5月16〜17日、全日本選手権フォーミュラ・ニッポン第2戦が新装となった鈴鹿サーキットで開催された。HFDPからは塚越広大(HFDP RACING)が出走した。第1戦以降、テスト走行の機会がないままレースウィークを迎え、塚越は土曜日の練習走行からデビュー2戦目のレースに向けた準備に取りかかった。しかし天候は悪化、午後から雨に。
公式予選は雨の中、行われた。1セッションごとに下位のマシンが脱落していくノックアウト方式の予選で、塚越は予測のつかない路面状況を見ながら慎重にタイムを上げ、最初の関門であるQ1を通過。雨脚が強くなりマシンコントロールが難しい状況になったQ2では途中までトップタイムをマーク、4番手タイムで今季初のQ3へ進出した。雨脚が弱まったQ3で塚越は攻めに入ったが、4周目のS字でマシンのコントロールを失い、コース復帰ができずセッションを終えてしまった。
午前中のフリー走行はドライコンディションだったが、再び雨が降り始め決勝レースはレインコンディションの中行われた。スタートに失敗した選手をうまく避けた塚越は4番手で1コーナーに飛び込んだ。前方視界を遮るウォータースクリーンの中、塚越は4位を守って走行を重ね、後続を引き離した。
25周目にピットインして給油と同時にタイヤ交換をしてレースに復帰、塚越はファステストラップを記録しながらハイペースで上位選手を追う。しかしあまりのハイペースがたたってタイヤを傷め、さらに自らのミスも重なって、タイヤ無交換作戦を採ってピット作業を終えた5番手の平手晃平(TEAM IMPUL)に逆転され順位を5番手に落としてしまった。
その後、タイヤの状態が安定してからは再びペースを取り戻し、塚越は平手を追いかけたが届かず、5位でデビュー2戦目を終えた。優勝はロイック・デュバル(NAKAJIMA RACING)。塚越はシリーズポイントランキング5番手、日本人選手としては3番手、ルーキーとしてはトップに立っている。
予選 | 決勝 | |
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Rd.2 | 7番手 | 5位 |
ポイントランキング5位(第2戦終了時点) |
4月25〜26日、全日本F3選手権第2ラウンドが岡山国際サーキットで行われ、断続的に雨がコースを濡らす不安定な天候の中、Nクラスに参戦するHFDP RACINGの7号車・山本尚貴、8号車・小林崇志がそれぞれ表彰台を獲得した。
終日ドライコンディションでの走行となった金曜の練習走行。午前のセッションでは昨年このサーキットで優勝を経験している山本が、Nクラス2番手ながらも好調な滑り出し。しかし、このサーキットはフォーミュラでの走行経験がない小林はやや苦戦しクラス7番手に。午後に入り、2回目のセッションでは、様々なセットアップを試すなどメニューをしっかりと消化した山本が、堂々のクラストップタイムをマーク。一方の小林も上位とのタイム差を縮め、クラス4番手と上り調子でこの日を終えることとなった。
ところが、土曜の岡山国際は雨に見舞われ、午前10時45分からの予選1回目は前日から一転してウエットコンディションとなり、初のハンコックのレインタイヤでのアタックとなった。雨によってCクラスのマシンとのタイム差が縮まる中、山本は懸命にアタックをするも第3戦4番手、第4戦5番手。小林は第3戦6番手、第4戦4番手という予選結果に。
やや雨が小康状態となる中、土曜の午後3時08分に迎えた第3戦。フロントローのマシンが出遅れる中、好スタートを決めて1コーナーでクラストップに立ったかに見えた山本だったが、後続車の追突を受けてスピンアウト。グラベルにスタックし、そのまま無念のリタイアとなってしまう。
しかし、この山本に代わってクラストップに立った小林は、霧雨の中、序盤総合3番手を快走。5周目にペースに勝る関口雄飛(EBBRO AIM F307)の後じんを拝し、クラス2番手に後退した小林だったが、粘り強く18周を走りきってクラス2位でのフィニッシュ、今季2度目の表彰台獲得となった。
