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Hondaの人材育成

マンスリーレポート 第5回
F3ユーロシリーズ SUPER GT 全日本F3選手権 FCJ
FORMULA 3 EURO SERIES F3ユーロシリーズ
REPORT
 

今回は該当レースはありません。

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SUPER GT SUPER GT
REPORT
 

今シーズンは有効ポイント制が採用されており、ツインリンクもてぎを舞台に行われる、シリーズ第7戦からはすべてのポイントが加算され、チャンピオン争いはますます激しくなる。伊沢拓也とラルフ・ファーマン組は、今シーズンここまで、常に上位を走りながら不運が続き、思うような結果が残せなかった分、ウェイトハンデを抱えておらず、シリーズ後半戦を有利に戦える位置にいる。

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- NSXと伊沢拓也 -
 

今回の予選は、通常のスーパーラップ方式ではなく、全車が走行する15分間のセッション1、12台のマシンが走行する10分間のセッション2、そして8台が走行する10分間のセッション3と、3回のセッションでスターティンググリッドが決定される、いわゆるノックダウン形式で行われる。

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- 伊沢拓也 -
 

伊沢は、セッション1のタイムアタックを担当した。伊沢にとっては初めての予選タイムアタックだったが、見事2番手のタイムを獲得した。その後、タイムアタックはファーマンが担当、最終的に2番手となるフロントローのスターティンググリッドを獲得した。

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- 出撃する伊沢 -
 

決勝レースを迎えたツインリンクもてぎは、強い日差しが路面を照りつけ、予想外の暑さとなって、タイヤの使い方が問われるコンディションとなった。レース前半はファーマンが担当、2番手のポジションを守ったまま早めのピットインをして、マシンを伊沢に託した。リアタイヤ2本のみを交換したマシンを引き継いだ伊沢は、タイヤ消耗を抑える走りで2番手をキープし周回を重ねる。

レース終盤、伊沢はペースを上げ、首位を走るマシンを追い上げ始めた。その間隔はみるみる縮まっていく。しかし追い抜きまでには至らず、結局伊沢は2位でチェカーフラッグを受け、今季2度目の表彰台に上がることになった。

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- 表彰台の伊沢拓也とラルフ・ファーマン -
Takuya Izawa 伊沢拓也/R・ファーマン
 
Rd.7 予選:2番手 決勝:2位
COMMENT

今回はミスすることなく、最後までプッシュすることができました。でも、悔しいという気持ちでいっぱいです。競技規則上、救済を受けているクルマにある程度の間隔でついていけたということについては自信になりました。次のオートポリスは、去年、ウェイトハンデを積んで重い状況でもNSXが勝っていますし、優勝を目指して頑張ります(伊沢)

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JAPAN FORMULA 3 全日本F3選手権
REPORT
 

シリーズ最終ラウンドを迎えた全日本F3選手権は、9月20日、スポーツランドSUGOで第17戦決勝を迎えた。予選は気温22℃、路面温度30℃という涼しいコンディションの下で行われ、ホンダ・チーム・リアルの中山友貴が6番手、山本尚貴が7番手、ホンダ戸田レーシングの中嶋大祐が9番手につけた。

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- 山本尚貴 -
 

決勝では、カルロ・ヴァン・ダム(PETRONAS TOM’S F308)が、トップで1コーナーへ飛び込んで始まった。好スタートを決めた山本は5番手にポジションを上げてレースを始める。山本は前を行く安田裕信(ThreeBond)を追いかけるが逆に後方からケイ・コッツォリーノ(広島トヨタ・ダラーラ F308)に迫られ5番手の座を守る戦いとなる。結局、そのままチェッカーフラッグが振られ、レースは終わった。

シリーズ最終レース、第18戦が行われる日曜は、朝から雨。決勝レースはウエットコンディションで行われた。フロントローにはヴァン・ダムと井口卓人(TDP TOM’S F308)が並び、2列目には国本京佑(TDP TOM’S F308)とコッツォリーノ、3列目には安田と山本が続く形となっている。以下、中山が7番手、中嶋が9番手からのスタートである。

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- 中山友貴 -
 

スタートでは中山が嵯峨宏紀(DENSO・ルボーセF308)にかわされてポジションを1つ落とす。前日のレースに引き続き、山本は安田を追いかける展開となる。しかし、濡れた路面に足を取られてオーバーラン、中山がこの山本をとらえて順位を入れ替え、6位入賞を果たした。

2008年度のポイントランキングは山本が5位、中山が8位、中嶋が9位となった。

Naoki Yamamoto 山本尚貴
 
Rd.17 予選:7番手 決勝:5位
Rd.18 予選:6番手 決勝:7位
Yuki Nakayama 中山友貴
 
Rd.17 予選:6番手 決勝:7位
Rd.18 予選:7番手 決勝:6位
Daisuke Nakajima 中嶋大祐
 
Rd.17 予選:9番手 決勝:8位
Rd.18 予選:9番手 決勝:8位
COMMENT Hondaの人材育成
- 山本尚貴 -
 

「最終レースでは、コースを飛び出してしまいましたが、自分なりに攻めた結果なので、悔やんではいません。この一年いい経験ができたし自分の財産になると思います。レースに関してはレースウィーク、レースに向けてのクルマの(セッティングの)作り方に問題がありました。自分のドライビングがまだ定まっていないのに、クルマのせいにしてしまう面があった。それがプラスになることもあったけれど悪い方へいくこともあって、まったく違う方向へいったりしたときには自分でも何をやっているのかわからなくなったりした。そんな中でも、(田中)監督はアドバイスをくれました。クルマのことばかりではなく精神面でも走り方の面でも支えていただいたし、本当に多くのことを学ばせていただいたと思います。監督や金石さんが望んでいたレベルには到達できなかったけれど、この一年で自分は成長したとは思っています。より高いレベルへいけるように、もっとがんばりたい」(山本)

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- 中山友貴 -
 

「SUGOでの最終ラウンドには力が入りました。前のレースと比べてもトップとの差は縮まったと思う。だからもっといいところを走って結果を残したかったのですが、F3でのコース攻略に苦戦してしまって出遅れ、予選順位が上げられなかったのでレースの結果を出せなかったのが残念です。開幕からここまで、いい意味でいろんな経験もさせてもらったし勉強もさせてもらった。いっぱい勉強した一年だったと思います。一方、まだまだ学ぶことがあると痛感した一年でもありました。もう少し結果を出したかったという意味では悔しい一年でもあります。チームメート(山本)が1回優勝していますからね。自分は優勝できなかったという意味では、チームに恩返しができなかったなと思う。結果を出すことが一番いい恩返しだと思っていましたから。でも、結果以上には学ばせてもらったという実感があります」(中山)

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- 中嶋大祐 -
 

「最後の最後、ちょっと不甲斐ないレースをしてしまいましたが、今週を振り返ると、木曜日の出だしでかなり差があったのですが金曜日の終わりにはだいぶ取り戻せました。これでいけるなと思っていたのですが、予選がうまくいかなかった。1セット目はよかったのですが今年はいつも2セット目でうまくいかないんです。レースでは、順位も上げられたしペースも山本君とコンマ3くらいの差で走れましたし。もう少しいい形で終わりたかったけれど、一年間苦労したまま終わってしまったなという感じです。シーズン序盤は悩んでいました。スケジュールがF1並みに詰まっていたので、あれよあれよという間に終わってしまいました。でもシーズン後半はかなりよくなってきて、いろんなことを経験できた楽しい一年でもありました。毎戦、本当にいろんなことを試すことができたし、他人よりも経験できたことは多かったと思う。チームのみんなと一緒になって、今回はこんな新しいことをやってみよう、とレースができた。こういうレースのやり方は望んでいたものでしたから。苦しかったことも含めて、いい経験ができたと思っています」(中嶋)

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FORMULA CHALLENGE JAPAN フォーミュラチャレンジ・ジャパン
REPORT
 

