08.07.23 vol.178 Rd.10 German GP

厳しいレースでしたが、収穫もありました。

前戦イギリスGPでは、ルーベンス・バリチェロが3位表彰台を獲得した。その勢いをシーズン後半の初戦となるドイツGPでも持続したいところだったが、予選はジェンソン・バトン14番手、バリチェロ18番手と、後方からのレーススタートに。レースでは、グリップ不足などに苦労し、バトンは17位でチェッカー。バリチェロは、レース終盤にリタイアを喫した。

 

【プロフィール】
長谷川 祐介(はせがわ・ゆうすけ)
1963年12月1日生まれ、東京都出身。
1986年Honda入社。量産車のエンジン開発や将来パワープラントの研究を経て、2002年よりシステム開発責任者としてF1に携わる。
現在は、ホンダ・レーシング・ディベロップメント(HRD)エンジニアリングディレクターとして、現場にてパワープラント領域を統括する立場である。

―厳しいレースでしたね。
 本当に。しかし結局は、クルマが遅かったということに尽きます。いろいろミスもありましたが、最終的にはクルマの実力を出しきったセットアップになっていると思いますし。仕上がり自体は週末を通じて、決して悪くなかったですしね。

―先週のテストでは予選シミュレーションを行って、一発の速さにある程度の手応えを得たということでした。ところが今週末の予選本番では、その速さが再現できませんでした。
 路面コンディションの違いとか、風の強さとか、条件の違いがありましたからね。それにあとコンマ3秒速ければトップ10内に入ってましたし、ことさら遅かったとは思いません。ただテストで苦労したブレーキング時やコーナー立ち上がりの不安定な挙動などは、改善が見られませんでした。

―レースではバトンが、柔らかい方のオプションタイヤではまずまずだったのが、ハード側のプライムタイヤではまったくグリップがない症状に陥りました。
  これはちょっと、予想外でしたね。他のチームのペースを見てハードに換えたのですが、まったくダメでした。やはり温まりの問題なのか、ファクトリーに帰って詳しく分析します。

―次のヘレステストは、次戦ハンガリーGPに備えてのものですか。
 それ以上に、今シーズンの大きなアップデートとして、足回りの変更を予定しています。主には、リアサスペンションです。テストでは、色々なセットアップを試しながら、マシンのペースを上げていきたいです。また、現状のブレーキング時の不安定な挙動解消、そしてトラクション性能の向上を狙ったものです。
 今回は厳しい結果に終わりましたが、空力的には進化を確認できました。軽めのリアウィングを使いましたが、最高速はトップとそう大きく違わないスピードが出ていますし。予選は結果的にはあまり変わっていませんが、トップとのギャップもつめられたので、一発タイムもそういう意味ではよかったのかなと思います。この収穫を、今後のレースにもぜひ生かしていきたいですね。