その結果、ライバルより多くの社内エンジニアが関わったため、サーキットで結果を出すまでに他と比べて時間がかかったりもしたかもしれない。しかし、会社としてみれば、将来を見据えて有能なエンジニアとマネージメントシステムを築くことには成功したのだと思いますね。忘れてはいけないのは、Hondaはレースマシンを製造する会社なのではなく、レースマシンを走らせることで得た技術を市販車に投入し、より良い市販車を製造するという数少ない自動車会社だということなのです」
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国際レースにデビューして50年。今もHondaは世界各地でファンの応援を受けながらモータースポーツを戦い、伝説をつくり続ける。 |
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今回RA272に乗った感触は、と訊ねると、サーティースはにっこり笑って答えた。
「RA272は、4つ車輪がついてはいるけれど、大きなモーターサイクルという感じのクルマだね。本当にいい音がするんです。グッドウッドを観に来ているお客さんは、レースを見るというよりは、ある意味、音を楽しみに来ているようなところもあるから、わざとギアをアップダウンさせてお客さんに音を聞かせてあげたよ。グッドウッドには自分と同じ年代の人が、その時代のマシンを懐かしがって見に来るけれど、当時のマシンのことを全く知らない若い人たちもたくさん来る。ここは過去と現在を合わせて、さらに将来に繋げていく、という独特な場なのです」