2008年度FCJ最終ラウンドはスポーツランドSUGOでの開催、第15戦の決勝(18周)は9月20日(土)、いまにも雨が降り始めそうな曇り空のもとで始まった。フォーメーションラップで銘苅翼(FTRSスカラシップ)が他車と接触、ピットに戻ったため、14番グリッドが空いたまま残る25名がスタートした。

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- 2位入賞した小林 -
 

滑りやすいコースイン側から加速したポールポジションの国本雄資(TDPスカラシップ)を狙い、今季予選最高位の2番グリッドにいた小林崇志は、首位で出ようとしたが、順位を入れ替えるには至らず、2番手のままレースを始めることになった。

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- 土曜日の國分 -
 

レース序盤のうち、国本は小林との間隔を開いていったが、レース中盤に小林が反撃を開始、逆に間隔は縮まっていった。一時1.5秒近くまで開いた2人の差は、9周目終了時点で約0.5秒になる。ところが10周目のヘアピンコーナーで小林がミスして遅れ、それを見た国本はペースを上げて逃げ切りの態勢に入った。小林は国本を追いかけるが周回数がたりず、2位のままチェッカーフラッグを受けることになった。小林にとっては今季最上位である。

2008年度FCJ最終レースとなる第16戦の決勝は、前夜から雨が断続的に降り続く中、行われた。安全性を考慮し、周回数が当初予定の25周から15周へと変更になり、さらに決勝前、特別に10分間のフリー走行が設けられた。26名のドライバーはウエット路面に合わせてレインタイヤを装着した車両でコースインした。

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- 日曜日の霜野 -
 

レースでは前日に引き続き国本が先頭に立ち、独走態勢に持ち込む。前日、国本と首位争いを展開した小林は、予選に失敗してグリッド中盤にいたため、ウエット路面の上で上位進出はならず、厳しいレースとなった。

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- 日曜日の三浦 -
 

HFDP(Honda Formula Dream Project)勢では三浦和樹が5番手の佐々木大樹(NDDP)を追いかけて東徹次郎(カフェジュリアFTRS)とデッドヒートを展開、一時は佐々木を加えた3台が横並びになりながら争う激戦となったが、結局三浦は8位でフィニッシュを遂げた。國分一磨、霜野誠友は慣れないコース、慣れないウエット路面を攻略しきれず、レース終盤になってようやく自分のペースに乗ったが、レース距離が短縮されたこともあってポイント獲得圏内まで順位を上げることはできなかった。

2008年度のポイントランキングは小林が9位、三浦が10位、國分が16位、霜野が19位となった。

Takashi Kobayashi 小林崇志
 
Rd.15 予選:2番手 決勝:2位
Rd.16 予選:12番手 決勝:21位
Shigetomo Shimono 霜野 誠友
 
Rd.15 予選:22番手 決勝:22位
Rd.16 予選:18番手 決勝:14位
Kazuki Miura 三浦 和樹
 
Rd.15 予選:9番手 決勝:10位
Rd.16 予選:10番手 決勝:8位
Kazuma Kokubu 國分 一磨
 
Rd.15 予選:10番手 決勝:14位
Rd.16 予選:14番手 決勝:12位
COMMENT Hondaの人材育成
- 小林崇志 -
 

「シーズン最初はよかったんです。そこから、メンタル的な部分でハマっていった。その理由に気がつくまで、時間がかかりすぎてしまいました。去年は、ドライビング技術が劣っていたので、速く走れないときには単純に『じゃあもっと技術を身につけよう』と集中できたんです。でも今年はドライビング技術に自信ができていたので、少し悪いと、エア圧とかブレーキバランスとかいう方向に遅い原因を見つけ出そうとして考えこんでしまった。それで速くはならなかったのでどんどんはまりこんでしまった。それがシーズン中盤の不振の原因です。シーズン終盤、あまり考えないように心がけて自分の感性で走るように努力して変えたら、上向きになった。それで第15戦で2位にも入れた。自分の気持ちの持ち方がわかった、というのが今年最大の収穫です。でもそれをもっと早い段階で気づいていればと思います」(小林)

