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Hondaの人材育成

マンスリーレポート 第3回
ロードレース世界選手権 250cc スーパーバイク世界選手権
MOTOGP 250CC ロードレース世界選手権 250cc
REPORT
 

今季、好調なスタートを切った高橋裕紀(JiR Team Scot 250)だが、中盤戦は歯車の噛み合わないレースが続いた。第6戦イタリアGPでは転倒リタイア。第7戦カタルニアGPでは、レース序盤に他車と接触してコースアウトを喫し、追い上げのレースを強いられる。第8戦イギリスGPは絶好のスタートを切るも、マイナートラブルでペースダウン。表彰台争いから脱落するという残念なレースとなった。

第6戦イタリアGPは、高橋が所属するチーム、JiR Team Scot 250にとって地元グランプリ。チームはもちろん、高橋自身も、地元応援団の期待に応えようと意気込んで週末を迎えた。2日間の予選では、細かな調整だけで走り込みに重点を置いた。「ここは単独で走っているとタイムが出ない。今回の予選では、(タイムを上げるために利用できる)いいグループを見つけられなかった」とスターティンググリッドは11番手となったが、決勝に向けては手応えをつかんだようだった。

3列目のグリッドからスタートした高橋は、決勝ではセカンドグループに加わり激しく4位争いを繰り広げた。しかし終盤に転倒。高橋はレースをリタイアした。

「スタートはよかった。トップグループのペースにはついていけなかったが、セカンドグループで激しいバトルになった。そのバトルでフロントタイヤを消耗させてしまい、その後リアも苦しくなってしまった。終盤、後ろの集団が追いついてきたのでペースを上げた。チームの地元なので少しでも前のポジションでフィニッシュしたかった」と、転倒を悔やむ高橋だった。

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- 高橋裕紀 -
 

第7戦カタルニアGPでも、高橋は元気あふれる走りを見せた。イタリアGPに続き、走り込みに重点を置いて予選初日は8番手。

「今回はいい感じで走れている。2日目はフロントローを狙っていく」と高橋の表情は明るかったが、2日目のフリー走行で勢いあまって転倒。そのために予選はやや慎重になり結局7番手に終わった。しかし今季2回目の表彰台が見えるポジションである。

決勝で絶好のスタートを切った高橋は、5番手につけた。だが、その後ロベルト・ロカテッリ(ジレラ)と接触してコースアウト。高橋は最下位の23番手まで後退した。しかしその後高橋は猛烈な追い上げを見せ、順位を12位にまで回復してレースを終えた。

「ロカテッリを早く抜かないと、前の2人に逃げられてしまうと思った。しかし、コーナーで抜ききれないタイミングになり、接触してしまった」と、好調だっただけに高橋は悔しそうだった。

第8戦イギリスGPは天候に翻弄される大会となった。高橋は、「ドライでもウエットでも調子はいい。ドニントンは好きなコース」と、予選では第3戦ポルトガルGP以来となる5番手につけ、2戦連続でスターティンググリッド2列目から決勝に臨んだ。

決勝で絶好のスタートを切った高橋は、先行するマルコ・シモンセリ(ジレラ)とアルバロ・バウティスタ(アプリリア)を追った。しかし、次第にペースを落とし後退。高回転域でエンジンがストールするというトラブルを抱えながらも、最後は9位でフィニッシュした。

「序盤、シモンセリとバウティスタについていくのはそんなに難しくなかったが、その後、高回転域で失火するようになりペースを上げられなかった」と、高橋は表彰台争いから脱落した理由を語った。イタリア、カタルニアに続き、悔しいレースとなった。

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- 高橋裕紀 -
 

ミスとマイナートラブルで、なかなか表彰台に立てない高橋。しかし、昨シーズンいっぱいで開発を中断しているRS250RWに乗りながら、アプリリア、ジレラ、KTMの最新ワークスマシンを相手に戦う高橋の走りは、大きな注目を集めている。「ここまでは、思うように結果を残せていないが、今年は、いままで苦手だったサーキットでうまく走れている。それだけバイクの基本性能が優れている。ここから先、勝てるチャンスのあるサーキットはいくつもある。そのチャンスを何とか結果につなげたい」と闘志を燃やしている。

Yuki Takahashi 高橋裕紀
 
Rd.6 予選:11番手 決勝:リタイア
Rd.7 予選:7番手 決勝:12位
Rd.8 予選:5番手 決勝:9位
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WORLD SUPERBIKE スーパーバイク世界選手権
REPORT
 

第5戦イタリア大会で待望の表彰台に立ち、シーズン中盤戦のブレイクが期待された清成龍一(Hannspree Ten Kate Honda)だが、第6戦アメリカ大会、第7戦ドイツ大会は、厳しい戦いの連続となった。初開催となったアメリカ・ソルトレイクシティでは、予選20番手からレース1で10位、レース2で7位。第8戦ドイツ大会も、予選12番手からレース1で12位、レース2で11位となった。

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- 清成龍一 -
 

アメリカ大会がソルトレイクシティで開催されるのは初めて。ドイツ大会がニュルブルクリンクで開催されるのも9年ぶり。ルーキー清成にとっては、これまでの戦いに比べて経験差が出にくいレースとなるはずだった。しかし、両レースともに清成はバイクのセットアップに苦しんだ。

