その後、ずっとレーシングカートをやって、成績も出るようになって2006年には全日本カート選手権のFAクラスチャンピオンになり、07年はスポンサーの支援を受けてヨーロッパでヨーロッパ選手権に出走させていただきました。実は、僕自身はチャンスをつかもうとはあまり意識していませんでした。特にライバルを押しのけてどんどん上へステップアップしようという気はないままカートをしていたんです。もちろんレースが始まったら当然ライバルのことは意識しましたが、ふだんはあまりそういうことは考えることなく、レースのときはただ一番前を走りたいな、一番前を走らなければ楽しくないなと思っていただけ。そうしていたら結果的にチャンスをいただけたんです。
でも、ヨーロッパに行く頃から四輪レースの手伝いなどもするようになって、僕もそろそろカートだけではなくて四輪でも走ってみたいという気持ちが強まってきました。先輩に相談したら、皆さんSRS-Fを出ていらっしゃるし、お話を聞いても「すごくためになる」ということだったので、僕もSRS-Fに行こうと決めました。
SRS-Fでは、走りのことはもちろんですが、僕が走る場は様々な人が協力してくれて成り立っているんだというようなことを学びました。レースは僕だけの力ではできないんだということがよくわかりました。カートからサスペンションのついたフォーミュラカーに乗ったときの戸惑いは、かなりありました。クルマが動くときの感覚もすごく違いますし、ミッションもありますし、最初は操作するだけでいっぱいいっぱいで、攻める走りなどとてもできませんでした。簡単には慣れませんでした。少しずつ少しずつ慣れて、それとともに徐々に走り方も変わっていった、という感じでしょうか。
1年間SRS-Fで学んで、最後にスカラシップをいただいたときは、もちろん1年間の目標だったので、すごくうれしかったです。最初はそんな自信はなかったのですが、徐々にフォーミュラカーに慣れて、速かった人とのタイム差も縮まってきたので、最後の頃は、これなら獲れるだろう、いや獲らなければいけないだろうという気持ちになっていました。
08年はSRS-F受講と並行してF4でレースに出場させていただいたのですが、苦労しました。正直なところ自分の中では納得できるレースが全然できませんでした。この苦労を今年のFCJでは全部プラスの方向へ生かして戦いたいと思いますし、それができるという自信はあります。 |