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- 霜野誠友 -
 

「正直、一年間、苦しかったです。結果を残せなかったのは大きな反省点です。 ただ、苦しい中でもいいレースを見せられたこともあったと思うし、自分でも成長した部分はあったなあと自覚もある。一年で自分は変わったと思います。物事に対する取り組み方、私生活の送り方にも変化はあったし、意識も変わった。もっともっと集中して、日頃の行いも含めて改善することを継続すれば、いい方向に向いていくと思う。だから自分としては来年も続けたい。どんな状況であっても、今年を無駄にしないためにももう一年戦いたいと思っています」(霜野)

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- 三浦和樹 -
 

「あっという間の一年でした。僕としては、1戦1戦を大事に戦ってきたつもりです。僕にとっては四輪レースのデビューイヤーでしたから、1戦ごとに、本当にいろんなことを学ばせてもらったと思います。でも今シーズンの結果は満足できる物ではないし、1年目とはいえ、僕が求められていただけの結果も出せなかった。1年目の四輪レースは、駆け引きが難しかった。単独で走る分にはスクールで走ってきた経験もあるので自信はあったんですけど、レースになって団子状態になってその中でのポジション取りとか、ブロックとか、オーバーテイクのチャンスの作り方、などの駆け引きで、まだまだ未熟だった。とはいえ、1年かけてずいぶん自信もつけたので、来年チャンスがれば、今年の経験を生かしてもっともっと成長して勝てる、強いドライバーになれると思います」(三浦)

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- 國分一磨 -
 

「この一年、正直言って、思うように結果を出せませんでした。もちろん結果を出すつもりでこのシリーズに参戦しました。問題は、テストから土日にかけて調子を出していくという流れを作る方法とか、自分のメンタルを維持する方法などの点で悩んでしまったことです。ドライビングテクニック以上に、そういう面で自分の力が不足していたということを痛感した一年でした。もちろん一年間、進歩がなかったというわけではありません。シリーズ後半は、プレッシャーをうまく力に転化して、本来のドライビングの技術を発揮することもできたと思う。でもやはり、プレッシャーを感じたとき、相手を抜くとき、冷静さを失ってしまうことが多すぎました。成長はして、できなかったことができるようにはなったと思うのですが、レベルの低いところでできたというだけなので、成長したにしろその幅は少なかった。今後のチャンスをつかめるかどうかはまだわからないですが、リベンジしたいと願っています」(國分)

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SRS-F 鈴鹿レーシングスクール・フォーミュラ
REPORT
 

2008年度の鈴鹿レーシングスクール・フォーミュラ(SRS-F)は、「体験スクール」「ベーシック」「アドバンス」「スカラシップ選考会」と4段階のカリキュラムを導入して進められてきた。4月に受講生8名で入校式を開催した「アドバンス」は、6月末に5名の選抜者を決定して修了。7月からはその選抜者が受講生となり、近い将来の四輪レース参戦に照準を当てた「スカラシップ選考会」として合計6日間のスクールが実施された。そして鈴鹿サーキット国際レーシングコースで行われた9月3日の「スカラシップ選考会」最終日には、4名の受講生が参加して2名のスカラシップ(奨学制度)獲得者が決定した。

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- 一年の総決算 -
 

最終日はまず、中嶋悟校長、佐藤浩二主任講師、田中哲也専任講師、金石勝智専任講師、伊沢拓也講師補佐などとドライバーが出席しての簡単な説明会が開かれた。引き続き、フルコースを使用した最終練習走行(17周)を2回実施した。なお、今回の最終練習走行には「スカラシップ選考会」の受講生4名のほかに、最近のSRF-F卒業生で2008年はフォーミュラチャレンジ・ジャパン(FCJ)にスカラシップを受けて参戦している小林崇志、三浦和樹、國分一磨、霜野誠友の4名、さらには伊沢講師補佐も参加した。

