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Hondaの人材育成

マンスリーレポート 特集「武藤英紀、これまでを振り返る」
INDY PRO SERIES IndyProシリーズ
COLUMN  
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- 2007年末セブリングテスト時 -
 

2007年は「Hondaフォーミュラ・ドリーム・プロジェクト」でIndyProシリーズに参戦してシリーズ2位の成績を挙げた武藤英紀が、今年、ステップアップを果たして、IRL インディカー・シリーズにトップチームのアンドレッティ・グリーン・レーシング(Andretti Green Racing)から参戦する。

日本のファンの皆様の前に武藤がその勇姿を見せるのは今年4月17日から19日にツインリンクもてぎで開催されるシリーズ第3戦“BRIDGESTONE INDY JAPAN 300 mile”ということになる。「Hondaフォーミュラ・ドリーム・プロジェクト」で順調にステップアップを果たしてきた武藤が、このほど開かれた“BRIDGESTONE INDY JAPAN 300 mile”開催発表会に姿を見せ、これまでを振り返った。

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- 2002年FD挑戦初年度 -
 

1982年10月6日生まれの武藤は、中学校を卒業すると、レースの本場イギリスへ渡って武者修行を始める。と言っても何かの“つて”があったわけではない。

「大好きなレースの本場といわれるところで成績を残せば、実力を認められて上へステップアップできる、その近道だと思ったのでイギリス行きを決めたんです。別に何かめどがあったわけではありません。レーシングカート時代の知り合いだった方のアドバイスを受けて、面倒を見てもらったんです。成功する保証があるわけではないので、高校へ行った方がよかったのかなと常に不安だったのは事実ですね」

 
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- 2003年FDチャンピオン -
 

武藤は4年間イギリスに留まり、フォーミュラ・ボクソール、フォーミュラ・フォードなどを戦うが、2001年フォーミュラ・フォードのヨーロッパ選手権シリーズ3位という成績を残して日本に帰国する。

「4年間イギリスにいたのは、思うような結果が出なかったので、あきらめがつかずにズルズル続けてしまったからですね。向こうのF3チームから乗るか?と声はかけてもらったのですが、諸問題で乗れませんでした。そんな頃、2002年には細川慎弥さん(01年度フォーミュラ・ドリーム・シリーズチャンピオン)がイギリスに来て、カーリンのF3に乗るという話が耳に入ったんです。彼は日本でSRS-F、フォーミュラ・ドリームとステップアップして、スカラーシップを取ったんだと聞いて、『なんだ、僕はイギリスでがんばったけど、やっぱり日本のバックアップが必要だったんだ』と思ったんです。もちろんスポンサーさえあれば僕もイギリスでF3には行けたけど、日本人の僕がイギリスでスポンサーを見つけることは不可能に近かったんですよ」

 
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- 2004年全日本F3 -
 

帰国した武藤は、細川がスカラーシップを獲得したフォーミュラ・ドリームへの参戦を決めた。

「金銭的にも限界だったので4年で日本に帰りました。そこで、これが最後のチャンスだ、これでダメなら大好きなレースを止めるんだ、という覚悟で2002年のフォーミュラ・ドリームに参戦したんです。フォーミュラ・ドリームでもダメならどうせイギリスに行ってもダメなんだと。ただ、フォーミュラ・ドリームを始めるとき、実は1年間戦い続けるだけの資金はなかったんです。でも雨の中で行われた最初のテストで手応えがあったので、これなら優勝賞金を稼ぎながら1年できるなと思ったんです」

 
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- 2005年全日本F3 -
 

フォーミュラ・ドリーム最初の走り出しで手応えを感じられたのはイギリスで単身4年を過ごした成果だったかもしれない。

「イギリスでの4年は無駄ではなかったけれど、ドライビングのスキルがどうこうというよりも、精神的な強さを鍛えられたことに意味があったと思いますね。フォーミュラ・ドリームを始めるときも、他の選手に比べたら『これでだめだったら大好きなレースを止めなくちゃいけないんだ』という覚悟や、レースに対する集中心は上回っていたと思いますから」

 
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- 2006年スーパーGT -
 

フォーミュラ・ドリーム参戦初年度は2勝してシリーズ2位になった武藤は、翌2003年、全11戦中8勝を挙げてシリーズチャンピオンとなり、スカラーシップを獲得した。

「2年目にチャンピオンになって、Hondaの支援を得られるようになりました。その後は、全日本F3選手権、フォーミュラ・ニッポン、SUPER GT、IndyProシリーズと支援を受けながらステップアップさせてもらったので、とても感謝しています。それにそれなりに責任も感じています。イギリスでやっていた頃のような好き勝手はできないですよね」

 
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- 2006年フォーミュラ・ニッポン -
 

IndyProシリーズの初年度で2回の優勝を記録、シリーズ2位という大戦果を挙げた武藤は、昨年のうちにIRL インディカー・シリーズにスポット参戦を経験、本年度はトップチーム、アンドレッティ・グリーン・レーシング(Andretti Green Racing)と契約、アメリカ最高峰のレースにフル参戦することが決まった。

「今年は、2002年にフォーミュラ・ドリームに挑戦したとき『これでだめだったらレースを止めるんだ』とか『このレースでだめだったら次のレースには出られない』と覚悟した、あのときの気持ちを思い出してレースに臨もうと思っています」と武藤は今年の抱負を語った。

 
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- 2007年アメリカ側スタッフと相談 -
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