GOODWOOD
<その他イベント篇>
SAAB 92 001
 「グッドウッド」は、何もレーシングカーに限ったイベントではない。カルチェが毎年主催する展示スペースでは、今年のテーマである「Style et Luxe」に沿った名車を展示している。最大の目玉は1938年製アメリカ車「ファンタム コルセア」だ。アメリカの食品会社ハインツ社のラスト・ハインツが、宣伝用にと造らせた巨大な前輪駆動車で、世界でこれ一台しかないもの。エンジンは4.7リッターのV型8気筒を搭載。当時製作コストが24000ドルもしたという。もう一台のハイライトは、1927年型のフランス製軽量型レーシングカー、「BNC モンザ572」。これは、直列4気筒1100ccエンジンを備えた最も標準的なモデル。スタイルが良く、頑丈なことでは定評があり、1920年代後半から1930年代のヨーロッパ各地のアマチュア・イベントで活躍した。フロント・フェンダーを支える湾曲した支柱に、大きなマルシャル製ヘッドライトを斜めに付けるところなど、フランス的な粋を感じる。このほか、スウェーデンからは1948年にSAABが乗用車生産のために作った試作車である「SAAB 92  001」が、チェコからは3個のヘッドライトと完全な流線型が美しい1937年ころの「タトラ 87」がやって来ていた。
 昨年から始まった新しいエキジビションである「フォレスト・ラリー・ステージ」も注目である。特設されたラリー・コースを使って、WRCで活躍した1975年製の「ランチア ストラトス」や「アウデイ クアトロ クーペ」などが、サンドロ・ムナーリ、マーカス・グロンホルムといった名ドライバーたちによる華麗な走りを見せるのだ。
 「動く自動車博物館」とは言い旧された表現だが、グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードは、そんな言葉では言い表せないほど刺激的で楽しく、心底驚かされるイベントなのである。私は、何年か連続して訪れているが、毎年退屈していないことからもそれが本当であると知れよう。

タトラ 87 アウデイ クアトロ クーペ

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Honda モータースポーツ グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード