができました。最後のQ3も“いくしかない”っていうことで思いきりいったのが、うまくまとまりました。決勝では天気がもう少しもってくれれば、と悔しい思いをしました。でも第3戦目でこれだけいいレースができて、本当にチームのみんなに感謝しています。コンディションがこれだけ変わる中、タイヤをどうするかという問題はありましたが、レインタイヤであまりタイムが出せなかったので、スリックでがんばることにしました。僕はああいう状況でスリックを使うことには自信があったんです。コンディション次第では勝てたと思いますし、勝てるクルマにしてもらっていたと思います。最後までプッシュを続けられたという点は満足です。6位、5位、4位と順番に来てしまいましたが、富士は開幕戦でいいレースができたので、もう3位と2位は飛ばして1位へいきたい気分です。そのためにもトレーニングして備えます」
田中弘監督
「土曜日の走り始めは、一部新しいコンポーネントの影響でペースが上がらなかったが、切り替えることによって予選では本来のタイムが出せました。決勝では特別にギャンブルをしたつもりはありません。ライバルチームとは違って、新しいチームである我々には、コンディションに合った状態のユーズドタイヤの手持ちがなく、新品を使わざるをえない状況では、ペースが上がらないことがわかっていたんです。塚越は、滑りやすい路面でスリックを使えるドライバーなので、彼のコントロール能力を信頼してスリックで走り続けることにしました。スリックに変えた直後のセーフティカーランと、ピットイン前のミスがなければ、逃げきれたかもしれない。表彰台に上げてやりたかったので、最後は無理をするな、と指示しました。塚越は、まだまだ身につけなければならないことがあるが、トップフォーミュラに慣れてはきましたね」