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Hondaの人材育成

マンスリーレポート 特集「清成龍一インタビュー」
BRITISH SUPERBIKE イギリススーパーバイク選手権
COLUMN
Hondaの人材育成
- 清成龍一 -
 

7月最後の週末、清成龍一は鈴鹿8時間耐久ロードレース、通称「8耐」に参戦するために、鈴鹿サーキットにいた。今シーズン、清成は4シーズン目のイギリススーパーバイク選手権(BSB)に参戦中で、昨年に続いてのチャンピオンを狙っている。一方で、8耐には2000年から挑戦し、今年が7回目になる。2005年には宇川徹と組んで総合優勝も果たした。清成はシリーズを通して戦うBSBと同様、8耐もどうしても勝ちたいレースだと捉えていた。

「1回勝っちゃうとダメですね。もう1位以外はダメになっちゃうんです。8耐も1回勝ったので、次の年以降もずっと勝ちたくなるんですよ」

現在はここまで勝ちにこだわり、情熱を傾けながら2輪のレースに打ち込む清成だが、人生で最初にバイクに乗り始めたころは、実はバイクに乗ることは嫌いだったという。父の勧めでモトクロスを始めたころだ。まだ幼児だった。

「僕はすごく臆病だから、バイクはイヤでした。音はうるさいし。いつも、乗りたくないな……と思いながらやってました。でも、9歳くらいでSRS-J(鈴鹿サーキットレーシングスクール・ジュニア)に入ってからは、逆に乗るのが好きになりました。同じことが好きな友達もたくさんいるし、そんな友達と一緒に乗るのが楽しくなったんです。夏合宿とかでは、すごくたくさんバイクに乗れて、ヘトヘトになって、ごはんを食べながら『……』とそのまま寝ちゃうんじゃないかってくらい疲れてましたけどね。でも、自分の好きなことだから、いくら疲れても続けられたんですよ」

バイクに乗るのは楽しい。この根源的な喜びを清成に教えたのがSRS-Jだった。ここで清成は、自分は将来もずっとバイクをやっていこう、という気持ちになったという。清成とHondaの強力タッグは、このときから始まっていたのだ。

高校に上がるころまでSRS-Jを続けたが、1998年から全日本ロードレース選手権GP125クラスという実戦に出るようになった。ひたすら楽しいスクールから、厳しい勝負の世界への突入だ。そして2000年からは名門のチーム高武に所属し、GP250クラスにステップアップした。

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「高武さんには、勝負に関することを全部教わりました。技術的なことから、戦い方や考え方、がんばり方、レースに対する気持ちとか。それは今も生きてますし、いつもそのころを思い出しながらがんばってます」

初めて8耐に出たのもこの年だ。このときの8耐で、スーパーバイク仕様のマシンで走った清成は抜群の速さを見せ、クラス2位・総合9位の成績を残す。この清成のすばらしいパフォーマンスを見て、高武氏はひとつのアドバイスを授けた。スーパーバイクでこれだけ速いのだから、おまえは4ストロークに向いているのではないか。

そのころの清成は、転倒が多く成績も伸び悩んでいた。GP250クラス2年目の2001年には、真剣にすべてを考え直したという。

「このままじゃいけない、もっとがんばらなきゃ勝てないと思い、バイクに対する考え方や、生活の内容とか、いろいろなことを変えていって、強くなるようがんばっていました」

そんなタイミングと、高武氏のアドバイスを基にクラスを変更する試みがうまく噛み合い、清成の力が爆発したのが2002年である。ST600クラスに参戦すると、第1戦でいきなり優勝し、そのままその年のチャンピオンを獲得したのだ。

「それまで表彰台にも乗ったことがなかったのに、1度勝つと、もう2位とか3位じゃ満足できなくなるんですよ。そして、勝ちに向けて『もっと、もっと』とがんばりますね。その辺の気持ちがすごく変わったのが2002年です」

チーム高武との出会いからスーパーバイクへの転向で才能を開花させるまでの2年間で、SRS-Jで味わった「バイクに乗るのは楽しい」とはまた別の喜び、「勝つことは楽しい」という競技者の最高の喜びを清成は知った。同時に、その才能をさらに伸ばしたいと多くの人間に思わせたのである。

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しかし次の年、いきなり世界の最高峰、ロードレース世界選手権のMotoGPクラスに挑戦したときには、手痛い洗礼を受けた。それだけ周りの期待も高かったからこその挑戦だったが、清成は世界最高峰のレベルに圧倒された。

「もう、『すげーな!』と思いました。今でもまだ今の自分のままでは、あそこに行っても通用しないと思ってますよ。僕はもし行けるとしても一桁順位を目標に行くのではない。僕の夢はMotoGPで優勝争いをしたり、チャンピオン争いをすることなんですから。あのあとも何度かスポットで乗らせてもらってますが、その度にまだまだだなと思います。あそこで勝つには、もっと自分を変えていかないとダメです」

2004年からBSBで武者修行を続け、昨年は見事にチャンピオンを獲得。そして今年も連覇に向けてランキングトップをひた走るほどの活躍をしながらも、清成はまだまだと言い切る。

「BSBに乗りながら成長はしてますが、成長していくスピードが遅すぎますね。周りもみんな成長してるわけだから、人より速く成長しないと、世界のトップには追い付かないです。ただ、MotoGPに向けて経験を積むには、日本にいるよりイギリスのほうが学べる要素がたくさんあっていいです。それに、チーム員一人ひとりが個性的でおもしろくて、それでいてチームはよくまとまっていて、仕事でもミスは絶対無く一生懸命で、本当にいいチームです」

それだけよいチームであるからか、現在の最大のライバルはチームメートである。連覇に向けての自信のほどはどうか。

「バイクはすごく乗りやすいし、チームはすごくがんばってくれて、僕もとても信頼しているので、レースに勝つ自信が出てきたかな。ただ、勝つか転倒かのレースをしてたらチャンピオンは取れないということは2005年にわかっているので、2位や3位じゃ満足できないとはいっても、確実にポイントは取らないとダメです」

「とにかくここまで来るためには、僕1人では絶対に無理でした。僕だけの力じゃないです。いいバイクに乗せてもらって、いい人たちに恵まれて。本当に、会う人会う人全部巡り合わせがよくて。8耐で活躍できたのも、僕なんかよりほかのライダーが速いおかげなのかもしれないし」

MotoGPに行くならチャンピオン争いをするためと言い切り、1回勝つと1位以外はダメと言い切るほどに勝負にこだわる清成が、インタビューではなぜここまで謙虚な発言になるのか。

「いや、僕、ヘルメットかぶると変わるんですよ」

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30回記念となった今年の8耐では、清成は予選のトップ10アタックでシフトミス、決勝ではチームメートの転倒で序盤リタイアという残念な結果に終わった。トップ10アタックのあと、目標とするMotoGPライダーであるカルロス・チェカの見事なアタックによるポールポジション獲得を、悔しさとうらやましさの入り混じった様子で受け止めていた清成。BSBではシーズンも後半に突入し、タイトル2連覇がいよいよ現実的に見えてきた。

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