08.06.25 vol.174 Rd.8 French GP

次戦の改良スペック投入に、期待したいと思います。

北米カナダから再びヨーロッパに戻って、1戦目のフランスGP。バルセロナでのテストでは手ごたえを感じ、レースに臨んだHonda勢。ジェンソン・バトンは、レース序盤にリタイアしたものの、ルーベンス・バリチェロは、最後尾スタートながら、14位完走を果たした。

 

【プロフィール】
長谷川 祐介(はせがわ・ゆうすけ)
1963年12月1日生まれ、東京都出身。
1986年Honda入社。量産車のエンジン開発や将来パワープラントの研究を経て、2002年よりシステム開発責任者としてF1に携わる。
現在は、ホンダ・レーシング・ディベロップメント(HRD)エンジニアリングディレクターとして、現場にてパワープラント領域を統括する立場である。

―予選、レースを通じて、マニクールでの週末はいかがでしたか。
 そうですね。バルセロナテストでの手ごたえがよかっただけに残念です。どこか特定の区間でタイムロスするとか、特有の問題があるとか、そういうことではないんですね。全体的に少しずつ劣っている。バランス的には、そんなに悪いクルマではないのですが。予選、決勝とも、本来のパフォーマンスを発揮できませんでした。

―バトンはスタート直後に、大きく出遅れてしまいましたが。
 ええ。1周目の1コーナーで渋滞にはまって、他車と接触し、フロントウイングにダメージを負い、バランスがおかしくなっていたようです。その3周後に、最後のシケインで縁石に乗り上げた際にこれが落下し、マシン前部に大きなダメージが残りました。

―バリチェロのペースは、どうでしたか。
  前半にジャンカルロ・フィジケラ(フォースインディア)につかえてしまって、その間に上位との差が開いてしまいました。もし前が空いていたとしても、今回はポイント獲得は難しかったと思います。一方で、中団グループのライバルたちと比較し、 最後尾スタートにも関わらず、ウィリアムズ2台の前となる14位に順位を上げ、フィニッシュできました。他のマシンに対しても、攻めの姿勢でレースを展開できたことは、収穫だったといえます。

―ここ数戦、ソフト側のタイヤの使い方に苦しんでいるように見えますが。
  ええ、今回も初日は確かにそうでした。でも決勝では、ソフトタイヤを使ったスティントで雨が降ったりして、路面コンディションは決してよくなかったのですが、その割りには大丈夫でしたね。ただレース全体を通じてドライバーは、グリップ不足を指摘しています。その点は次回のテストで解決したいと思ってます。

―中団グループの勢力図は変わりましたか。
  中団グループで争っているチームのうち、今回はルノーやレッドブルは確実に速くなっている。ここでの結果を見る限り、我々は置いていかれた印象です。逆にウィリアムズは、進化していない感じですね。

―次戦イギリスGPには、大きなバージョンアップが予定されていますね。
 ええ。事前テストで確認して、GP本番に投入する予定です。メインは空力ですが、エンジン側も改良可能な範囲で手を加えます。これでどこまでライバルたちに追い付けるか、期待したいと思っています。