vol.155

07.09.06

モンツァテスト「予選グリッド次第では、
ポイント獲得は十分に可能でしょう。」

トルコGPの翌週、夏休み明けとしては初めてとなる合同テストが、イタリア・モンツァで行われた。イタリアGPに向けての準備のほか、さまざまな改良パーツを評価。マシンは着実に進化しているようだった。

 天候不順のため、予定より1日伸ばして、4日間のテストになりました。基本的には、今週行われるイタリアGPに向けての準備ということです。感触としては、悪くなかったですね。当面のライバルであるトヨタやレッドブル、ウィリアムズ辺りと比べても、ロングランでの速さでは遜色ないレベルでした。ただニュータイヤでの一発の速さは、やはり苦しいですね。

−ここは全17戦中もっともダウンフォース値の低い特殊なサーキットですが、そういうコース特性でも症状は改善されない?
 そうですね。ウイングを見ても、ライバルたちの方が寝ていて、その分最高速も出ています。われわれももちろん同じようなウイングレベルも試しているんですが、そうすると今度は大幅にタイムが遅くなってしまいます。

−コーナーで、タイムロスする。
 ええ。第1シケインなどで、止まれなくなります。そのためにはウイングを立てざるをえなくて、それで最高速で後れをとってしまいます。特に一発アタックの際に、そうでしたね。他チームはニュータイヤのグリップに頼って、ウイングを寝かせることができるようで、最高速は最大で時速10km近く違いましたね。

−今回はウイングや足回りで、新しいものをいくつかテストしたんですね。
  週末のレース用に、前後の新しいウイングを試しました。そして足回りの改良は、イタリアGPを含めた、シーズン終盤に向けてのものです。こちらは、非常によかったですね。特に低速コーナーで、マシンのリアが安定するという評価でした。それもあって、ロングランでは安定して中団のタイムを出すことができました。
 それだけに、一発の速さが課題ですね。今週末のイタリアGPは予選でトップ10に入れれば、ポイント獲得は十分に可能だと思いますよ。

−今回は、トラクションコントロールを外したマシンでも走ったんですね。
  ええ。ジェンソン(バトン)が、試してくれました。非常に楽しいと言っていましたね。トラクションコントロールが禁止になる来年は、マシンのドライバビリティが非常に重要になるという認識でした。われわれもその辺を踏まえて、来年のマシン開発を進めています。それからドライバーの腕の差でも、違いは出てくるはずです。うちの2人はその辺が優れていると信じていますから、それも楽しみな点ですね。

【プロフィール】 長谷川 祐介(はせがわ・ゆうすけ)
1963年12月1日生まれ、東京都出身。
1986年Honda入社。量産車のエンジン開発や将来パワープラントの研究を経て、2002年よりシステム開発責任者としてF1に携わる。現在は、ホンダ・レーシング・ディベロップメント(HRD)チーフテストエンジニアとして、テスト全般を統括する立場である。