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「Hondaは私たちにとって最も長きにわたるパートナー」。グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードの主催者であるマーチ卿がこう語ったように、Hondaは、日本の自動車メーカーとして最も長く継続的にこのイベントに参加している。今回は、Hondaがフェスティバル・オブ・スピードに参加するようになった背景をご紹介しよう。 Hondaは、イギリスの拠点であるHonda UKを中心とし、実は1993年の第1回グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードに参加していた。すでに世界から高い評価を獲得していたNSXを10台ほど持ち込み、地元イギリスのジャーナリストの運転で走らせ、Hondaについて紹介するブースを出展したりしていた。しかし、フェスティバル・オブ・スピードはあくまでもヒストリックマシンが主役のイベントである。NSXを持ち込んでの参加は1994年までの2年のみで終えたのだった。 その頃日本では、Hondaの往年の製品を収集・復元する「Honda Collection Hall」が鈴鹿サーキットに開館した(1998年3月には、現在のツインリンクもてぎ内に完成)。Honda Collection Hallは、過去のHonda製品の展示と並行し、創立50周年の記念イベント「創50 ありがとうフェスタ」(1998年10月開催)に向け、往年のレーシングマシンを走らせるべく精力的に準備活動を開始していた。 その動きを知ったHonda UKの担当者は、マーチ卿にHondaがヒストリックマシンを走らせるべく活動を行っていることを伝え、モータースポーツを心から愛する当時の社長、川本信彦を紹介したのだ。
「1999年から全力で参加するぞ!」 川本は、Honda Collection Hallのスタッフに宣言。当時の館長であった青山儀彦は、首尾よくマシンを走らせられるか心配だったが「ぜひやりたい」と川本の呼び掛けに応えた。 レーシングマシンとは、基本的に参戦するレースを走り切るだけの耐久性しか持たないマシンである。したがって、何十年もの時を経たマシンは、エンジンに再び火を入れ目覚めさせるだけでも大変なことなのだ。「創50」のイベントに向けてHonda Collection Hallのスタッフが目指したのは、当時のままのエキゾーストノート、いわゆる“Hondaミュージック”を再現すること。そして、そのHondaミュージックを、フェスティバル・オブ・スピードでも鳴り響かせることだった。 「創50 ありがとうフェスタ」を無事終え、Honda Collection Hallのスタッフは、さらなる入念なレストア作業を重ねてマシンを航空便でイギリスに送った。しかし到着したマシンを見てみると、航空機の急激な高度の変化で結露し、金属部品のほとんどに錆が発生していた・・・。初めてのフェスティバル・オブ・スピードへの参加は、とにかくノウハウがなく、ドタバタの連続だったと言う。 イベント当日も勝手がわからずスタッフは奔走し続けた。そんな中、ボランティアで参加していたオフィシャルがとても親切で、手とり足とり面倒をみてくれた。そうやって必死になって準備に追われていたとき、ひとりの観客が声を掛けた。 「Honda、よく戻ってきてくれたね」 思いも掛けないこの言葉に、スタッフは感動を覚えずにはいられなかった。「戻ってきてくれた」という言葉は、長年欧州のモータースポーツに参戦し続けたHondaの歴史があればこそである。そして、たったひとりのモータースポーツファンではあるが、Hondaへの親愛の情がなければ発せられない言葉である。それがうれしかった。
Hondaのエキゾーストノートは、並み居る名車の中でもひときわカン高い特別な音であり、このカン高い音でレーシングコースを走る“近くで聞こえる音”“遠くで聞こえる音”がHondaミュージックと呼ばれた所以であると言われている。エキゾーストノートに対して拍手が沸き起こるのは、1999年の参加以来、今もHondaのブースだけだという。Hondaの活躍を支えたHondaミュージックへの称賛の拍手。この事実は、Hondaがモータースポーツに注ぐ情熱を裏付ける出来事と言えよう。 1959年のマン島TTレース、1964年のF1参戦以来、欧州のモータースポーツシーンで活躍し続けたHondaのマシンと独特のエキゾーストノートは、欧州のモータースポーツファンにとって心に残る存在。Hondaがグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードに招かれ、ファンから歓迎され続けていることは、欧州のモータースポーツ史からしてきわめて自然なことなのだ。 |
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