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- 最終走行のスタート -
 

最終練習走行では、受講生4名がそれぞれにSRS-Fで学んできた成果を披露し、SRS-F卒業生もFCJで学んできた実戦的な技術を披露した。一方、国内最高峰のSUPER GTやフォーミュラ・ニッポンに参戦している伊沢講師補佐は、その確かな走りで隊列を先頭で引っ張ったり、受講生や卒業生の力走を背後から観察したりするなどした。最終練習走行終了後、中嶋校長と講師陣から1シーズンをまとめる講評が受講生4名に対して伝えられた。

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- 全体講評風景 -
 

「今日の走行ではみんながいい走りを見せてくれてうれしく思いました。これからもがんばってください」と中嶋校長。

「これまでお世話になった講師はもちろんFCJなどのカテゴリーに上がってからも、アドバイザーの意見には素直に耳を傾けるよう心掛けてほしいですね。たまには厳しいことも言われると思いますが、厳しいからこそアドバイスになるともいえます」と佐藤講師。

「彼らはまだ一年しか経験しておらず、まだまだ伸びしろがあります。ただ、世の中には速い人がたくさんいますから、意識は常に高く持っていてほしい。今年学んだことは、今後のレース人生にきっと生きてくると思います。今回、スカラシップに選ばれた人と選ばれなかった人の差はわずかだったと思います」と伊沢講師補佐。

最後に選考結果として中嶋校長より、2008年度のスカラシップ獲得者として元嶋亮二と野尻智紀の名前が発表された。スカラシップ獲得者は次のように語り、今後の活躍を誓った。

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- 中嶋校長と元嶋、野尻 -
 

「選ばれてほっとしていますが、走りに関してはまだまだ。これからどんどん成長し、世界で戦えるようになりたい」と野尻。 「みなさんが応援してくれたから、このスカラシップが獲れたのだと思います。まずはFCJで勝ちたいですね」と元嶋。

なお、スカラシップ獲得者である野尻と元嶋は、2009年のフォーミュラチャレンジ・ジャパン(FCJ)へのフル参戦が予定されている。

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Formula Nippon Rookie Audition フォーミュラ・ニッポン・ルーキーオーディション
REPORT
 

スポーツランドSUGOで2008年全日本選手権フォーミュラ・ニッポン第8戦(最終戦)が開催された翌日の9月22日、当地で「ドライバーオーディション」が行われた。これは、より多くの若手ドライバーにフォーミュラ・ニッポン挑戦の機会を提供することを目的としてフォーミュラ・ニッポンを運営する株式会社日本レースプロモーション(JRP)が参加チームの協力を得て開催したもの。今年は2008年全日本F3選手権を戦い終えた8名のドライバーが参加し、国内最高峰のフォーミュラカーに挑んだ。

HFDP(Honda Formula Dream Project)からは中山友貴と山本尚貴(ホンダ・チーム・リアル)、そして中嶋大祐(ホンダ戸田レーシング)ら、今季の全日本F3選手権を戦った選手3名が、フォーミュラ・ニッポンのトップチームであるPIAA NAKAJIMA RACINGの用意した2台のフォーミュラ・ニッポンカーに乗り込んだ。いずれも、前日のフォーミュラ・ニッポン第8戦を戦い終えたばかりのマシンである。

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- オーディションに臨んだ3人 -
 

中嶋は断続的に雨が降り続く午前9時から午後10時までのセッションで、ロイック・デュバルのフォーミュラ・ニッポンカー(31号車)を28周にわたって走らせ、1分23秒392の自己最速タイムを記録した。ちなみに、ほぼ同じような気象条件・路面状況だったフォーミュラ・ニッポン第8戦で、参加ドライバーが決勝中に記録した自己最速タイムをひも解くと、ファステストラップとなったデュバルの1分22秒773を筆頭に、ほかのドライバーは1分23秒台から1分26秒台だった。