天候の回復が見込まれ一時はドライに転じた日曜の岡山国際だったが、午後3時18分にスタートした第4戦は、スタート1時間前から降り始めた雨によってウエットコンディションに。しかし雲の隙間から日差しが覗いていたこともあり、チームでは大多数のマシン同様山本、小林をスリックタイヤで送り出すことに。
ところが予想に反して雨が強まったことから、レース序盤に山本、小林は相次いでピットインしレインタイヤに換装。コースに戻ると怒とうの追い上げを見せた2台だったが、最終ラップの最終コーナーで他車との攻防を演じていた3位の小林にクロスラインで仕掛けた山本が立ち上がりで前に。0.099秒差という僅差ながら山本が3位表彰台に立ち、小林は惜しくも4位となった。
全日本F3選手権第5戦、第6戦が、5月16〜17日に鈴鹿サーキットで行われ、またも雨がらみの週末となる中、HFDP RACINGの7号車・山本が第6戦で今季初優勝、そして8号車・小林が第5戦でファステストラップを獲得するなど、ふたりのドライバーがそろって好パフォーマンスを見せた。
週末に向けて天候の悪化が伝えられる中、ドライコンディションで行われた金曜の練習走行では、午前のセッションで山本が1分56秒138と、非公式ながらNクラスのレコードを更新するトップタイムをマーク。同じくレコードタイムを更新するも、小林はNクラス5番手。午後に入っても山本の好調は変わらず、1分55秒694とクラス2番手のマシンにコンマ6秒の大差をつけてトップタイムを奪い、総合でのクラストップを譲らず。一方の小林は、午前の自己ベストを更新できずNクラス5番手にとどまった。
迎えた土曜の公式予選は、予想通りウエット。第5戦予選にユーズドタイヤをチョイスして臨んだ山本と小林は、ぶっつけ本番のウエットコンディションの中、改修されたばかりのセクター1の路面にやや手を焼きながらもアタックを敢行。山本、小林がNクラス3〜4番手に並んだ。
続く第6戦予選に向けてはレインのニュータイヤを装着した2台は、やや雨量の落ちたセッション終盤にタイムアップ。ポールポジションにこそ届かなかったものの、山本がクラス2番手、小林は6番手となった。
その後止む気配を見せた雨だったが、午後4時過ぎからの第5戦決勝ではウエットコンディションの中での戦いとなった。
レッドシグナルが消え、ややスタートに失敗した山本はポジションアップを果たせぬまま1コーナーへ。一方の小林も濡れた路面でのスタートを気にしすぎたのか、エンジンストールに見舞われ、総合13番手までポジションダウンを喫してしまう。周囲にはCクラスマシンがひしめき、思うようなペースで周回できない山本は、序盤は8番手で前を行く同じNクラスの佐藤公哉(NDDP EBBRO)を追うも、結局攻略できぬままチェッカーを受けNクラス3位となった。また、出遅れた小林はポイントリーダーである関口との攻防に時間を費やすこととなったが、8周目のS字でようやくこれをかわしてNクラス6番手に。前の開けた小林は一気にペースアップし、10周目にはNクラスのファステストラップとなる2分12秒594をマークしながら前を追ったものの、大きく開いていたギャップは詰めきれず、そのままNクラス6位でのフィニッシュとなった。
翌日の第6戦決勝は、スタート進行前に雨がぱらついたものの、雨は勢いを増すことはなく、全車スリックのまま17周の決勝を戦うこととなった。
午後0時48分のスタート、今ひとつ加速のよくなかった山本は、フライングを犯した関口、Cクラスのケイ・コッツォリーノ(TODA FIGHTEX)の先行を許したばかりか、シケインでは千代勝正(NDDP EBBRO)の後じんを拝することとなってしまう。しかし、ペースの上がらないアレキサンドレ・インペラトーリ(ACHIEVEMENT by KCMG)をかわし2番手に浮上した山本は、7周目の1コーナーでアウトから千代を豪快にオーバーテイクしトップに浮上。その後は後続を寄せ付けず、マージンを拡大すると17周を走りきってチェッカーを受け、ついに念願の今季初優勝を飾った。
