08.05.20 vol.170 ポールリカール・テスト

テスト自体は充実していたが、モナコは非常に
特殊なコースなので、実際に走ってみないとわからない

トルコGPから戻ってすぐ、チームは南仏ポールリカール・サーキットで3日間の合同テストに参加した。最初の2日間が、今週末のモナコ仕様。そして最終日は、カナダGPに向けてのテストだった。

 

【プロフィール】
長谷川 祐介(はせがわ・ゆうすけ)
1963年12月1日生まれ、東京都出身。
1986年Honda入社。量産車のエンジン開発や将来パワープラントの研究を経て、2002年よりシステム開発責任者としてF1に携わる。
現在は、ホンダ・レーシング・ディベロップメント(HRD)エンジニアリングディレクターとして、現場にてパワープラント領域を統括する立場である。

―3日間のテストは、雨がちだったようですね。
 初日は晴天だったのですが、2日目は曇り、最終日は最後までウエット路面でした。この日にカナダ仕様のテストを予定していたので、残念ながらほとんど何もできずに終わってしまいましたね。いろいろ新しいものを、テストしたかったのですが。一方のモナコ仕様は、最初の2日間で十分試せました。ただ何というか、うまくまとまらなかったですね。

―具体的には?
 モナコに向けての空力パーツなどを試したのですが、思ったほどの効果が得られなかったですね。ただこのコースは低速コーナー主体というだけで、レイアウトも舗装も、モナコと同じというわけではない。だからこの結果が、モナコでのパフォーマンスを忠実に反映しているとは思いませんが。

―他チームの走りは、ご覧になってどうでしたか。たとえばトロロッソは、新車を投入したようですが。
  ある程度は観察していたのですが、総じて大きな変更は施してなかったですね。あくまでモナコに合わせた、高ダウンフォース仕様ということでした。トロロッソに関しては、今後はレッドブルと同等の戦闘力を持つと考えた方がいいでしょう。つまり我々にとっては、中団グループでの戦いがいっそうし烈になるだろうということですね。

―前戦トルコGPで長谷川さんは、「過去4戦、確実に速くなっていたマシンが、ライバルとの比較で遅くなっている」と言っていました。今回のテストは、その状況を覆すようなものにはならなかった?
  かも、知れません。もちろん、極端に悪かったわけではない。とはいえ中団から一歩抜け出すことが当面の目標なのに、今はまだなかなかそこに到達できてないですね。ただ今回のモナコ仕様のテストは、マシン本来の戦闘力が見えにくい。やはり全18戦の中では、非常に特殊なコースですから。今週末の本番でどこまでいけるかも、実際に初日を走ってみないとモナコにきっちり合わせたセッティングができたかどうかはわからない部分が多いですね。