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Hondaの人材育成

マンスリーレポート 第4回
ロードレース世界選手権 250cc スーパーバイク世界選手権
MOTOGP 250CC ロードレース世界選手権 250cc
REPORT
 

シーズン中盤、転倒、マシントラブルなど不運なレースが続いた高橋裕紀(JiR Team Scot 250)にとって、第9戦オランダGPと第10戦ドイツGPは、デビュー以来得意とするサーキットであり、高橋はこれまでの遅れを一気に取り戻す意気込みでレースに臨んだ。

両レースともに不安定な天候の中で行われた。オランダGPは、ウエットコンディションまでには至らないが、断続的に小雨が降り続ける微妙なコンディション。一方、ドイツGPはフルウエット。雨のレースも得意とする高橋だけに大きな期待が膨らんだが、予選でセッティングを詰めきれなかったことが大きく影響した。

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- 高橋裕紀 -
 

第9戦オランダGPが行われるアッセンは、シーズンを通じて最も天候が不安定で、選手たちを悩ませるサーキットとして知られている。初日はドライコンディション。順調なスタートを切った高橋は、午前中のフリー走行で自己ベストタイムを更新。午後の予選でも順調にタイムを短縮して9番手。「決勝で使うタイヤがすぐに決まった。タイヤの割り当てがあるので、決勝用のタイヤを温存した」という余裕の走り出しとなった。

しかし、2日目は雨の中でフリー走行が行われた。午後の予選では路面はドライになったが、午前中の雨の影響でグリップが低下、難しいコンディションとなった。高橋は、「今日はエンジンのセッティングがうまくいかなかった。その対策に時間を費やしたのが痛かった。午前中の雨の影響で路面のグリップが変わり、風が強かったこともあって、予選ではタイムを更新できなかった」と不完全燃焼の一日だった。

決勝日も午前中は雨。決勝はかろうじてドライコンディションになったが、断続的に小雨が降り続く難しいコンディション。決勝に向けて大きくセッティングの変更にトライした高橋は、「フルタンクのときにペースを上げられなかった」と序盤は遅れたが、中盤から快調にラップを刻んで追い上げのレースを披露、8位でチェッカーを受けた。

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- 高橋裕紀 -
 

第10戦ドイツGPは、2年前にGP初優勝を達成したサーキット。今季ここまで表彰台に一度しか立っていない高橋は、2度目の表彰台と今季初優勝を狙っていた。初日はドライコンディションとなり、午前中のフリー走行からペースを上げていく予定だったが、フロントの安定性に課題を抱えて8番手。得意とするサーキットだけに、2日目のポジションばん回に闘志を燃やした高橋だが、フロントの安定性が改善されるも今度は旋回性に問題を抱えてしまう。そのために思うようにタイムを伸ばせず予選10番手にダウン。パッシングポイントのないサーキットであることを考えると、厳しい立場から決勝に挑むことになった。

迎えた決勝は、雨。断続的に強い降りとなる難しいコンディションだ。予選でセッティングをまとめきれなかった高橋は、予選グリッドの悪さと、予選から抱えていた旋回性の悪さに苦しんで9位に終わった。得意なサーキットでの2連戦だったが、高橋にとっては納得のいかない結果に終わってしまった。しかし、セッティングに苦しみながらも多くのデータを蓄積した。このデータはシーズン後半の戦いに生きることになるだろう。第12戦チェコGP(第11戦アメリカGPはMotoGPクラスのみの開催となるため、250ccクラスは11戦目)からいよいよ後半戦が始まる。

Yuki Takahashi 高橋裕紀
 
Rd.9 予選:10番手 決勝:8位
Rd.10 予選:10番手 決勝:9位
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WORLD SUPERBIKE スーパーバイク世界選手権
REPORT
 

鈴鹿8時間耐久レースを目前に、清成龍一(Hannspree Ten Kate Honda)はレースの合間を見て帰国、鈴鹿でテストを行った。その影響があり、第8戦サンマリノでは、8耐マシンからスーパーバイクへの乗り換えにつまずき、さらに、車体のセッティングに迷ったことで、第1レース14位、第2レース13位と低迷した。

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- 清成龍一 -
 

シーズン中盤戦、清成は初めて走るサーキットで戦い続けてきた。サンマリノ大会が行われたミサノも初めて経験するサーキットだが、MotoGPに参戦していた2003年、所属していた「Honda Gresini」の本拠地がミサノにあり、チームはここをベースに世界選手権を転戦していた。清成にとってミサノは、世界挑戦の出発地。「走ったことはないけれど、昔のチームスタッフが応援に来るのでいい走りを見せたい」と語った。

しかし、8耐テストの影響もあってか、思うようにペースが上がらない。8耐とスーパーバイク世界選手権(WSB)では、マシンのスペックもタイヤも異なる。加えて、ミサノは連日30℃を超える猛暑となり、グリップしないタイヤと格闘しなければならなかった。そのために予選1回目は18番手。2回目の予選では22番手へとポジションを落とし、上位16台で行われるスーパーポール進出を逃した。セットアップが決まらず苦戦した清成は、「今回はタイヤのグリップ不足とチャターに苦しんだ。何をやっても解決せず、原因もわからなかった」と開幕戦カタール大会に匹敵する苦悩を味わった。

