08.09.02 vol.182 モンツァテスト

弱点の分析は、かなり進んでいる。
そこから解決策が見つけられると、信じています。

スペイン・バレンシアでのヨーロッパGPを終えて、チームはイタリア・モンツァでの合同テストに参加した。今週からのベルギー、イタリアの2連戦を見据えてのものだったが、特殊なコース特性に苦しめられた3日間だった。

 

【プロフィール】
長谷川 祐介(はせがわ・ゆうすけ)
1963年12月1日生まれ、東京都出身。
1986年Honda入社。量産車のエンジン開発や将来パワープラントの研究を経て、2002年よりシステム開発責任者としてF1に携わる。
現在は、ホンダ・レーシング・ディベロップメント(HRD)エンジニアリングディレクターとして、現場にてパワープラント領域を統括する立場である。

―ドライバーのコメントなどを見ると、先週のモンツァテストはなかなか厳しかったような印象です。
 そうですね。正直いって、あまりよくありませんでした。今回はスパとモンツァの2連戦に向けてのテストだったのですが、特にモンツァ用の仕様が厳しかったですね。モンツァは全GP中、最も速いサーキットで、当然ダウンフォースも極力落とすことになります。そのための軽いウイングを装着したときのバランスが、非常に悪かった。
 以前、カナダのときもお話したと思うのですが、あのときと似た状況ですね。スパ、モンツァまでには何とかしなくてはと言っていたのですが、解決策が見出せないままここまで来てしまいました。

―前戦のバレンシアでは、高速区間のバランスがよくて、リアウイングのダウンフォースを落としましたよね。いい方向にいっていると、思っていたのですが。
 やはりモンツァほどの高速になると、まだまだ対応できないということですね。ダウンフォースがない分、やはりブレーキングでのリアの安定性が悪くなる。コーナー立ち上がりでのトラクションも、苦労しますね。

―3日間の総合タイムも今ひとつでしたが、結果を反映している?
 ある程度は、そうですね。ただ軽いタンクでの走行は、特にジェンソンはしてませんから、実際にはあそこまで差はつけられてないはずです。

―ベルギーGPに向けてのテストは、どうだったのでしょう。
 そちらの方が、よかったですね。ただやはりモンツァは、直線とシケインだけと言ってもいいようなレイアウトですから、ここでスパ用のテストをするのはどうしても限界がありますね。実際にスパで金曜日に走ってみないと、なかなかわからないと思います。ジェンソンの感触としては、そんなに悪くないんじゃないかということでした。

―バレンシアで問題が出たブレーキに関しても、新しいものをテストしたということでしたが。
 いろいろなメーカーのキャリパーとかディスクとかを、試しました。間に合えば今年中に実戦投入したいですが、あくまで来季に向けてのテストということです。

 ダウンフォースの低いコースでは、今年の我々はずいぶん苦しめられてきました。その意味では、この2連戦も決して楽観はしていません。ただ弱点の分析はかなり進んでいますから、そこから解決策が見つけられると信じていますよ。