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- April - |
バーレーンは9番グリッドからのスタート。僕もチームもかなり期待を持っていた。その週末、マシンのバランスがうまく改良できていたから、いい成績が狙えると確信していたんだ。
スタートもうまくいって、第1コーナーでは8位につけた。でもそこで、上位に食い込む希望は断たれた。フェルナンド・アロンソ(ルノー)のフロントウイングが僕の右のリアタイヤに当たったからだ。徐々に空気が抜けてしまった。すぐには気付かず、第5カーブまで行ったところで、ハンドリングが最悪になった。それで、この周の最後にピットインして、新しいタイヤに履き替えた。そのあとも起死回生を狙って必死に走ったけれど、21周目にデビッド・クルサード(レッドブル)と衝突してリタイアとなってしまった。
結局完走はできなかった。でも、バーレーン・インターナショナル・サーキットからは、たくさんの好材料を持ち帰ることができた。RA108はハンドリングがよく、今季初めて最終予選まで残ることができた。レースでは、あの不運な出来事のせいでオープニングラップの最後にタイヤ交換のピットストップをしなければならなかったけれど、そのあとはかなりのラップタイムを刻めた。
最新の空力パッケージについては、メルボルンまでにほんのわずかしかテストができなかった。でも、そのあと、レースごとに大きく進歩しているのを感じる。それがすごくうれしい。アルバート・パークで走らせたマシンは、その前の週にやっとヘレスでテストにこぎつけたような状態だった。限られた時間の中で、みんなとてもよくやってくれている。
その、ヘレスでのテストのあと、僕は東京に飛んで、毎年恒例のプレシーズン記者会見に出席した。それからGP週の火曜日にオーストラリアに着いた。メルボルンは、シーズンの開幕には絶好の土地だと思う。天気はいいし、国際的な都市だ。
現地入りした翌日、セント・キルダのビーチに向かった。毎年、開幕前に、チームと各国のメディアが一堂に会するイベントがある。会場はストークハウスというレストラン。ウインターブレークが明けて、ジャーナリストたちとまた顔を合わせることができてよかった。ポート・フィリップ湾に太陽が沈むのを眺めたりして楽しく過ごせた。
木曜の朝は、ルーベンス(バリチェロ)とニック(フライ)と、メルボルンのライトハウス基金を訪ねた。この基金はホームレスの子どもたちを支援している。そうした団体に10万オーストラリアドルの小切手を手渡すことができて光栄に思う。半分はearthdreamsから、もう半分はホンダオーストラリアからだ。
オーストラリアGPでは予選12番手。レースが始まる前までは、各チームの中で自分たちがどの位置にいるか分からなかったけれど、予選のこの結果で、RA108がしっかりした基盤を持っていることを確認できたわけだ。
ただ、残念なことに予選のペースをレースで発揮することができなかった。第1コーナーで、セバスチャン・フェテルのアクシデントに巻き込まれてしまったからだ。でもルーベンスがレース中ほとんどずっとポイント圏内で走れたことで、チームは活気付いた。
レース翌日は、ホンダオーストラリアのPRイベントで、フレミントン競馬場に行った。ここでは毎年11月にメルボルンカップが開かれる。その日のイベントは、オーストラリアで新しくHondaのアコードが発売されるのを記念したものだった。僕は、仮設コースでアコードをドライブした。楽しかったよ。このアコードは前輪駆動だけれど、運転していてそういう感じが全くなかった。Hondaの技術はすごい。
メルボルンはものすごく暑かったから、マレーシアGPの準備にはもってこいだった。GP週の火曜日にクアラルンプールに着き、金曜日にサーキット入りしたときには、完ぺきに、暑さにも湿度にも慣れていた。
ここでも、トップ10のわずか後ろという予選結果には満足だった。レースでも、マシンはかなりいいパフォーマンスをしてくれた。結果は10位だったけれど、それ以上に、レース中にデータを集められたことが大きかった。そのおかげでバーレーンGPに向けてセットアップを改良することができたから。
セパンとバーレーンの間は2週間。家に帰るドライバーもいたが、僕はドバイ行きを選んだ。天気がいいと分かっていたからだ。3月の終わりのモナコでは、好天は保証できない。それに、早目に入れば気候や時差にも慣れることができる。
療法士のマイク・コリアと一緒に、9日間連続でトレーニングができたのはよかった。でも、トレーニングばかりしていたわけではないんだ。3月29日土曜日には、競馬のドバイ・ワールドカップを見に行った。世界最高額の賞金がかかるレースだ。すばらしいひとときだった。
レース前の水曜日、バーレーンに入り、直接バーレーン・インターナショナルサーキットに向かった。だから残念なことに、ドゥラ・アル・バハレーンの建設の様子を見ることができなかった。その人工島に、僕は家を持つことになっている。あと2カ月ほどで完成するらしい。この目で見る日が待ち遠しいよ。
GP中の宿は、リッツ・カールトン。すばらしいホテルだった。さすが「ペルシャ湾唯一の5つ星高級ホテル」と謳っているだけある。部屋も食べ物も最高。特にプラムスというレストランでまた食事ができたのがうれしかった。何しろあそこの神戸牛は、この世のものとは思えないおいしさだから。
バーレーンから次のヨーロッパラウンドまでは、3週間ある。僕は、今週はモナコで過ごし、療法士のマイクとトレーナーのマイルス・ジョンソンと一緒にトレーニングざんまい。次の週にはバルセロナに飛んで、4日間のテスト。そこで新しい空力パーツを試す予定だ。
新しい空力パーツがどのくらい進化しているのかはまだ何とも言えないけれど、チームのエンジニアやデザイナーは、正しい方向性で進化していると自信を持っている。
応援してくれてありがとう。次にこのコラムを書くまでに、ポイントが手に入っているといいな。