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- August - |
Honda Racing F1 Teamは、ここまでやってきたことに満足感を持って3週間のサマー・ブレイクに入ることができる。ハンガリーGPでは、アップグレードしたパーツをいくつか導入し、パフォーマンスが、少しだが確実に前進した。僕も中盤集団でいい戦いができたと思う。
ハンガリーGPの10日前、僕らはヘレスで新しいパーツをテストした。試してみてすぐに、進化を実感した。新しいリアサスペンションのおかげで、コーナーの入り口での安定感がよくなった。僕のドライビングスタイルに合って、長距離でも安定したラップタイムを刻むことができた。
ハンガロリンクでは、1周でのペースが速くなった。周回を重ねるごとにRA108のバランスがよくなり、予選12番グリッド。5月のモナコGP以来の好順位だ。ファステストラップを刻んだときには、ブリヂストンのプライムタイヤを履いていた。これはうちのチームに限ったことではない。多くのチームが、この硬めのタイヤの方がうまくバランスを割り出すことができていたようだ。
僕は、サーキットのイン側からのスタート。オフラインがものすごく汚れていたから、明らかにアウトよりインの方が不利だ。信号が変わったとき、タイヤが余分に空回りしてしまって、第1コーナーの混雑に閉じ込められてしまった。1周目の最後には、チームメートのルーベンス・バリチェロの後ろ、14位に順位を落としていた。
3周目に入ったところでルーベンスを抜いた。そしてすぐにニック・ハイドフェルド(BMWザウバー)をとらえた。ニックは1ストップの予定だった。この周回、曲がりくねった中盤では僕のほうが速かったけれど、最後の2つのコーナーでは彼のスピードが勝っていた。そのせいで、僕はピットストレートで抜くことができなかったわけだ。イライラさせられたけれど、それでもレッドブルのマーク・ウェーバーよりわずか0.2秒遅いだけのラップタイムを刻むことができた。
結局、スタートと同じ12位でフィニッシュした。ハイドフェルドにひっかからなければ、デビッド・クルサード(レッドブル)を追い詰めるところまでは行けたはず。その点では今後に向けて好感触がつかめた。この週は、サーキットの中でも外でもすごく忙しかったけれど、まずまずの締めくくりができたと思う。
前回のコラムはシルバーストーンでの英国GPの後で終わっていた。あれから、僕はモナコの自宅に戻り何日か過ごして、7月9日水曜日にフランクフルトへと飛んだ。翌日はホッケンハイムでテストだった。ホッケンハイムは、カーブがいい感じでミックスされていてオーバーテイクしやすい。僕の好きなサーキットだ。テストの大半はタイヤの比較に費やした。ホッケンハイムのアスファルトはタイヤを磨耗させやすいから、対策を講じておかないと大変なことになる。
翌日は英国へ。フェアフォード空軍基地で開催されるはずだったロイヤル・インターナショナル・エアタトゥーで、ブリヂストンのブースに行く予定だったのだけれど、天候が急に崩れたため土壇場でイベントがキャンセルとなってしまった。おかげでグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードには早く到着した。
僕はこのフェスティバルに2000年から毎年参加している。すばらしいイベントだ。今年は自分のモーターホームに友達を呼んで泊まった。面白かった。土曜の夜には正装パーティがあり、KTタンストールの生演奏を聴くことができた。そして日曜にはつなぎを着てRA108に乗り、0.72qの上り坂を走らせた。これは、観客を楽しませるものであって、タイムを競うものではない。スタートの瞬間、これまでF1マシンに乗ってきた中で最高のバーンアウトができた。静止したままリアタイヤを6秒スピンさせ、ギアを3速に入れて飛び出した。その場にいた人、僕も含めてみんなが楽しめたと思う!
ほかに、Hondaのクエスチョン・オブ・モータースポーツ(クイズ大会)にも二輪の伝説的ライダー、トミー・ロブたちと一緒に出席し、サインをしたりファンと話をしたりして過ごした。グッドウッドが盛り上がるのもそうしたファンのおかげだ。その後、2日ほどモナコでトレーニングし、7月16日水曜日、ドイツGPに向けてドイツへと向かった。
ホッケンハイムに入る前、Hondaのシビック・ハイブリッドをメインにしたPRイベントに参加した。これは面白いイベントだった。僕は、この車を買った人たちと会い、一緒にどうやったら経済的に運転できるかというアドバイスを受けた。ほかの人たちが環境問題に対してどう考えているのかが分かったし、彼らが経済的な運転をするのをサポートしたりして、有意義なイベントだった。
木曜の夜は、抽選で当たった人たちをシビック TYPE Rに乗せて、ホッケンハイムの周りを走った。楽しかった。それが終わったら、いよいよ本番に向けて仕事開始だ。予選はうまくいって14位につけた。しかし、レースではそうはいかなかった。37周にセーフティカーが入ったのが悪かった。僕は、ティモ(グロック、トヨタ)がピットストレートで壁にぶつかったのとまさに同時にピットインしていた。そのため、再スタートまでレースのトップを抜くことができず、周回遅れとなってしまって、結局17位でフィニッシュだった。
その夜モナコに戻り、木曜日にヘレスでのテスト最終日に合流。アップグレードしたRA108を走らせた。ハンガリーに持ち込む新しいパーツの感覚を確かめるのはこれが初めてだったけれど、すぐに進化しているという手ごたえを感じた。98周をこなしてみて、ハンガロリンクへの期待が高まった。
ハンガリーに入る前には、英国で、学生時代の友達何人かとバース・トライアスロンに出場した。本当は、6月のウィンザーと同じくオリンピックディスタンスに挑戦したかったのだけれど、ヒザに違和感があったので、短いレースにした。スイムと自転車はうまくいった。ランでは本来の走りはできなかったけれど、結局157人中15位でフィニッシュできた。このトライアスロンのあと、ウィンザー・グレート・パークのカルティエ・インターナショナル・ポロ・トーナメントを少しのぞいて友達に会った。それからモナコに戻り、ブダペストへ発った。
今は、南フランスで過ごしている。サマー・ブレイクの前半はここにいて、それから、チームの本拠地ブラックリーを訪ね、8月24日のヨーロッパGPに備えるつもりだ。シミュレーターを走らせて、バレンシアの新しいコースについてできるだけの情報を集める。ストリートコースは大好きだから、レースの日が待ち遠しいよ。