08.3.16 vol.162 Rd1.Australia GP

失格は残念。しかし中団グループで戦えることがわかったのは、収穫でした。

2008年開幕戦。Hondaは決勝レースを、ルーベンス・バリチェロ10番手、ジェンソン・バトン12番手のグリッドからスタートした。しかし1コーナーの混乱で、バトンはマシンに損傷を受けてリタイア。残ったバリチェロはトラブルを抱えながらも、一時2番手を快走する。最後は6位でチェッカーを受けたが、セーフティカー導入中に赤信号を無視してピットから出て行ったことで、失格処分を受けた。

 

【プロフィール】
長谷川 祐介(はせがわ・ゆうすけ)
1963年12月1日生まれ、東京都出身。
1986年Honda入社。量産車のエンジン開発や将来パワープラントの研究を経て、2002年よりシステム開発責任者としてF1に携わる。
現在は、ホンダ・レーシング・ディベロップメント(HRD)でエンジニアリングディレクターとして、パワープラント領域の現場を統括する立場である。

−開幕戦6位と幸先のいいスタートが切れたと思ったのですが。
 今回のバリチェロの失格裁定は、非常に残念です。あの時点でほとんど燃料タンクは空になっていたので、ピットインせざるをえなかったんです。ペナルティは覚悟の上での給油でした。ただそのあと、赤信号を無視してコースに出ていってしまったのは、チームのミスです。あの場面は待たせるべきでした。

−改めて開幕戦を振り返っての感想は。
  結果的にポイントは取れませんでしたが、ヘレスの最終テストでの性能向上が確認できたことは、よかったですね。ただ今回、開幕戦を見ていて、今年はドライバーの技量差が、かなり結果に影響すると、つくづく思いました。また、ミスも犯しやすくなりました。トラクションコントロールやエンジンブレーキ制御などの補助機能が禁止されましたからね。その傾向は今後、ほかのサーキットに行っても同じだと思います。だからどのマシンがどれより速いとかいうのは、一口では言いにくくなってますね。今回もフェラーリは最速マシンだったはずが、2台ともリタイアしていましたしね。ただ中団グループでも、たとえばウィリアムズは私たちより現状では速いといえるでしょう。BMWザウバーやトヨタに対しても、ちょっと落ちてるかもしれない。

―ただバリチェロは、足回りにトラブルを抱えながらの走行だったようですね。
 ええ。データを見ても、1回目のストップ以降異常が発生しています。ほとんど、ダンパーが効いていなかったようです。その分のロスは、考慮する必要があるでしょうね。レース後半、前を走るニコ・ロズベルグ(ウィリアムズ)との差は、だいたい1秒ぐらいでした。ただ、もしトラブルがなくても、同じペースで走行するということはなかったと思います。
 まあ、中団グループは、非常に接近しています。そしてその中に入って戦えているのがわかったのは、よかったと思います。最高速が依然として遅いとか、まだまだ解決すべき問題は多いですけどね。