しかし次の年、いきなり世界の最高峰、ロードレース世界選手権のMotoGPクラスに挑戦したときには、手痛い洗礼を受けた。それだけ周りの期待も高かったからこその挑戦だったが、清成は世界最高峰のレベルに圧倒された。
「もう、『すげーな!』と思いました。今でもまだ今の自分のままでは、あそこに行っても通用しないと思ってますよ。僕はもし行けるとしても一桁順位を目標に行くのではない。僕の夢はMotoGPで優勝争いをしたり、チャンピオン争いをすることなんですから。あのあとも何度かスポットで乗らせてもらってますが、その度にまだまだだなと思います。あそこで勝つには、もっと自分を変えていかないとダメです」
2004年からBSBで武者修行を続け、昨年は見事にチャンピオンを獲得。そして今年も連覇に向けてランキングトップをひた走るほどの活躍をしながらも、清成はまだまだと言い切る。
「BSBに乗りながら成長はしてますが、成長していくスピードが遅すぎますね。周りもみんな成長してるわけだから、人より速く成長しないと、世界のトップには追い付かないです。ただ、MotoGPに向けて経験を積むには、日本にいるよりイギリスのほうが学べる要素がたくさんあっていいです。それに、チーム員一人ひとりが個性的でおもしろくて、それでいてチームはよくまとまっていて、仕事でもミスは絶対無く一生懸命で、本当にいいチームです」
それだけよいチームであるからか、現在の最大のライバルはチームメートである。連覇に向けての自信のほどはどうか。
「バイクはすごく乗りやすいし、チームはすごくがんばってくれて、僕もとても信頼しているので、レースに勝つ自信が出てきたかな。ただ、勝つか転倒かのレースをしてたらチャンピオンは取れないということは2005年にわかっているので、2位や3位じゃ満足できないとはいっても、確実にポイントは取らないとダメです」
「とにかくここまで来るためには、僕1人では絶対に無理でした。僕だけの力じゃないです。いいバイクに乗せてもらって、いい人たちに恵まれて。本当に、会う人会う人全部巡り合わせがよくて。8耐で活躍できたのも、僕なんかよりほかのライダーが速いおかげなのかもしれないし」
MotoGPに行くならチャンピオン争いをするためと言い切り、1回勝つと1位以外はダメと言い切るほどに勝負にこだわる清成が、インタビューではなぜここまで謙虚な発言になるのか。
「いや、僕、ヘルメットかぶると変わるんですよ」
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