F3は、運転の仕方もクルマの作り方の勉強も、ここででき上がるという集大成の場だと思います。育成の核になるクラスであるF3でちゃんと成績を残せば、どこに行ってもちゃんと乗れると思います。だから、トータルでいい状態を作って補助してあげられればと思うのです。これまで、鈴鹿サーキット・レーシング・スクール・フォーミュラ(SRS-F)の講師やFDのアドバイザーを務め、いろいろな個性の若いドライバーたちを育てることのおもしろさを知り、後輩たちの面倒を見るのが楽しくなってきました。また、できるだけいい状態を作るには自分でやるしかない、という思いとさまざまな方々のサポートが、いいタイミングで重なってチャンスをいただけたので、今回自分のチームを立ち上げることになりました。ドタバタとチームを立ち上げ、ようやく今は落ち着いて仕事ができるようになってきたところです。皆さんに助けてもらってここまで漕ぎ着けたので、これから自分ががんばって、よりよいチームにしていきたいと思っています。田中監督のドライビングカリキュラムにも顔を出していますが、監督がやりたいことや、ドライバーに対しての希望を、僕がどれだけ用意できるか、答えを出せるかという立場だと思います。
カート時代からSRS-Fなど、子供たちを見てきた経験を通じて感じるのは、個々のキャラクターに応じて、個性を尊重しながら、その子供なりの接し方や導き方をしたほうがいいのではということです。育成プログラムだからこそ、必要だと思います。甘やかすということでなく、ガツンと言うべきときは言って、そのバランスを取りながら育てていくということです。もちろん、チームとしてのコンビネーションでは、監督からの指導との兼ね合いを調整するのも自分の役割かなと思います。
一番おもしろいことをしたい時期が、一番伸びる時期でもあります。遊びたい盛りに、どれだけ自分の目標に向けて一生懸命できるか。特に、ちょっと速いと周りが甘やかして、彼らの気持ちがぼやけてしまうときもあると思います。そのとき、大人が放っておいて、ぼやけた気持ちのままでいることを子供のせいにするのは、ある意味大人の言い訳に過ぎないと思ってます。今が一番大事なんだと大人が教えてあげて、いい意味でコントロールしてあげることが必要だと、自分は考えます。大人もできるだけのことをして、みんなが上に上がってくれればいいんですが、結構エネルギーが必要なので、一度にそう何人もは見られないな、とも感じてます。
ヨーロッパを目指すにしても、どういうシチュエーションで行かせてあげるかが問題です。早く外国に行ったほうが勉強になるとは限らず、条件がそろわなければ絶対に成功しません。そのために、全日本F3選手権で経験させてあげられることはできるだけ提供して、日本で成功してから挑戦するほうが確実です。日本で勝ってからのほうが、日本国内で応援してくれる人も増えますからね。世界に打って出る方法論として、全日本F3選手権でドライビングもセッティングも交渉力も十分に力をつけさせて、その先に世界で活躍するという道を作りたいですね。 |