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- June - |
モナコとモントリオールは事故の多いGPだった。僕はどちらのレースでもポイントが取れなかった。がっかりだ。
モナコでは、自信を持ってRA108に乗り込んだ。マシンは、ウエットでもドライでも安定していた。ただ、Q2の最後でイエローフラッグが出ていたのは誤算だった。あれがなければ予選でトップ10に入っていたはずだ。結局11番手からのスタートだったけれど、それでもポイント圏内でのフィニッシュは狙える位置だった。それなのに、1周目でいきなりニック・ハイドフェルトとぶつかり、すぐにピットストップしなければならなくなった。ここで全てがおかしくなってしまった。
モントリオールは、まさにその逆。ダウンフォースの低い新しい空力パッケージにしたら、週末ずっとグリップに苦しんだ。フリー走行では、いろいろなセットアップを試した。挙げ句の果てに、予選のスタートで3速ギアにトラブルが発生。Q2でとれたタイムはたった一度で、しかもすごく遅いものだった。
レース前にギアボックスを交換して、ピットスタートを選択した。その方が、サスペンションやウイングを思い通りに調整できる。それで、最後尾からスタートしたけれど、53周目に最後のピットストップをする前には7位まで順位を上げていた。ピットを出たときは11番手。そのままの位置でフィニッシュとなった。
明るい材料は、レースの時にバランスがよくなっていたことかな。ただ、カナダGPでのようなトラブルを繰り返さないために、これからフランスGPまで、たくさんのことを分析しなければならない。
レース以外でも忙しいひと月だった。5月11日、トルコGPが終わってほぼ直行のような形で、ポールリカールでのテストに向かった。2日間のテストでは、モナコとモントリオールに合わせたダウンフォースを試した。初日は順調だったけれど、2日目は、マシンを低いダウンフォースの構造にしてテストするはずだったのに、雨で流れてしまった。そのせいで、カナダGPに向けた準備が進まなかった。
ポールリカールから、今度はジュネーブへ。Hondaがヨーロッパで発売するHondaJetの発表があったからだ。実のところ僕は、プライベートジェットでの移動はあまり好きではない。でもスケジュールの都合でどうしても乗らなければならないことがある。そういうこともあって、2012年にHondaJetの生産が始まったら、僕はヨーロッパでの顧客第一号になると思う。
話を戻そう。ジュネーブからモナコに帰り、モナコGPに向けて準備を始めた。相当な量のトレーニングをこなし、エンジニアたちとは何度も電話で打ち合わせをした。そうこうしている間に、1966 Honda S600コンバーチブルが納車された。ルックスのいい小型車で、天気のいい日にモナコを周るのにはうってつけだ。
モナコでのレースについては最初に触れたけれど、ここで、このGP期間中、金曜の夜に行われたアンバー・ファッションショーについても話しておこう。僕は、他の6人のF1ドライバーと一緒にこのショーのモデルを務めた。収益は、エルトン・ジョン・エイズ基金に寄付された。すごく楽しかった。
レースの後、何日かモナコに残り、友人とトレーニングをした。そしてその後、ロサンゼルスへ。モンドリアン・ホテルに泊まり、旧い仲間に会った。最高のひと時を過ごし、6月1日の日曜日にモントリオールへ移動した。
カナダGPは好きなレースだ。それは、熱狂的な地元レースファンが多いから。僕らを心から大歓迎してくれる。サーキットも街中もすばらしい雰囲気だ。それに、夜、食事に出かけるのにいい店がたくさんある。
この週末は、Hondaがレースの公式スポンサーになっていたため、PRの仕事が山積みだった。水曜日は、ニック(フライ/ホンダ・レーシングF1チーム代表)と一緒に地元の小学校を訪問し、チームの「earthdreams」プロジェクトで展開しているCAC(クリーン・エア・チャンピオンズ)を紹介した。木曜日には、ルーベンス(バリチェロ)と、モントリオール市街のクレシェント・ストリート・フェスティバルの開会式に出席した。
こうしたPRの仕事やサーキットでの活動の合間に、何とか時間を作って、6月15日の日曜に行われるウインザー・トライアスロンに向けたトレーニングもした。療法士のマイクと2人、自転車を借りて町の近くの丘をいい感じで走った。それと、ウエットスーツを着込み、F1パドック裏の街路に沿って2キロの距離を泳いだ。きつかったし、水もあまりきれいではなかったけれど、英国のテムズ川での大会にはちょうどいい練習になった。
この大会の参加者にはセミ・プロが多いから、僕の目標はトップから1割以内に入ること。僕のスケジュールではトレーニングの量も限られる。この目標が達成できれば満足だ。
そしていよいよマニクールのフランスGPとなる。あそこは速くて流れるようなサーキット。僕は、これまでに何度かいい成績を挙げている。今回もいい走りをして、是非ポイントを取りたい。