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Hondaの人材育成

特集「全日本F3選手権開幕へ向けて」
JAPAN FORMULA 3 全日本F3選手権
 

塚越広大、伊沢拓也がそれぞれ旅立ったあとを引き継ぎ、フォーミュラ・ドリーム・プロジェクトから全日本F3選手権シリーズを戦う3人の顔ぶれは、ホンダ・チーム・リアルの中山友貴と山本尚貴、ホンダ戸田レーシングの中嶋大祐ということになる。彼らは上位カテゴリへステップアップして活躍している先輩たちのあとを追うために、全日本F3選手権に全力をかけて臨む。シーズン開幕を直前に、彼らの抱負を聞く。

Yuki Nakayama 中山友貴
 

中山は、昨年、ホンダ戸田レーシングでF3の1年目を経験した。しかし1年目のF3に中山は当初戸惑いを見せた。

「F3に慣れるのに時間が結構かかってしまいましたけど、それだけ多くのことを学ばせてもらったと思います。昨年前半は自分のメンタル面で調子を落としてしまったように思います」

中山友貴
- 中山友貴 -
 

前半6レースで3回のリタイア、1回の無得点。獲得ポイントはわずかに2点。中山は悩んだ。しかし中山はそこから調子を取り戻し、着実に結果を残すようになっていった。

「中盤戦くらいまでは悩んでいたんですが、それが途中で吹っ切れたというか、『これかな?』というきっかけをつかめたような気がしたんです。それからは物事がスムーズに進むようになってきました。後半戦からは大分メンタル面でも落ち着いて走れるようになってきてそれなりの結果も残せたし、F3というものに振り回されるのではなく、自分で操る方法を学ぶこともできたと思います」

事実、残り14レースでリタイアしたのは2回、2レースを除き10レースでポイントを重ねた。最上位は仙台ハイランドレースウェイで開催された第16戦での4位。表彰台が見えるポジションだった。

「確かに去年は思うようにいかないレースが多かった。でも、きっかけをつかんでからは、いい方向に進んできたと感じます。今年はその流れをうまくつなげてさらに高いレベルでレースができるようにならないといけないと思っています。今年の開幕前のテストでもそれがいい方向へ進んでいるのが確認できました。結構な手応えを感じましたし、開幕前のメニューも順調にこなしているので自分では今シーズンに期待しているんです。今年はF3も2年目なので、チャンピオンを取れるようにがんばりたいと思っています」

第2回鈴鹿合同テスト
- 第2回鈴鹿合同テスト -
Naoki Yamamoto 山本尚貴
 

中山のチームメートとしてホンダ・チーム・リアルの2台目を操るのは山本だ。山本は昨年フォーミュラチャレンジ・ジャパン(FCJ)にフォーミュラ・ドリーム・プロジェクトから挑戦、1年目にもかかわらずシリーズチャンピオン争いを最終戦まで繰り広げた。結局チャンピオンを逃したものの、ランキング2位を獲得した。しかしその結果に山本は満足はしていない。

「去年やり残したことはいっぱいあります。僕にとっては悔しい結果です。でもすべて満足に終わるシーズンというのもないと思うんです。昨年はやり残したことがあるのは事実ですが、その半面、得たものも非常に多かったと感じます。その得たところを今年はもっと伸ばして、去年やり残したことは今年、また学び直したいと思っているんです」

山本尚貴
- 山本尚貴 -
 

山本にとってF3は1年目。開幕前テストで初めてのマシンを走らせて、彼は何を感じ取っただろう。

「F3は、乗ってみて非常におもしろいクルマだと思いましたね。当然、いいタイムを出したり勝ったりするためには非常に優れた能力が問われます。FCJに比べると限界点がはるかに高いところにあって、しかもその高い限界点でコントロールできる幅が非常に狭いんです。非常に繊細なドライビングが求められるのでちょっとしたミスも許されない。一瞬でも判断が遅れたら走行ラインが大きく変わってしまうし、タイムにも大きな影響を及ぼす。でも、それだけ細かいところで技術を問われるということについて、すごくワクワクするし興奮もします」

1年目とはいえ、山本に怖じける気配はない。

「F3の1年目ということになりますが、1年目だからといってこぢんまりまとめてしまうことなく、去年FCJで勝ったレースを思い出して、あのときのように思いきり力を出しきるようなレースをしたい。1年目ということを忘れて、まずは早く1勝できるようにしたい。シリーズチャンピオン獲得という大きな目標を持ってシーズンを迎えたいと思っています。とにかく思いきったレースをしたいですね」