午後12時15分から午後2時15分までのセッションでは、中山が31号車、山本が小暮卓史のフォーミュラ・ニッポンカー(32号車)にそれぞれ乗り込んだ。雨はほぼ上がったものの路面はまだ濡れており、ふたりともレインタイヤを履いて走行を開始した。もっとも、時間の経過とともに路面は徐々に乾き始め、途中からはスリックタイヤに履き替えることとなった。中山はここで45周を走り込み、セッション終盤にスリックタイヤを履いて記録した1分12秒276が自己最速タイムとなった。一方、山本はセッション序盤にコースアウトを喫して16周を走るに留まり、レインタイヤを履いて記録した1分24秒198が自己最速タイムとなった。

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- F3より一回り大きなマシンを走らせる -
 

午後4時30分から午後5時30分までのセッションでは、中嶋が再び31号車に乗り込み、スリックタイヤを履いて34周にわたって走らせた。上空には青空も広がり路面もおおよそ乾いているものの、ハイポイントコーナーからレインボーコーナーの数十メートルの区間、馬の背コーナーの一部、そして最終コーナーの一部にはコース外から水が流れ込んで濡れたままであり、万全の路面状況とはいえない。セッション終盤、中嶋は新品のスリックタイヤを装着してタイムアタックを敢行、1分08秒819の自己最速タイムを記録した。トップタイムこそ2008年全日本F3選手権チャンピオンに0.225秒差で譲ったものの、これは前週の9月19日に開催されたフォーミュラ・ニッポン第10回公式合同テストで午前に行われたセッション1に当てはめると3番手、より路面状況が改善された午後に行われたセッション2に当てはめても15番手に相当する。

走行終了後の各ドライバーのコメントは次のとおり。

「貴重な体験ができました。このような機会を与えてくれた関係者の皆さんに感謝しています。全日本F3選手権でお世話になっている田中弘監督からは、時間もあることだし落ち着いて走りなさい、とアドバイスを受けていました。今回は天気や路面のコンディションに恵まれず、クルマのポテンシャルを引き出しきれたとは言えませんが、トレーニングは欠かさずにいたので肉体的な部分では問題ありませんでした。エンジンは想像以上にパワーがありましたし、パドルシフトは反応がすごくよくて、もう最高ですね。2時間があっというまで、少し物足りないくらいでした」と中山。

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- コックピットの中山友貴 -
 

「第一印象は、ものすごくエンジンパワーがあるというものでした。縦方向のGも初めて体験する領域でした。パドルシフトも操作しやすく、ブレーキもものすごく効きましたね。少しでも速く走ろうという気持ちがあって、結果的にコースアウトしてしまいました。たくさんの関係者の皆さんによって作っていただいたチャンスでしたが、自分から失敗してしまい、本当に申し訳ない気持ちでいっぱいです。国内最高峰のカテゴリーですし、昔から乗りたいと憧れていましたし、もし再びチャンスがいただけたら、また精一杯に攻めて走りたいと思います」と山本。

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- FNマシンを走らせる山本尚貴 -
 

「走行の最後に新品タイヤを履いてタイムアタックを行い、久しぶりに“戦った”という気持ちになりました。でも、トップタイムをマークできなかったのは非常に悔しい。トップタイムを出せたらこの1年のF3での不振は帳消しだと思っていたのですが、それほど甘くなかった。クルマで印象に残ったのはパドルシフトです。ゲームよりもスムースな反応で、思いどおりにポンポンと、シフトショックもなく操作できました。タイヤの使い方とか、まだ学ばなければならないことはたくさんありますが、自己評価ではまずまずの80点といったところでしょうか?」と中嶋。

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- 中嶋悟監督と中嶋大輔 -
 

また、3名の走行を見守ったPIAA NAKAJIMの中嶋悟監督は、「オーディションはあいにく天気に恵まれませんでしたが、いずれにしても週末に行われたフォーミュラ・ニッポンのタイムと遜色ありませんでした。そう考えると、いまのF3で鍛えられたドライバーなら、フォーミュラ・ニッポンのクルマもそれなりにきちんと乗りこなせるものだなあと感心しました。今回の結果は上々だと思います」と満面の笑顔で語った。

今後もHonda フォーミュラ・ドリーム・プロジェクトはこうした機会を活用し、人材育成の観点から若手ドライバーを積極的に参加させていく方針である。

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