予選が悪くても決勝で追い上げのレースを見せてきた清成。しかし今大会は決勝になっても状態は変わらず、レース1、レース2ともにトップ10に届かない悔しいレースとなった。しかもレース1では、レース人生初のジャンプスタートのペナルティまで受けている。

WSBでの転戦と並行して進めてきた8耐テストでも、サンマリノ後に行われた鈴鹿テストで、「やっといいポイントを見つけた」と元気な走りを取り戻した。そして迎えた第9戦チェコで、清成はレース1で5位、レース2で6位と、第5戦イタリア以来となる快走を見せた。

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- 清成龍一 -
 

チェコ大会が開催されるブルノも、清成にとっては初めて走るサーキットである。予選は16番手と、ギリギリでのスーパーポール進出となったが、予選タイヤを装着してのアタックでは一気に5番手に浮上。フロントローにあと一歩と迫る今季ベストグリッドを獲得した。

決勝でも、レース1ではミッシェル・ファブリッツオ(ドゥカティ)、マックス・ビアッジ(ドゥカティ)とし烈な3位争いを繰り広げて5位。レース2は表彰台争いからやや遅れたが6位でフィニッシュ。両レースともにCBR1000RR勢のトップでチェッカーを受けた。第10戦イギリス(ブランズハッチ)と第11戦ヨーロッパ(ドニントンパーク)は、英国スーパーバイク選手権(BSB)時代に走り慣れたサーキット。シリーズ後半戦に向けて加速を始めた清成である。

なお、清成はカルロス・チェカと組んで7月最終週に開催された鈴鹿8時間耐久レースに「DREAM Honda Racing Team 11」から出走、総合優勝を遂げ、さらに翌週開催されたWSBシリーズ第10戦イギリスでレース1、レース2で連勝を記録している(第10戦イギリス大会については次回レポートで詳報予定)。

Hondaの人材育成
- 青山周平 -
 

開幕戦からノーポイントのレースが続いている青山周平(Alto Evolution Honda Racing)は、シーズン中盤戦に入って確実に調子を上げている。しかし、マシントラブルのためにリタイアが多くなかなか結果につながらない。今年から新型になったCBR1000RR。同じマシンに乗るライバルたちが、レースをこなすごとに確実にリザルトを伸ばしているだけに、早く結果が欲しいところだ。

第8戦サンマリノが行われるミサノは、ロードレース世界選手権(WGP)250ccクラス時代に一度経験している。シーズン中盤戦になって初めてのサーキットが続いていたが、久しぶりに初日から走り込みに集中できる状態だった。一方、青山の所属する「Alto Evolution Honda Racing」はスーパーバイク世界選手権(WSB)に参戦して2年目の新興チームで、ニューマシンのセットアップにやや戸惑っているが、青山が確実に調子を上げているだけに、チームのモチベーションは高い。その期待に青山は応えた。

予選は、タイヤのグリップ不足に苦しみ23番手に終わったが、「ちゃんとアタックできず23番手に終わった。でも、数字ほど内容は悪くない」と青山は確実に手応えを感じていた。その言葉どおり、レース1では、フォンシ・ニエト(スズキ)、清成とバトルを繰り広げて13位に入賞、WSBで初めてのポイントを獲得した。

ここから一気に上昇ムードに乗りたかった青山だが、レース2はレース終盤、タイヤの消耗に苦しみペースを上げられず19位に終わった。

Hondaの人材育成
- 青山周平 -
 

第9戦チェコが開催されるブルノも、青山にとってはWGP250cc時代に走り慣れたサーキットである。青山は、今季ベストリザルトに向けて初日から気合いの入った走りを見せた。予選は23番手だったが、トップから1秒差以内に14台が並ぶという大接戦。「予選までは、なかなかタイムを上げられずスーパーポール進出を逃したが、その後のフリー走行でいい状態を見つけることができた。アベレージも上げられたので、いいスタートを切ってトップ10を狙いたい」と意欲を語った。

しかし、決勝では両レースともに序盤に遅れ、大混戦の中で追い上げを強いられる厳しい戦いとなって、両レースとも18位と悔しい結果に終わった。「レース1はタイヤの選択ミス。レース2ではタイヤはよかったがスタートに失敗してしまった。今回は完全に自分のミス。ちゃんと走っていればポイントを獲得できた」と青山はレースを振り返った。

Ryuichi Kiyonari 清成龍一
 
Rd.8 予選:22番手 Race1:14位 Race2:13位
Rd.9 予選:5番手 Race1:5位 Race2:6位
Shuhei Aoyama 青山周平
 
Rd.8 予選:23番手 Race1:13位 Race2:19位
Rd.9 予選:23番手 Race1:18位 Race2:18位
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