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パワーユニットの構成

続いて、パワーユニットの構成について説明していきます。

F1マシンのパワーユニットは、ドライバーシート(コクピット)の後方に置かれています。バッテリーなどもこの部分にあります。

パワーユニットの構成

※この図は、実際のHondaパワーユニットを反映しているものではありません

エンジン内部に吸い込む空気の量を増やす「ターボチャージャー」は1基と定められており、その設置場所にも細かな規定があります。ターボチャージャーで圧縮した空気は、インタークーラーで冷却され、エンジンの吸気ポートへと向かいます。MGU-Hはターボチャージャーと同軸に配置する決まりになっています。

2014年からの新規則では、燃料使用量(最大100kg)と燃料流量(最大100kg/h)が定められました。燃料使用量はタンクの容量、燃料流量はタンクに取りつけた蛇口をひねった際に流れ出てくる量に例えることができます。つまり、1回のレースで使えるガソリンの量と、瞬間的に使用できるガソリンの最大量がともに制限されたことになります。どちらも2013年の規則に比べて約3割の減少となっており、燃料が流れ出てくる量が少ないためパワーは出にくく、タンクの容量も小さいので燃料を使いすぎないようにする必要があります。
そのため、限られた燃料を上手に使わないと、レースを走りきることもできません。ゆっくりと走れば走りきることは可能かもしれませんが、それでは速さを競うF1レースでは勝てません。そこで、細い流れから得られる量の燃料を有効に使い、走るためのエネルギーに効率よく変換する必要があるのです。つまり、エンジンの効率を高めて燃費と出力を両立させると同時に、2種類のエネルギー回生システムを上手に活用することが、競争力の決め手となります。
言い換えれば、「1ccのガソリンが持つエネルギーを最大限使い尽くす効率の高さと、F1に期待される圧倒的な速さの両立」が求められてきます。そのためF1のパワーユニット開発で取り組む技術は、将来的には市販車にも役立つものと期待されているのです。