HONDA The Power of Dreams

HONDA The Power of Dreams
    • Motor Sports Top
    • Formula 1
    • IRL
    • ALMS
    • SUPER GT
    • MotoGP
    • 2輪ロードレース
    • モトクロス
    • トライアル
    • 人材育成
    • 読み物
    • メルマガ
    モータースポーツ > F1世界選手権 > ジェンソン・バトン ダイアリー

    10

    - October -

     日本GPは、Honda Racing F1 Teamにとって残念な週末だった。日本のファンの前でいいパフォーマンスを見せたかったのに、RA108はスピード不足でいい成績を出すことができなかった。僕自身、レースではうまく走れたけれど、結果は14位だった。
     まずスタートはよかった。第1コーナーまでに7つ順位を上げ、1周目の終わりには11位につけた。でもそれ以上は無理だった。ファーストスティントの早い時期にタイヤがむけ始め、僕よりスピードのあるマシンを抑えて走ることができなかった。37周目にピットに入りプライム・タイヤを履くと、ハンドリングはかなりよくなった。でも時すでに遅し。このころには巻き返しのきかない順位となっていた。
     チームにとって厳しい一月の締めくくりがこの富士スピードウェイだった。モンツァでは不本意な成績だったし、シンガポールではポイント圏内にあと1つという9位フィニッシュだった。でもめげずに、この後もプッシュし続けていかなければ。とにかく中国かブラジルで少しでも前向きな成績を取れば、来季に向けて弾みがつく。
     レース以外のことを話そう。この一月、モナコの天候は最高で、相当な量のトレーニングをこなすことができた。イタリアGPから車でモナコまで戻ってきて、その翌週はほとんどずっと自転車で丘を走り回って過ごした。最高の気分だったな。体も絶好調だった。
     それから9月19日の金曜日、ブラックリーにあるチームの本社に行った。エンジニアと会議をしてから、シミュレーターでシンガポールのマリーナ・ベイ・サーキットについて研究した。シミュレーターでの感触では、シンガポールはすごく遅くてバンピーなコースのようだった。モナコよりも遅いんじゃないのかな。一周に1分42秒かかっていたから、とても長いコースだと感じた。
     ファクトリーからロンドンに向かい、友人や家族と週末を過ごした。そして9月22日にシンガポールへ。飛行機は、火曜の朝にシンガポールの首都に到着した。おかげで、GPウイークエンドが始まる前に、少し観光することができた。植民地時代の華やかさがしのばれるラッフルズ・ホテルや、世界一高い展望台のシンガポール・フライヤーを見た。さらに、ホテルにチェックインする前に、初めてマリーナ・ベイ・サーキットを歩いてみた。
     このコースの第一印象はよかった。2000ワットの照明は思ったより明るくて、何色のカラーバイザーを使おうか迷ってしまった。当初は、全てを明るく見せるオレンジを使うことにしていたのだけれど、そこまでする必要はないということがはっきりしたからだ。
     シンガポールでの目新しさは、夜に走ることだけではなかった。全てのプラクティス・セッションが夜に行われ、レースは現地時間の午後8時スタート。そのため、僕はこの週末ずっとヨーロッパの時間帯で過ごすことにした。つまり、朝食を午後の3時に食べ、午後7時に昼食、午前2時に夕食。就寝は午前4時。まるで学生みたいだ。最初はかなり混乱したけれど、すぐに慣れて、必要なときにフレッシュな気分になることができた。
     シンガポールのころ、マシンのパフォーマンスは期待していたほどよくはなかった。バレンシアで金曜セッションに3番手のタイムを出したときと同じくらいのマシンになるかなと思っていたけれど、そうはいかなかった。バンプが思ったよりひどくてマシンがぐらついた。予選は12位でレースは9位。ただよかったのは、このGPについてたくさんのメディアが好意的な報道をしていたこと。F1としては成功だ。
     このレースを終えて、デビッド・クルサードやほかのたくさんのドライバーたちと一緒にアンバー・ラウンジで楽しんだ。面白かったのは、このGP中一番早く寝た日がこの最終日だったことだ。僕は、翌日にはモナコに飛んで、週の残りはトレーニングに明け暮れた。最初にも書いたけれど、モナコの天気は最高だったから、外でのトレーニングをたっぷりこなしサイクリングもできた。
     10月4日土曜日に日本へと飛び立ち、日曜の朝、東京に着いた。そのまま、お台場で開かれていたモータースポーツ・ジャパン 2008へ直行だ。このイベントにはなるべく毎年参加するようにしている。すごく楽しいし、日本のファンと触れ合えるチャンスだから。この日はものすごい数の人が集まっていた。2日間で14万人のファンが来てくれたそうだ。僕は、今年のRA108を駐車場の周りで走らせた。危険だからあまり速く走りたくないと思って、すごいドーナッツをやった。僕の最高タイムは15秒。見ていた人たちも楽しんでくれたはずだ。といっても、タイヤの煙がひどくて周りの様子は全く見えなかったけれど。
     日本GP前の木曜日まで東京に残った。ここは、世界の中でも好きな都市のひとつだ。きれいだし、いつも泊まるホテルがすばらしい。部屋からの眺めがよくて、おいしいレストランがある。
     その後の仕事は10月7日火曜日。恒例の日本GP直前の記者会見だった。ルーベンス・バリチェロ、ロス・ブラウン、ニック・フライと僕が出席した。公式会見が終わったあと、待っていてくれたファンにできるだけ多く接してきた。
     それから、木曜の朝には富士スピードウェイまで100qの道のりをドライブした。チームの母国レースでもあり、サーキット以外でもPR活動が山積みだった。この週末は毎日Hondaのスタンドに顔を出し、レースを観に来ていたHondaの福井社長にも会った。よいパフォーマンスを見せることができなくて、サーキットに来てくれた皆さんに申し訳なく思っている。
     富士スピードウェイでの日本GPは絶景だ。背景に富士山がそびえている。でも、僕としては来年、鈴鹿サーキットに戻れるのを今から楽しみにしている。鈴鹿は世界屈指のサーキットで、何といっても高速コーナーが多い。あそこでF1マシンを走らせるのはスリル満点だ。
     でも、来年のことを考える前に、まだ2008年が2戦残っている。次は上海での中国GP。去年は5位でフィニッシュした。今年も同じ成績を取るというのは難しいと思うけれど、とにかく全力を尽くして戦うつもりだ。

    モータースポーツ > F1世界選手権 > ジェンソン・バトン ダイアリー

      Honda Stories Hondaのこれからがわかるメディア

      © Honda Motor Co., Ltd. and its subsidiaries and affiliates. All Rights Reserved.
      ページトップへ