08.04.22 vol.167 バルセロナ合同テスト

今後に向けて大きな手応えを感じた。
ポジティブなテストでしたね。

第3戦バーレーンGPから帰った翌週、Honda Racing F1 Teamはバルセロナ・カタルニア・サーキットでの4日間の合同テストに参加した。チームはここに、新しい空力パッケージなどを投入。ルーベンス・バリチェロが2日目に総合トップタイムを出すなど、好感触を得たようだった。

 

【プロフィール】
長谷川 祐介(はせがわ・ゆうすけ)
1963年12月1日生まれ、東京都出身。
1986年Honda入社。量産車のエンジン開発や将来パワープラントの研究を経て、2002年よりシステム開発責任者としてF1に携わる。
現在は、ホンダ・レーシング・ディベロップメント(HRD)エンジニアリングディレクターとして、現場にてパワープラント領域を統括する立場である。

―単刀直入に、今回のテストの感触はいかがでしたか。
 よかったですね。スペインGP用の改良パッケージは、実際に走らせてみてもいい感じで、クルマはけっこうよくなりましたね。

―今回は4日間の日程でしたが、来年に向けてのスリックタイヤのテストもあって、盛りだくさんのスケジュールだったのでは。
 ええ。スリックタイヤのテストでは、ロングランも試さないといけなかったですし、それにかなりの時間が取られました。最終日には、大雨に祟られましたしね。でも全般的には、予定した6割ぐらいのメニューは、こなせたと思います。
 スペインGP用と一口に言っても、いろんなアイテムがありますので、本来ならそれを一つひとつ、たとえば旧型と直接比較しながらテストできるのが理想なんですね。さらにいけそうだと思ったものに対しては、そこからセッティングを煮詰めていくとか。でもシーズン開幕後は、1回のテストでは1チーム1台しか走らせられない。そういう厳しい制限の下では、いろんな工夫をしながらやっていかないといけないですね。

―2日目のバリチェロが、スリックタイヤで総合トップのタイムを出しました。通常の溝付きタイヤでのペースは、どうだったのでしょう。
  これまた、悪くなかったですね。ただ今回は、スリックと溝付きタイヤが混走してましたよね。しかもライバルチームの燃料搭載量は、例によってはっきりとわからない。ですから我々の改良バージョンが、相対的にどこまでの戦闘力を発揮できるかは、スペインGPの週末になってみないと、本当のところはわからないですね。

―改良のメインは、やはり空力ですか。昨年も登場した特徴的なノーズウイングが、今回も搭載されていましたが。
  ええ。でもそれ以外にも、たとえばリアの足回りとか、新しいものを投入しています。さっきも言ったように、それら単体の性能評価まではできませんでした。セッティングの煮詰めも、これからですし。でも総合的な伸びしろは、大きかったという手応えを感じています。ダウンフォース値も、明らかに上がっていますし。全般的に、ポジティブなテストでしたね。