アメリカ大会では、大会直前に鈴鹿8時間耐久ロードレースのテストが行われ、マシンの乗り換えに時間を取られた。加えて電気系のセットアップに時間がかかったこともあり、上位16台によるスーパーポール進出を逃してしまった。両レースともに5列目という厳しいスターティンググリッドからスタート。しかし、確実にペースを上げてレース1で10位、レース2では7位まで追い上げたが、表彰台には届かなかった。この大会では、チームメートのカルロス・チェカ(Hannspree Ten Kate Honda)が、両レースで優勝するすばらしい走りを見せた。清成は、 「何を言っても言い訳になるだけ。次のレースではカルロスのようなレースをしたい」と、雪辱を誓った。

しかし、ドイツ大会も厳しい3日間になった。初日のフリー走行では順調なスタートを切ったが、初日の予選、2日目の予選と思うようにタイムを伸ばせず12番手。決勝でも、 「レース1は完全にセッティングが反対方向だった。レース2はセッティングの修正ができて追い上げられたが赤旗中断になってしまって納得いかないままレースが終わってしまった」と、レース1は12位。レース2は11位に終わった。

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- 清成龍一 -
 

両レースともに、フロントのセッティングが好みの状態に仕上がらなかった。そのために進入のスピードと旋回性に苦しんだ。

「正直、アメリカとドイツは、初開催と9年ぶり開催ということで、みんなとほとんど同じ条件でレースに挑むことができるので優勝を狙っていた。でも、どちらのレースもうまくいかなかった。セッティングが決まらない。8耐のテストでバイクの乗り換えに時間がかかった。いろいろ理由はあるが、どっちのレースもカルロスに負けた。セッティングが決まらないときは自分の乗り方をアジャストしていけるようにならないとダメだということを、この2レースで痛感した。完全に自分の力不足です」と清成は厳しく自己採点、次戦からの巻き返しへ向けて決意を固めていた。

一方、開幕戦から厳しいレースを続けている青山周平(Alto Evolution Honda Racing)。第6戦アメリカ大会、第7戦ドイツ大会もノーポイントに終わったが、後半戦に向けて明るい兆しを見せた。

初開催となったアメリカ大会は、WSB参戦6戦目にして初のスーパーポール進出を果たす予選10番手につけた。スーパーポールではややグリッドを落とすも、今季ベストグリッドとなる予選14番手のポジションを獲得した。決勝は両レースともにトラブルでリタイアに終わったが、青山は実力の片鱗を見せた。ドイツ大会もトラブルのために両レースともにノーポイントに終わったが、確実に前進していることを感じさせる2大会だった。

アメリカ大会では、これまで何度も発生して青山を悩ませていた電気系のトラブルの原因が判明、一気にポジションを上げた。これまでは、そのトラブルのためにCBR1000RR本来の性能を生かすことができなかったのだ。

Hondaの人材育成
- 青山周平 -
 

「いままでは全然違うバイクだった。今回はまるで別のバイクになったような感じだった」と瞳を輝かせた青山は、アメリカ大会のフリー走行と予選で、すばらしい走りを披露。全日本チャンピオンからWGP250ccクラスに参戦した時期の実力を見せた。決勝では、電気系のトラブルが解消したことで、これまで問題にならなかった新たなマイナートラブルが発生したため、レース1、レース2ともにリタイアに終わったが、「初めてスーパーポールに出ることができた。2日間4セッション。初めてトラブルなしで走ることができた。決勝はこれまでと違うトラブルで結果を残せなかったけれど、大きな自信になった」と次戦に向けて大きな手応えを感じたと青山は語った。

迎えたドイツ大会。今季ベストリザルトを残そうと闘志を燃やした青山だったが、3日間を通じてマイナートラブルが続き、またしても不完全燃焼のレースとなった。予選は24番手、レース1はリタイア、レース2は24位。

「電気系が改善されたことで、新しい問題が今回も出てきた。今回はアクセル系に問題があり、調子のいい1号車でなかなか走れず、セッティングの出ていない2号車で走る時間が多かった。そんな状態で決勝を迎えなければならなかったので、決勝もマイナートラブルが出てレース1でリタイア。レース2はなんとか完走できたけれど、最下位完走でポイントにはほど遠かった」と青山は厳しい表情を見せた。

Hondaの人材育成
- 青山周平 -
 

アメリカで一歩前進、ドイツで一歩後退。同じバイク、同じキットを使う、グレゴリオ・ラビッラ(Paul Bird Motorsport)、カール・マガリッジ(Team DFX Honda)らがポイント圏内を走っているだけに焦燥感を募らせるが、「今所属しているのは、できて2年目のチーム。自分もチームも勉強しながら全力を尽くしている。いまは、なかなか結果につなげられないがチームのモチベーションは高い。CBR1000RRのポテンシャルを自分がきっちりと出せたときには、みんなに喜んでもらえるようなリザルトを残せるはず」と、後半戦に向けての闘志は揺るがなかった。

Ryuichi Kiyonari 清成龍一
 
Rd.6 予選:20番手 Race1:10位 Race2:7位
Rd.7 予選:12番手 Race1:12位 Race2:11位
Shuhei Aoyama 青山周平
 
Rd.6 予選:14番手 Race1:リタイア Race2:リタイア
Rd.7 予選:24番手 Race1:リタイア Race2:24位
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