一方小林は、スタート直後は山本に次ぐクラス5番手を走行。コンマ数秒差で山本に追いすがったものの、インペラトーリ攻略に手間取り、6周目の1〜2コーナーで背後から迫った佐藤の先行を許してしまう。しかし、9周目を過ぎたあたりから自己ベストを更新しながら追い上げた小林は、16周目のデグナーでの佐藤のミスを逃さず、もつれあったままヘアピンに進入、ここでクラス4番手の座を奪い返す。しかし残り周回は少なく、そのままのポジションでチェッカー。惜しくも表彰台には届かなかった小林だが、粘り強い戦いでクラス4位を獲得した。
予選 | 決勝 | |
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Rd.3 | 総合7番手 Nクラス4番手 | リタイア |
Rd.4 | 総合8番手 Nクラス5番手 | 総合6位 Nクラス3位 |
Rd.5 | 総合8番手 Nクラス3番手 | 総合8位 Nクラス3位 |
Rd.6 | 総合7番手 Nクラス2番手 | 総合7位 Nクラス優勝 |
ポイントランキングNクラス3位(第6戦終了時点) |
予選 | 決勝 | |
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Rd.3 | 総合9番手 Nクラス6番手 | 総合6位 Nクラス2位 |
Rd.4 | 総合7番手 Nクラス4番手 | 総合7位 Nクラス4位 |
Rd.5 | 総合9番手 Nクラス4番手 | 総合11位 Nクラス6位 |
Rd.6 | 総合12番手 Nクラス6番手 | 総合10位 Nクラス4位 |
ポイントランキングNクラス4位(第6戦終了時点) |
「開幕の富士から好調で、マシンの状況がいいことは間違いなかっただけに、なぜ勝てないのか言い訳もできず悔しい。岡山では2日間のウエットで、これだけの差がつけられてしまった原因はドライバーの力なのだということを改めて感じました。鈴鹿はホームコースであり自信もあるし、勝てないまま、すでに4戦を消化してしまっていたので、なんとしても勝って流れを変えるつもりで臨みました。しかし土曜日の第5戦でも勝つことができませんでした。日曜の第6戦の前には、金石勝智代表からこのレースはターニングポイントになる重要な1戦だから気を引き締めてがんばれ、と言われていましたし、自分でもここで勝たないと後はないと思いスタートしました。そして、完ぺきではないにせよ優勝という結果が残ったことは素直にうれしいです。次戦以降、もっと連勝していけるように、努力を怠らずにがんばります」
「岡山では、まだF3マシンの走らせ方という点で自分の思うことができていないと感じました。まだまだ成長しなければならない部分が多いと改めて痛感しましたが、雨の中でも予選から比べれば決勝でのタイム差は縮まったし、滑りやすいコンディションの中ではクルマの挙動が通常より分かるようになり、きっかけをつかめたように思いました。鈴鹿では、第5戦のスタートではストールし出遅れてしまったうえ、関口選手を抜くのに手間取ってしまったのがもったいなかったです。また、第6戦では後半はよかったものの、前半はうまく乗れませんでした。フィーリングは悪くなかったのですが、後半になってマシンバランスが変わり、ようやく乗れるようになったという感じです。残念ながら表彰台には届きませんでしたが、今大会の2戦を通じ、だいぶクルマの感覚というものが分かってきたと感じているので、つかみかけている感覚を大事にしていけば山本選手とのタイム差も詰まっていくと思います」
5月2〜3日、F1イギリスグランプリが行われることでも有名な、シルバーストングランプリサーキットで英国F3選手権シリーズ第2イベントが曇り空の下で開催された。シリーズ第3戦となる第1レースで、中嶋は4番手のグリッドからスタート、3周目には前車との距離を縮めた。しかし、その瞬間ダウンフォースを失いマシンの姿勢を崩し、逆に2つポジションを落とし、順位をばん回できないままフィニッシュを迎えた。優勝は、レンジャー・ヴァン・デル・ザンデ(ハイテック)であった。
