vol.160 Rd.16 Chinese GP

07.10.10

不安定な天候のなか、
レース戦略とジェンソンの走りが結果につながりました

アジア2連戦の後半、中国GP。ジェンソン・バトンは日本GPに続いて、予選でトップ10内のグリッドを獲得する。レースは雨が降ったり止んだりの難しいコンディションだったが、終始上位を走って5位入賞。今季最高位の結果を挙げた。

 予選で実力を出しきれて、10番グリッドを獲得しました。いい雰囲気でレースに臨むことが出来ました。レース前は雨がずっと降り続くと思っていたのですが、実際に始まってみると予想したより変わりやすい天気でした。徐々に路面が乾いていって、ドライタイヤに替えたら雨が降ったりと、非常に難しいコンディションでしたね、そんな中、2台の戦略を変えて臨みましたが、結果的にはジェンソンの選択の方が、いい方向に働きました。

−ドライタイヤに換えてすぐに、雨が降ってきました。かなり厳しい状況での走行を強いられたと思いますが。
 そうですね。コースに出ていって、ようやくタイヤに熱が入ってグリップし始めたところで、雨が降り始めてしまいました。それで急激にタイヤが冷えて、さらに路面も濡れたことで、非常に厳しいコンディションでしたね。それでもジェンソンはミスもなく、スムーズな走りを続けてくれました。路面がほぼ乾いてからは、最速タイム連発でしたし。
 ただ最後に履いたドライタイヤは、グレーニング(めくれ摩耗)がひどくて、ペースが伸びませんでした。路面はレース後半の方がラバーがのって、グリップは上がっていたはずなんですが、どうしてそうなってしまったのか、今後調査が必要です。

−バリチェロも同じようなタイミングでドライタイヤを履きましたが、すぐにレインタイヤに戻しています。
  この路面では走れないと、自分から戻ってきました。1回ストップ作戦で、かなり重い燃料を積んでいましたから、それも影響したと思います。あのままガマンして走ってくれていたら、順位は上がったと思うのですが、仕方がないです。

−次戦はいよいよ、最終戦ブラジルGPです。
 そうですね。実走テストは出来ませんが、ファクトリーでやれるだけのことをやって、最終戦ブラジルGPに挑みます。今シーズンをいい形で締めくくり、来シーズンにつながるレースを展開したいですね。

【プロフィール】 田辺 豊治(たなべ・とよはる)
1960年5月12日生まれ、東京都出身。
1984年Honda入社。入社直後の1年間を除き、常にF1、CARTなどのレース現場の第一線で活躍。
現在は、ホンダ・レーシング・ディベロップメント(HRD)レーステストマネージャー兼ジェンソン・バトン担当エンジンエンジニア