山本はレーシングカートでイタリアシリーズや世界選手権を経験、鈴鹿レーシングスクール・フォーミュラ(SRS-F)、FCJと1年ずつ四輪の経験も積んだが、F3ではこれまでとは違い、チームとともに戦う本格的なレースの世界だ。

「F3は、もうプロの世界なので、クルマに乗っているときも下りているときも自分はプロなんだという意識を常に持って、自分を高めていきたいですね。しかもHondaの名前を背負って走ることになるのだから、とても厳しい環境になるというのも覚悟しています。でもそういうプレッシャーがなければ逆に気が緩んで学べるものも学べなくなることもあると思うので、この厳しい環境は絶対に自分にとってその分プラスに働くと思っています。厳しいとはわかっていることで、その中で少しでも学んで、さらにステップアップしていきたいなと思っています」

2月21日に行われたHondaモータースポーツ体制発表会の席に山本はHondaのドライバーのひとりとして加わった。その表情は喜びと誇りに満ちていた。

「これまでTVや雑誌やウェブサイトで見てきた発表会の壇上に、Hondaの白いパイロットシャツを着た自分がいるんだという、何ともいえない興奮と喜びを感じました。これはすごいことなんだなと思うと同時に、これまでの両親の支援や多くの方々の協力のおかげでここに立てているんだなと改めて責任も感じました。だからこそ、このチャンスを無駄にせずステップアップにつなげていきたい。今年もベストを尽くして全力で戦います」

第2回鈴鹿合同テスト
- 第2回鈴鹿合同テスト -
Daisuke Nakajima 中嶋大祐
 

ホンダ戸田レーシングからF3に参戦する中嶋も、今年初めてF3を経験する。山本同様、レーシングカートからSRS-F、FCJを1年ずつ経験してF3へ進出する。昨年、中嶋がFCJで残した成績はシリーズランキング5位だったが、18レース中4勝を記録した。

「去年終わった段階では満足いく結果ではなくて反省が多いシーズンだと思っていました。でも冬に初めてF3のテストをさせてもらったとき、コースが得意な鈴鹿サーキットだったということもあったんでしょうが、自分でも予想した以上のタイムで走れたんです。その結果として、今年はホンダ戸田レーシングでF3に乗せてもらえることになったんだと思います」

中嶋大祐
- 中嶋大祐 -
 

中嶋は、FCJ時代から早くチーム単位で戦うF3にステップアップしたいと語っていた。FCJはイコールコンディションの育成カテゴリという性質上、チーム単位でマシンを仕上げるという経験はできなかったからだ。

「もう何回かF3のテストをしていますが、F3はFCJと違ってチームとして動きます。チームと一緒にクルマを作りながら進めるレースは僕がずっと望んでいたものだったので、監督、エンジニアの方はもちろん、メカニックのひとりひとりと、チームワークと言うんでしょうか、そういう関係が結べて、レースをやるのが楽しみになってきました」

チームで戦うレースに手応えを感じる中嶋にとってF3というマシンそのものはどう感じられたのだろうか。

「F3は特に難しいクルマだとは感じませんでした。走ったあと、僕が何か感じたり思ったりしたことをチームに伝えれば、それに対して精一杯のことをチームのみなさんがしてくれます。もちろん、その結果は必ずしもいい方向にいくばかりではなくて、悪い方向へいくこともあるんですが、それも含めてチームワークであって、いい結果が出ればみんなで達成感を得られる。これが僕にとっては本当に望んでいた環境です。あえて言うならば、僕にとっては初めて本格的な四輪レースをやり始めた、というような手応えがあります」

今は開幕が楽しみでならないと中嶋は言う。今シーズンは中嶋にとってどんな1年になるのだろう。

「今まで僕がTVとか雑誌で見ていたモータースポーツをようやく始められた、ようやくレース界の一員になれたのかな、みたいな気分がします。もちろんF3には強敵がいっぱいいるので、すぐ結果を出すのは簡単なことではないでしょう。でも今は開幕が楽しみです。自分で納得のいくレースを重ねていきたいと思っています」

第2回鈴鹿合同テスト
- 第2回鈴鹿合同テスト -
JAPAN FORMULA 3

フォーミュラ・ドリーム・プロジェクトで全日本F3選手権を戦う3人の若い才能はどんな形で花開くのか。全日本F3選手権は4月第1週、富士スピードウェイで開幕する。

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