第4戦となる第2レースは、6番手からスタート。第1コーナーで1台に先行されたものの、その後2台を抜き返し、5番手に浮上した。その後はトップグループとほぼ同じペースでラップを重ね、付かず離れずといった状況が続く。しかし、レース終盤になって前を走る車のペースが徐々に落ち始め、中嶋は16周目に第3戦の優勝者であるヴァン・デル・ザンデを追い抜き、2秒以上前を走っていた3番手のチルトン(カーリン)を猛然と追い上げた。しかしわずかに0.2秒届かず、4位のままチェッカーフラッグを受けた。優勝はダニエル・リカード(カーリン)であった。
予選 | 決勝 | |
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Rd.3 | 4番手 | 6位 |
Rd.4 | 6番手 | 4位 |
ポイントランキング6位(第4戦終了時点) |
「第3戦の予選ではトップから0.1秒遅れの4位ということで、決して悪い結果ではありませんでしたが、悔しい気持ちの方が強いです。どちらの予選でもアタックをするタイミングを失敗してしまったかな、というのが正直な感想です。これはチーム全体にとっていい経験になったと思うので、次回以降の予選に生かしていきたいと思います。決勝では、どちらのレースでも表彰台のチャンスが十分にあったので、悔しい気持ちが強いです。ですが、開幕戦の後に課題として残ったレースペースは今回のレースではよかったと思いますし、予選でのパフォーマンスも前回と比べると向上しましたので、チームには感謝しています。第3戦ではミスによってポジションを失ってしまいましたが、実はこのミスによって自分のクルマの改善点が見つかり、第4戦ではそれが功を奏しました。今はまだ表彰台に乗るために不完全な部分がいくつかありますが、レースを重ねるごとによくなっていますので、今後もこの流れを保っていきたいと思います」
5月16〜17日、鈴鹿サーキットでFCJの第3戦、第4戦が開催された。HFDPの野尻智紀は、第3戦、第4戦ともに決勝で3位入賞を果たし、表彰台に上がる活躍を見せた。なお野尻は第3戦公式予選でポールポジションも獲得している。また元嶋亮二は第4戦公式予選で3位につけ、決勝でもレース終盤まで3位を走ったが惜しくもコースオフを喫してレースを終えた。この結果、野尻は第4戦終了時点でポイントランキングを4位に上げた。
「2戦連続して表彰台に上がれたのは、自分の走りが安定してきた結果だと自分では手応えを感じています。しかし第3戦、第4戦とも優勝できるレースだったと思うので、そこで優勝できず3位に終わったことは反省しなければなりません。レース後半は優勝した選手よりもいいペースで走れているのに、スタートで前に出られず、自分の走りができなかったことが残念です。もちろん次は優勝を狙ってレースに臨みます」
コメント
塚越広大
「前回に続いて連続入賞をすることができました。すばらしいクルマを用意してくれたチームの皆さんにお礼を言わなければいけません。自分としては、初めてのウエットレースでたくさんのことを勉強することができました。しかし、予選、決勝で自分のミスがありました。レース中に、何度も『これでレースは終わるかも』と思うようなミスをしてしまいました。でも、コースコンディションに合わせてセッティングすること、レインタイヤのマネージメントなど新たな課題が見えました。これを踏まえ次回もてぎでのレースもいい結果が残るようにしたいと思います」
田中弘監督
「鈴鹿へ向けて、非常にうまくハードウェアの準備ができたこともあって、練習の段階からいいタイムで走れました。公式予選は、雨量がもっと増えると予測していたが、裏目に出てしまいました。決勝では、タイヤ無交換作戦も考えられたが、それは結果論ですね。平手選手がピットインした周、ミスさえしていなければ前に行けたはずで、あそこで前に行けさえすれば4位、日本人選手首位にいけたと思うと残念です。ただ、総じて非常にいいペースを保って安定して走っていたので、いいレースをしたと評価しています」